プリンセスダイバーズ~GBNお嬢様クラブはこちらですわ!~   作:二葉ベス

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まだあらすじにしか出てない子がいますが、第2章です


第2章:あなたはELダイバーというのですね
第21話:リーダーはこのわたくしが務めますわ!


 あたしが長期間誰かと行動するのは極めて稀だ。

 そう考えると自宅にいるアメリアさんは置いておいても、バイト先の後輩というだけのエマさんはかなり珍しい存在なのかもしれない。

 

 あたしの元マスダイバーの話がエマさんの中で一段落ついたところ。

 だいたい数週間経った頃だろうか。突然彼女が唐突にこんなことを口にした。

 

「そういえばフォースとか作らないんですか?」

「あー……。そういう機能ありましたね」

 

 仕事とは言ってもいつも忙しい訳ではない。

 お客さんがいないタイミングでカヤバさんと雑談していると、不意にそんな話が飛んできた。

 

「まぁ、先輩人見知り激しそうですもんね」

「人見知りじゃない。ただのコミュ障なだけ」

「自慢することじゃないと思いますよ」

 

 まぁ、そうかもしれない。

 基本は1人活動。たまに群れても疲れると感じてすぐさまパーティが解散。なんてことがしょっちゅうだ。

 フォースに入るなんてこと、考えてはいなかったけど。フォースかぁ……。

 

「まぁ、アメリアさんとカヤバさんとなら……」

「ホントですか先輩! んじゃあバイトが終わったら早速申請しにいきましょうよ!」

「うわ、ノリノリ」

「いいじゃないですか、こういうのなんか青春みたいで!」

 

 あたしの青春は模型部で消えていた気がする。

 う、思い出したら涙がポロリ。

 こんな性格だからソロ専門みたいなところあったしなぁ。

 

 気まぐれには悪くないメンツだし、あたしのことも大体分かってくれているはずだ。

 たまにはそういうのにノッても悪くはない。

 

 ということでバイト終わりで解散。そのまま自宅に直行後、アメリアさんにいろいろ伝えることとなるのだが……。

 

「フォースとは、いったいどんなものなのでしょうか?」

「あー、えっと……。ネットゲームのギルドみたいな」

「ギルドとは……?」

 

 という具合に意外と説明するのに時間がかかったのは言うまでもない。

 忘れてたけど、この子って本当に世間知らずのお嬢様なんだよなぁ、と再確認する。

 そこがたまに傷で、たまに愛らしいところではあるのだけども。

 

 さっくりご飯を食べた後で、GBNにログインするとエマさんが腕を組んで待ってた。

 その格好で待たされると若干怖いっていうか。威圧感を感じてしまうのはどうしてだろう。

 

「ごきげんよう、エマ様!」

「これはこれは、ごきげんようアメリアちゃん!」

 

 アメリアさんに習ってか、チャイナドレスの裾を少し引っ張ってお辞儀をするエマさん。

 それちょっとスリットから太ももが見え隠れするからやめておいた方がいい。その辺の豚ダイバーがふんすふんすしてるから。

 ま、矛先があたしじゃないならいいか。

 

「よっす、ヒメリちゃん!」

「なんか扱い雑じゃないですか?」

「ヒメリちゃんはそういう感じでいいだろう?」

 

 良くないが? もっと先輩として立てていただいて……。いや面倒くさいからいいや。

 上下の立場ほど面倒極まるモノないし。その点エマさんのこの雑な絡み方が逆に助かるのかもしれない。

 あたしも雑に会話していこうと思う。

 

「よーし! じゃあ早速フォース申請でも出しますか!」

「リーダーはエマさんでいいですよね」

「そこはヒメリちゃんじゃあないのかな?!」

「いや、あたし面倒だし。こういうのは1番やる気者がやるべきでしょ」

「くっ……」

 

 面倒そうだからって、あたしに投げようとしたなこいつ。

 

「あの。それでしたらわたくしがふぉーすりーだーなる者を担当させていただくのがよろしいのでは……?」

「それはダメです」

「あーしも反対」

「そ、そんな……」

 

 しょぼくれたアメリアさんも可愛いっちゃ可愛いが、胸の奥で良心が傷んでいるのでなんとか慰めることを優先しよう。

 

「えーーーっと、その……」

「ダメ、なのですか?」

 

 くぅ! そんなうるうるとした子犬のような目であたしを見上げないでくれ!

 良心がずたずたに引き裂かれるっ! はぁ、仕方ない。やるしかないか。

 

「分かった! 分かりましたから! あたしがやります! リーダーやります!!」

「よっしゃ!」

「で、でもよろしいのですか? 先ほどは面倒と仰っていた気が……」

「き、気が変わったんですよ! はい!」

 

 ま、まぁ。多分率先してフォース戦とかはしないだろうし、フォースランキングもあたしがいる関係上除名扱いになるはずだ。

 だからサクッとぱぱっと、決めたらぐーたらしよっと。

 

「……あの。すみません」

「はい、なんでしょう?」

 

 さぁて、いざフォース登録しようとしたときだった。

 おずおずともう一度手を上げるお嬢様。

 え、何かやばいことした? もしかして打首られますか?!

 

「フォースってDランクから参加可能なコンテンツですよね?」

「あれ、そうだったっけ?」

「あー、確かそんな気がする」

 

 あたしがDランクだった時って何してただろうか?

 少なくとも黙々とフリーマッチしてたし、ダイバーポイントを楽しく稼いでいた気がする。

 元々ソロ勢だったし。ぼっちじゃないもん!

 

「わたくし、まだEランクなのですが……」

「「!?!?!?!?!?!?!!?」」

 

 え、嘘でしょ?!

 アメリアさんがまだEランク? うそうそ。そんな、絶対Dから上の実力してるって!

 ほら、ステータス画面もEランクって……。

 

「ホントにEだ……」

「あーしもてっきりCぐらい行ってるもんかと……」

「す、すみません。わたくしが不甲斐ないばかりに……っ!」

「「な、泣かないでー!!」」

 

 このお嬢様を泣かせてしまったら、最悪エマさんまで打首になりかねない。

 あとでナツメさんにこいつがやりました、と告げ口しておくことにしよう。あたしは悪くない。

 というのはさておき、うるうる涙目のところをなんとか抑えてもらって残りのダイバーポイントを確認することにした。

 

「ふーむ。これならすぐにでもDランクにはいけるかな」

「そうなのですか?!」

「うん、あとミッションを2,3周ぐらいでランクアップできそう」

「でしたら早速しましょう! ミッションはこちらで!」

 

 お、おぉ。もう探してくるだなんて。

 えーっとなになに~?

 

「お、お嬢様ミッション……?」

「うげ、これ……」

「エマさん、知ってるんですかこれ?」

 

 お嬢様ミッションだなんて、ミッションばかり周回していたあたしでも聞いたことのない代物だ。

 お嬢様でミッションってもう何だって話なんだけど、よりにもよってRP勢のエマさんが反応するっていうのが、なんというか。嫌な予感がする。

 

「……なりきりミッションっていう、ロールプレイが重視されるミッションだねい」

「……んん?」

 

 ロールプレイが重視されるミッション……。

 

「は?! ロールプレイが重視されるミッション?!」

「だからこのときだけはお嬢様っぽいロールプレイをしないと……」

「し、しないと……?」

「機体にダメージが入って最悪乙る」

「はぁ?!」

 

 なんて、え?!

 なんでそんなトンチキミッションがあるの?!

 いや聞いたことがあったようななかったような。というかなかったことにしたいような。

 聞いているだけで羞恥心が込み上げてくる。今すぐこのミッションはしないと言わなければ!

 

「アメリアさん、そのミッションは……」

「はい! 受注しました!」

「…………」

 

 わー、やだなーこわいなー。

 こうしてあたしたち3人はお嬢様ミッションなる、謎のクエストに進むのであった。

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