夢想煉獄都市スノーフィールド   作:薫製

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最古の王と復讐者

死徒と神父の戦いは映画のワンシーンを見ている感じだった。

超人的な動きで物質を飛ばし破壊し外に出たと思ったら車を足場に空中で戦っていた。

 

「本当にサーヴァントじゃないんですか…?」

 

外で戦況を見ていたマシュが呟く。

外に出る前に署長にジッと見られたが止められる素振りも無かったので気にせず出た。

 

『あの神父、義手に何か仕組みが?』

 

「いえ、ほぼ全身よ。人として機能する部分だけ残して後は機械に置き換えたの」

 

アルクは神父の動きを読み解き判断した。

 

「サイボーグみたいな?」

 

「ちょっと違うけど考え方としては合ってると思う」

 

「神の代行が絡繰とは滑稽だな。人の域を越えずとも人の道を外れるとは」

 

戦闘は近くのホテルにジェスターが吹き飛ぶのを最後に終わりを迎えた。

人集りが増え身動きが取れなくなる前に藤丸たちは警察署を後にした。

 

安めのホテルを見つけ何とか2部屋確保出来た。

至る所に魔術師がおり高めのホテルだと逆に目立ってしまうので安宿にした。

入る時にマシュ以外のサーヴァントを霊体化させ値段を誤魔化した。

部屋に入るまで尾行を気にしたがついていない事だった。

見逃したのか追うまでもないのかは定かでは無いが。

 

『ジェスター・カルトゥーレ。彼について調べたけどデータに引っかからなかった』

 

ダヴィンチからの報告に少し疑問を持った。

神父の言葉通り上位の存在ならデータに残るはず。

 

「死徒の存在がそちらの世界じゃ薄いから出ないのも無理もないわ」

 

「そちらの世界ってどういう事ですか?」

 

「私の知る世界じゃ死徒の力が強くて英霊の存在が薄かったの。貴方たちの世界はその逆でこの世界はその中間。死徒と英霊が共存するまさに特異点よ」

 

「道理で不味い訳だ。せっかくの料理にくだらない調味料を入れて台無しにされた気分よな」

 

嫌そうな顔をドラコーがする。

 

『なるほど…私たちの知る汎人類史とは違う形だからこそ残しては行けないんだ』

 

「んー?とにかく聖杯をゲットすればフィニッシュですよね!」

 

「しかし聖杯が何処に眠っているのかまだ分かっていません。今はこの街を回りながらサーヴァントに気をつけながら探りましょう」

 

会議は終わりマシュは隣の部屋へ戻って行った。

プライベートは確保されているが警戒は強く何かあればククルカン辺りが壁を壊して突入してくるだろう。

 

『マスター。話が』

 

声の主に黙って頷き了承する。

月の光に照らされ出来た影にアサシンが湧き出るように現れた。

ホテルの周りの警戒のため外にいた。

 

「どうしたの?」

 

「これより先独断行動をするのを許して欲しい」

 

黒い布越しに見えた瞳には決意が宿っていた。

 

「あの吸血鬼は私が殺すべき相手となった。マスターと共に行動すれば何れ会うかもしれないが一刻も早く殺らなくてはならない」

 

1度繋いだ縁は消えるまで残り続ける。

例え真反対に居ても『生きてる』事はお互い感知出来る。

 

「奴とのケリをつけなくとも異常が起こったなら好きに呼んで欲しい。マスターを守るのがサーヴァントなのだから」

 

目元しか表情が分からないけど少し和らいだ気がした。

 

「…分かったよ。でも無理はしないで」

 

「感謝する」

 

風の音が部屋全体に響くと共にアサシンの影は無くなっていた。

藤丸はそのままベットに潜ると同時に意識を離した。

 

だが爆音が部屋に響き渡り夢から無理やり引き戻された。

周りを見ると窓ガラスが割れていたがベットから離れていた為、破片が飛んでくる事は無かった。

 

「先輩大丈夫ですか!!」

 

オルテナウスに換装したマシュがドアを突き破らんとする勢いで中へ入ってきた。

 

「大丈夫!皆は!!」

 

「周囲の警戒をされています!ダヴィンチちゃん!!」

 

『今のは衝撃波だ!着弾地点はクリスタル・ヒル!その最上階!』

 

この街の中央に作られたカジノに隣接するようにそびえる高層ビル。

よっぽどの大富豪ではないと泊まれないな所に何かが撃ち込まれた。

しかも物理法則を越えた何か。

これを聖杯戦争と関係無いと言うのが難しい。

 

「どうするマスター。今の衝撃を見ても首を突っ込むのか」

 

警戒しながらも藤丸に問いかける。

誰が撃ち誰が狙われたのかは分からない。

でも、自分の呼んだサーヴァントが襲われていると考えたら動かない訳には行かない。

それに違っていたとしても真名を知れるチャンスでもある。

 

「それでも行くよ」

 

「…クハハ…それでこそ我がマスターよ」

 

その解答を知っていたかのようドラコーが笑みを浮かべる。

 

「ではマスターは私が運びます!最短最速でお届けしますので離さないでくださいね!!」

 

「私も早く合流しますのでお怪我の無いように!」

 

銀色の宇宙服のような姿に変わったククルカンに抱えられ、割れた窓からネオン輝く街へ飛び出した。

マスターを抱え飛ぶ事が新鮮で心地よいククルカンはかつて南米の空を飛んだようなスピードで駆けていた。

着ている最新鋭の礼装が無ければ加速によるGで臓器が持たなかっただろう。

 

「早い早い!!」

 

「大丈夫です!そのまま掴まっててください!!」

 

そう意気込んでいたククルカンだが突如、空中で静止した。

 

「マスター!あれ何ですか!?」

 

視線の先にあったのはホテルから一筋の黄金の光が渓谷へ真っ直ぐ飛んでいく光景だった。

 

『あの光音速ギリギリで飛んでるの!?』

 

「よーしっ!負けませんよー!!」

 

『そこで競い合わないで!!でもあの光を追って!

 

「分かりました!ギューンっと行きます!!」

 

星々の下、金と銀の煌めきが宙に二筋の軌跡を残した。

それがこの街を揺るがす光とは知らず人々は思い思いに写真を撮っていた。

 

 

スノーフィールド外

 

渓谷に辿り着き少し離れた場所から様子を見ることにした。

魔眼はおろな双眼鏡も無いので目視で行うことになった。

先ほどの黄金の光の正体は帆の変わりに蝶の羽をつけたようなヨットだった。

その先頭に立っていたのは舟と同じ黄金の甲冑に身を包んだ男。

 

『そんな…彼がここに呼ばれたなんて…!』

 

今回の同行とは異なるがカルデアに召喚されたサーヴァントの1人。

メソポタミアの王、この世全ての財宝を持ち神代を終わらせた始まりの英雄。

 

「ギルガメッシュ王…」

 

相対するは高台に立つ黒い布を頭から縦方向に被せた大男。

顔は分からないが体から出ているオーラはどす黒く感じた。

 

「まだ行かないでよ?」

 

「行かないです!私だってあれはヤバいって感じてますから」

 

するとギルガメッシュの背後から黄金の門が複数現れた。

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)

蔵のドアのようなものでギルガメッシュの意思によって様々な宝具の原点を直接召喚できる。

それを惜しげも無く大男に向け放つ。

カルデアに力を貸してくれているから分かるがあの中には高ランクの宝具も混ざっている。

並の英霊ならひとたまりもなく朽ち果てる。

だが、手にしていた弓で英霊の常識すら凌駕する勢いでうち払っていく。

 

『あの英雄王の宝具をいとも容易くはらいのけるなんて…』

 

ダ・ヴィンチも驚きを隠せていない。

彼の強さは他の英霊と比べてもずば抜けている。

並の聖杯戦争なら呼べた時点でほぼ勝ちを得たも同然。

しかしそんな驚きも超える事態を目にするのだった。

今度は門を男の周りを取り囲むように展開し射出された。

先ほどよりも更に上の宝具を光の線となるくらい連続で放つ。

更に武具のみならず雷といった事象そのものもぶつけられる。

花火が地上で炸裂したかのような眩い閃光と衝撃。

離れている藤丸の元にもその余波が届き目を完全に開けられない状態だった。

音が止み、静寂が訪れたのを感じ恐る恐る目を開ける。

高台が跡形もなく無くなっており土煙が火事のように上がっていた。

その煙が晴れた先に居たのは何事もなく立つ男とその下に山のように積み上げられた宝具だった。

 

「な…!?」

 

『今のはA以上の宝具もあったんだぞ!それを無傷で…!』

 

「…」

 

あの英雄王と同格の力を持つサーヴァントは数えられる程しか居ない。

 

「ダ・ヴィンチちゃん!あのサーヴァントは!?」

 

『真名は分からないけどクラスはわかった!あれは…アヴェンジャー!』

 

復讐者、アヴェンジャー。

復讐に関する逸話を持つもの、あるいは生前に過度に虐げられた経験を元に、憎悪すなわち復讐心を持つ者に与えられるクラス。

本来なら召喚される事は無い特殊な存在。

 

『このままあの2人が本気になれば街に被害が出る!戦闘だけでも止めないと!』

 

令呪越しに気配を探るとアルクが近くまで来ているのが感じ取れた。

到着まであと数分と言ったところ。

 

「ククルカン行ける!?」

 

「もちろんデス!さっきから気合い貯めてたんで!」

 

右手に握りこぶしを作り準備万端なのをアピールし2人の元へひとっ飛びする。

そして隕石のように落下し着地しようとした時、もうひとつの光が戦場に落ちてきた。

 

マスターからの頼みを受け最速で男とギルガメッシュの間に着地したククルカン。

だが同タイミングで自分の発したものとは違う衝撃を感じた。

見ると馬に乗った健康的な肌色の少女が男の後ろに降り立つ。

ギルガメッシュは眉を顰め2人を交互に見ていた。

男もククルカンを見ていたが背後に感じだ気配を察知し振り返ろうとした。

刹那、布に覆われた顔面に少女の拳が深深と突き刺さる。

巨体が砲弾のように吹き飛び別の高台の根元へ吹き飛ばされた。

あのギルガメッシュの宝具が効かなかった相手を拳1つで殴り飛ばした。

それが如何に恐ろしい事かは見ていれば嫌でも感じるだろう。

 

「あの外道は私の獲物だ。お前たちは手を出すな」

 

少女はコチラに少し視線を逸らしたが直ぐに戻した。

 

「興が削がれるとはこういう事だぞ、貴様ら…」

 

不機嫌そうな声で睨みつけていた。

ククルカンのシナリオでは男を封じてからギルガメッシュと対峙しようとしていた。

それがただ1人の乱入者で破綻した。

 

『マスターどうしよう!何か訳分からない事になってきました!!』

 

念でマスターに指示を仰ぐ。

本音を言えば全員と戦いたいと強く願っているが何とか抑える。

 

『今アルクと合流したからそのまま様子みて参戦して!』

 

『敵味方は私の判断で良いんですか!?』

 

『出来ればギルガメッシュ王は避けて欲しい。王様はきっと話せば分かるから…』

 

崩れた高台の破片が噴火したかのような轟音を立てはじけ飛んだ。

マスターの意向に応えられるかは分からないが最善は尽くそうとする。

 

(もしダメなら全員倒せばいいんですからね!)

 

内に潜む捕食者の血がざわめきながらも冷静に戦況を見ていた。

誰であれ言葉が通じぬなら戦えればそれで良いのだから。




皆おまたせ!
最強を最凶にしてみたらイカれてたサーヴァントトップ3に該当する彼が参戦したよ!!
真名公開はオイオイネーだけどやっべぇからなぁ。
そして我らが王ギルガメッシュ!
アニメで慢心捨てたガチモード見たから分かるけどこっちもカッコイイんだわ!
エルキドゥ大事。

こっからは雑談。
3話までは微妙に伸び悪くて頭抱えましたけど4話投稿したら驚くくらい増えててビビり散らしました。
評価、お気に入り、コメントしてくれた皆さん本当にありがとうございます!
エナドリキメたくらいテンションあげて書きますよ〜!
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