プリンセスダイバーズ~GBNお嬢様クラブはこちらですわ!~   作:二葉ベス

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第22話:お嬢様カップですわ!!!!

 お嬢様ミッション。

 何だそりゃと思う人は多いが、あたしもそうだ。

 一応クリエイトミッションの1つらしいんだけど、内容は『お嬢様らしくたれ』という謎の文言。

 意味がわからない。意味が分からなさすぎて、今からそのミッションの地に赴きたくないのだ。

 

 まぁ、ダイバーポイントの羽振りが良すぎるので行くんですけどね。

 

「おーーーーーーっほほほほほほっ!!!!! よくぞおいでなさりましたわお嬢様方!!!」

「「…………」」

 

 エマさんと顔を見合わせて思った。

 これゲーミングのお嬢様なのでは???

 

「わたくしは当お嬢様ミッション『ドキドキダイバーズおレース遊戯』の主催をしております『J-O-(じょーおー)』ですわ!!」

「……あぁ。あたしたちが参加するダイバーで、あたしはヒメリ。こっちがエマさんで、この子が……」

「ご紹介に預かりました。アメリア、と申します」

 

 こんなお嬢様にも動じることなく華麗にスカートを軽く広げてご挨拶。

 まぁなんというお嬢様力なの。というかお上品。お嬢様のお嬢は上品から来ておりますのね!

 じゃない。あたしまでお嬢様言葉になってどうするのさ。

 

「まぁ~! まぁまぁまぁまぁ!! なんてお嬢様スピリッツのある子なの?! このJ-O-(じょーおー)、感動しちゃいますわ!!」

「感謝の言葉、身に余る光栄です」

「キャ~~~!!」

 

 そこにいるほぼ女オタクと化しているお嬢様モドキは置いておいて、他の参加者を遠目で見る。

 お嬢様。お嬢様モドキ。着慣れないドレスにもたつく女子。同じく男子。モヒカン。これ本当にお嬢様ミッションでよろしくって?

 

「あの、ミッションの説明してもらっても……」

「あ~そうでしたわね! コホン。皆様がた揃ったようですので、説明の方をさせていただきますわ!」

 

 内容は意外とシンプルなものだった。

 2年前に行われたナデシコアスロンとだいたい同じようなレース形式の大会ミッションらしい。

 シンプルに決められたコースを走り、その順位に応じてダイバーポイントを譲渡する、というものだ。

 1位はもちろん、3位以内に入れればDランクに昇格できるだけのダイバーポイントを獲得することが可能。初心者救済イベントなのは間違いないんだけど、さぁ……。

 

 問題はその特別ルールについてのものだった。

 服装はドレスでなければならない。ドレスでないものは参加することもできない。

 アメリアさんはともかく、あたしドレス衣装のアバターとか持ってなかった気がするんだけど……。

 

 待って。あのモヒカンもドレスを着るって、こと……?!

 

「ヒャーーーーハーーーーーー!!!! ドレスチェーーーーーンジ!!!」

「あ……」

 

 本当にドレス衣装に変わった。筋肉隆々な両肩と両足。それからキレイに整列されたモヒカンヘアを見せびらかして。

 え。まって。この中じゃあたしが1番参加資格ないの? 本気?

 

「くっ!」

「ヒメリ様?!」

「え、どしたのヒメリちゃん?!」

「……っ! あたしはモヒカン以下……っ!」

 

 膝を付いたし、何だったら悔しすぎて泣きそうだった。

 否。惨めだった。こんなのが参加できて、あたしはお嬢様力が足りないばかりに参加できないだなんて……っ!

 

「あの、ヒメリ様」

「は、はいぃ……!」

「こちらをお使いください」

 

 そう言って差し出してきたのはトレード交換の機能。

 甘んじて承認すると、1着のアバターパーツが交換に出された。え。もしかして……っ!

 

「こちらを使ってください。ヒメリ様にお似合いだと思うので」

「あぁ……。天使……」

「なんか変なテンションになってるな先輩」

 

 しょうがないだろ! 施しの相手が本物のお嬢様なんだから!

 とにかくアバターパーツを借りたので、そのままドレスアップ!

 さてまぁ。あたしに似合うようなドレスっていったいどんなものになるんだろうか?

 改めて着用したドレスを見る。白い。……ん?

 

 ちょっと左右に身体を振ってみる。

 白。白いフリル。白いフリル。白?!!!

 

「え、あの……」

「ヒメリ様は黒い髪をしていらっしゃいますので、白いドレスがとてもお似合いです!」

「ア、アメリアさん……?」

「お気に召しませんでしたか……?」

 

 いや、いや。なんていうか、ですね……。

 えーっと……。あたし今年で24歳なんですよ。

 そのほぼアラサーの地雷系女子がこんな純白の、まるで結婚式に着るようなドレスを着させられると、その……。

 

「いーじゃん! ヒメリちゃんかわいいよー!」

「う、うるさい!!」

 

 恥ずかしいんですが……。

 

「よし、あーしも、と!」

 

 軽い感じでチャイナ服を改造した海賊衣装から、純粋なチャイナドレスへとチェンジする。

 え、それありなの? じゃああたしもあれにしたい! 露出肩とスリットだけでいいし!

 

「さぁ、始めましょう」

「おおっ! エマ様のお声が変わりました!」

「……腑に落ちないところはまぁいろいろあるけど、いっか」

 

 ということで出揃ったのがこの8人。

 もちろん妨害あり。だがそこは淑女らしく、というのがモットーらしい。

 各自ガンプラに搭乗する。今日もあたしはガンダムアンタレスで挑む。

 兵器らしさ満点でもガンプラに関しては変えが効かないので別にいいとのことだった。

 

 相手はいつもの世紀末仕様ザクにSFSを装備したモヒカンのガンプラ。

 それから可変機であるガンダムエアマスター。リペイントして純白に染まっている。

 さらには、トールギス。何故かボール。そして端の方には……え?!

 

「モビルドール?!」

「珍しいですわね、ELダイバーなんて」

「エマさんの喋り方こそバグるからやめてほしい」

「ELダイバー様ということは、あの方が……」

 

 あー、そっか。流石にELダイバーについては知ってたか。

 そう。ELダイバーとはこのGBNに生まれた小さな命。電子生命体と言ったところだ。

 その詳細はあまり解明されていないものの、放っておけばバグとして処理されかねないため、ELバースセンターなるところへ連れていき、必要な手順を行う必要があるらしい。

 

 もちろんあたしはこれに関しては知らないし、珍しい以外の感情を抱かなかった。

 自分がELダイバーと関わる機会があるとは思えなかったからだ。

 

 そんな彼女はサンタクロース? のような風貌だった。

 バグゥをトナカイとするなら、サンタがかのELダイバーでソリがなんだか物騒なものを載せている乗り物だった。

 ちらちらアサルトライフルとかロケットランチャーみたいなのが見えるんですけど。

 

『なんですの? 人のことをジロジロ見て。気色悪いですわよ!』

「あ、ごめん……」

 

 あたしが判断したお嬢様モドキ。確かあの子の名前、コロンだかなんだかだっけ。

 物騒なもの背負ってたし、とりあえず覚えておこう。そうしよう……。

 

「それではお嬢様方、ご準備はよろしいかしら?」

 

 言葉は不要と言うばかりにガンプラのエンジン音で合図をする。

 まぁなるようになるか。いざとなったらこっちもトランザムを切ればいいし。

 でも。できればアメリアさんが1位になってほしい。あたしの妹みたいな子が金のトロフィーを持って笑うのが見たいのもそうだし、フォースのことだって。1番積極的に参加したがっていた。

 ならアメリアさんが優勝できるように、あたしも頑張らなきゃ。

 

「それでは、ドキドキダイバーズおレース遊戯『お嬢様カップ』、いざ開始ですわ!!!!!」

 

 カウントが10から刻む。

 すぅ、はぁ……。今日は優勝を狙わない。こっちはこっちでお嬢様のふりをしながら周りを蹴散らせばいいのだから。

 

 3、2、1……。

 

「アメリア、ベギャンベウ。頑張ります!」

 

 0の合図とともに、全機が一斉にスタートした。

 狙うはゴールとダイバーポイント! 全部根こそぎもらっていきますよ!




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