外から見えるのは1面白く染まった大地。
何も知らない人から見ればそこが北極で巨大な氷に閉ざされていると思うだろう。
しかし現実はもっと深刻だ。
2017年、宇宙より降り立った異星の神と7人のクリプターによって地球の表面は白紙化された。
そして南極に作られたカルデアは使徒によって破壊尽くされアトラス院の協力を得てノウム・カルデアとして異聞帯と呼ばれる世界を踏破していった。
しかし、7つの異聞帯を超えた先にあったのは人理に排斥された事実。
その罪を立証し示すのが今課せられている新たなオーダー、オーディール・コール。
そのためにも白紙化した星を旅しながら試練を呼び寄せるべく補給物資を集めている。
いつ試練が来るか分からない状態であるが彼らに取って些細な事だろう。
これまで通り身構えていれば良いのだから。
カルデアのマスターの1人藤丸立香はノーチラス号のデッキを駆けていた。
普段通りマイルームで休んでいた所に警報が鳴り響いた。
「藤丸立香到着しました!」
白の礼装に身を包みデッキに到着した。
既にカルデアスタッフは到着しており緊張感が漂っていた。
「先輩、休憩中お呼び出ししてすみませんでした」
デミサーヴァントでもあるマシュ・キリエライトが軽くお辞儀をして謝る。
その顔は真剣そのものであったが。
「全員揃ったな。では説明を頼む」
「再びペーパームーンが異常を検知しました。場所はアメリカ北西部、スノーフィールド」
シオン・エルトナム・ソカリスがペーパームーンを指し示しながら事態を告げる。
「これまで貴女方が攻略してきた特異点や異聞帯とは大きく異なります。この世界では聖杯戦争が行われています。それもマスター同士の」
「待ってくれ。マスターはこいつとオレの2人しか居ないはずだろ。まさかクリプター全員が生き返ったなんて話じゃないだろな」
元クリプターのカドックゼムルプスが口を挟む。
藤丸は魔術回路すらない一般人だからこそ魔術師でもあるカドックの意見はカルデア内でも重要視されている。
「そんなコンティニュー機能あったらお手上げですよ。参加者は普通の魔術師です。まぁ、参加してる時点で普通とは言えませんが」
マスター同士の聖杯戦争。
かつて特異点となった冬木の地で似たような経験をした。
その時は孔明やキャスターの協力を得て泥を払うことで円満に近い形で解決。
それ以外となればまさにクリプターとの戦いくらいだろう。
「現状この特異点を修正しなければ世界の理が変わり私たちが取り戻す汎人類史とはかけ離れたものになる。それが清算をし終わった後でもね」
ダヴィンチが付け加えるように話す。
この特異点は癌のようなもので残り続ければ世界という体を蝕み壊す存在。
「我々の目的は特異点へ行き聖杯を回収し修復することだ。まぁいつも通り危険だがやることは変わらないとも」
「それなんだけど…ちょっと訳ありでね」
ゴルドルフ・ムジーク新所長のドヤ顔に水を差すようにダヴィンチが言う。
「この特異点に連れて行けるサーヴァントは全部で8騎。ただし、全員
エクストラクラス。
通常の聖杯戦争で呼ばれる7騎とは異なる例外。
ルーラー、アヴェンジャー、ムーンキャンサー、アルターエゴ、フォーリナー、プリテンダー、シールダー、ビースト。
ルーラーとアヴェンジャーは他の聖杯戦争で観測はされたもののその他はカルデアが生み出したとも言えるクラス。
同時にノウム・カルデアが人理から排斥されている理由の1つでもある。
「変です。ドク…カルデアの者はエクストラクラスの乱用について言及していました。本来なら除くはずのクラスを同行させるなんて」
「しかも名前を上げた3クラス以外も含まれている。そこから導き出したのはオーディール・コールとは異なる特異点ということだ」
「異星の神の気まぐれとでも言うのか!?」
「それはさすがに無いです。強いて言うなら使徒が作り上げた特異点の可能性があるくらいなので」
異星の神の側近とも言える存在が使徒。
彼らは時に異聞帯に混ざり使命を果たしたり、新たな特異点を作りカルデアを迎え撃ったこともある。
このような歪みを作るのは使徒くらいだろう。
「こちらでサーヴァントは選別したから作戦時間になったらレイシフトしてくれ。あとマシュも同行できるから私のところに来てね」
「なぁ。僕はどうなるんだ?着いていっても弾かれるんじゃないか?」
マシュの背後から顔を出したのはハベトロット。
妖精國での一件を通してマシュを護る妖精の役割を持ち召喚された。
「恐らく弾かれることは無いけど話すことすら出来ないと思う。だからブラックバレルは封印するから気をつけてね」
「まぁマシュの近くにいれるならそれでいっか!」
「先輩頑張りましょう!!」
ブリーフィング終了から1時間後。
藤丸とマシュは特異点と化した街へレイシフトした。
それが地獄の坩堝とは知らず奥へ奥へ落ちていく。
アメリカ合衆国、スノーフィールド。
人口約80万人が暮らす規模の大きな街。
中心部にはカジノが立ち、一際賑わいを見せている。
そして夜になればネオンが輝き放つ。
「これがアメリカ…凄い人の多さです…」
アメリカの土地を踏めたのは南北戦争の時とトラオムだけ。
あの時も徒歩で横断という無茶苦茶な作戦を行っていたので景色なんて見る暇もなく、トラオムもエリア51に入る前だけでアメリカらしさすら感じてない。
ハワイ…二次創作…エンドレスループ…
藤丸はよく分からない記憶が引き出しから溢れる前にそっと閉じた。
「何か反応はありますか?」
『魔力の流れがぐちゃぐちゃだ。冬木のように安定もしていないし異聞帯のように整備された感じもない。まるで増築し続けた家みたいだ』
「この空気は確かに不味いが街は実に美味そうだ。欲望が所狭しとこぼれ落ちている」
藤丸の横を歩く金髪に赤のドレスを着た少女、ドラコーが不敵な笑みを浮かべ街を見ていた。
人類が撃ち倒すべき相手、ビースト。
本来現界すら不可能なのにドラコーは単独顕現を使い召喚システムそのものに割り込んだ特例。
本来大きな尾が生えているのだが魔術で偽装している。
「ドラコーさんも見えているんですか?」
「無論だ。街喰らいに見えないものなど無い」
「へぇー。私は綺麗な宝石にしか見えないけど!」
ギザギザの歯を見せながら笑うのはククルカン。
クラスはフォーリナー。
この星とは違う別の場所に起源を持つものに触れた者と溶け合った存在。
とは言っても衛星や宇宙OL等分かりそうで分からないサーヴァントもいる。
そしてこのククルカンは更に異質。
南米に現れた異聞帯、ミクトランで唯一の神であり星喰らいの心臓から生まれた英霊。
「ふん、貴様は量にしか眩まない癖に。ましてやこの街の輝きを分かったような口を聞くな」
「失礼ね!私だって美しさの感情くらいあるわ!!」
「それは強い弱いの物差しであろう。まぁ肉体美に関しては良い目を持つとは思うが」
「もちろん!特にマスターさんは最高!!」
ククルカンがギュッと藤丸に強く抱きつく。
彼女にとってこの程度スキンシップに過ぎないんだろうが周りから見れば恋人同士がイチャイチャしてるようにしか見えない。
「はぁ…マシュよ。やはり余だけで良かったのではないか?」
「この特異点へ入るのが
エクストラクラスが選ばれた理由がそこにある。
まるで8クラスあるのを見越した条件に見えるが応じるしか無かった。
「それにしても皆無事かな…」
レイシフトの際、何者かのジャミングを受け一部のサーヴァントと離れ離れになってしまった。
パスそのものは繋がっているから退去もしくは置いていかれた事は無い。
「そのためにも早めに合流しましょう」
誰がいるのかは分からないがそのパスを頼りに街を歩く。
調査もついでに行え一石二鳥だ。
大通りから脇道に逸れ歩みを進める。
「マスター」
ドラコーが低く声をあげる。
「確認するがその繋がり、本当に合っているのか」
「!!」
「その反応じゃマシュさんも気づいていないって感じね。私も感覚だけど嫌な予感はしてたのよ」
そこはビルとビルの隙間に作られた行き止まり。
裏道に入ったのは覚えている。
そこからどう歩いたのか意識して思い出そうとしても靄がかかって分からない。
「ここはどこなんでしょうか… 」
「さぁな。だが、巣に入ったなら主が現れるのが筋だろ」
「よーしっ!盛り上がって来た!!どっからでもかかってらっしゃい!!」
「少しは場を弁えよ…煩くて構わん…」
「マスター。私の後ろに」
オルテナウスに換装し盾を構えたマシュ。
3人に囲まれるように警戒する。
はるか遠くから車のエンジン音が聞こえる。
何が起こるか分からない状況が歴戦のマスターに焦りを与える。
「問おう。汝が聖杯を欲する魔術師か」
突如時が止まったかのように藤丸の耳元で静かにハッキリと声がした。
「マスター!!」
マシュの声と同時に目の前を金属音と火花が散る。
近くにいた黒い影は銀色に輝くダガーを持ちひらりと距離を取る。
「咄嗟に防ぐとはやるな」
ドラコーは龍のような左手を向けていた。
手についた鱗を弾のように飛ばし攻撃をしたが対応された。
「よそ見厳禁ですっ!!」
着地をするタイミングでククルカンがビルの壁を蹴り上げかかと落としをする。
「ーーーー」
影は攻撃を避けることなく食らう。
だが響いたのは鈍い音だった。
「硬いッ!?」
先程の動きとは真逆の音。
さながら静と動を切り替えたような。
「サーヴァントを3体も使役するとは…」
影と思っていたのは全身を黒い服で覆っていたから。
暗いうえに口元も隠してるせいか一瞬しか見えなかった。
「いや…今は障害となりうる存在。その命貰い受ける」
背中の布が歪に膨れ上がり…
「
オレンジ色の腕が暗闇を咲くように勢いよく藤丸へ迫っていた。
狙うはただ1点。
何度も味わった死の感覚が静かに襲ってきた。
魔術すらない一般人には避けようもない運命。
ただその腕が自らに伸びるのを見てるしか無かった。
やっちまったぜ。
前回の短編UA500行けばいっかなぁとかと思ってたら意外と伸びた…
ならやるしかねぇじゃん!!
初手から同行鯖が過剰戦力。
ビーストは仕方ないとしてもフォーリナーがまさかのククルカン。
しかし、アニメFakeを見た人なら分かるんじゃないだろうか。
エヌマ乱闘が初手から起こるんだから些事なんじゃない?
この後も戦力あがっていきますがまぁ大丈夫でしょ!
そして明日からFGOフェス8th開催。
キャストリア、光コヤン、アルク。
上げて少し下げてからの爆上げ。
今年は抑えな鯖が来そう。
あとこの3騎だけか分かりませんがマテリアルに「〜周年で早めに登場」みたいな記述があったはず。
ワンチャンⅢ章あたりのキー鯖来ちゃう?
妄想を膨らませながらその時を待ちましょう。