プリンセスダイバーズ~GBNお嬢様クラブはこちらですわ!~   作:二葉ベス

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第25話:わたくしたちのフォース名はこちらですわ!!!

「見事なご遊戯でしたわ! 優勝はコロン様!」

 

 どこかのお嬢様を金トロフィーにしたような悪趣味極まりない商品を笑顔で持っているコロンさん。

 あたしとしては相当気分が悪いっていうか。やってくれたなこのELダイバー感がすごいのだけど、ヴァルガに行ったあとだと斬った刺されたなんて、本当に些細な問題だ。あたしはこの問題を広ーーーーーーーい心で受け入れるとしよう。

 

「レースで騙された瞬間はかなり無様な顔でしたわね! おーーーーーーっほほほほほほっ!!!!!」

 

 とは言え、自分を指さされて笑うのは結構腹立つ。

 静まれ~! 静まれ~! あたしがこの中で1番大人。多分大人なんだ……っ!

 

「ですが! 最もお嬢様度が有頂天でしたのは、アメリア様ですわね。特賞としてダイバーポイントとプラチナお嬢様トロフィーを差し上げますわ!!!!」

「ありがとうございます」

「え、聞いてませんのよそんなの?!」

 

 おぉ~! レース優勝のコロン様の顔が大いに歪んでおりますわぁ!!!!

 とてもお気持ち最高ですわねえええええええ!!!!!

 

「先輩、めっちゃキモい顔してますね」

「あたしの顔を見るな後輩」

 

 両手でクニクニと顔をもみほぐす。

 さて、嬉しそうに笑っているアメリアさんに一言ご褒美の言葉を挙げなくちゃ。

 何がいいかな。思いつかないし、シンプルにおめでとうでいいか。

 ベストお嬢様賞としてはしゃいでいるアメリアさんに近づくと、何故だか知らないが彼女がガチガチに緊張し始める。なんだなんだ急に。

 

「おめでとう、アメリアさん」

「ありがとうございます、ヒメリ様……」

 

 頬を赤らめているというか、うつむいて何か考え事をしているかのような。

 そういう仕草を美少女にされると、めちゃくちゃかわいいんですが。

 

「あのっ!」

「は、はい!」

 

 あたしの方まで固まっちゃってるし。

 この鬼気迫る感じで上目遣いされたらときめくというか、あーなんかもう! 最近アメリアさんを見ると、胸の奥の方からこう、キュンキュンと。湧き上がってくる感覚がダメだ。あたしの方まで照れてしまう。

 

「な、なんでしょうか?!」

「えっと。その……。あはは、なんで緊張してるのでしょうね。なんでもありませんので。あはは……」

 

 そこまで言って自分から手を引っ込めるのはどうなんですか、アメリアさん!

 これも淑女の照れだとでも言いたいのか。いや、でも……。

 あたしはあたしで、この歪んだ。というより青い春のときめきが頭によぎってしまうのが良くない。

 8歳下に青春感じちゃうのは、流石に……。

 

 ってそういう話じゃない。えっとえっと。

 

「アメリアさん!」

「は、はい!」

「何か、こう。欲しい物とか、ありますか?」

「……え?」

 

 まぁ、なんというか。

 頭を撫でたり、手を握ったり。そういうことをする間柄ではないから、お嬢様なりにも何か欲しい物があったらそれを買おうと思ったのだ。

 ただあたしの手持ちのお金と要相談になってしまうけれど……。

 

「やっぱり、ご褒美とか。欲しくないですか?」

「…………」

 

 あれ、この反応。もしかしてあたしなんかしちゃいました?!

 

「……ふふ」

「あえ?!」

「いえ、そう言ってくれる人もいなかったなぁ、と思いまして」

 

 ひょっとしたら、と思うことはある。

 けれどそれを口にするのは控えようともしている。

 あまり、芳しくない環境にいたんだろうな、ということを。

 

「そうですね……。うーん……」

「やっぱりいらなかったり……」

「いえ、わたくしは欲しい物があまりなくて。ですから他の方に遠慮しがちで」

 

 桜芽財閥のお嬢様。なんて、他の人から憧れる対象だろう。

 だけど欲しい物がなく、他人に遠慮してしまうなんておかしい、よなぁ。

 詮索するのは後にしよう。まずは何かを用意しなくては。えっと、えーっと……。

 あ、そうだ!

 

「じゃあ明日! 明日コンビニに行きましょう! あたしが奢ってあげます!」

「……おぉ!」

「コンビニって。ヒメリちゃん、何買う気?」

「もちろん、アレですよ。アレ」

 

 深夜のコンビニなんて悪い子がいるあまり行きたくはないから日付を変えたけど、流石にアメリアさんがうちの家にいるだなんて言いたくないしなぁ。

 

「あのぉ。イチャイチャつかれてるところ申し訳ないのですが、そろそろ帰ってもよろしくて?」

「何? 寂しいの?」

「は、はぁ?! バカ言いなさいませ! 寂しいとか、全く全くこれっぽっちも感じたことありませんわぁ!!!」

 

 エマさんがコロンさんをイジってる。

 あんな事があったというのに、心がお広いことで。

 いや、逆か。イジメたくなったのかもしれない。この古典的金髪縦ロールのお嬢様ELダイバーを。その気持ち、よーーーく分かる。ちょっと小突きたくなるよね。

 アメリアさんの前だからやらないけど。

 

 J-O-さんに軽く挨拶をして、あたしたちはその場を立ち去った。

 さて、ダイバーポイントはどんなもんか。

 

「わあ! 行きました! Dランクになりました!」

「おめでとうございます!」

「いやぁ、おめでとうおめでとう! これでやっとこさフォースが作れるよー!」

 

 ここまでの道のりは長かったようで……。うん、長かった気がする。

 まるで小説で言えば現在第25話連載中で、普通の小説では10話ぐらいでフォースを結成しているところこんなにもかかってしまったみたいに。

 ヴァルガ行ったりヴァルガ行ったり、お嬢様レースに行ったり。本当に大変だった。

 だけどようやく一段落だろう。フォースを作ったら自ずと気が抜けるだろうし。

 

「あ、あの!」

「ん? ……げっ、さっきの」

「げっ! とは失礼な!」

 

 いやだって。もう別れて二度と会うことはないだろうと思っていたELダイバーに、さっきのレースの覇者コロンさんが付いてくるとは到底思わないじゃないですか。

 

「だってさっきは良くも出し抜いてくれたし」

「いや、あれはその……。そう! 戦略! そういう戦略ですわ!」

 

 まぁそういうことにしておこう。

 こういうネタはあまりおちょくりすぎるのも良くないし、面白くもない。

 ただ、何故あたしたちに付いてきたのかが分からなかった。

 

「んで? あーしらに何の用?」

「あー、えーっと。ですわね? ……その」

 

 困っているご様子。文句があるという感じでもないし、かと言って友好的な何かを結ぼうとしてるかと言われたら分からない。

 ただ何か戸惑っているようにも見える。この感じ、さっきも味わった気が……。

 

「コロン様、でしたよね?」

「あっはい。そうですわ! わたくしこそ高貴でありながら美しく優美たる『お嬢様』の概念から生まれたELダイバー。その名も『コロン』ですわ!!」

 

 あ、そうだったんだ。てっきりゲーミングの方がついているのかと。

 

「わたくしはアメリア、と申します。わたくしたちに何か聞きたいことがあるのですか?」

「あー、えっと。そう、ですわね……」

 

 また再び沈黙してしまうコロンお嬢様。さっきの威勢はどうしたどうした。

 でもアメリアさんが声をかけた理由はなんとなくわかった。

 そして彼女への違和感の正体も。仕方ない、大人であるあたしがその手を引っ張り上げてやるか。

 

「フォース、一緒に入りたいんですか?」

「! どうしてそれを……」

「なんか、入りたそーな顔、してたので」

 

 多分あたしたちの何かが琴線に触れたのだろう。

 コロンさんは多分だけど、あたしたちが新設するフォースに入りたがっているような気がしたんだ。

 そうでなくてもフレンド申請とか、そういう親しくなりたがっているアレソレだ。

 内気なお嬢様というのは、どうしていつも自分のことを口にしないんだか。

 

「お、なるほど! いーじゃん、あーしら4人でフォース作っちゃお!」

「……よろしいのですか?」

「むしろ断る理由はないし。アメリアさんも、きっとそう思ってますよ」

 

 うんうん、頭を上下に振っている。

 照れくさそうに指遊びするのが子供らしくて可愛い。

 ま、そういうことならさっさと申請して、逃げられないようにしないと。

 

「じゃあ。あたし、エマさん。アメリアさんとコロンさん。この4人でフォースを作りますか!」

「さんせー!」

「わたくしもいいと思います!」

「……ふふ。仕方ありませんわね!! わたくしが入ってあげないこともないですわ!!!」

「ホントはさっきから気になっててしょーがなかったんじゃないの?」

「そんなことは……。ありませんわ!!!!」

「素直じゃないなー!」

 

 まぁそういう素直じゃない奴らはみんなそうだし。それでいいか。

 さて。フォース名ねぇ。レース前から考えていたけど、こういうのでいいか。

 

「プリンセスダイバーズ、ですか?」

「そう。姫4人。それからかの有名な英雄フォースの名前を少し拝借して」

「あー、あの」

「なるほどですわ!!!!」

「わたくしは存じ上げませんが、この名前は素敵だと思います!」

 

 なら決定だ。

 今日からあたしたちのフォース名は『プリンセスダイバーズ』だ!

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