プリンセスダイバーズ~GBNお嬢様クラブはこちらですわ!~   作:二葉ベス

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第16話:こちらがわたくしのガンプラですわ!

「シロガネさんのこと、先輩って呼んでもいいですか?」

「え、どうした急に」

 

 そろそろバイト上がりの時間帯。

 エマさん、もといカヤバさんと今日もGBNで遊ぼう、という約束をした後の話だ。

 彼女が急に呼び方について質問してきたのである。思わずタメ口で聞き返してしまった。

 

「リアルでの話ですよ! GBNでは、ほら……。ダイバーネーム+ちゃん付けじゃないですか。シロガネさんも若干気にしてたみたいですし」

「まぁ、うん。急に下の名前で呼ばれたらビビるでしょ」

「GBN上では私のロールプレイもあるので、その辺は変えられないですけど、リアルで会った時にシロガネさんって呼ぶの、ちょっと距離感じません?」

 

 言われてみれば、確かに。

 GBNでの彼女のロールは海賊のような粗暴な態度。

 姉御肌に近いのかな。それで年下にちゃん付けされるのは若干の抵抗はあるけどじき慣れるとは思う。

 でもリアルでは名字+さんは距離感で風邪を引いてしまうかもしれない。

 

「断る理由もないし、いいですよ」

「よかったー! なら、これからもよろしくお願いします、先輩!」

「う、うん……」

 

 この距離感が微妙に縮まった感がむず痒い。

 ソワソワするというか、肌の内側が痒くなるというか。

 まぁ、彼女がそれで納得するならいいか。

 

「そういえばアメリアちゃんのガンプラってどうなったんですか?」

「それ聞いちゃいます~?!」

「うわ、めっちゃノリノリ」

 

 いや~いやいやいやいや、へへへへ~!

 アメリアさんに手伝ってもらったのもそうだけど、あたしの中のガンプラ創作意欲が久々に爆発してしまったのだ。

 ガンダムアンタレスも確かに創作意欲マシマシだった時に作った自慢のガンプラだが、それはそれとしてだ。

 人にガンプラを作るというのはなかなか興味深い。

 

 どうすれば使いやすくなるとか、使い手の癖を考えながらとか。

 そういう事を考えていたら急に朝になっていたり、何故か寝落ちしてしまったこともあった。

 なんでだろうねぇ。多分楽しいからだろう!!

 

「試運転がちょうど今日なんです!」

「おお、結構あっさり行きましたね。もしかして先輩のビルダー力高めだったり?」

「まぁ、これでも一応……。……なんでもない、GBNでまた会いましょう!」

「え、なんでちょっともにょったんですか?! まぁいいですけど! それでは先輩、GBNでー!」

 

 あっぶな。調子に乗って過去のことを話すところだった。

 これを話すと本当に面倒くさく拗れそうになるから嫌なのに。

 最近はGBNを遊ぶ機会や人が増えてちょっと気が緩んでいるのかもしれない。

 すぅ、はぁ。ちゃんと自制はしなくちゃなぁ。

 

 ◇

 

 そんな感じで帰ってきて、ご飯を食べたらGBN。

 アメリアさんも一緒に完成したガンプラを手にログインしてみた。

 あたしも今日はアンタレスを持ち込みだ。

 

「エマさんと待ち合わせですよね?」

「そうそう。アメリアさんのガンプラのお披露目も兼ねて」

「……お名前、決めないとですよね」

「そうですねぇ」

 

 ギャン+ベギルベウのガンプラは仕上がった、とは言ってもそれはまだ全てが完成しているわけではない。

 あと1割。もう1歩。このガンプラには名前がないのだ。

 名前というのはなんでもいいのだけど、その『モノ』を現世に固定付けるために必要なもの。

 好きな食べ物の名前でもいい。でもオリジナルのガンプラにそんなちゃちな名前はつけられない。

 

 こればっかりはアメリアさんのガンプラということもあり、本人に名前をつけてもらおうと思っているのだけど、これがなかなか難航中と言った具合である。

 ペットの名前もつけたことがない彼女に、いったいガンプラの名前を付けられるのだろうか。

 あたしもいくつか案は考えているものの、最終的にはアメリアさんに決めてほしい。

 

 自分が動かすガンプラ、自分の愛機になるんだから。

 

「名前というのは難しいですね。後からどんどんとこれがいいか、あれがいいかと考えさせられます」

「そうなんですよね! アンタレスを考えた時もガンダムOOの世界観に合わせた名前がいいから天使系かな、もしくは神の名前とかから始まって、風貌とか戦い方とか、そういうのをひっくるめて考えて……。夜も眠れなかったです」

「おぉ……」

 

 ガンプラはね。完成した後もネーミングで悩まされるのだ。

 ネーミングセンスの有り無しは今後GBNをやっていく上で名前を知られたことで苦笑されないかとか、そういうのを考え出すとキリがない。

 かっこいい名前でも痛々しくなるし、可愛い名前だってガンプラの風貌によってはミスマッチな可能性だってある。

 なんだかんだでガンプラのネーミングって、めちゃくちゃむずくない?

 

「よーっす! って、キミらなんでそんな頭抱えてるのさ」

「ちょっと、ね」

「名前、名前、名前……」

 

 そんなところにエマさんが到着。

 悶々としてるところにこれだから、ちょっとごめんなさいの気持ち。

 

 事情を軽く説明すると、エマさんはとても頷いてくれた。分かってくれたか。

 

「あーしのガンプラも、名前どうするか考えたっけなぁ……」

「エマ様はどういう風にお決めになられたのですか?」

「あーし? うーん……。フィーリング……?」

「あー……」

 

 そっちタイプだったか。

 まぁでも。クロスボーンガンダムとジェガンでクロスガンはフィーリングって感じはする。

 じゃあギャン+ベギルベウかぁ……。

 

「フィーリング、ですか?」

「そっ! 何事もフィーリング! 感じたままの言葉を口にするってのはぁ、大事なことよ!」

 

 一理ある、か。

 アメリアさんがそっち方面とはあんまり思えないけど。

 

「つーかさ! 早くあーしにもアメリアちゃんのガンプラ見せてくれよ! ワクワクしながら待ってたんだぜ?」

「あー、そうだった。格納庫に行きますよ?」

「は、はい!」

 

 エントランスエリアでうだうだ悩んでても、通行人の邪魔になるだけか。

 ある意味フィーリングを得るために、まずは実物を見に行くのもいいかもしれない。

 

 ということで転送ワープからの格納庫へ。

 鉄の壁が並び立つところに3機のガンプラが並んでいる。

 1体はエマさんのクロスガン。2体目はあたしのガンダムアンタレス。

 そして3体目は……。

 

「これが、わたくしのガンプラ……!」

「そうです! ギャンを中心にベギルベウのパーツを各種散りばめて、大きなバックパックで空中戦にも対応。さらにアンチドートによる粒子系装備の無力化も図れる、というあたしにしては極めてシンプルに作ったガンプラですよ!」

「めっちゃ語りますね、先輩」

「ごほん!」

 

 それはロープレしてる後輩に言われたくはないのだけど。

 まぁそれはさておき。目の前に立つ白き騎士のガンプラは作った目から見ても出来が良い。

 白と紫というベギルベウのモチーフカラーを参考に、騎士らしくシルバーも使ってみた。

 何より左腰についてる実体剣のレイピアもいい出来栄えだ。これだけはフルスクラッチしたから、ちょっと時間がかかったんだよなぁ。

 

「……ベギャンベウ」

「ん?」

「そうです! ベギャンベウです! これがフィーリング! 頭の中にビビッときました!」

「ベギャンベウ……。ふぅん、いー名前じゃないか!」

 

 ベギャンベウ。ベギャンベウ。ベギャンベウ。

 ベギルベウの間にギャンを入れただけだけど、このしっくり来る感じ、いい。

 口当たりの良さもとてもいい。

 

「いいと思います。ベギャンベウ、これがアメリアさんの機体の名前です!」

「……っ! ベギャンベウ様、これからもどうぞよろしくお願いいたします」

 

 礼儀正しく、スカートの裾を軽く持ち上げ会釈する。

 アメリアさんのこういうモノを大切にするところは人もガンプラも変わらないんだなぁ。

 変だと言うよりも尊敬の念の方が近い。兵器よりも相棒として迎える、その接し方の違いが。

 

「どーしたんだい、ヒメリちゃん! んな難しー顔しちゃってさぁ!」

「なんでもないですよ。ただ、これはアメリアさんぐらいにしかない才能だなって」

「……。かもねぃ」

 

 挨拶もしたところだし、そろそろ軽く慣らし運転と行こう。

 実は舞台はもうすでに決めていたりする。

 アメリアさんは戦い方を覚えた。フォロー役としてエマさんもいる。

 ならやるべきことは1つでしょう!

 

「エマさん、アメリアさん。ちょっとヴァルガで暴れていきませんか?」

「へ?!」

「ヴァルガ! 以前行ったあの場所ですね!」

 

 デビュー戦は変なのに絡まれたからね。

 だったら2回目のデビュー戦はこっちから出向いてやろうじゃないか!

 久々に滾るファイター魂。こんな気持ち、もう捨てたと思ったんだけどなぁ。

 まぁ、アメリアさんの為ならやったりますよ!

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