幼女戦記 〜ターニャの家族を添えて〜   作:焼け野原主任

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どうも、1ヶ月ぶりです焼け野原主任です。
いやね、自分もいろいろありまして、某惑星やってたら執筆を忘れておりました()
さてさて、今日は少し長いです、ではどうぞ


第4話、ノルデンの死神

「中隊長殿、小隊長として意見具申致しますが此れでは」

 

「少尉、子供を預けて戦争しろと無茶を言っているのはわかる、まぁ貴官に言うのもなんではあるのだが」

 

「言ってしまえばこれでは自分一人で動いた方が戦力として動きうると判断せざるを得ません」

 

帝国の航空魔導士は四人で小隊、十二人で中隊を形成する精鋭主義の極み、先天的に魔導士としての才能があるだけの素人は只の邪魔にしかならない。

あと何よりも姉さんの為にもここでそう簡単に死ぬわけにいかないのだ。

 

「(なんと言う責任感…、)連中自体は正直多少の損害があろうが無視してかまわん、何よりも最優先で敵中を突破せよ」

 

「状況によって突破の断念は許されるのですか?」

 

「残念なことに許されていない、どうやら上は勝利かヴァルハラを選ばせてくれる様だ」

 

「(これで死ぬわけにはいきませんけどね…、姉さん、今頃ラインで活躍しているんだろうな…)フフッ、どちらも大変魅力的です」

 

「(笑った!?なるほど、死ぬ気は毛頭ないと)大変結構、では早速中隊の面々を貴様に紹介しよう」

 

さぁさぁ命が幾つあっても足りないであろう敵陣地への敵中突破、四方八方から敵弾が飛んできてすぐ横の味方が吹っ飛ぶぞ!

わざわざノルデンまでご足労あったのに申し訳ないが状況によっては盾にせざるを得なくなるかもなハッハァ!!

 

____________

 

〈貴様らの小隊長が到着されたので紹介まで待て。と言われて約30分、自分、イルセナ・シュヴィルム・バートリーはめちゃくちゃ緊張しています、自分は他の二名と同じ志願組なのですが、諸々の事情により他の二名より早く卒業したので教育課程が十分でないのです!〉

 

 

〈なので、小隊長殿から教育課程も十分でないろくでなしと怒られてしまうかも…〉

 

 

だけど、自分のそんな良くない期待はある意味で裏切られた。

自分の目の前にいる小隊長、自分はてっきり歴戦の少尉が来ると思っていたのですが、こんなにちっちゃい少年の小隊長、いやショ隊長が来ると思っていなかったのですから。

え?なに?上手い事言うなって?まぁいいじゃないですかそんな事。

 

「ヴェルヘルム・シュタッゲン伍長!イーダル=シュタイン幼年C大隊第一中隊より参りました!」

 

「ヨーゼフ・ヴァン=ホーテン伍長!同じくイーダル=シュタイン幼年C大隊第一中隊より参りました!」

 

自分の番…、ろくでなしと言われてもいい。挨拶ぐらいちゃんとしないと!

 

「イルセナ・シュヴィルム・バートリー伍長!イーダル・シュタイン幼年C大隊第四中隊より参りました!」

 

「よろしい、諸君、私が小隊長のアーデルハイト・デグレチャフだ。小さいからと言って舐めれらるのも今の内と思っておけ」

 

「さてさて諸君、今、帝国に無能な士官候補生を養成している暇はない。貴様らが帝国人事部に詰め寄り、その軍衣を纏ったならばそれ相応の貢献を見せろ」

 

「それが出来ぬ無能であるならば、死ね」

 

アーデルハイトがそう言い終わったのち、その場がしんと静まる。

 

「中隊長殿、以上であります」

 

「よろしい、陣地に待機している間は貴官に一任する」

 

「はっ」

 

少尉がこちらにクルリと向き直り

 

「さて、小隊速やかな装具点検の後野戦装備にて集合。ちょっとそこいらを散歩でもして親睦を深めよう」

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

場所は変わってノルデン戦線攻撃陣地。

砲弾の雨が降り注ぎ現場指揮官の怒声が響きわたっている。

 

[side:バートリー]

 

散歩!?これが!?

 

「走れ走れ!次はこちらに落ちるぞ!いくら壕の中にいても至近弾を食らえば爆圧で即死だ!」

 

「うわっ!」

 

自分は何かで滑って転けてしまった。何で滑ってしまったのか見てみたが、見なければ良かった。

それはまだ死んだばかりの味方の死体から出た血であった。

私はそれを見て恥ずかしくも漏らしてしまった。みっともなく騒いでしまい、少尉に咎められてしまった。

 

「伍長、これが戦場だ、有意義な待機任務になっただろう?」

 

これが…、これが戦場。名誉も何も無い。志願も、徴兵も、上官も何もかもが泥に塗れ塵芥となって骸を晒す。

私たちはゴミ以下だ、必死に泥の中踠いてたった一つの生を掴む。

 

わけもわからないまま銃を振り回し人を手にかけた。

未だにその感触はこの手に残っている、ズブリと、人の腹に銃剣が刺さる感覚。いやに柔らかくて、こうも酷く簡単に人は死ぬのかと思ってしまった。

 

そして、自分らの小隊長はこれが「定期便」で、おはようの挨拶の様なモノと教えられた時、何かを察してしまった。

ただ、幼年学校の同窓のおはようとは全く違うことはわかった。

 

「生き残りましたか伍長。上出来です」

 

そして、日常だったら可愛いと思える少尉の笑顔と、少尉の素と思われる丁寧な言葉遣い。

そのどれもが私を嘲り、弄ぶ死神の笑顔や揶揄いのように見えた。見えてしまった。

 

「酷いモノですね、戦争とは、だけど、戦争が悲惨なことは良い事です、戦争なんて意味の無い物を好む連中が減るのですから」

 

「バートリー伍長、次から貴方は僕とのツーマンセルです。頑張りましょう」

 

「り、了解です!」

 

それからしばらく、私たちは作戦までいろいろと実戦を経てきた。

同輩二人は戦闘中、負傷により後送され、その後復帰してきた。

 

そして作戦決行の当日、我々は塹壕にて待機していた。

 

 

「諸君、我々第一〇五重攻撃魔導中隊は敵防御陣地の突破の為の先鋒として、敵の矢面に立つ」

 

「一番槍の栄誉は我らにあり、と言ったところか。だが貴様ら、絶対に生き残れ、死ぬことは許さん!」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

中隊長の檄で中隊の士気は十分だけど、やっぱり…

 

「やっぱり怖いですか?」

 

「は…、はい」

 

少尉との初出撃以降、少尉は私に対して素で話すようになっていた。なぜかはわからない、だけど、それが私にとってはある意味死神に直接見られているような気がしてならない。

 

「ま、それよりもモタモタしている暇はありませんよ伍長、私の僚機なんですからしっかりしてください」

 

「り、了解!」

 

私たちが飛び立った後、さっきまでそこにいた砲撃陣地が吹き飛ばされた。

 

「あ!あの陣地は…!」

 

「彼らは…、不幸だったとしか言いようがありませんね」

 

デグレチャフ少尉やハインリッヒ中尉に習うほどいかに定点防御が火砲に対して無意味かがわかった。

火砲を制すは戦場を制すと言わんばかりに。

 

「遅かったな、少尉」

 

「はっ、申し訳ありません中隊長殿」

 

「いっいえ…私が遅れたんです」

 

「当分は実地研修のようだな伍長」

 

周りからわっはっはと笑いが起きる。

 

「さて、もうすぐ目標の防御陣地だ!総員、パンツァーカイルを作れ!」

 

「「「「「「ヤヴォール!」」」」」」

 

多分、少尉も不安だろうと思い、少尉の方を見てみた、だけど、少尉は笑顔で、まるで死神が微笑むように。

はっ、いけないいけない、自分も緊張していた。リラックスリラックス。

 

[side:アーデルハイト]

 

さてさて、準備砲撃により対空砲が潰された動きの鈍い防御陣地にそのまま突撃を仕掛ける!撃墜される心配も低いし何より栄誉をもらえる!

これでさっさと後方勤務に移りたいものです!

 

「大仕事の時間ですな、いつもこれくらいのものが来てほしいのですが」

 

「少尉、好き嫌いをすると背が伸びないぞ?」

 

「中隊長殿、自分は被弾面積が小さいことを喜ぼうと思ったのですが」

 

中隊からどっと笑いが起きる、ハインリッヒもひとしきり笑った後

 

「はっはっは…降参だ少尉、私は未だ嘗てこんなに説得力のある言い訳を聞いたことがない」

 

「よろしい、ならば好き嫌いの激しい少尉に独占されないよう各自奮起せよ!」

 

「総員!最大速度!突撃ィ!!」

 

「そういえば少尉殿」

 

「どうしました?バートリー伍長?」

 

「少尉ってなんで私に対して素?で話すようになったんですか?」

 

「そうですね…、生き残ったら教えてあげます」

 

「そうですか、では、生き残らなきゃですね!」

 

 

[side:レガドニア]

 

「帝国軍航空魔導士中隊規模!来ます!」

 

「対空砲は!?」

 

「先ほどの砲撃で多数が損壊しています!」

 

「くっ…、総員!対空砲火!使える物ならなんでもでもかまわん!叩き落とせ!」

 

 

[side:アーデルハイト]

 

「各種指揮官と観測員を狙え!機関銃は潰せ!対戦車砲は破壊しろ!」

 

「了解!」

 

戦友により吹き飛ばされるレガドニアの対戦車砲、機関銃。トーチカ。

バートリーもその戦友の中にいる

 

やれやれ、顔を青くして嘔吐していた頃が懐かしい、いやはや、鍛えてみるものですね。

人間の可能性とは馬鹿になりません、あるロボットゲームの人間の可能性を追い求めた某主任の言ってることは正しかったんですね。

 

そういえば、前世でも前大戦の戦訓にならわず塹壕に篭って戦おうとした為に最新鋭の装甲師団によりしてやられた国がありましたね。

 

そして我々が防御陣地を突破した直後に通信が来た。

 

「友軍より通信!0300後に装甲連隊が到着するとのこと!」

 

「よし、諸君!これより我々は突破口から敵後方へ包囲にかかるぞ!我に続け!」

 

「「「「ヤヴォール!」」」」

 

それから暫くして逃げる敵もドンドン叩き落とした少尉殿。

私も撃つべきだったんだろうなぁ…と思ってみたり。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

場所は変わってノルデン方面前線指揮所。

運よくこの隊の損害は装備以外はなく、消耗も少なかった。

 

「はぁぁあぁ〜〜〜」

 

うげぇ…、酷い汗と垢の臭い…、皆同じだけど年頃の乙女としては気にしちゃうけどシャワーなんて無いしこの隊にいる女性は私だけだし上官さんは

 

「少し寝ます、おやすみなさい」

 

こんなだし…。

でもベッドがあるだけ感謝しないとだけど…、同室の人は異性だけど寝てるし、下着だけでも変えようかな…。

 

『中隊集合!緊急呼集!』

 

隣の少尉がムクリと起き上がり

 

「急ぎましょう伍長」

 

「ハヒィィイ!?」

 

見られてないよね大丈夫だよね!?

 

「総員、集まったな。さて諸君、良く無い知らせだ」

 

集合場所に集まり、中隊長が指令の内容を話す。

中隊に1月ほどいるとわかってくる事がある、上官が淡々とした仕草の時はまずい時の前触れだと言うこと。

 

「先の戦闘で突破し、味方が占領した防御陣地が敵航空魔導士により攻撃を受けている」

 

 




読んでいただきありがとうございます。
さてさて、次からノルデンの死神エピソードの始まりです。

幕間ネタ

  • ターニャとアーデルハイトのイチャラブ
  • アーデルハイトとバートリー少尉
  • 総統閣下シリーズ
  • 連隊各中隊長ズの何か
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