プリンセスダイバーズ~GBNお嬢様クラブはこちらですわ!~   作:二葉ベス

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第12話:海賊マフィアはあなたでしたの?

『どぉぉりゃあああ!!!』

「くっ!」

『そらそら、どうしたぁ!!』

 

 手を抜いているのか、ただ戦闘を楽しんでいるのか。

 それはあたしには分からないが、この自称海賊ジェガン、なかなかやる。

 大型武装、ムラマサ・ブラスターを振り回しているようだが、あたしに対してプレッシャーをかけ続けている事実を利用されている。

 そもそもムラマサ・ブラスター状態のクジャクのレンジが大きすぎる。

 こっちはただのヒートナイフだぞ?! ようやく間に合っている程度なのに、不意打ち気味にビーム刃が出てきたらとっくのとうに死んでいたはずだ。

 

 一旦距離を取り、ビームライフルでビームを発射する。

 もちろんそのどれもがABCマントによって防がれてしまう。

 

『なかなかやるねぇ、キミ。ただのレンタル装備のインパルスだってのに、このあーしと互角にやり合うとかなかなかできないよ?』

「お世辞をどーも。その割には手加減してるっぽいけど」

『そっちもだろぉ? インパルスっていう手加減、してる』

 

 それはそうなんですがぁ!

 はぁ、面倒なのに会ってしまった。エマって海賊モドキ、ガンプラの性能差はあれど、強者と見ている。さっきチラッとプロフを見た時もランクBだったし。

 やや芝居がかった口調といい、大分ロールプレイも達者なようだ。

 それにしても、この声どっかで聞いたことあるような……。

 なんだっけ、すごい知り合いに似てる気がするんだよなぁ! くぅ、喉に小骨が引っかかったような違和感が戦闘の邪魔をする。

 

『でもいいなぁ、ガンプラを縛ることで自分を鍛えるやり方っ! あーしは好きだぜっ!!』

 

 バックパックのクロスボーンスラスターが音を上げ唸る。

 形式は突きの型。一気に接敵して、突きの一撃を与えようって魂胆。

 だけどその鋭さはさっきまで見ていたアメリアさんのとは程遠い。練習相手には、十分だっ!

 

『このスピードを、避けたぁっ?!』

 

 突きは面の一撃ではなく、点の一撃。

 極論を言ってしまえば、判定の先にあたしのガンプラがいなければいい話。

 少しだけ横にズレて、そのスピードの突きを避ける。

 余裕を持って横にズレるなら、攻撃にも転じられる。次はこっちの番だ。

 

 コックピットは無理でも、左腕は持っていく!

 

「避けるだけじゃない!」

 

 進行方向へ沿うように熱した刃を左腕に当て、振り抜く!

 まるでバターのように真っ二つに斬り裂かれた左腕が肘の先から抜け落ちる。

 まずは片腕、頂いた!

 

『カウンターか!』

「読みやすかったからね」

『ふっ、抜かせっ!』

 

 肘を切断したが、その勢いは止まることはない。

 一旦離れたクロスガンが、ムラマサ・ブラスターが更に変形。

 ピーコックスマッシャーへと形態を切り替えれば、ビーム溜まりが砲身に溜まっていく。

 今度はこっちか。

 

「っ!」

 

 とっさにジャンプして回避しようとするが、時すでに遅し。

 発射された15門の線は容赦なく下半身を焼き殺す。

 レッグフライヤーを切断するかしばし悩むが、このままでいい。

 だが足への一撃は致命的だ。着地にも失敗し、両足を失ったインパルスが地面へと転がっていく。

 

 耐久値はもうすぐ尽きる。

 レッグフライヤーを外せば、まだ爆破ダメージは防げるだろうけど。

 いや、でもこの両腕だけで逃れられるとは思えない。はぁ、流石に負けか。

 

 あたしは両手を上げ、持っていたヒートナイフを地面に落とした。

 

「あたしの降参。強いね、あなた」

『にっひっひ、でしょう?』

「素、出てるけど」

『あ、ごほんっ!』

 

 エマさん、素の声も結構かっこいい寄りだ。さらに誰かの声に似ている気がする。

 気がするんだけど、本当に思い出せない。

 

『後でフレ交換しないかい? あーし、キミのこと気に入ったよ』

「まぁ、いいよ。基本はソロだから好きにして」

『うっしっ! んじゃ!』

 

 エマさんのクロスガンがあたしの正面に立つと、右腕に持ったムラマサ・ブラスターを思いっきり振り上げる。

 あ、この人容赦ねぇなぁ。

 

『エントランスで、先に待ってなぁっ!!』

 

 コックピットごと真っ二つに両断。

 撃墜判定を受けたあたしのインパルスはデータの破片となり散った。

 あー、久々に歯ごたえのある相手だったけど、今度からはちゃんとアンタレスを持ってこよう。

 やっぱり負けるには死ぬほど悔しいなぁ。

 

 ◇

 

「よっ! キミがぁ……。…………」

「どうかした?」

 

 エントランスエリアで件のエマさんに出会う。

 声をかけてきたくせに、あたしの顔を見た途端固まるってどういう了見だよ。

 

 赤髪のロングヘアーに右目の眼帯。中華風のチャイナドレスをモチーフにした、見た目は海賊、もしくは中華系のマフィアにいそうな子だ。

 でも顔。顔が、すごく……。

 

「い、いやぁ! なんつーか。……ああ、フレ交換だったよな!」

「…………」

「……な、なんだよ」

 

 知ってる。この顔。そしてこの声。

 あたしは知っている。通りで聞き覚えのある声だと思ったんだ。

 メニュー画面からダイレクトメールを開いて、メールを1通送信してみた。

 

『もしかして、カヤバさん?』

 

「…………」

 

 無言で『エマさん』が頷いた。

 

「……はぁーーーーーーー!」

「なんで……。えぇ。やってたんですか、GBN」

「まぁね」

 

 理解した。目の前の海賊モドキが『あの』バイト仲間のカヤバ・マヤさんだということに。

 向こうもあたしがシロガネ・ヒメリと気づいてしまったらしい。

 あー、リアバレ。いや、ネットバレ? まぁ。キッツ。気まず……。

 

「こ、このことはなんというか。他の方にはご内密に……っ!」

「う、うん……。あたしも何卒……」

 

 これはー、どうすればいいんだろうか。

 まぁ……。とりあえずフレ交換しておこっと。

 

「ま、まぁ! そんな感じでよろしくっ! んじゃ!!」

「あ、うん……」

 

 速やかに消えていった……。

 まぁ、そうだよね。気まずいか。

 あたしも相当気まずい。またバイト休もうかな、と思うレベルで。

 

 でもそれはそれで今度はこっちで「なんでバイト来なかったんですか?」って言われるんだよねぇ。

 はぁ……。まぁ、一応フレンド同士になったことだし今度一緒に遊ぶとするか。

 あとでエナドリ買ってログアウトしよっと。

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