プリンセスダイバーズ~GBNお嬢様クラブはこちらですわ!~   作:二葉ベス

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第18話:社交界のダンスはお好きですの?

 ヴァルガの中心部から外れた場所。あたしは勝手にエリア2と呼んでいるが、ここでも基本的には魑魅魍魎が跋扈している。

 

「あいっかわらず、激しすぎじゃないかい?!」

「まぁ、ヴァルガですから」

『剣と剣。いえ、銃口と銃口を向けたのでしたら、貴方方はすでにご友人! あぁ、ご友人! どうか私と一曲踊ってはくれまいか!!』

 

 両腕に火炎放射器。そして両肩には炎上型の誘導ミサイル。

 流石のあたしでも聞いたことがある。彼の名前はブルートゥース。炎と友人をこよなく愛するイカれたダイバーの1人。

 目をつけられたが最後、死ぬまで追いかけられるというヴァルガきっての変人。

 こんなやつと遭遇するのがエリア2であり、3分の壁を超えてもこういうやばいやつがぞろぞろ集まってくるんだ。

 

『クイック! クイック! スロー! スロー!』

「ひぃ!」

『クイック! クイック! さぁご遠慮なさらないで! 楽しく踊りましょう!』

「そーいうの、あーしらのアメリアちゃんには見せないでくれるかい?!」

 

 そう言ってエマさんのクロスガンが投げたのは、ハンドグレネード。

 着弾箇所にはブルートゥースが駆けるミーティアユニットを改造した『ミートゥース』の吐く火炎。

 もちろん投げて、当たれば、爆発する!

 

『グレイトっ! 素敵だっ!』

「けぇっ! 気持ち悪い!」

「でも実力は本物、ですね……」

 

 仮にもミーティアユニットを単体で運用しているだけあって、実に速い。

 振り切れないし、追いつけるはずなのに、追いつきそうにない距離で永遠と後ろを追ってくる。

 懐に入れなければ、恐らく待っているのは死あるのみだろう。

 

「アメリアさん、エマさん。あの人の懐に入れますか?」

「えぇ?! さ、流石にむ、難しいです!」

「あーしもちっと頑張んないとむずいかな」

 

 となると現状リソースを切るとしたらあたしか。

 よし、やるしかないな。

 

「あたしがあれをやります。2人は援護を!」

「えぇ?! あの大きいのと戦うのですか?!」

「マジ?! ま、任せたよ、ヒメリちゃん!」

 

 2人の了承ももらった。となればあとはこいつを確実に仕留めるだけ。

 問題なのはミーティアのビーム砲部分を改造したあの火炎放射器。ここで、落とさせてもらう!

 

「ミサイル、ビームもヘビーも、行っとけフルバースト!」

 

 あたしは上空へ飛び上がり、両肩のミサイルと両手に持ったマシンガン2丁を手にフルバーストモードへと移行する。

 ただの全弾発射なんだけど、それでも相手を釘付けにするには十分だ。

 もちろんこの攻撃、全部受ける訳にはいかないでしょう?!

 

『おぉ! 嘘つき姫よ! 私と踊ってくれるのか!』

「そのあだ名、あたしは嫌いだよ!」

 

 火炎放射器を横に薙ぎ払えば、ミサイルとヘビーマシンガンの弾が炎に焼かれて燃え付けてしまう。

 最小限でビームを防げば、この攻撃は無力化出来た。さらには誘導弾も発射して迎撃。

 と、そう過信しているんだね?

 

 まずはその誘導ミサイルの口を割らせる!

 

『おお? 誘導弾破損?』

「次は火炎放射器!」

 

 物理的にGNビットシールドで貫通させ、誘導ミサイル発射口を爆散。

 続いて火炎放射器本体を狙う。これは流石に許してくれないだろうが、こっちも許す気はない。

 

『そんなビットでは、このミートゥースには!』

「ところがぎっちょん、ってね!」

 

 注意が散漫になった瞬間を見て、接敵。

 火炎放射器左側を切断すると、大きな爆発と炎上が発生する。

 追撃するようにベギャンベウとクロスガンのビーム攻撃群がミートゥースへの着弾を許してしまう。

 

『うぉおおおおお?!』

「次はここっ!」

 

 ビームマシンガンの銃身下部に装備されたビームナイフでエンジン部分まで強引に切り込みを入れ、2機あるエンジンユニット1箇所を破壊する。

 

『レッドアラート?! これは!』

「最後! 持ってけぇ!!!」

 

 破壊した傷口に塩を塗り込むように、ミサイル群と各種マシンガンを叩き込む。

 大きな爆発とともに、空中から地上へと沈みゆくミーティアユニットを見て、なんとかなったと一段落するのだった。

 だが、ミーティアといえば操作する何者かが存在する。

 第2形態。けたたましいエンジン音とともに飛び出してきたのはシンプルな装備のバスターガンダム。

 否、持っているのはバスターじゃない。チェーンソーだ!

 

『嘘つき姫、私は喜ばしい! 貴方のような良い踊り手と一曲交えれるのだから!』

「だからその呼び方、嫌いなんですけど!」

 

 飛びかかるチェーンソーを避け、その後ろをヘビーマシンガンの銃口で追うが追いつかない。

 流石に2回目はないか。獣じみた行動で空に浮かぶあたしを狙い、グレネードランチャーを向ける。

 

『スロー! スロー! クイック! クイック……っ!』

「そんな見え見えの攻撃!」

 

 銃口が向いてるなら、その先は危険地帯。

 なら避ければいい。幸い機動力は高いのだから!

 グレネードが射出されたが、すぐさま回避し横を通り過ぎる。

 その隙は、大きいんじゃないの?!

 

「チェェェェェェストォォォォォォオ!!!」

『ヌッ?! 1対1のダンスをしているというのに、無粋なご友人!』

「海賊には、関係ないね! アメリアちゃん!」

「はい!」

 

 ベギャンベウがいつの間にか後ろに回り込む。

 そしてレイピアの剣先がコックピットを捉えたと思えば、一瞬だ。

 躊躇いなく貫かれたアンブッシュをミートゥースが受け止めると、青いデータの塵に消えていった。

 

「はぁ……。何だよマジであいつ。デタラメすぎかっての」

「でもヒメリ様の戦うさまは流石です」

「だねい。ちょっと気になる点はあるけど」

 

 いつまでも隠し通せるとは思ってないけど、流石に言う人は言うよね。

 2年前の噂を聞いたことがあるダイバーなら……。

 

 そんなときだった。一陣の風とともに何かが通り過ぎる音が聞こえたのは。

 そして感じるのはとてつもない殺気。分かる。この殺気を前にとっさにヘビーマシンガンを構えた。

 

『腕が落ちましたね、地獄姫!』

 

 振り抜く黄色い剣筋。ヘビーマシンガンの銃身が受け止めると、そのまま力任せにヤツはその剣を振り回した。

 思わず体勢を崩すも、このダイバー相手には絶対そんな隙を見せてはいけない。

 吹き飛ばされるフリをしながら、左手のビームマシンガンとミサイルで応戦する。

 距離を取りながらも、2人がいる方に戻ると唖然とした様子で目の前の白い騎士のような見た目をしたシナンジュを目にする。

 

 シールドで防いでいた彼女はゆっくりと、盾をおろした。

 

『まさか復帰しているとは思いもよりませんでした』

「そっちも、相変わらずで何よりですよ。地獄の門番さん」

「えっと……。あの方は……?」

「こーれは、修羅場の予感……」

 

 現ランカーであり、個人ランキング459位の猛者。

 そしてあたしの昔の知り合い。なーんでこんなところにいるんだか、ミレイナさんは。




AC6のブルートゥじゃないです
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