幼女戦記 〜ターニャの家族を添えて〜   作:焼け野原主任

34 / 38
どうも、焼け野原主任です。

プロット練り終わったけど展開の問題で次回投稿遅くなりそう。

では、どうぞ…。


第三十二話、秋津洲皇国1

統一歴一九二六年七月十九日、秋津洲皇国

 

連絡艦隊の到着を祝う軍楽隊の喇叭がなり響く秋津洲皇国の横須賀軍港。

浮上した鯨…、もとい潜水艦隊の上で敬礼している私は帝国軍魔導大佐、ターニャ・フォン・デグレチャフだ。

そしてその隣にいるのが…。

 

弟のアーデルハイト・フォン・デグレチャフ帝国軍魔導中佐です。

 

「数が多いな…」

 

私は不意にそう呟く、周りを見れば儀仗隊に海軍、陸軍の将校がたくさんお見えになっている。そして、事前に調べた通り、なんだか女性将校の数が多い。

 

そう、私は秋津洲皇国に行くにあたり、弟と一緒にある程度下調べしておいた。

それにより秋津洲皇国は帝国と同じ割と新興国家であり、ブリカスの支援の元琳帝国…、もとい前世で言うとこの清帝国を占領し北部に満州国を建国。また満州北部におけるルーシー連邦との国境紛争であるノモンハン事件を経て装甲戦力の拡充に注力。

また、秋津洲皇国は実用レベルでの正規軍、予備軍の魔導師の数が世界各国の中で一番多い。というか全国民の内三人に一人は実用レベルになくとも魔導反応が出ると言う話だ。

あとこれは歴史の話だが…曰く、この世界の織田信長や豊臣秀吉、徳川家康などの歴史に名を残した著名な武将は宝珠がなくとも魔導を行使できるレベルの魔導士であったらしい。

そして、地政学的に考えると周囲を海に囲まれた地形をしており海軍力を強くする必要がある。その地形の通り秋津洲皇国は前世の記憶通り各種海軍軍縮条約の中、条約に抵触するギリギリの軍艦を作り、それも条約で制限されれば艦隊の練度を極限まで引き上げ、化け物集団に仕立て上げる程の職人気質(変態集団)である。

 

それどころか、だ、一般歩兵よりも魔導師の方が多いという利点を生かしてか、戦車に宝珠を埋め込み、戦車そのものを魔導戦力として扱うという。

ウチの弟と同じドクトリンか…。卵が先か、鶏が先か、どちらかは分からんがあのノルデンでやった空中戦艦を此処でまた見ることになるかもしれんな。

 

「ターニャ・フォン・デグレチャフ大佐、アーデルハイト・フォン・デグレチャフ中佐、また、第二〇三装甲混成旅団、ようこそ皇国へ」

 

流暢な帝国語で話しかけられ、にこやかな薄ら笑いで敬礼される。

 

「(皇国軍の軍服…)は、お世話になります」

 

「は、同じくお世話になります」

 

敬礼した将校に対し我々も敬礼で返す。

 

…こうしてみるとやはり日本人の薄ら笑いはなんとなく癪に触る。西洋人に転生してから痛感することになるとはな…。はぁ、やっと故郷に着いたかと思ったがそう簡単に楽は出来そうも無いな。

 

まぁいい、ここから私と弟の()()()後方勤務の始まりだ!

 

そこから我々は厚木に誂えられた帝国軍極東派遣団駐屯地に移動し、そこから帝国大使館に私ら二人と副官は向かった。

 

「大佐殿、例の命令書は読みましたか?」

 

バートリーが運転する車で移動中、隣に座ったヴィーシャがそう聞いてくる。

 

「ん?命令書だと?」

 

「はい、今こちらにあります」

 

「(何か読み落としていたか…?)少し貸せ、命令の類はかかっているか?」

 

「はい、秘密命令は掛かっておりますがここは車内ですので」

 

「読んでもいいと」

 

「そう言う事です」

 

ヴィーシャが渡したいやに軽い封筒を開け、その重量に少しいやな予感を感じながら開ける。

その封筒に入っていたのは一枚の紙であった。

 

『秋津洲皇国駐在武官の任命』

 

「(は…?)」

 

突然の通達に少し固まってしまった。

駐在武官だと?この私が?

一枚の紙を読み進めると末尾にはこう書かれていた。

 

『帝国軍統帥府』

 

たまげた、まさかの統帥府がこの辞令を出したとは。

………、いやいやいやいや!いくら何でも怖すぎるぞこれは!

一瞬冷静だったが流石にこの辞令が統帥府から来ているとは思ってもいない!そして統帥府と言ったら帝国軍の一番上の組織じゃないか!

少しばかり身震いするが変に緊張しない為にもあまり気にしない様にしようそうしよう。

 

さてと…だ、駐在武官ということは恐らく帝国に戻ることはほぼ無いだろう、次回の連絡艦隊がいつになるか分からない以上、交代の機会はあまり訪れないだろうし、最悪の場合…だ、二〇三旅団の解散もありうる。

 

あそこまで戦績を上げてるからその心配も少ないと思うが…、頭の隅に留め置いて損はないだろう。

 

「大佐殿、到着しました」

 

バートリーの運転の元大使館に到着し、我々はその秀麗な煉瓦造りの建造物の中へと入っていく。

受付を済まし案内される方へ行くと、駐秋津洲大使であるヴィルヘルム・ゾルフ殿が座っていた。

 

「やぁ双銀殿、全くもって()()でしたな、貴方も、貴方の部下も」

 

その言葉に少し嫌味が入っている様に聞こえるが彼の目は至って真面目で、本当に幸運を喜んでいる様に見えた。

 

()()…と言いますと?」

 

「何、これはこの前に来た我が国の技術士官が連合王国の艦隊を補足したそうでね。いやはや、予定より少し遅かったものですからもしや撃沈されたかとヒヤヒヤしておりました」

 

いやな話だ、あの潜水艦一隻あたりで輸送している戦車の数は五両、そして100名の兵員を輸送している。

潜水艦一隻建造費で日本円に直せば五〇億円…そしてティーガー一台の値段は八〇億以上…そしてその全てが少しのミスで海の藻屑…。おお怖い怖い。

そしてそれを操る熟練の兵士すらその水圧で無残に押し潰される。なんてことだ、まるでゴミのようじゃ無いか。

 

「海軍の武官もおられますからな、さて、彼が海軍駐在武官のギュンター・プリーン中佐だ」

 

ギュンター・プリーン…、なぜこうもよく聞いた名がたくさん出てくるかな?存在X。

 

「私がギュンター・プリーンだ、つい最近…と言っても七ヶ月前まで北洋にいた。よろしく頼む、双銀殿」

 

「は、よろしくお願いします」

 

そう言って彼は落ち着いた表情で敬礼を返す。やはり、変に薄ら笑いを浮かべない欧州人の方が圧倒的にマシだ、うん。

 

と、突然部屋に置かれた受話器がジリリリンと鳴った。

 

「どうした?…ああ…うん、……なるほど…は!?」

 

「ゾルフ殿?どうされました?」

 

「バルカンで戦争だそうだ、幸いにも帝国に影響はないそうだがイルドアが参戦の動きを見せている」

 

火薬庫が爆発したらしい、そしてイルドアが乱入か…。だが前世のバルカン戦争よりも開戦時期が遅くないか?

そして受話器をガチャンと置いた彼はため息をつきながらタバコを咥え、火を付けようとマッチを取り出すがプリーン中佐に止められる。

 

「やめたまえ、禁煙するつもりだったのだろう?」

 

「…明日からするさ」

 

「つい昨日もそう言ってなかったか?」

 

「女房かお前は!…ったく、仕方ない。吸わない中佐殿には分からんだろうなこの気持ちは」

 

そう言って少しばかり不服そうに咥えたタバコをシガーケースに戻す。

 

「ああそうだ、全く分からん。国会議事堂も、あまつさえこの大使館の内部ですら吸えない気持ちは分からんね」

 

「全く、()()殿()()が言い出さなければこんなこと…」

 

「はいはい愚痴んない、秋津洲にはこんな言葉があるそうだ、郷に入っては郷に従え。ここでそう決まっているのだったら我々は従うべきではないのかね?」

 

「(その通りだプリーン中佐)」

 

「(同感です)」

 

その言葉に我々もうんうんと頷く。

 

「(だが…殿()()…だと?)失礼…、殿下とは一体?」

 

「そうだよ、あの殿下の所為でタバコが吸えなくなったんだ!」

 

愚痴をこぼすゾルフ殿を無視し、プリーン中佐が話し始める。

 

「ああ、殿下…と言うのは…この国の国家元首である天皇陛下の御息女だ、名前は確か…」

 

 

 

「東久邇宮榛名だ、みなさん?」

 

突然かけられた聞き慣れのしない少々秋津洲訛りの入った帝国語にギョッとする。それと同時に、対面にいるゾルフ殿の顔が少し青くなるの感じる。

そして…だ、東久邇宮…宮中の人間の名前…。

まさかと思い声のした方向を向く、そこには一人の軍服を着た少女がいた。

 

「初めまして、白銀殿、銀狼殿。私、秋津洲皇国軍統合参謀本部魔導大佐、東久邇宮榛名と申します」

 

「…(……は?)」

 

…いやはや、全く今日はたくさん有名人に会うな。大使にUボートエースに今度は皇族かつ天皇陛下の御息女殿下か。夢か、うん、夢だろう、夢であってくれ頼む存在Xゥ!!。

 

__ところがどっこい、現実だ。

 

どこからか嫌な声が聞こえた気がした。本当に答えるとは思わなかったぞ。

 

[初めまして、皇女殿下]

 

[同じく、初めまして]

 

私ら二人は一応日本語で返す。なぜ?いやこの場合は日本語で話した方がいいと思ったからだ。

 

[あれ?日本語が喋れるんです?]

 

[まぁそれなりに学びましたので]

 

[side:榛名]

 

目の前にいる二人の姉弟、身長は私よりも少し小さいくらいかな?

そして、日本語とカマをかけたのにそれに何の疑問も無く話す上、ここまで理路整然とした立ち振舞い…、ただモノじゃないね。

 

そして日本語の喋り方にも慣れがある、その慣れは外国人である以上越えきれない壁であるのにも関わらずまるで昔から日本語で話していたかのような喋り口。

 

…なるほど。

 

[そうでしたか、では、「外交官殿、この方々を少し借りても?」

 

[問題ありません、皇女殿下]

 

[ありがとう、ではこれで]

 

姉弟とその姉弟の副官を連れ、大使館を後にする。

 

[失礼ながら皇女殿下、一体どこへ?]

 

["皇居"だ、早く行くぞ]

 

 

[side:ターニャ]

 

「は…?」

 

その言葉にまたもや頭がフリーズしてしまった。

…ン?え?本当にどう言うこと?

 

ついぞ訳が分からなくなってしまい、大使館の前に停められていた車に乗せられ、気がついた時には既に二条城の内部にいたということだけ言っておく。

 

「(お母様、お父様、天国で聞いているでしょうか。私は今、皇居にいます、自分でも何でこんなことになったかわかりません。どうしてでしょう?)」

 

To Be continued…。




お読みいただきありがとうございます。

さて、天皇陛下の御息女…、下手すると不敬罪くらいそうで怖いです。

では、また次回。

秋津洲皇国の魔導師エース

  • 居る
  • いらない
  • いっぱいいる
  • ドーモ、ソウギン=サン、ニンジャデス
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。