プリンセスダイバーズ~GBNお嬢様クラブはこちらですわ!~ 作:二葉ベス
「ん……んん……っ! さて、今日は何しようかなぁ……」
考え事をしていても正直頭が疲れるわけで。
なんかいいミッションでもやって気分転換をするに限るなぁ。
ミッションカウンターで無数にあるミッションを探しているところ、肩をトントンと叩かれる。
「よっす、ヒメリちゃん!」
「おはようございます、ヒメリ様」
「ん、おはよ。アメリアさん、エマさん」
なんだフォースメンバーか。ならいいや。
……そういえば今はフォースなんだっけ。その割には1人いない気がするけど。
「コロンさんは?」
「あそこ」
エマさんが親指でクイッと指を指す。
その方向にはこれまた大げさそうに一段高い箱の上に乗って、偉そうに誇示をこじらせている金髪縦巻きロールの姿がそこにあった。
「オーーーーホッホッホッ!!! わたくしの存在に気づくのが遅くってよ!!!」
「……面倒くさかったからスルーしてただけなんだけど」
実は一番最初に目に入ったのが彼女である。
ただ、まぁ……。面倒くさいから放っておいたほうがいいかなと思って。
こういうゲーミング的なノリはこの前のお嬢様レースだけで勘弁だが。
「じゃあコロンさん」
「なんですの?!!!!」
「うるさ……。今日すること思いついたりは……?」
「ないですわ!!!!!!!」
ないのかよ。
ここがフォースネストだからいいけど、これがエントランスロビーだったら絶対注目引くよなぁ。
この人、というかELダイバー、よくそのへんで話題にならずに済んだな。
「ないのかぁ」
「ヒメリちゃんは何見てんのさ?」
「ん? ミッションリスト」
適当にソロ用のミッションをこなそうと思っていた矢先の話だ。
あたしの都合はどうでもいいと告げると、エマさんは腕を組んで考え事を始めた。
ソロのランキング戦はまだNGのはずだけども、フォースのランキング戦は正直やったことがないのでわからない。
あたしがいることで気まずい空気になるのなら、先にその案だけは潰しておいた方がいいかもしれない。
「あ、そうだ。あたしはランキング戦NGだから」
「そうなんですの? あれだけ動ければ上位ランクも夢じゃないですのに」
「まぁねぇ。あはは……」
そういえばコロンさんには伝えたことがなかったな。
これを気に元マスダイバーなのを伝えてもいいのだが、ここだとアメリアさんがいる。
彼女の前では、なんというか。胸を張っていたいというか、理想のままでいたいというか。
あたしがチートなんて使う人だなんて、思われたくない。
「それならさ! あーしにいい考えがあるんだけど」
「いい考えとはどういうことですか?」
「まぁまぁ着いてきなって!」
アメリアさんとコロンさん。ついでにあたしも含めて3人ではてなマークを浮かべる。
いい考えとは、いったいどういうものなのだろうか? なんとなしに嫌な予感はしているけど、きっと大丈夫だと思う。
少なくともヴァルガに行くような真似はしない。そうだよね、後輩のエマさん?!
◇
「超巨大ガンプラフェスですか?」
「そう! あーしらはまだまだフォース戦もしたことがないペーペーもいいところ。だからまずはお互いの性能を知るべく、こういうレイド戦をするってわけ」
「それで超巨大ガンプラフェスって……」
確か今やっているイベントだった気がする。
報酬としてポイント毎に細かい消費アイテムやプラグインチップなんかも入手できるって話だ。
このゲーム内で再現できるようなシステムについては、ゲーム内のプラグインチップをガンプラに装備させる必要がある。
あたしのトランザムなんかは標準機能として備わっているが、ここからカスタムすることによって自分好みのトランザムを作り出すことができる。それに必要なのがプラグインチップ、というわけだ。
「さ、さー! やろうじゃんか! はっはっは!!」
「誤魔化した」
「誤魔化しましたわね」
「?」
多分欲しい物があったんだろうなぁ……。
まぁ、あたしもあって損はないものだろうし、サクッと倒してイベントを周回でもしますか。
そんなわけでやってきたのは格納庫。
今回のレイドボスの情報と整備のためにやってきた。
レイドボスはデストロイガンダム。最近熱があるSEEDの映画に際して用意したのだろう。
高難易度ボスにはブラックスコード討伐戦があったりと、何かと流行っているんだなと実感できる内容だ。
当のデストロイガンダムは、所謂広範囲殲滅用の要塞みたいなガンダムだ。
特徴は何と言っても弾幕と特大のシールド。そしてデカい。
接敵すればなんとでもなる、とは言っても接敵できるだけの弾幕の隙間がない。当たらなければ、というがそれは有能パイロットにしか出来ない所業だ。
それに僚機にウィンダムやダガー系列もいるため、とにかく数が多い。4人で攻略しようというのがバカらしく思えるレベルで。
「これ、本当にやるんですか?」
「ヒメリちゃんがいたらなんとかしてくれるかなー、っと!」
「人をあまり便利屋みたいに言わないでくださいます?」
「まぁまぁ! 突撃はあーしがやるし、ヒメリちゃんは後方からの援護で」
「いいですけども」
広域殲滅型だったらスピードタイプのクロスガンである程度は対処できる。
問題は弾幕の量だけど、その辺はあたしとこっちのコロンさんでなんとかしろってことだろう。
当の本人はアメリアさんに自分の機体を自慢していた。
「見てくださいまし! これこそがわたくしのガンプラですわ!」
「おぉ……。3機ありますけど……」
「これで一纏めなんですの! 右からわたくしのモビルドール! SFSのフランケン! それから輸送ユニットのトイボックスです!」
正直なるほど、と言わざるを得ないゴリ押しの仕方をしたガンプラだ。
コロンさんのモビルドール自体が通常よりも一回り小さい。本人の小ささもあるだろうけど、それを見越しての輸送ユニットなのだろう。
あれはサンタのソリのような役割をしていて、SFS、もといラゴゥを改造したと思われるフランケンで運ぶという仕組みなのだろう。登録重量ギリギリなんだろうなぁ、あれ。
ともかく、これを発明したビルダーの顔を見てみたいものだ。
「そちらの輸送ユニット様の中には何が入っているのですか?」
「よくぞ聞いてくださいましたわ! わたくしのお母様が丹精込めて作った試作品の数々がこちらに眠っているのです! 詳しくはわたくしも知りませんわ!」
いや知らんのかい。
後で聞いた話だが、トイボックスとはその名の通りコロンさんの後見人が作った武器の数々を乱雑に詰めたユニットらしい。
ビームライフル、バズーカはもちろん、よく分からないハンドガンからビームパイルバンカーまで。幅広く詰め込まれている。だからトイボックス、おもちゃ箱なのだろう。
ちなみに1回使うと大抵捨てられる。1回分のエネルギーしか詰められていないためらしい。
「ほうほう。とても興味深いです!」
「ふふふ! そうでしょうそうでしょう!」
鼻を長くしているところ申し訳ないが、作戦実行の時間が迫っている。そろそろ内容を伝えて、準備をしてもらわないと。
さて、ぼちぼちやるとしますか。