幼女戦記 〜ターニャの家族を添えて〜   作:焼け野原主任

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どうも、焼け野原主任でございます。

思えばこの話も三十三話目ですか、早いものです。

忠犬友の会さん。
誤字報告ありがとうございます。

では、どうぞ…


第三十三話、皇女と幼女

気が付いた時、私は羽毛布団の上に寝かされていた。

 

私の家にこんな布団は無い、よしんば、低反発のマットレスぐらいの物だ。

 

それだけじゃない、その周りでは荘厳たる神主が着るような着物を着た人が数多くいた、和装のメイド…要するに侍女だっていた。

 

新しく"榛名"の名前も与えられた。

 

興味の無い、全くもってつまらない歴史の話だって聞かされた。

 

だが、それを差っ引いても何不自由の無い生活を送れた、欲しいものはなんだって手に入れれた、それはそうだ、天皇陛下の最年長の娘なんだから。

 

だとしても、私の心は自由じゃなかった。本当に欲しいものは手に入らなかった。

 

私は前世があった、そう、ただのしがない軍事オタクで政治オタクの大学生だった自分の前世が。

確かに欲しい物は全て手に入れれたわけじゃない、そこまで自由があったわけではない、でも、人間として見られては、いた。

 

だけど、ここでは誰しもが「東久邇宮榛名」としてしか私を見てくれなかった。

 

そう、誰も人間としての自分を見てくれなかった。

 

前世では社会のルールに唾を吐き、シカゴ学派を貶し、気に入らないのは批判し続けた。

ただ、そう言う点では社会のマナーをある程度教えてくれたこの皇族による教育はその点では有り難かったし、まだ何か人間として見られている節があった。

 

だからだ、まだ何か自分に足りないことがあるんじゃ無いか、もしくは強みを活かすことができるんじゃ無いかと思い立った。

 

そう、自分は自分だ。

 

「次代の天皇だ」と褒め称えられても、「女性の天皇など」と貶されても。

 

それは「東久邇宮」でしかない。それは私のガワが被るモノでしかない。

 

榛名、私の新しい名前、そうだ、私は榛名だ。

 

「東久邇宮家最後の傑作」?なんだそれは?もはや名前ですらない。

 

たとえこの身朽ちても生き永らえ、培養液に浮かぶ脳が私の全てだとしても。巨大な電算機が私の思考回路だとしても。

 

私は私、それ以上、それ以下の何者でも無い。

 

 

 

キャハハ、面白いじゃないか。

 

ああ、まぁ性別が変わったのはいい。十年以上この体で生活したからもう慣れたモノだ。

ただ色々と貧相なのはどうにかならなかったのか

 

私は「ニンゲン」として扱われていない、そう気が付いたのはいつ頃だったか。

 

五歳の頃だったか?はたまた三歳ごろだったか?

 

それすら曖昧だ、周りの人々は勿論の事、私の父たる裕仁閣下…も、皇族と言う特異な家庭環境上仕方ないのかも知れないがそう言う眼差しでしか見てなかった…と思う。

 

それはそれとして、だ、二回目の人生、秋津洲語…要するに日本語は生まれた時からマスターしていた。

 

気味悪がる人もいた、もちろん父上だって驚いていた。その驚いた顔は今でも覚えている。

が、割と父の順応は早かったのも覚えている。

 

ついでとばかりに他国語にも挑戦してみた、前世では八年近い教育を受けても英語がほぼ喋れなかった、フランス語?ドイツ語?なんだそれは。

 

だが、この世界では英語やドイツ語…後ロシア語の勉強をした。お陰で少し日本語のクセは抜けないがドイツ語は喋れるようになったし、ロシア語は読み書きはもちろんまともに喋れるレベルになった。

 

……英語だけは如何しても習得できなかったが。

 

その他にも、皇女という立ち位置を利用していろんな学問に挑戦した。化学、科学は流石に時代の遅れが見られるが、何かと覚えれることも多かった。

 

その他、理想と現実の差を知るためにも士官学校に入った。

 

それだけじゃ無い、前世の学校生活をもう一度、やって見たかったのだ。たとえ欺瞞だとしても。

そこで、だ、私には魔導適正があるらしい、それもとびきりの。

 

なんかの出来の悪い転生モノの小説の中に入った気分だった、メアリー・スーにでもなってしまったか?ン?

 

そんな中、楽しい学校生活を堪能し、意気揚々と魔導師として任官したい…と言った。

 

 

結果、却下された。士官学校に入学するのも周りから反対意見はあったがそれは父の鶴の一声で収まったが、流石に任官、それも致死率の高い航空魔導師などになるたいなど言ったら、さしもの父からも制止が入った。

 

その時父は昭和天皇としてではなく、一人の父として止めたのだという。

 

それは嬉しかった、初めて私の父が天皇の後継者としてでは無く、娘として、人として見てくれていたのだから。

 

だが、それ以上に悔しかった、初めて人として扱われたのにも気が付か無いほどに、だ。

 

 

もちろん抗議しない訳が無い、だが、結局のところ私は天皇の後継者。天皇が危険に晒されてはならぬし、その至尊の座を継ぐ皇女だって危険に晒せられるわけが無いのだ。

 

…まぁ、結局のところコレは後に通ったのだが…。

 

__なんでだ?

 

原因は母様だよ、父を連行して軍部に殴り込んで後方勤務前提ながらも私の任官を認めさせたのだから。

 

__…母は強し…だな。

 

全くもって同意だ。アレ以降私の家庭では父より母様の方が位が高くなったものだ。

 

__うわぁ…。

 

まぁそれはそれとしてだ、紆余曲折ありながらも今こうやって皇国の軍部の椅子に座れている。

それはもちろん楽しい、まさかこの手で戦争を、戦いを動かせる事になるとは思ってもおらなんだからな。

 

◇◇◇◇

 

[でだ、改めて自己紹介をしよう。私は秋津洲皇国軍統合参謀本部魔導大佐、東久邇宮榛名だ、前世では普通に大学生、専攻は理化学で+物理を少々、趣味は軍事考証と歴史書読みだ、よろしく頼む]

 

[は、ターニャ・フォン・デグレチャフ帝国軍魔導大佐であります。前世はサラリーマン、今世は軍人だ。そしてこちらが…]

 

[アーデルハイト・フォン・デグレチャフ帝国軍魔導中佐であります。前世…というか一周目の世界でも軍人で、姉さんと一緒に戦ってました]

 

そう言って三人は硬く握手を交わした。

 

これが、時代を荒らすもう一つの台風の卵が誕生した瞬間であった。

 

 

 

[全く、最初っから鎌かけられてたとは思わなかったぞ]

 

[何、弟の方は兎も角、君は流石に日本語が流暢すぎるのでね。鎌掛けさせて貰った]

 

[…なるほどな、因みに前世の性別は?]

 

[男だ]

 

[なるほど…そりゃあ苦労したろう]

 

[いや、慣れればそんなでもないぞ、自分が女だったらどうするか考えながら行動すればいい]

 

[器用な事だ]

 

[君こそ、弟がいて大丈夫だったかい?異性同士一つ屋根の下、何も起きない筈もなく…]

 

皇女がとんでも無いことを言い出した。

 

[やめろ、本当にやめろ]

 

[流石に冗談キツイですよ…?]

 

◇◇◇

 

そして、諸々の書類処理を終え、色々な演習の見聞を行うこと数日。

 

私らは皇女に呼ばれていた。

 

[秋津洲の海兵魔導師の教導?]

 

[ああ、そうだ]

 

[ですが…我々は武官ですよ?]

 

[だが軍事顧問でもあろう、普通の部隊じゃ演習にならないからな]

 

ああ、なるほど、そういうことか。

 

そういえばいつだか山口閣下も言ってましたね、これでやっとまともな演習相手が来そうだ…って。

 

「(…だとしてもだ、確かに旅団単位で配属するという理由には流石に少々違和感がある。一体何があるのやら…)」

 

中国大陸を新たに侵攻する…?だとしてもそれならここの既存戦力だけで十分だろうに…。

 

「なぁ…ドイツ語で話してもいいか?」

 

「ああ、かまわんよ、どうせこの家ではドイツ語…帝国語を理解できる人間はそこまでいないからな…でもなんでだ?」

 

「作者がいちいち括弧を変換するのめんどくさいらしい」

 

「…メタくないか?」

 

「いいだろう、作者がめんどいというのだから」

 

「まぁそれはそうだ、では、頼んだぞ」

 

「ああ、行ってこよう」

 

「はい、行ってきます」

 

何、これでも私は帝国屈指のエースだ。軽く捻り…

 

◇◇◇

 

…潰された

 

私の顔には無数のペイント弾が付き、もう標準装備となった重装甲突撃服の装甲板には演習魔導弾の焦げがついている。

それどころか私の旅団の魔導戦隊の面々もボロボロである。

 

[いやはや、どうでしたかな大佐殿?]

 

相手方の海兵魔導師に自信満々に話しかけられる。ああ腹立たしい。

 

[…完敗です、ここまでとは思いませんでした]

 

[と言っても…です、艦の対空防御能力は少し改善の見込みがあると思います]

 

[ほうほう…、少し教えていただいても?]

 

[まず一つ、貴軍の海軍は軍艦に対艦戦闘を任せ、各種敵航空機や魔導師を艦隊直掩の魔導師で防御する傾向にあります。ですが、敵の数が直掩魔導師の対処限界を超えて仕舞えば後は艦の個々の対空能力に依存せざるを得ません、その時、艦の対空防御能力に不足があれば、直ぐに沈められてしまうでしょう]

 

そのお陰かいくつかの中隊が艦内に突入する事ができた。

このドクトリンを体現したのだろう、秋津洲では航空魔導戦艦というものが実用化されているらしい。

 

[ほうほうなるほど…、だが、そこまでの航空戦力を投入できる物量を持った国は少ないのではないか?]

 

そうだ、確かにそうだ、だが北側(ソ連)太平洋を超えた先(合州国)がその物量を持っている。

 

[はい、いいえ、ここからそう遠く無い先、この戦争が大戦である限り。その物量の脅威は続くでしょう]

 

そうだ、戦闘継続能力の撃滅…兵士を目標にするのも大事だ、だが、それ以上に戦い続けるには資源を有する。

いくら高性能な航空機、戦車があったところで燃料がなければ動かないし、それを動かす人員だって食料が届かなければ飢餓地獄の始まりだ。

そうなった先はどうなるか…物資不足による行動力の低下、低下した行動力により重要拠点や補給網が奪わる。そしてまた物資が不足する…。という負のスパイラルの始まりである。

 

結局のところ史実日本軍は零戦の旧式化に伴う相対的な性能不足と後継機の投入が遅れた事によって祖国を燃やすB-29を完全に叩き落とせなかったのが問題でしたけどね…。

 

まぁそれもそうだな、だが戦略的に見ればそれは些細な問題でしかなくなる。前も言ったが結局のところ近代戦は国力の差が物を言う。前世アメリカやソ連が日本やドイツ相手に物量で無双してたように。

 

単純な話、日本だって零戦大量生産してれば良かったという話でもある。

 

と言ってもだ、今世の秋津洲皇国は打って変わって先ほどの二国にほどでは無いが割と物量がある。

それはなぜか、今世では満州に工業地帯を設置し、大陸に眠る豊富な鉱産資源を掘りまくっているからだ。それだけじゃ無い、東南アジアにも手を出し石油資源もガッポガッポ獲っている。

 

少なくとも、燃料不足に苦しむのはまだ気にしなくてよさそうだ。

 

と、思考しているとふとすぐそこに女性士官の顔が見えた。

割れた腹筋を出した服に短いスカート、長身の黒髪ロングで頭には触覚のような物が付いたカチューシャ?をしている。

 

「(なんだあれは…、まだ春だと言うのにそんな格好では風邪をひくぞ?)」

 

[おや、軍艦魔導師に興味がおありで?]

 

[(え?)…魔導師なのですか?あれが]

 

[ええ、軍艦に魔導能力を持たせることで総合的な性能にバフをかけ、戦闘能力の向上を図るのです]

 

[なかなかに大仰な代物ですね]

 

[まぁ、結論として軍艦魔導師になれるレベルの才能を持った者が少ないので数は少ないですがね]

 

[成程]

 

少しばかりの会談を終え、艦内戦闘で山口閣下に艦橋からぶん投げられたノイマン中尉や示現流で剣ごと叩き折られたケーニッヒ中尉やらを起こし、厚木の駐屯地にある自分の部屋へと戻ったら…。

 

「やぁ、双銀」

 

満面の笑みをした皇女殿下がいた。

 

To Be continued…。




お読みいただきありがとうございます。

キリ悪いけど許して…、なんでもするから…。(なんでもするとは言っていない)

では、また次回…

秋津洲皇国の魔導師エース

  • 居る
  • いらない
  • いっぱいいる
  • ドーモ、ソウギン=サン、ニンジャデス
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