幼女戦記 〜ターニャの家族を添えて〜   作:焼け野原主任

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どうもどうも、焼け野原主任でございます。

さてさて、今回は戦闘が多めです。
そして、アーデルハイトの異名がわかります…。


第5話、ノルデンの死神2

「おそらく、占領された陣地を奪還するために攻撃を続けているものと思われる」

 

「また、周辺にいる観測魔導士も攻撃を受けているためこれを救援するのが今回の任務だ」

 

「ああ、そう言えば少尉は以前ここでも姉と共に観測魔導士の任に付いていたな」

 

「…そうですね、もう2度と御免ですが」

 

少尉ですら深傷を負わされたと聞く…助けなきゃ…。

 

「銀翼をぶら下げる貴官なら可能かね?」

 

「小官なら兎も角…」

 

少し間を置き、アーデルハイトはこちらを一瞥し

 

「私のペアであるバートリー伍長は限界と存じます、救援に赴いたのにもかかわらず、部下と救援対象を死なせる無能になる気はありません」

 

「…バートリー伍長とのツーマンセルを崩せ」

 

ツーマンセルを崩せ。この言葉は、自分にとって、認めがたかった。

その理由はわからない、少尉に見捨てられたくなかったからか、それとも観測魔導士の同輩の顔が浮かんだからか。

 

「…っ中隊長殿!意見具申許可願います!!」

 

「志願いたします!小官も…、救援任務に志願いたします!」

 

「伍長!」

 

ズバァと音を立て、少尉と、伍長の魔力がぶつかり合う。

 

「小官とて帝国軍人です!僭越ながら小官はこの任に…完全に耐えうると!確信いたします!」

 

中隊長が後ろからヘルメットを横向き視界を防ぐように被せ

 

「だそうだが?少尉」

 

「ハインリッヒ中隊長殿!?」

 

「ガンツの小隊をつけてやる、行動を開始しろ」

 

「ですが…」

 

「貴官のバートリー伍長を思う気持ちはわからんでもない、だがな、本人が覚悟を決めているのだ、それ以上は過保護というのもだぞ」

 

初めて、というか改めて少尉が年相応の子供に見える、私のことであんなに動揺するなんて、存外、私は大切にされているのかも知れない。

 

「…ふぅ、了解しました、最善を尽くします」

 

「危機があれば陣地救援任務から駆けつける、魔導士の本懐だ、武運を」

 

「中隊長殿もご武運を!」

 

 

「さて伍長、あそこまで言ったのです。覚悟はできているのですか?」

 

「はい少尉!覚悟はできてます!」

 

「そしてガンツ曹長、貴官の部隊にも働いて貰おうか」

 

「任せてくださいな、伊達に古参やってませんよ!」

 

「さて諸君、仕事の時間だ!」

 

 

「我々は味方魔導士救援に当たる、各員装具点検、特に魔導宝珠の点検怠るな!」

 

「「「了解!」」」

 

「おや伍長、その宝珠九三式じゃないか?」

 

「そうですが…、何かあったのですか?」

 

「いやぁその宝珠は整備が面倒だぞ、その所為で九三式魔道宝珠改っていう整備しやすい代物ができたくらいだからな」

 

「まぁその整備どころかほぼワンオフ宝珠なのが…、今アーデルハイト少尉が使っているエレニウム九五式演算宝珠とかいう奇跡の産物、どんなの物か見て見たくもあるな」

 

「すまんな、ガンツは演算宝珠オタクでさっきの九三式改を自分で改造して演算能力上げたりして使っているアホだから」

 

「貴様ら、そろそろ出撃するぞ」

 

「「「ヤヴォール!」」」

 

 

 

[side:レガドニア]

 

 

「帝国の観測魔導士を撃破せよ!防御陣地が突破された今、地上軍の撤退を援護するのが我々の役目だ!」

 

「帝国砲陣地より発砲確認!」

 

「警報ならせ!」

 

 

ズズズズゥゥン

 

「砲撃精度!落ちません!」

 

「現状、光学術式のみでは限界が!爆裂術式使用許可を!」

 

「新たな高魔力反応!帝国の増援と思われる!観測狩りを中断し迎撃用意!」

 

 

「反応…たったの四つです…」

 

「油断するな、帝国魔導士は列強の中でも精鋭揃い、ここでここで引いては味方が危機に晒される。引くことはできん」

 

 

[side:アーデルハイト]

 

『各員に連絡、友軍観測手は撃墜された、繰り返す、友軍観測手は撃墜された』

 

「何てことだ…」

 

「少尉殿…かなり悔いておられるな」

 

「本当は、優しい方なんですよ」

 

無駄足の上に貧乏くじ。意味がないじゃないか!

 

 

「諸君、聞いての通り我々は失敗した、だが、失敗したなりにケジメはつけなきゃならない」

 

「少尉殿、流石に小隊単独では荷が重いと考えますが」

 

「ガンツ曹長、貴官の言ってることは概ね正しいが敵情によれば浸透してきたのは魔導2個中隊、そして連日の戦闘で消耗している上、小隊単位で分散されている。何が言いたいかというと疲弊した6個小隊を各個撃破すればいいだけの話だ」

 

「この情報は先ほど撃墜された観測手からの最後の情報だ、我々は観測手の為にも、目の前の敵を撃滅せなばならない」

 

(義の人だ…)

 

(帝国軍人の鏡だ…)

 

「さて小隊諸君、自分が三個小隊、残りの三個小隊は君らが相手だ」

 

「おや、少尉殿だけエース願望でありますか?」

 

「ふむ、良い質問じゃないかガンツ曹長。いや何、私は後10機ほど落とせば規定で恩給と恩賜の休暇なのでね」

 

「それで保養地でゆっくりグルメでも堪能するつもりだ、だが、撃墜スコアだけで言えば君らもなかなかだろう」

 

バートリー「まぁ…」←撃墜スコア確認12、共同7

 

ガンツ「そうですな」←撃墜スコア確認9、共同9

 

ガンツの僚機「ですねぇ…」←撃墜スコア確認7、共同7

 

ちなみに、撃墜スコアが5を超えれば魔導士の中ではエースと呼ばれ、五十以上の大台に乗ればエース・オブ・ザ・エースと認められる。

 

エレニウム九五式を使うと少々記憶が曖昧になるため仕方ないがそれでもまぁまぁ落としているのは認められ今の撃墜スコアは四十そこそこ、さっさと叩き落として姉さんと一緒に休暇を楽しみたいものです。

 

そしてハインリッヒ中尉が厳しい財布の中から割いてくれた分隊、たった二人といえど航空魔導士なら戦力は十分。

一応現場レベルであれば余裕があればそれぐらいの配慮ができる…。

この戦争、勝てるのかな。

前世では負けたけど、次なら、今なら。勝って、姉さんと一緒に…。

 

 

「少尉殿?」

 

「ん?どうした?」

 

「いえ、少しぼーっとされていた様なので」

 

「そうか、さて、そろそろ反応が近くなってきた。歓迎会の用意をしないとな」

 

「どうされるおつもりで?」

 

「せいぜい歓迎するさ!銃弾と魔力校は私の奢りだ!」

 

「パスポートやビザを提出できない不法入国者はどうしますか?」

 

そんな事、当たり前だ

 

「叩き返せ!!」

 

ドガァァァァァ!!

ガァァアァン

 

少尉の術式弾が敵魔導士を穿ち、消し飛ばす。

その威力は凄まじく、いとも容易く地面を抉り、地上にいた哀れな兵士たちを巻き込む。

 

「MayDay!MayDay!」

 

一個小隊をたったの一撃で葬り去られたレガドニアの連中は慌てふためいている。

 

「畜生、どこから攻撃を受けた!一個小隊丸ごと持ってかれたぞ!」

 

「魔道反応の逆探に成功しました!敵影…、な…」

 

「どうした!?」

 

「敵影!高度一万二千!」

 

「一万だと!?」

 

通常、航空魔導士の実用限界高度は高度約六千ほどである。高度一万にもなると酸素や気圧の調節に幾つかの術式を必要するため、戦闘に使えるリソースが減ってしまう。

だが、それら全てを克服し、上空からの長距離狙撃高出力光学術式は、帝国の武力の体現として目の前の協商国に恐怖を植え付けることは容易であった。また、彼らに戦闘機と間違えられるぐらいのイレギュラー的存在であったことだろう。

 

「クソ!上昇!高度八千まで上昇!」

 

「隊長!それは!高度七千でも無茶です!」

 

「チャーリーが別働隊とエンゲージ!こちらは三人です!」

 

「そっちは陽動だ!ブラボーも上を狙え!」

 

「単騎であの戦い方…、注意しろ!エース・オブ・ザ・エースのネームドだ!」

 

「目標の個体魔導素をライブラリで照合…!な…!」

 

彼らがその正体に気づき、それぞれ絶望したり悲しんだり、さまざまな反応を見せるが全てに共通してたのは。

士気が上がる者は一人としていなかった。

 

それもそうだ、彼は『魔導士』撃墜スコアが七十以上に及び、車両、火砲を合わせた総スコアは百二十にも及ぶ。エンゲージした部隊は全て壊滅する死神。

個体登録名称『ノルデンの死神』

 

[side:アーデルハイト]

 

「ご機嫌用、そして死ね!!」

 

__To be continued…




読んでいただきありがとうございます。
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これも偏に読んでくださる読者の方々のおかげです。

幕間ネタ

  • ターニャとアーデルハイトのイチャラブ
  • アーデルハイトとバートリー少尉
  • 総統閣下シリーズ
  • 連隊各中隊長ズの何か
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