幼女戦記 〜ターニャの家族を添えて〜   作:焼け野原主任

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どもども、焼け野原主任です。

投稿遅れて申しわけない…。

ではどうぞ


第三十四話、皇女殿下の策略

「やぁ、双銀」

 

少しの笑顔を浮かべ、我々の部屋の椅子に座っているのは榛名。かの皇女殿下であり、確認している転生者2人目である。

 

「何の用だ?榛名」

 

「ああ、そんなに身構えなくてもいい。さて、これをどう見るかな?」

 

そう言って彼女…いや前世男だから彼か?は一つの地図を広げ、軍服のポケットから将棋のコマを取り出す。

 

その地図に書かれているのは北方領域…、つまりソ連の方、そして将棋の駒には軍艦とか歩兵(歩兵師団)とか戦車(戦車師団)とかが黒文字と赤文字で書かれていて、赤文字で書かれた駒をルーシーの方に、黒文字で書かれたコマを満州と日本本土に並べ始める。

 

「なぁまさか、ルーシーに対して侵攻するつもりじゃ無いよな?」

 

「そのまさかだ、まぁ正確には逆侵攻だが…」

 

彼がそういうと将棋の駒もどきを動かし、輸送と書かれた駒の上に歩兵と装甲のコマを一つずつ乗せ、横須賀と舞鶴からそれぞれ艦隊を動かし、舞鶴は樺太へ、横須賀から出立した部隊はカムチャッカ半島へと向かう。

 

「そして、だ。それと同時に大陸軍を進める、大陸方面のルーシーの要塞線を上陸部隊により後方から攻撃し、それと同時に大陸軍を動員し要塞戦へ侵攻させ大陸軍と上陸部隊で挟撃する」

 

そういって樺太に置いたコマを動かし要塞と赤文字で書かれたコマを満州に置かれたコマと樺太から移動したコマで挟む。

 

「そこから先は至って単純、カムチャッカから上陸した部隊はそのまま西進しルーシー連邦の予備兵力の拘束を行う。そして、要塞線を占領した大陸軍と上陸部隊も西進し今度は首都モスコーを目指す。その為に今現在準備中だ」

 

「…まさか、帝国と共同でこれを?」

 

「ああ、そうだ。ルーシーの首都は欧州に寄っている、なら戦争を仕掛けやすいのは欧州各国だろうと私は踏んだ。一応こちらにも多少の戦力は配置している様だが欧州方面に比べるべくも無いレベルの戦力だ。一説によると帝政時代の部隊をそのまま配置しているとさえ言われている」

 

「と、話を戻してだ、これで一つ問題があることに気が付かないか?」

 

「…補給か?」

 

「その通り、おそらく樺太上陸からの要塞線攻略まではまだ上手く行くだろう。だがここからあの広大な土地を横断するのだからそれに伴い補給線も伸びに伸びて伸び切ってチンタラ補給を待ってる内に冬が来てしまう、そうなればドイツの二の舞だ。そう、何か長大かつ頑強な補給路…つまり鉄道がない限りな?」

 

「…シベリア鉄道か!」

 

「その通り、この世界でもシベリア鉄道は開通している。恐らくシベリアで取れる資源の運送だったり極東方面軍の補給だろうが…、これを有効活用しなければ損だろう?」

 

そこまで皇女が言い終わると、私の隣にいる弟が少し考える顔をし、口を開く。

 

「だとすれば…逆にルーシーがこちらに攻撃をかける可能性もあるのでは?」

 

「確かに、それもそうだ、だからこそ大陸北方方面軍に重厚な防御陣地を作らせ、もし侵攻してきたらそこで食い止めて帝国に攻勢をかけてもらう手筈だ」

 

「皇国の情報部が入手した情報によるとルーシー連邦の総戦力は二〇〇師団、帝国の情報によると一八〇師団らしいが多少多く見積もって良いだろう、何せ相手は兵士が畑から取れる国だからな、ちなみに投入する戦力は皇国が一五〇師団、帝国が一二〇師団、満洲国軍から四個師団、イルドアから三〇師団が出される」

 

「…いささか過剰戦力じゃないか?」

 

「何、連邦を相手にするにはこれぐらい無いと足りないだろう。連邦の特徴はその回復力にある、なら回復される前にすり減らして仕舞えばいいだろう」

 

完全に思考が脳筋のそれだがいくら高度な戦術を採ったからって圧倒的な物量があっては意味がない、なら連合軍として畳み掛けてしまおうと言うのだろう。確かにそれは常道だ。

 

皇女がそう言い切るとさっさとコマと地図を片付け、この場を去ろうとするが、途中何かに気がついた様にこちらに向き直ると。

 

「そうだ、大陸の地面は硬いからな、帝国の重戦車も問題なく運用できるぞ」

 

…成程、そう言うことか皇女様。

 

「……、大戦が終わるまで、楽できそうも無いな」

 

 

 

 

◇◇◇

 

統一歴一九二六年七月二十五日

 

秋津洲皇国皇都東京

 

秋津洲皇国統合参謀本部

 

ジリジリと日差しが照りつけるクソ暑い夏の中、海軍参謀総長の山本五十六。そして陸軍参謀総長の河合操など、後世にて名を残す錚々たる面々が初夏の暑さの中にいた。

 

そしてその上段…いわゆる上座には大元帥である昭和天皇…ではなく、東久邇宮榛名、皇女殿下が鎮座していた。

 

「…では、定刻になりましたので、始めさせていただきます」

 

「本日の議題は、緊張の一途を辿る対流情勢および、旧琳帝国領土に乱立している軍閥の統一であります」

 

議長が冷や汗をかきながら告げる。

その言葉の節々に緊張感が伝わり、少し震えている様にも感じる。

 

「では、大陸軍総監石原莞爾中将から現状の軍閥への対応及び北方方面の情勢の解説を」

 

「は、現状、大陸に乱立している軍閥に対し、満州及び皇国に対し()()()()明確な組織的攻撃はありませんが以前として頻繁に各軍閥からの越境者、つまり亡命者が多発し、追跡してきた軍閥の戦力と満州国軍の国境警備隊と極小規模な武力衝突が頻発しております」

 

少し息継ぎを挟み。

 

「また、北方方面においてはいまだに宣戦布告はしておりませんが我が軍と流軍の睨み合いが依然続いております。また、流軍大型機による定期的な領空侵犯も相次いでおり、北方方面の航空隊の出撃時に早々と退避するものの以前としてハラスメントを受けている状況にあります」

 

「石原中将ご苦労、次、海軍より山本五十六長官」

 

「は、先の三元軍閥が擁する艦隊の衝突により、こちらは駆逐艦吹雪が小破、深雪が小破するなど損害を被ったもののこれを撃退しました」

 

「ご苦労、両名とも座って構わん」

 

「は」

 

かたりと音をたてて両名が座る。

ふぅ、と少しため息を吐いて海軍大臣が話し始め…

 

「…やはり、ルーシーとの問題もあるが目下の問題は琳帝国に乱立した軍閥でしょう。殿下「大佐だ」…大佐の助言の通り琳帝国は満州部分を除きほぼそのまま残しましたが…、こうやって軍閥に分裂しこちらに牙を剥かれては意味がないのでは…?」

 

そう言って海軍大臣は怪訝な顔を皇女に向けるが、皇女にとってこれは計画通りである。

琳帝国…要するに清帝国の滅亡による軍閥の乱立、そしてその軍閥が皇国に攻撃する…一見すると皇国にとって全く利点がない様に思えるが軍閥というのはそれぞれ各々の主張、主義が戦力を持って独立した大規模な思想勢力である。そして、琳帝国には親秋の人間も少なくなく、皇女はそれを利用することにした。

(現実では、これは毛沢東政府と蒋介石政府による二大勢力の発生だったがこの世界ではその2人は事故死(暗殺)し、まとめ上げる人材がいなくなった為にそもそも協力の陰すらなくなっている)

現状過激な反秋軍閥の内、有力な戦力を持っている軍閥はこちらに攻撃を行ってくる、それも宣戦布告もなくテロ行為のように行ってくる為にタチが悪いが、陸上を頑丈に固め、攻撃ルートを海路に限定し、数少ない海軍戦力を損耗させる。

今の所だと海軍出の三元軍閥や両平義勇団が旧琳帝国の海上戦力を保有し、定期的に皇国に対し行動を起こしているがいつもいつも主力艦隊に追い返され、最近だと旧型の防護巡洋艦が一隻放棄する事態になったが、皇国が軍閥との喪失した軍艦はそれぐらいである。

 

話を戻して、そうして無駄に海上戦力を擦り減らせ、いつしか軍艦を出すことを渋る様になってからが本番。

 

そうなった後、親秋の軍閥にこそこそと戦力や技術を送り、近辺の反秋軍閥に宣戦布告してもらう。

また、それと同時に満洲国軍の主戦力を国境付近に展開、また沿岸部にも皇国海軍を展開し各軍閥による破れかぶれの本土上陸、満州攻撃を未然に食い止める。そうして親秋軍閥によって大陸に親秋国家を樹立させ、勢力下にある東南アジアと共に大東亜共栄圏を構築する。

そうすれば、体面上、戦国時代になっている大陸を制した軍閥が秋津洲皇国と国交を樹立したとしか見えず、多少疑いの目はかかるだろうが国際社会からの責任追及を免れる事が出来る。

つまりだ、前世日本が成せなかった中国統一を一回極限までバラバラにする事でリセットし、再度親秋に組み直す事で統一を図るのである。

 

「…まぁそれもそうだ、だがもう二週間ほど待ちたまえ。面白い物が見れるぞ」

 

「…左様でありますか、大佐殿」

 

「これを言い出してもう一週間か、割と引き延ばしてしまったな。すまない」

 

私はそう言って席を立って頭を下げるが周囲の高官は慌てふためいて。

 

「い!いえ殿下!どうか御頭をお上げください!」

 

と言ってきた。

「(計画通り…)」と、私は心の中でほくそ笑んだ。

これすら策略である、ある程度の謝罪をし舐められて反乱をわざと起こすのだ、その時、統帥権の発令により反乱分子を即刻始末する。何も起きなければそれで万々歳だが、現実では五・一五事件も二・二六事件もあった、多少危険を冒してでも軍部による統治は防がねばならない。

 

「そうだな…、そういえば、ルーシーの調査はどうか?情報部長」

 

「は、情報部が入手した情報によりますとここ二ヶ月、シベリアにおける列車の停車頻度が増えているとのことです。流軍内に潜入させた調査員(エージェント)の話では武器弾薬の数が多く、また国境付近に列車砲が多く設置され、兵士が忙しく駆け回っていることが確認されています」

 

「ふむ…、ではこれをどう見るかね諸君」

 

無言になるがそこの誰もが感じているだろう。

 

 

「(これは明かな開戦準備だ)」…と

 

 

クスクスと皇女が嗤うと、嗤いを含みながら話し始める。

 

「ま、諸君が感じる通り開戦の準備だろう。または、帝国侵攻の際、後背からの攻撃を防ぐためか…、どちらにしろ、一気にきな臭さが増したということだ」

 

「…情報部長、連邦の侵攻予想時期はいかほどになるか?」

 

「スパイからの情報によれば早くても十月中中旬、情報部の堀分析官による分析では十二月の初頭、または陸海軍合同の分析では十一月の何処か、と言う話です」

 

「…随分とバラけているな?」

 

「はい、ですがどれも秋〜冬の間と一貫して結論付けているので、今はまだそこまで身構える必要もないかとは思われます」

 

「まぁまぁ、備えあれば憂いなしと言う、私の予測する限り防衛戦だ、()()()()を配置したまえ」

 

皇女のその言葉に幾つかの陸軍将校と開発課将校が反応する。

 

「…()()…でありますか…」

 

「ああそうだ、アレだ。まだ数両しか無いが試作車も改造して武装させて配置しろ」

 

「…わかりました、手配いたします」

 

「まぁそう言うことだ。中原を制する為策謀を巡らせ、軍を動かし、最大限に国際法の抜け穴を通ろうではないか」

 

そう言って彼女は心の中でケタケタと嘲嗤った。

 

To Be continued…。




お読みいただきありがとうございます。

さて、今回は秋津洲皇国の対中国戦を作者が成功可能性を見て考えたらこうなりました。

次回はアーデルハイト主役です、ではお楽しみに…。

秋津洲皇国の魔導師エース

  • 居る
  • いらない
  • いっぱいいる
  • ドーモ、ソウギン=サン、ニンジャデス
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