プリンセスダイバーズ~GBNお嬢様クラブはこちらですわ!~   作:二葉ベス

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第13話:今日はどんなガンプラをお買いに?

「……昨日は急にログアウトしてしまい、申し訳ありませんでした」

「いやいやいやいや! 別に謝ってもらうことじゃないですし!」

 

 翌日。

 あくびで身体を伸ばしながら、起き上がるとそれはそれは美しい土下座の形でアメリアさんが正座していた。

 困るんですけど。

 ……困るんですけど!!

 

 え、どうやって収拾つけよう。

 「お前の唇、美味しかったぜ……ッ!」とか。いやナツメさんに殺されるわ。

 あとは……。「何のことですか?」とか。謝らせておいて言うことじゃないでしょ。

 はぁ、ここはもう覚悟を決めるしかないか……。

 

 同じようにあたしも正座をし、地面に両手をハの字で添え、頭を下げる。

 これがジャパニーズ土下座。

 

「え。えっ?!」

「あたしも不注意だったと思うので……。その、おあいこと言うことで……」

「…………ふふっ」

 

 え、なんで笑った?!

 

「あ、いえ。初めて謝られたものですので。っふふ!」

「あ、あはは……」

 

 謝るでしょ、多感な学生を拐かしたんだから。

 まぁ、仲直りってことで、なんとかなりそうかな。

 

「今日はどうなさるのですか? 今日もGBNですか?!」

「いや、まぁ……。ガンプラ買いに?」

「ついに、ですか……っ?!」

「ついに、だねっ!」

 

 昨日見た突きの動き。

 あれはまさしくフェンシングや剣道のような武術のたぐいだ。

 ならばあたし以上に近接戦闘に長けた才能を持っているのかもしれない。

 

 となると、それに対応したガンプラも必要になる。

 剣を持ち、盾を持つ、かのガンプラが。

 

「と言うことでGBNに入りましょう」

「お外には出ないのですか?」

「そんなことをしなくても、できるんですよ。GBNなら!」

 

 そう、このGBNなら外に出なくてもガンプラが買えるんだ!

 てことでログイン。いつものようにエントランスエリアでアメリアさんを待つ。

 

「ログインする時のふわふわとした感覚、未だに慣れません……」

「あはは、VRゲーム特有のやつですからね」

 

 現実ではない、現実と誤認させるバーチャル空間。それがGBN。

 すごい技術だと評価する。これを軍事転用ではなく、普通にゲームとして採用した点が一番偉いところ。

 

「そういえば、どんなガンプラを……」

「お、ヒメリちゃんじゃねぇか! 昨日ぶり!」

「げっ……」

 

 あたしたちのいるエントランスエリアは大体誰か知り合いがいると相場が決まっている。

 黒い眼帯を目につけた海賊モドキ、もといバイト先のエマさんが現れた。

 わざわざ声かけて、しかもロールプレイ中って。恥ずかしくないのかな?

 

「げっ……。ってなんだよ、げっ……。って!」

「いや、だって。ねぇ……」

「あーしはそういうことは振り切らないとダメなんだよ! そーいうことで、そっちも合わせろ!」

「あ。あー、分かりました……」

 

 そういえば声優になるために勉強中とか言う話をバイト中に聞いたような覚えがある。

 このロールプレイもそれの一貫というのであれば、あたしが恥ずかしいだなんて思うのはおこがましい事だったかも。

 本気の人を邪魔する理由はない。うし、そういうことならとことん付き合うか。

 

「……って言っても、あたしロープレしてないけど」

「その成りでぇ?!」

「これは、なんというか。可愛いから……」

 

 人に好みを聞かれるのって、結構きついなぁ。

 地雷系ファッションが好みって言うよりも、このフリフリが可愛いからとか、ゴスロリって文化が素直に好きっていうのもある。

 かわいいは正義って言葉あるでしょ、うん。

 

「あの……。そちらの方はどちら様ですか?」

「そうだった。この中華海賊モドキはエマさんで……」

「え、かわよ……」

「ふえ?」

 

 エマさん、思わず口元を手で隠している。

 乙女が驚いているような格好だけど、それ見た目に反して違和感あるからやめておいた方がいいけどな。

 まぁでもかわいいのは分かる。アメリアさんを一目見た人は、だいたいこうなるんだから。

 

「えなに、ちょっと待ってください! シロガ……。ヒメリさんこんなかわいい知り合いがいたんですか?!」

「ま、まぁ……うん。最近ね」

「アメリアと申します。以後を見知りおきを……」

「優美……っ!!」

 

 軽く指でスカートの裾を上げ、会釈。

 おぉ、これ漫画やアニメでしか見たことのない例の社交挨拶!

 こんなにも美しい仕草を初めてみた。

 改めて思うけど、やっぱりいいとこのお嬢様なんだなぁ……。

 

「……なんでこんなかわいい子とお知り合いなんですか! 本当に尊い……」

「エマさん、ロールプレイ」

「あっ! こほん……。これは失礼。あーしはエマだ。よろしくな!」

「はい、こちらこそよろしくお願いします!」

 

 調子のいいことで。

 まぁ後輩ちゃんのお可愛らしい仕草も見れたことで満足するとしよう。

 

「そんで? ヒメリちゃんは今日、どこに行くんだい?」

「ヒメリちゃん……。ま、まぁいいや。ガンダムベースに行く予定」

「ガンプラを買いに?」

「アメリアさんのを買いにね」

 

 ガンダムベース。実際に存在しているガンプラ専門ショップなのだが、実はGBNの中にも存在する。

 ガンダムベースGBN出張所。ガンダムベースが遠くて、ガンプラが買えないよぉ! ふえぇ~みたいな人のために用意されたガンプラ専門のネットショップのようなもの。

 GBN上で積まれたガンプラの山々を見て回り、それを購入。すると、現実世界で届いてしまう。

 しかも専門の運搬業者らしく、注文すればその日の内に届くというお手軽さ。

 

 GBN上で買って、現実で組み立て、GBNで1/1スケールの自分のガンプラを見る。

 まさにGBNだけで完結するネット通販システムだ。

 

「なんと! このGBN上でガンプラが!」

「そういうことです。品揃えもほぼ欠品なし! 注文すれば即届く! ハッキリ言ってもう外出る必要ないですもん」

「家電量販店は悲鳴あげてたね」

 

 そんな夢のようなGBN出張所に、あたしたち3人は来ていた。

 エマさんはなんで付いてきたのかはわからないけど、アメリアさんはかなりウキウキなご様子。

 やっぱりかわいいなぁ、この子は。

 

「おぉっ! これがガンダムベース、ですか……っ! 右を見ても左を見ても、驚くほどの箱です!」

「これが全部ガンプラって言うから、驚きだよな!」

「す、すごい……。こちらのガンダムは見たことがあります!」

「RX-78ですねぇ」

 

 大きなガンダムが目印。

 確かに。言われてみれば、全商品ほぼ売り切れなしってすごいよね。

 昔の人からしてみれば、ガンプラは模型店で買う物だし、売り切れなんてしょっちゅう起こっていただろうから。

 今はいい時代になったなぁ……。

 

「ヒメリ様っ! 今日はいったいどんなガンプラをご購入なさるのですか?!」

「ふっふっふ、それはね……。ギャンだよ」

「ギャン?!」「ギャン!!」

 

 そう。突きのMS。といえば、ギャンだ!

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