前回、山口閣下とマンシュタインと我らがデグ様が邂逅したところですね。
そしてこの話を書いてる最中にUAが20000行きました、ありがとございます。
ではどうぞ…。
統一歴、一九二六年三月七日。
西方ライン戦線左翼部分
「静かですね…」
「そうだな…」
我々が懐かしの ー弟にとっては初めてのー ラインに来てから四ヶ月、未だに我々は本当にライン戦線にいるのか、と思うぐらいに静かだった。
約一年前までは砲弾が飛び交い、敵味方入りみだれ至る所から怒号が聞こえる極限の塹壕戦だったのにも関わらず、今は戦友達の元気な笑い声が聞こえるレベルだ。
帝国軍の奮戦…、と言うか明らかにこの長大な防衛線のせいだろう。一時期は双方共に血で血を洗う大規模な塹壕戦が展開されていたが、最近は帝国の防衛線に突っ込んだフランソワがただ兵力を溶かしていただけであった。
こんなに静かならば、もう戦争は終わっているんじゃないかとすら思えてくる。
だが、上の命令とあらば我々は向かわねばならぬのだろう、戦地へと。
「さて、司令部の元へ向かおう」
「はい!」
ジープに弟や少尉達と乗り、司令部へと向かう。
途中、輸送中であろうフンメル自走砲やパンター戦車を見かけた。そういえば、パンターやティーガーは従来の戦車と比べてかなり幅の広い履帯を使っていたな…、接地圧の比率は四号と比べるべくも無いがラインで従軍していた頃に見た三号戦車は冬季用の履帯を履かせていたからそれだけ接地圧を減らし、擱座しにくくしたのだろう。
そう考えると、ティーガーやパンターは擱座しにくくなるのか…?と思いもしたがそんな筈なかった、57tもある重量物が沼に嵌って擱座しない筈がない。
「つい最近までラインで泥に塗れながら戦っていたのが嘘みたいですね」
「最近…と言っても一年前の話だがな」
「三人とも、着いたようです」
「はいはーい!」
ジープから降り、物資集積所の諸々の資材が置いてある方向へ向かう。
「来たか大佐達、こちらだ」
「は、ゲラーデン大佐」
彼は西方方面軍第二砲兵旅団『ブリッツ・ファウスト』司令官ブルーノ・ゲラーデン大佐。
西方ライン開戦時どころか、帝国の建国期に起きたオストランド共和国との戦争、オストランド紛争から現役で、その身一つで戦車五両を撃破したと言われる。
砲兵じゃなくて対戦車のスペシャリストな気がするが…、気のせいだろう。
「さて、我々に配備された車両はこれだ」
そう言って大佐が指し示した方を見ると、三号突撃砲やIV号駆逐戦車があった。
…いやいや、装甲戦力の発展速度がエグ過ぎるだろ、三突が一気に旧式化するぞ。
何のゲームかは言わないが最大BR差が1.2だぞ、この辺のフランソワ相手では明らかにオーバースペックだ。
フランソワはARL-44くらい持ってこないと対処できんぞ、アレ。
「さて、ここも長大な防衛線を敷き、ガチガチに固めてあるが問題はあれだ。少し着いて来てくれ」
大佐が案内した方向には前と後ろに伸びた車体に垂直構造の砲塔が乗っかった凶悪なぐらい重装甲を誇る戦車…、チャーチル歩兵戦車があった。
見たところ砲塔正面に大穴が空いている、恐らくアハトアハトで撃破されたのだろう。
おかしいな、秋津島により連合王国からの支援は断ち切ったはずだ。
いや、あの程度で連合王国の鼻っ柱を叩き折ったと驕ったか。
相手は外交での立ち回りが上手いブリカス、やるんだったら徹底的に潰さねばなるまい。
「さて、我々右翼軍集団のやる事は把握しているか?」
「ええ大佐、敵司令部破壊と同時に我々は左翼を食い破り、その後同時に突破した右翼軍集団と合流、共和国前線を丸ごと包囲する」
「ああそうだ、それと同時に我々は右翼軍の最先鋒でもある、責任重大だな?双銀殿」
「全く光栄であります」
「さて…、我々はその作戦の確度を高めるためにも準備に手間をかけねばな」
「全くです」
弟がクリスマスプレゼントと言って渡してくれた帝国軍の新型短機関銃、MP30の整備をしながらこう思う。
「(チョイスはアレだが…、まぁ、これが終わったら帝都でゆっくり休養するとしよう)」
ーーーーーーーーーーーー
◇◇◇
この前、我々も同席したマンシュタイン少将閣下と山口閣下の会談。
この会談で『衝撃と恐怖作戦』に際し下記の段階が決まった。
◇◇◇
統一歴一九二六年三月十四日
フランソワ共和国軍方面軍司令部。
「おい、帝国の前線はどうだ?」
「それが…、いまだに防衛線を破れずにいます」
「またか、おい、レーダーは?」
「ああ、特に機影は…、ん?何だこれ?中佐、これなんでしょう?」
「見せてみろ…何だこれ?」
そのレーダーには、何やら大型機の機影が写っている。
「…おい、これの高度と速度は?」
「高度…」
管制官が高度計と速度計にちらりと目をやると、その動きが固まった。
「どうした?見せてみろ…な!」
「高度二万!?速度は…六〇〇だと!?」
一瞬、計器の異常かと思ったが幸か不幸かこの計器は一番高性能かつ故障の少ないモデル。
その数字は、寸分の狂いなくその数字を叩き出していた。
「この大型機の機影は…爆撃機!?」
そう叫んだ刹那、我々の周りを白い光が包んだ。
私の記憶は、そこで途切れている。
同方面軍司令部上空二万キロメートル地点
ドドドドォと言う連続投下した一〇〇〇キロ爆弾の連なる様な爆発音を聞き、機長が口を開く。
「
爆炎を観測した投下員が答える
「全部吹っ飛んだ、アレじゃ後続の地中貫通爆弾を叩き込むまでも無い気がするな」
「何、いくら一〇〇〇キロを大量に叩き込んだところで固く守られた地下壕を破壊仕切るのには火力不足だからな」
「だとしても、一〇〇〇キロ爆弾八個を搭載できる
「何、愛機のJu87から転向してこれの搭載量に驚いたよ、これでJu87ぐらい小回りがきいて欲しいが」
「難しいでしょうねぇ…(アンタならそんな操縦できるでしょとか思っちゃいけねぇ…)」
◇◇◇
第一段階、戦略爆撃機による敵司令部破壊、これで敵の頭を刈り取る。これで敵の前線の対応力を喪失させる。
ちなみに、元々東部戦線で一番の熟練の爆撃機乗りだった奴を操縦手にしたらしい。…どこかで聞いた名じゃなければいいが。
◇◇◇
同時刻、フランソワ左翼方面。
「おい、エドワード」
「どうした?」
「攻勢らしい、俺ら装甲兵は先頭に立って歩兵の盾になるそうだ」
エースと言われた装甲兵部隊、ライフル弾を弾けるよう各種装甲材を重ね合わせ、軽量(フル装備十キロ)かつ高防御(均質圧延装甲換算15ミリ)の全身を覆うアーマーである、後世の複合装甲に通じ、時代を考えるとオーパーツ的な装備である。
「了解了解、そこの軽機関銃取ってくれ」
「はいはい、これだろ?鹵獲した帝国軍の7.92ミリの機関銃」
「ああ、それだ」
フランソワ製の同口径のライフル弾が装填されたMG18のリロードを行う。
ガチリと弾倉をはめ、コッキングレバーをジャキリと引く。
そして地下、彼らの足元には大量に張り巡らせ、爆薬が所狭しと並べられた壕が枝分かれ的に分離していた。
だが、その壕を掘り進めたのは彼らではない。
その大量の爆薬につながっているコードの先を辿っていくと、帝国軍の防御陣地に繋がる大量の起爆装置があった。
そんなことはつゆすら知らず、装備品を纏めている兵士たち。
ゲラーデン大佐が起爆の指示をし、カチリと起爆装置が押される。
その後、ズズゥンと強烈な爆発音と共にグラグラと地震が起きた。
それもそうだ、張り巡らせた壕の中に入っている爆薬量はTNT換算で六五〇〇キロ、ある程度の戦線ならゆうに吹き飛ばせる質量だ。
大量の爆薬で吹き飛ばした塹壕にもうもうと上がる爆炎を突っ切ってパンターやIV号駆逐戦車が猛スピードで突進する。
「
全く、我々航空魔導師すら動員して突撃とは、なんてことだ。
歩兵は戦車の速度に追いつけないだろうから車両の上に乗せてタンクデサントとして戦ってもらっている。
◇◇◇
第二段階、左翼、右翼方面に張り巡らせた爆薬網で敵戦線を丸ごと文字通り爆破、同時に右翼、左翼方面から装甲軍団が突撃しフランソワ前線を包囲殲滅。この段階で秋津島皇国がフランソワと連合王国に宣戦布告する。
◇◇◇
同刻、共和国軍中央部
「おい!司令部からの連絡は!」
「ありません!矛盾する命令ばかりです!!」
作戦の第一段階で破壊された司令部により、指揮系統が麻痺、前線集団は大混乱に陥っていた。
エース・オブ・ザ・エース『最古参』が指揮する第二〇五航空魔導大隊が無双し、敵の航空魔導師を殲滅していた。
そしてその頃左翼方面の第二〇三装甲混成旅団。
「旅団総員!もうすぐダンケルクだ!攻める必要はない!!包囲しろ!」
「「「「「「「「ヤヴォール!!」」」」」」」」
砲兵旅団と装甲旅団がダンケルクを包囲し、カレーを占領する。
[side:連合王国]
「しょ…少将殿!ダンケルクが包囲されました!」
「何!?おい!!軍港に向かえ!!海上から脱出するぞ!」
「はっ!」
ドタドタと走って軍港に向かい、輸送船で脱出を図るが…。
到着した頃、物凄いものを見てしまう。
「戦艦…だと…?」
「もう既に海上封鎖されていたのだと言うのか!」
[side:多聞丸]
同刻、秋津島皇国戦艦長門艦橋内。
「出航してダンケルクに回ってみたら任務は海上封鎖と来たか」
俺は少し不満そうにそう呟く
「艦砲射撃でもしますかね?」
「そこまでする必要もないだろう、攻撃する必要もない」
「は、了解です」
◇◇◇
第三段階、突破した右翼と左翼の軍集団が中央部にて合流、そのまま前線の攻撃を行なった。
この段階で第二〇三装甲混成旅団は第二砲兵旅団と共にダンケルク包囲とカレー占領を行い、恐らく手を加えているであろう連合王国軍を脱出不可能に。また、この段階で山口閣下率いる秋津島海軍第二艦隊がダンケルク周辺に展開し連合王国軍の海上からの脱出を阻止する。
◇◇◇
これにより、マンシュタイン少将閣下にとっては雪辱を晴らす機会、私にとっては秋津洲への後方勤務のポスト(二十二話参照)を手に入れた。
だが…、
「これはどう言うことかね?アーデルハイト」
「い…いやぁ…あはは…」
同年三月十五日、軍港カレーの旧司令室。
そこで座り込んでいた私は怪我で弟に包帯を巻き巻きされていた。
全く、どこの誰かは知らんが連合王国のエースが居るとは聞いていない。
お陰で怪我を負ってしまったじゃないか、畜生。
そのお陰で弟に介抱して貰ってるからその点感謝だが、何と言うか縁起が悪い。
「まぁまぁ、旅団の損耗が少なくて良かったじゃないですか」
「そりゃそうだがね。まぁいい、これ、何だかわかるか?」
そう言って私は一本、そこまで大きく無い瓶を取り出す。
「そ、それは…」
少し弟が驚いた顔をする。
「ウィスキーだ、ここの倉庫を漁ってみたら見つけてな…、飲むか?」
「今はいいや」
「そうか」
スッと私は立ち上がり、ゴトリ、と砲撃でヒビの入った司令室の執務机にウィスキーの瓶を置く。
…なんか最近思うに精神が女らしくなっている気がするな、まぁだからなんだと言う話なんだが。
ある意味これも弟のおかげか?
「なぁアーデルハイト」
「何でしょう姉さん」
「…いや、何でもない」
くるりと弟の方に向き直る、自分より少しだけ低い身長、同じ金髪碧眼、まるで、自分が元の性別のまま転生していたらこうなっていたんじゃないだろうかと思うぐらい似ている。
「弟でいてくれてありがとう、アーデルハイト」
なぜその時その言葉が出たのかは自分でもわからない。
「…はい!」
ただ、その時の弟の笑顔は何者にも代え難いものだという事は今でも覚えている。
少し気恥ずかしくなり、この場を去ろうと歩き出した時…
ガツっ何かに躓き、
バタリ、と弟のいる方へ前のめりに倒れてしまう。
目を開けると、弟の顔が近い、物凄く近い。両方の吐息が互いの顔にかかってしまうぐらいの距離に接近していた。
私が弟を思いっきり押し倒している。
すぐ離れようと思ったが、すぐにその後少尉コンビが入ってくる。
「大佐殿!緊急のれんら…あ」
みられてしまった、気まずい。
「お取り込み中…すみません」
死にたい
To Be continued…。
お読みいただきありがとうございます。
できる限りこれでも話を膨らませて改変を行いましたが…。
やっぱマンシュタインいればこうなるわな、と言うのが結果でした。
そしてアーデルハイトを事故とはいえ押し倒してしまったデグ様…尊い、可愛い、しゅき。
秋津洲皇国の魔導師エース
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居る
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いらない
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いっぱいいる
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ドーモ、ソウギン=サン、ニンジャデス