ちょっとね、土日に書き溜めたぶんをここで消化します。
ではでは、どうぞ
「ご機嫌用!そして死ね!」
彼は、そう言って
死神は嗤い、その鎌で数多くの魔導士の魂を無慈悲に刈り取り、ヴァルハラへ送っていった。
彼は、長距離狙撃術式を回避したのち、冷静に今目の前にいる刈り取る魂の分析をする。
「あれを回避するだと!」
「バケモノか!」
(オープン回線で五月蝿い連中だ…魔力反応をライブラリで照合…、やはり、エース八人を要する協商国のネームド部隊…)
「なるほど、白熊中隊か」
白熊中隊、レガドニアでも上澄みの魔導中隊と聞く。
上手く撃墜すればプロパガンダに使えるか?
「CPへ、敵中隊はネームドと認むる!繰り返す!ネームドと認むる!おそらく白熊中隊と思えり!」
『CP了解、今現在ハインリッヒ中尉の隊が急行中、無理に撃破する必要は無し』
「(ありがたいが…)増援把握なれどここは自分の戦場にあり、手出し無用と存ずる」
あまりやりたくはないが吶喊ぐらいしておかないと戦功評価に差し障る。真の愛国者は行動で示すがエセ共は口でしかない。
だけど出世の為には両方必要。
流石に姉さんとのバカンスがパーになるのは頂けない。
「帝国を犯す者は何であろうと始末するのが自分の使命。有象無象の区別なく、私の心は許さない」
『CP了解、ご武運を』
エレニウム九五式、これは使えば使うほど神を賛美する悪魔の代物、聞いた話だと私も神みたいに扱われているみたいだがそんなことはどうでもいい。
関東軍式出世ドクトリンが罷り通る中、それらしく聞こえてくれるからまだいいが。
「空間座標把握、各目標の乱数軌道回避算出…」
しかし、こんな方法で出世とは軍も馬鹿げているな。だからこそ、戦争を望むウォーモンガー共が出て来る訳だが。
「チャンバーグに魔力充填」
本来、軍人であればあるほどに平和を望み、自分らが無駄飯食いなのを喜ぶべきだと思うが…。
まぁ、今考えても仕方ないか。
「エレニウム九五式四核同調、CPへ、戦域空間爆撃警報の発令求む」
『了解、戦域空間爆撃警報の発令をする』
キィィィィと宝珠が動き、魔法陣が現れる。
それは空を覆うかの如く広がり、神々しく光った。
「去れ、不貞の輩よ、ここは我らが帝国なり、我らが空、我らが故郷なり。」
「汝らが祖国に不貞を成すのであれば、我らは神に祈らん」
ああ畜生め、僕の口から神への賛美を垂れるなど認められん!
死ね死ね死ねぇ!勝手に殺し合って勝手に死んでろこの
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一時の間を置き、周囲が黒く爆散する。
[side:レガドニア]
「と…この様に結果は燦々たる有様であります」
「…死神の名に恥じない、戦果だな?」
「皮肉か?」
「ああそうだ、白熊中隊は壊滅、他にも被害が出ている」
「まるで神託のようだったな」
「死神が神託を持って直接やってくるか、何とも言い難い」
[side:ライヒ]
ここは帝都ベルンの帝国軍大学内の帝国軍大学選考再審議会場
「では、定刻となりましたので帝国軍大学選考再審議会を始めさせていただきます」
「本日の案件は各担当者から提出されました、候補者に基づく再審査です。ではまず初めに人事局のレルゲン少佐より提出された一次審査適格者に対する再審査要求です」
「…レルゲン人事課長、貴官の判断基準を知りたい」
「資料を見る限り、実に素晴らしい候補生にしか思えないのだが」
資料を見ている恰幅の良い少将の階級章をつけたルーデルドルフ准将
「現地部隊の推薦、士官学校次席で弟は次々席、情報部による身辺捜査などなど、どれをとっても卓越した士官であると思うが」
「さよう、確かに二人とも最優かそれに準ずる士官であるのは事実であります」
「ですが…、ターニャ・デグレチャフ、アーデルハイト・デグレチャフ魔導中尉の軍大学入学を、小官は断じて認め難いと認識します!」
「「「「「「「「…」」」」」」」」
一瞬の静寂が訪れる。
その静寂を破り、ルーデルドルフ准将が話し始める
「姉の士官学校のでの席は二位、弟は三位だ、機密保持能力は保証すると来た他、憲兵との揉め事もない上弟は憲兵と同様のことをしている」
「実戦部隊からの推薦も出ている士官、おまけに両名共一次審査合格者だ」
帝国は人材の多様性を重んずるべく幹部候補生になるも合格しなかった候補者を異なる審査要因にて二次、三次と審査していくのだ。
近年の事例においても、ルーデルドルフとゼートゥーアの二羽鴉は二次審査組である。
前者は「鋭敏かつ精力的なれど空想癖の傾向あり」、後者は「学究的な側面が強すぎ、将軍としては不適格」と貶された上での合格である。
なれど、今は両者ともに帝国の未来を担う俊英として期待されて久しい。
「これらを落第とするなら、今季は入学者ゼロとせねばならない程だぞ」
埒が開かないと議長が話し始め
「…今回は特例で匿名審議が解除されております、お手元の封された資料をご覧ください」
次々に封を開き、そしてその誰もが驚く。
「これは…」
「子供…ではないか」
(ただでさえ希少な銀翼突撃賞保持者が前線からの軍功により野戦航空技章まで推薦されている、将来の幹部候補生として諸手を上げて歓迎したいところだが…、問題はただ齢十一と九の幼子だということだ)
弱冠十一歳と九歳にして魔導中尉の任官、士官学校次席と次々席卒業、両方とも銀翼突撃章保持で野戦航空技章推薦、撃墜スコア姉は六十二(内共同三十二)、弟は七十四(内共同三十七)エース・オブ・ザ・エースとして姉は白銀、弟は銀狼そして教導隊所属の経験あり。
(_____笑うべきか、どうするか)
もたれかかりながらそう考える
(姉弟揃って異才、と形容するしかあるまい)
いくらなんでも年齢が足りないなど様々な意見が飛び交う。
「資料五五六と五五七をご覧ください、士官学校時…つまり両名が九歳、七歳の時に書いた代物です」
(なるほど、これはこれは、、、)
「士官学校生は勇ましい論文を書きたがるが…、若さや幼さを感じない、まるで地味な論文だ」
(内容は単純明快、姉は補給戦、弟は情報網だ)
姉は物資集積の重要性、デポの配備と梱包の規格化による円滑な補給、兵站線の確保、そして死蔵の排除、これは帝国の内戦戦略に使われている
弟は各部隊、陣地、司令部などの通信連絡網を強化することよるに高い対応力によって早期の陣地転換及び反攻をし易くする、これは今のフランソワ戦において使われている。
「一読戦略課長や鉄道部長が執筆者を配属してくれと懇願したと言う話は有名だ」
「まさか齢九つと七つの子供が書いたとは…」
一人の将校が手を挙げた、彼はゼートゥーア准将である
「質問」
「士官学校の実地研修においてすでに両名とも軍大学への推薦がヴァルコフ准将名義で出ているものの、人事局が棄却してる点について質問したい」
(私が読む限り、年齢を除いて優秀な将校であることは変わりない、評価されることはあれど疑問が提示されたことはない)
(詰まるところ、何か裏がある)
「なぜその時点で審議されていない?誰が棄却したのか?」
そう聞くと、レルゲン少佐は深刻な顔をし。
「小官が…年齢、戦功不足を理由に棄却しました」
(やはりな)
「レルゲン少佐、貴官の公平性に疑義を挟みたくないが、一度目はともかく今回はどういうことかね?」
「両中尉の…人格に、深刻な疑義を感じたためであります…」
「何故貴官は両中尉に人格上の疑問を抱くのか、精神鑑定も何も問題もないと言われているが?」
その後、レルゲン少佐による例の事件の顛末の解説がなされた。
最後に彼らが異常である事もつけて。
また、情報部の締め上げによりデグレチャフ両名は極秘裏に何らかの作戦に関与させた事も判明した事も説明した。
この時点で、レルゲン少佐は情報部の不透明性を他の話題にかこつけて批判し、あえて成績優秀者の元言うことで落第を防いたものだと思われた。
たった二人を、除いては。
「レルゲン少佐の危惧はわからなくも無い、だが、やはり君の意見は主観的にすぎる」
「_____まぁ、よく調べている。情報部の締め上げが課題だな」
「ご苦労だったレルゲン少佐、彼女の審査請求は棄却するが情報部の再調査要求は受け入れよう」
「_____ありがとうございます」
その言葉を聞いたレルゲン少佐は表情こそ保っているが内心では胃痛が酷くなっていた。
(帝国はその中枢に…劇物を孕んだのではあるまいか…ッ!!)
To Be continued…
読んでいただきありがとうございます。
いやはや、次回から軍大学編になります。
ではでは。また次回
幕間ネタ
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ターニャとアーデルハイトのイチャラブ
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アーデルハイトとバートリー少尉
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総統閣下シリーズ
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連隊各中隊長ズの何か