幼女戦記 〜ターニャの家族を添えて〜   作:焼け野原主任

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ども、焼け野原主任です。

次回でフランソワ編は終結です。

あと、諸々のキャラに作者がオリジナルで名前つけてます。

では、どうぞ…。


時代の転換点
第二十七話、終戦の火


統一歴一九二六年六月十四日

 

帝国軍占領地カレー軍港

 

どうも、先のフランソワ戦での怪我で部下にあらぬ疑いをかけられたターニャ・フォン・デグレチャフ魔導大佐と。

突然姉に押し倒されて思考停止中のアーデルハイト・フォン・デグレチャフ魔導中佐です。

 

「大佐殿…、いくら好きでも弟に手を出すなんて…」

 

「違う違う!!これは事故だ!」

 

「大佐殿、そのまま続けてくださると嬉しいです」

 

だからなんでヴィーシャはそんなに手で隠すぐらい顔を赤くするんだ!そしてバートリー少尉!この状態を見て目をキラキラさせるんじゃない!

 

「姉…さん//?」

 

私の下にいる弟がその柔らかい頬を赤くして照れている。可愛すぎて自分のモノにしたいマズイマズイ、理性が吹っ飛んでしまう。部下の目の前、何とか自制せねば。

 

「いくら何でもその辺私は弁えている、近親同士など…」

 

近親相姦、そんな言葉が頭をよぎった。

遺伝子構造の似た者同士で作られた子供など…、そら恐ろしい。

一時の快楽で一生の傷を弟に負わせるのは絶対に許されん。

ゆっくりと起き上がり、包帯を体に巻くため脱いで近くに置いてあった肌着を着る。

 

「それで少尉、連絡とは何だ?」

 

あ、離れちゃった…はい、参謀本部より緊急の連絡です」

 

少し不穏な声が聞こえたが気のせいだろう。

 

「緊急とはなんだ?」

 

「はい、共和国内ににて大規模な政変が勃発、現政権から親帝国政権になるとのことです」

 

「ふむ、そうか」

 

そういえば共和国は各政党における呉越同舟の意味合いが強かった、それがこの度重なる戦略的敗北とDo17-Lによる都市への戦略爆撃。相手の不満を噴出させるには十分だったのだろう。

 

「これで、我々の勝利は目前ですね!」

 

「…勝利…だと?」

 

勝利、降伏でも停戦でもなく勝利だと?

 

「少尉、少し聞くが本部は勝利と言ったのかね?」

 

「は?はい?」

 

「この段階で、降伏でも停戦でもなく勝利と言ったのか?」

 

「申し訳ありません大佐殿、勝利、と通達の中にはっきりと文面としてあったわけではありません」

 

まぁそうだよな。

 

「終戦というのは自分の希望的観測でありました、ブレスト軍港に終結し。そこを最後の要塞として立て籠ったのですから…、終戦かと」

 

副官が手渡した書類に目を通す。

 

ふーむ、ド・ルーゴ…、まるで前世フランスのシャルル・ド・ゴールの様じゃないか。核兵器でも持ってこられたら大事件極まりないが…、何というか、全てがうまくいきすぎている様に感じる。

 

「(そういえば…この途中でブリカス共が宣戦布告してきたな、秋津洲による宣戦布告は駐留している山口閣下の艦隊を動かす為だろうが…、このブリカスの宣戦布告は何だ?)」

 

そして、なぜこうも容易く首都パリースィイを占領できた?

おそらく主戦力を主戦場からブレストに逃したのだ、なぜ?何のために?

 

少し歴史を振り返ってみよう、あのエスカルゴ共はもし戦争で負けても植民地に移ってしぶとく抵抗する。ただそれをただ一国で行ったとてジリ貧…であればあのブリカスの宣戦布告も納得がいく、あの時は世界大戦があったからあそこまで保ったのだ。

 

帝国は敵戦力撃滅のために動いていた、要するにこれは戦術目標と戦略目標の優先順位が逆転し始めている事がわかる。

これでは終戦にはならないことを参謀本部は知らない、戦務参謀次官ゼートゥーア少将と作戦参謀次官ルーデルドルフ少将、この二人を持ってしてもその引き金を看過することはできなかったのか?

 

ある意味仕方ないのかもしれない、だが、これと同じことを2回やってやっと気がついたぐらいだ、この時代の人間はこれが限界なのか?

 

前世の歴史を歩んだ私とてアホでは無い、まさか…それに気がついているのは私と…もしやアーデルハイトの二人だけ?

 

 

「(クソがぁ!)」

 

やり場のない怒りにヘルメットをぶん投げてしまう。驚く弟と少尉二人組をよそに自分は何かに憤り続ける。これではダンケルクの再来ではないか!ここでダンケルクの奇跡を阻止せねば帝国の敗北は必至だ!

 

運の良い事にここはカレー、旅団自動化戦力を全て注ぎ込んで突撃すればブレストに間に合う。

 

途中多少の落伍車が出るかもしれんがそんな損害帝国の未来を考えればどうってことない!

 

「アーデルハイト!旅団総員全力出撃!全ての車両に燃料を補給し各連隊長や大隊長に出撃準備を整えさせろ!」

 

[side:アーデルハイト]

 

…なるほど、二週目の世界で防ぐことができなかったブレストの奇跡を防ぐつもりなんだ、姉さんは。

 

「ヤヴォール!!少尉!聞いたな!旅団総員の出撃準備を整えさせろ!」

 

「は!」

 

テクテクと歩いて行く姉さん

 

「姉さん、何処へ?」

 

「西方方面軍司令部に話をつけてくる」

 

「了解です」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

場所は変わってここから一日前の帝国軍参謀本部内、エーリッヒ・フォン・マンシュタイン少将の執務室。

 

「何かが引っ掛かる…」

 

「はい?」

 

その呟きを聞いた側近が少し怪訝な顔をするがそんな顔を無視して思考する。

 

共和国軍の残党がブレストに集まっている。

これだけ見れば政変が起き、現政権の倒れた共和国軍の最後の抵抗に見える。

 

だが、私は少し朧げだが前世の記憶がある、これはまさに…何だ?

 

司令官の名前はド・ルーゴ…まさに前世で見たフランスのド・ゴールに似ている、これは…何だろうか?

 

この土壇場でのジョンブルの参戦、これは恐らく我々の領域拡大を恐れてだろうが…、もう一つの側面で見れば共和国に国際的に隠し切れない程の支援を行うとも取れる。

 

そしてここで残党勢力の中でも大規模な戦力かつ現在でも生き残っている主戦力…。

 

ブレスト…地形の関係…フランス…なぜ軍港に…脱出するため…。

そう色々な可能性を考えているうちに一つの結論を思い出した。

 

ダンケルクの奇跡

 

その一言が、私に閃きと全ての思考のつながりを齎した。

 

これはマズイ、このまま共和国に逃げられてはダンケルクの再来だ、そしてそのルートは帝国の滅亡を意味する。

この結論に行き着いているのは…私だけか?

 

だとしたらすぐ行動に移さねばならんだろう、流石にゼートゥーアやルーデルドルフに相談している場合ではない。

 

展開されている部隊の配置を思い出す。この配置だったら…カレーに駐留している第二〇三装甲混成旅団が一番近い!

 

「副官!今すぐに前線に向かう、場所はカレーだ!」

 

「は?はぁ?」

 

「早く!理由は何でもいい!第二〇三装甲混成旅団の元へ向かうぞ!」

 

「「(ダンケルクだけは!阻止せねば!)」」

 

この時だけは神が味方したのだろうか。

何の偶然か、同じ結論に行き着いた二人の将校がいた、片方は似たような国、似たような時代で似たような経験をし、片方はただの軍事知識と歴史の知識で。

そして、行動に移った二人の行動は早かった。

 

そして、マンシュタインのこの行動は後世にマンシュタインの未来視として語り継がれる。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

時は戻って戦線移動によりダンケルク周辺に配置された帝国軍西方方面軍司令部内

 

 

「デグレチャフ大佐!その言動は看過できん!衛兵!取り押さえろ!」

 

「やめたまえダッセウ大佐!おい衛兵!待て!」

 

そこでは取り押さえられているターニャ・フォン・デグレチャフ大佐と戦いを共にした第二砲兵旅団のハンス・ゲラーデン大佐、そして方面軍司令部の作戦将校兼副司令官のアルベルト・ダッセウ大佐、今はゲラーデン大佐が衛兵に飛びつき、衛兵からターニャを引き剥がそうとしている。

 

「今はグデーリアン少将がいない為判断はしかねるがそれでも許可できん!貴様もだゲラーデン大佐!現場の一将校が口出しできる案件では無いのだぞ!」

 

「やめろダッセウ大佐!ここまで戦った彼女が言っているんだ!」

 

両方とも鬼気迫る勢いで大声をあげ、互いに叱責し合っている。

 

「どうしても、許可できませんでしょうか?」

 

「くどい!!」

 

これ以上ないと言う声で吐き捨てる。

 

「…わかりました、では、もう一つの権限を行使いたします」

 

「なッ!?」

 

バチバチと魔導反応が発生し、周りに稲妻のような何かを出して衛兵を引き剥がす。

その稲妻は、彼女のその怒りを体現しているかのようだった。

 

「我が二〇三装甲混成旅団は西方方面軍所属ではなく参謀本部直属の旅団です、中央参謀本部からいただいている権限により、強行偵察任務を行使いたします」

 

「はぁ!?」

 

「(この場で止めねばブレストが火の海になる!)デグレチャフ大佐!」

 

「っくそ!こんなことでは弟に見放されるぞ!」

 

止めるにはこう言うしかないと、ダッセウは思いそう言い放った、だが、それが逆に墓穴を掘ってしまった。

 

「は?今?何と?」

 

白銀の双眼がギロリとこちらを睨み、周囲に出ていた魔導反応が一層強まる。

それだけで我々は何も喋ることが出来なくなった、彼女の覇気に一層気圧された。その時、まさに自分は死を覚悟した。

 

「では。お手出し無用に存じます」

 

「…」

 

彼女がそこから居なくなってから数十分、何も我々は動く事どころか、声を発することすらままならなかった。

ゲラーデン大佐も何処かに行ってしまったし…とにかく

 

「(とにかく参謀本部にこの事を知らせねば!)」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

場所は変わって帝都ベルンの中央参謀本部。

 

「閣下、休憩中に失礼致しますが、西方方面軍から緊急で連絡とのこと」

 

「何だねレルゲン中佐」

 

「それが…かくかくしかじかでして…」

 

一連の報告を行うと、ルーデルドルフ閣下はふぅーと軽くため息をついて

 

「なるほどな、彼女がそんな事を…」

 

「中央参謀本部名義で停戦命令を出さなければ戦火は止まりません」

 

「ふむ、そろそろ手綱を握る時か」

 

ルーデルドルフ閣下が持っていた葉巻に火をつけるを見ると、何やら後の方でゼートゥーア閣下が思案している様子が見られる。

 

[side:ゼートゥーア]

 

「(ふむ…、出会った時から彼女…いや、姉弟ともども先が見えるような発言をしていた…我々が何かを見落としている?)」

 

思い出してみれば、この連絡が来る前にマンシュタインも西方の方に向かって行った。

 

…マンシュタインが何か口添えしたのか?いや、ここからカレーまでは一日半かかる、時間的に見てもまだ到着しているとは言い難いだろう

。…一体二人は何が目的なんだ?

 

 

「仕方あるまい、中央参謀本部の名義で停戦命令を発令しろ。ただし、副官(・・)から伝えてやれ」

 

「はっ」

 

 

To Be continued…。




お読みいただきありがとうございます。

さて、マンシュタインとデグ様の思考が一致しましたね。

そして弟をダシにしたダッセウ大佐、デグ様に恐怖を植え付けられる。

ではでは…、また次回…。

秋津洲皇国の魔導師エース

  • 居る
  • いらない
  • いっぱいいる
  • ドーモ、ソウギン=サン、ニンジャデス
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