Muv-Luv ARMORED CORE   作:秋月艦隊

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第4話 新世代AC

【ACとは】

日本語で表すなら『全地形対応型多目的歩行戦闘機械』と言ったものでより簡単に説明するなら『各部位・武器を換装可能な人型の戦闘兵器』となる。

前述した通りACは各部位・武装の換装が可能で陸海空あらゆる場面で充分な能力を発揮可能だ。

第二次世界大戦初期のACは10m前後で互換性はほとんどなく、構想自体は初期から存在したが実現したのは戦後であり当時の機体は大半が機関を換装し民間に払い下げられている。

そして戦後に出来たのが17mほどの大きさに拡大したACである。

戦後に生まれたACは大型化に伴って機関出力・継戦能力・機動力が順当に強化され、速度は通常時で時速300km、OB使用時には500kmを発揮可能になっており、専用のパイロットスーツを着用することで網膜投影や兵装の切り替えなどを直感的に行うことが可能になった。

ただ、網膜投影や兵装の切り替えを直感的に行うには多少のセンスがいるため、それらの機能をオミットしたダウンモデルも存在する。

 

しかしこれらの利点はまだまだ序の口であり、戦後AC最大の特徴は多彩な部位パーツと武装だ、これによりパイロットが自分に最も適したACを操縦することが可能になった。

よって射撃特化ACや近接格闘能力に優れたAC、更には支援に特化した機体まで製造が可能であり、その自由度は兵器であることを考えれば破格のものとなっている。

 

以上を踏まえて新世代型ACに求められる能力を見てみよう。

 

【新世代型AC】

・通常速度400km以上、OB時速度700km

・1週間程度の無補給稼働能力

・少数での敵戦力制圧能力

・半日程度の長距離飛行能力

 

以上4つが新世代型ACの開発要項であった。

機動性は言わずもがなACにとって速度とは命だ、それだけ重要視されている。

次に1週間程度の無補給稼働能力、これはACが現状国境紛争や内乱などで使用されることが多いため盛り込まれた要項で、1週間は特殊任務だろうが無補給で遂行可能になる予定だ。

最後の2つはかぶる部分も多いが、潜水艦などで敵地の遠方から飛行によって接近し少数で多数の敵を撃破する計画で進んでいる。

 

つまり何が言いたいのかと言うと…。

 

「開発は非常に難航しています」

 

1959年末―

各部門の報告書をまとめてやってきたハスラーが開口一番にそう言った。

…いや、確かに難しい要求だと思うがそれほどの物か?俺は彼の報告に疑問を持った。

 

「はぁ…なぜ難航しているのかの説明もします。まず最初に開発を困難にしているのは各部位の換装です」

 

「…なるほど、確かに組み換え前提じゃ難しいか」

 

新世代のACはその性質上、機体パーツの組み換えを前提に作らなくちゃならない。

その制限上、自ずと機体サイズは標準的なAC同様17m前後に収めなくちゃならないし規格もうまいこと合わせなくちゃならない。

しかも新型として売り出す以上、我が社は計5機の新型ACを同時並行で設計してるからな…難航するのも当たり前か。

 

「――いえ、既に近接特化の『SINKAI(真改)』射撃特化の『KASUMI()』支援特化の『NOBLESSE OBLIGE(ノブリス・オブリージュ)』は試作機の試験も終了し、あとは生産ラインを作るだけです」

 

「なら、あとは制圧特化の機体と汎用性型の機体か」

 

はい。そう彼はうなずくと残る2機の説明を始めた。

曰く新型ACに求められた要素を得ること自体はそれほど難しいものではなく、近接特化のSINKAI(真改)はそれ以外に必要な要素を限りなく減らした事で通常時の機動性はネクストACに迫るものとなっている。

勿論欠点も有り、最大出力で動けば30分程度で推進剤とエネルギーを使い切ってしまう。

射撃特化のKASUMI()は速度性能はそれまでのACからそれほど変わらず、理論上は通常時400kmを出せるようになっている。

しかし、射撃に用いるセンサー類は過剰なほど強化されており試験では高出力エネルギーライフルを用いて3000m離れたマッハ3もの飛行物体を撃ち落とすなど、その性能を遺憾なく発揮した。

支援特化のNOBLESSE OBLIGE(ノブリス・オブリージュ)は程々の格闘・射撃性能のかわりに大火力のエネルギー砲を両肩に搭載することを前提の設計となっており、扱いは汎用機と似ているが作戦時の支援射撃などに重きをおいている。

速度も平均的で、この機体も理論上は400kmの速度を出せるようになっている。

 

「…と、このように3機は特に問題なく完成しました」

 

「で、残った2機のなにがまずいんだ?」

 

「制圧特化の『RAIDEN(雷電)』は武装が間に合ってないだけで他はおおよそ完成間近と言えますが…」

 

「…難航しているのは汎用型の『WHITE-GLINT(ホワイトグリント)』か」

 

「はい」

 

WHITE-GLINT(ホワイトグリント)

汎用型の機体と銘打ってこそいるが、真改並みの格闘性能に霞には劣るが充分な射撃性能、速度では真改に劣るが継戦能力はトップレベル。

決して扱いやすい訳では無いが最も運用しやすい機体だ。

パイロットの腕にもよるが対AC戦をやらせるなら最も適した機体だろう。

 

「どうして難航してるんだ?」

 

「要求性能を満たすために、他の機体なら省けた機能を全て搭載しているからです」

 

近接性能と速度性能を上げるための外部スラスター、射撃性能を上げるためのシステム、それらの邪魔をしないように継戦能力を上げるとなればどこかにしわ寄せが向かう、当たり前だが調整が難しい要素だ。

 

「…ふむ」

 

「どこかの要項を減らさないとこれを完成させるのは困難です…いっそのことネクストにしますか?」

 

流石にノーマルACでの高性能化を目指しているのに世界に汚染をまき散らすネクストACを作っては本末転倒だ。

ネクストACはかなり特殊な機体で、速度は通常400km以上OB時には2000km以上の超高速機動が可能で、特殊なシールドであるプライマルアーマーを常時展開することが出来る。

しかし、欠点として機関部にコジマ粒子を使用しているため稼働させるだけで周囲に高濃度コジマ汚染をばら撒くため現在は社内に3機しか存在しない。

 

そんなネクストACをノーマルACで凌駕するのが将来的な目標となっている。

 

となると、削るべき点は…。

 

「―ならいっそのこと継戦能力は諦めるか」

 

「しかし…いえ、それならばなんとか」

 

「決まりだなWHITE-GLINT(ホワイトグリント)は短期決戦用の機体にしよう、無補給稼働能力と継戦能力は捨てて他の機体以上の近接・射撃性能に仕上げよう」

 

結局、ホワイトグリントは短期決戦を前提としたACとして設計された。

諸元として巡行速度400km、OB時1000km、全高17mになったが…そのしわ寄せとして稼働時間は通常機動で半日、戦闘機動で30分となった。

そのためホワイトグリントは少数で多数の敵を撃破可能という新世代ACに求められた要素を得ることには成功したが性能がピーキー過ぎ、アメリカやソ連などの超大国でもなければ部隊規模での運用は困難であった。

最終的にホワイトグリントは消耗品から整備まである程度融通の聞く企業内だけで運用することとなり、未だに前大戦の頃の飛行型ACを改修しながら運用していたAC空母の艦載機として多数が運用される事となる。

 

その他の『SINKAI』『KASUMI』『NOBLESSE OBLIGE』『RAIDEN』は新世代のACとして強気な価格で販売を開始した。

当たり前だがこれらの新世代機は全く売れず、逆に安価に製造した旧式ACを民間用に改修したものが宇宙開発にやる気な各国にダース単位で売れたため利益としてはどっこいどっこいに落ち着くことになった。

 




新型ACの見た目は
『真改』はまんまアリーヤ
『霞』は063AN
『ノブリス・オブリージュ』はオーギルフレームに実弾系の滑腔砲
『雷電』はACVのヴェンデッタ
『ホワイトグリント』はfAのホワイトグリント
そんな感じです。

追記:機体名は所長が決めています、不自然だけど許して…(気が向いたら変えるかも)

感想・評価ありがとうございます!誤字も報告してもらえて助かりましたm(_ _)m
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