プリンセスダイバーズ~GBNお嬢様クラブはこちらですわ!~ 作:二葉ベス
コントロールレバーをフルスロットルで引き上げる。
GN粒子も圧縮された後に、爆発的に噴火した。
『ヒャーーーーハーーーーーー!!!! お先をお邪魔いたしますわ~~~~~~!!!!!』
『させませんわよ~~~~~~!!!!』
『許しませんわ!!!!!』
「……え、何この地獄」
『お嬢様カップでは全員お嬢様言葉でなくてはなりませんのよ!!!』
お嬢様言葉? え?
本物のお嬢様であるアメリア様はそんな汚らしいお言葉使いませんことよ!!!
って、これは多分ゲーミング的なあれだろう。
だんだん見えてきた。このネタゲーミングお嬢様ミッションの正体が……!
「エマ様!! とんでもないクリエイトミッションをご用意いたしましたわね?!」
「ヒメリ様?! これをご紹介したのはアメリアお嬢様ですわよ!!」
「皆様方、突然どうかなされたのですか?」
あぁ、ここに無垢なるインターネットに染まっていない民が……っ!
泣けてくる。こんなにも純粋で光り輝くものがあたしの中にもあったんだろうな。
今あるのは血で血を洗った汚れた黒いブレイクデカールに染まってしまった心だけ。なんということか。こんなところでブレイクデカールのブラックジョークを口にするとは。
さて、冗談はさておき。
あたしはアメリアさんが勝ってくれれば他全員が脱落しても構わないとさえ思っている。
秘匿回線でエマさんにその旨のメッセージを載せても、同じ回答が帰ってきた。
なら、やることはたった1つ。皆殺しだ。
「なんでもありませんことよ! エマ様、前衛は任せましたわ!」
「よろしくってよ、ヒメリ様!」
『てめぇら! やるっていうんなら、まずはわたくしとお相手いたしてぇ~~~~~~!!』
最初に喧嘩を売るのは……。失礼いたしましたわ、お茶会に誘うのは世紀末ザク様。
ヘビーマシンガンで照準を合わせたところ、あちら側もお茶会に誘ってくださるそうなの。
鈍色で重たい弾丸、もといチョコレートを差し上げると、SFSで華麗に避けていく。そうね。そうなりますわよね。そうさせるように仕向けたのですから!
「そぉ~れ! ピーコックスマッシャーですわ~~~~!!!!」
『なんとぉ~~~~~~!!!!!』
本命はエマ様のピーコックスマッシャー。
ただこれも強引に回避。器用にもSFSを空中で宙返りさせてからビームマシンガンの連射。
流石にそれぐらいは避けて差し上げますが、なかなか巧みな技ですのね。少し惚れ惚れいたしますわ。
『そんな予感はいたしましたが、早速乱闘ですの?!』
『ヒ~~~~ハ~~~~~~!!!! これはお茶会だぜ……わよ!』
『無理やり過ぎます、わっ!!』
『ちょっ!? こっちにドーバーガンを……うわぁああああああ!!!!』
と思ったら、横からちょっかいを掛けてきたトールギスのドーバーガンが命中。
SFSに被弾したモヒカンお嬢様はその場でSFSを手放し、足で速度を稼がなければならなくなった。
ホバークラフトで急いでのんびり疾走中のアメリア様よりも足が遅くなった。これでまずはライバルが1人脱落。
問題はトールギスとガンダムエアマスター、それからELダイバー。どれもも速度に特化した機体だ。
トールギスは振り返りからのドーバーガンがあったからか少し遅れが出ている。ELダイバーの方はバクゥでソリを引かせているからか、少し遅いみたい。究極的にはエアマスターの独走状態だった。
ボールは……。なんかトロトロしてるし、問題はこの2機になった。
「お二方、あの。これってレースでは……?」
「何を仰っているのですか、アメリア様! GBNでのレースは妨害しかありませんのよ!」
「……治安が悪いですね」
ほら、本物お嬢様が絶句してましてよ!
GBNの治安はチンパンジーマウンテンと同一ですわ!
トールギスは視認圏内。ならば先にこっちを落として素直にレースに戻る。
だからアメリアさんの血肉となれやぁ!!
両肩のミサイルポッドを起動、目標をトールギスに定め、放つ!
『ちょっ?! マジですの?!』
『まるで無法者のサル山ですわ!』
襲い来るミサイル群にトールギスのスーパーバーニアが起動する。
思っているよりも速い。おそらく極限まで重量を減らし、かなり速度には自信があると見ていいだろう。
ミサイルが追いつかない程度には速いのと、爆雷と言わんばかりに後方に細かいミサイル群が迎え撃つ。
それは流石に聞いてないんですけど?!
『えっと、えーーーっと! あった! 散弾バズーカ!』
「ヒメリ様!」
「かしこま!」
あたしのミサイルが撃ち漏らしたトールギスのミサイルをあたしは1個1個撃ち落としていく。
ELダイバーの方は散弾バズーカで強引に突破。あっちもやるようだ。どこからその散弾銃を持ってきたのかは謎だけど。
さてどうするか。ここでトランザムを切るのもやぶさかではない。
ただトールギスの速度はかなり凶悪だ。その上、蓋をするようにミサイルも飛んでくる。
さらには不明瞭なレース重視のエアマスター。同列のELダイバーさんもライバル視するのであれば、とてもじゃないが3分で決着が付くものではない。
仕方ない。ここは別の手段を使う。
「もし? そちらのELダイバー様。コロン様でよろしかったかしら?」
『なんですの? 今のわたくしとあなたは敵同士でしてよ!』
まぁ、それはそうなんですけどね。
でもあたしがしたいのはそういうちょっかいだけではない。
「わたくしがしたいのは、交渉ですわ」
『……どういうことですの?』
「わたくしたちで協力してトールギスとエアマスターを潰しますの」
あたしが言いたいのは至って単純な話だ。
先頭を走るエアマスター、それからトールギス、ボール。後ろから追ってくる世紀末ザク含め、全7機をうまくいなして1位になるだなんてのは、元459位だったあたしでも無理な話だ。
だから交渉をする。コロンさんにとっては敵が一気に3人減る。
あたしとしては怪しい装備をしているソリがあまりにも脅威だった。
なら、脅威の元と交渉して少なくとも敵同士ではなくすこと。
バトルロワイヤルでは常套手段。理性のないヴァルガ民ならともかく、こういう話が聞く相手なら通じるはずだ。
さぁどう出る。
『……なるほど。そういうことですのね』
「どういたしますの?」
鳴り響くのはエンジン音と粒子音。それから地面を駆ける音。
頼むから首を縦に振ってくれ。でないと恥を晒しただけでダイバーポイントも取れずに気まずい顔をしながらアメリアさんと向き合わなければならない。
『いいですわ。元々このレースに勝敗など興味はありませんでしたの』
「なら交渉成立、ですわね!」
「うーし! それじゃあ目指すは1位のみ! 行くぜ~……わよ」
「調子に乗りすぎですわよ、エマ様!」
アメリアさんが置いてけぼりだけど、それは一旦置いておく。
まずはエマさんとコロンさんで、正面の敵をぶっ倒す!