プリンセスダイバーズ~GBNお嬢様クラブはこちらですわ!~   作:二葉ベス

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第35話:仲間づくりですのね!

 戦いに臨むのであれば、まずしなくてはならないことは情報収集だ。

 敵を知り己を知れば百戦危うからず。お互いの実力、情報を知れば、戦なんて楽勝よ!

 みたいな感じのことわざだったと思う。

 

 まぁ。ハッキリ言ってあたしたちは相手が繰り出してくるフォースの実力も、人数すらも知らない。

 最悪多勢に無勢。数で押し切られて、敗北なんてことにもなりかねない。

 こちらも臨時とはいえ傭兵を何人か勧誘しなくてはならないだろう。

 

 問題はあたしはマスダイバーだった過去もあり、フレンドはほとんどいない。

 それでもやれることはいくつかある。まずは……。

 

「そうなのねぇ~。ひ~~~さびさに顔を見せたと思えば、アタシにそんなことをお願いするだなんて。相変わらず罪な女の子ね♡」

「あー、えっと……。その節は本当に申し訳なく思っておりまして……。マギーさんたちのご助力がなければ、あたしがここにいることもなかったと思い、本当に感謝はしているんですけどもぉ……」

 

 GBNを初めたばかりのダイバーが一番最初にフレンドを交換する相手は誰?

 と聞かれたら、恐らく8割の人はこの人と言うだろう。

 

 その名をマギー。筋肉隆々で逞しい肉体から醸し出されるお姉さんのフェロモン。

 敵対意識も、だいたいこれで解決。すぐさまフレンド登録! お友達!

 とまぁ、表だけ見ればこんな感じだが、裏ではちゃんと2年前の有志連合戦に参加していたり、自身の個人ランクも上位1%の文字通りGBNといえばの宣伝塔。

 

 もちろん本人は善意でそうしているだけなのだから、恐らく前世は聖女だったに違いない。

 

 かくいうあたしも昔お世話になった。

 主にマスダイバー発覚後の諸々の処理に対してだ。

 本当ならアカウント永久凍結もあり得たのだが、ランキング戦への挑戦権剥奪だけで済んだのは、マギーさんたち有志連合のおかげだ。

 だから恩には報いなければならないのだがーーー……。気まずくて2年ほど会えてなかったです。はい。

 

「桜芽財閥。確かに悪い噂もあるけど、この程度ならどこの企業でもそのようなモノでしょう?」

「現当主は結構なやり手だった、と言う話も聞いてます。アメリアさんを取り戻すためにこんなに過激なやり方をすると思ってなくて、かなりビックリしてます」

 

 実は事前にアメリアさんに父である往斗さんのことを聞いてある。

 その回答は彼女に執着しない態度だった、らしい。

 普通に家族であるだけ。それ以上でも以下でもない。

 

 まぁ確かに、家出してしばらく何もなかったのはおかしい。

 本当に彼が何かを考えているのであれば、それを聞き出したいし、アメリアさんが思っていることも口にして欲しい。

 だからまずはこのフォース戦に勝つ必要があるんだ。

 

「うーーーん、アタシ個人としては手を貸してあげたいのだけど……」

「だけど?」

「こっちの事情ですこーーーし厄介な問題があってねぇ……。ごめんなさ~い! ホントごめ~ん!!」

 

 マギーさんが厄介というぐらいの問題なんであれば、それこそGBNにも問題が出かねないことだ。

 彼? いや、彼女ほどの英雄が言うのであれば間違いないですよね。

 

「あ! でもその代わりー! いい子、教えてあげる♡」

「いい子、ですか……?」

「そう、イイ子、よ♡」

 

 え、それは……。い、いいんですか?!

 いやいやいやいや。マギーさんが紹介する「いい子」だ。きっとオカマのお姉さんに違いない。

 でももし、あたし好みの可愛い子だったら……。

 

 突如! 脳裏をよぎるジト目のアメリアさん!

 階段の下から覗き込んで、まるでマチュのような顔。

 それから一言。

 

『……不埒ですね』

 

 あー! あーーー!! 違うんです!

 決してアメリアさんを蔑ろにしようって言うわけではなくてですね!?

 

 ってそうじゃないでしょあたしは!

 そもそもノーマル! 普通に異性愛者なはず!

 最近出会いとか、全然。これっぽっちもさっぱりだけど。

 

 はぁ……。今年で24歳。そろそろ身を固めた方がいいのだろうか?

 

「はい、ここに連絡してみて! 必ずチカラになってくれるはずだから!」

「ありがとうございます! マギーさんに相談してよかったです」

「えぇ。アタシも、久しぶりにその顔が見れて嬉しかったわ♡」

 

 もしかしたら、このフォース戦は自分が思っている以上に己の過去と向き合う戦いなのかもしれない。

 例えば自分がお世話になった相手への挨拶。例えば元々フレンドだった子への謝罪。

 そして……。ミレイナさんとの、決着。

 

 しっかり話して、このフォース戦だけでも手伝ってもらいたい。

 決着ならその後でいくらでもする。何度頭を下げたって構わない。

 

 アメリアさんの、ためになるならば。

 

 ◇

 

「確か、ここでいいんだっけ」

 

 連絡後、チラッと覗いたいつもの自販機に新作のエナドリ味があったのでつい購入。

 トマト味らしい。ん~なんとも地雷臭高まる風味だ。今から飲むのが楽しみだ。

 とはいえ、これから目的の相手との待ち合わせ。

 

 マギーさんが「イイ子」と言っていたが、どういうイイ子なんだろうか?

 

「む? むむっ? もしかして、お姉さんがマギーちゃんが言ってたヒメリちゃん?」

「え? あ、はい。そうですけど……?!」

 

 振り返った先で待っていたのは、太陽だった。

 否、ギャルだ。コッテコテの、いわゆる光の白ギャル。

 金髪朱色のメッシュ。サイドテールに赤いリボン。しかも萌え袖。

 は? かわよ……。こんな子がGBNに? なんで?!

 

「よかったー! んじゃ自己紹介! アタシの名前はフレン! ELダイバーのフレンってことでよろー!」

「よ、よろー……」

 

 ELダイバー。あぁ、コロンさんと同類か。

 いや、その割にはギャップがすごい。

 性悪ゲーミングお嬢様より、こっちと先にお知り合いになりたかった。

 

 とまぁ、軽く世間話をしながらフレンドを交換。

 すごい。流れるような会話で無駄がないようで無駄だらけ。

 その割には目的のフレンド交換を済ませるコミュ力。これがギャルか。

 

「マギーちゃんから先に聞いてるけど、お話って?」

「はい。単刀直入に言うと、これから始まるフォース戦だけでいいので、フレンさんのチカラを貸してほしいんです」

「ふーん、なるほどぉ……」

 

 あたしのお願いを聞いてから、あごをひと撫で。

 なにか考えている様子だった。

 

「傭兵だったらチャットで呼びかけて、BCを払ったら仲間になってくれるでしょ? どーしてそれをしないの?」

「それは……。相手が桜芽財閥という巨大な財団が後ろにいるからです」

 

 フォースの仲間であるアメリアさんの危機であること。

 そして極力少数精鋭でスパイ行為などで壊滅させられないこと。

 何よりバレて裏切られてしまうというリスクもあることから、あたしが直接声をかけていると伝えた。

 まぁ最初はマギーさんが信じられるダイバーを紹介してください! なんて言うつもりだったんだけどね。

 

「そっかそっかぁ~! その、アメリアちゃん、って子のためか~!」

「ま、まぁそうなりますね?」

 

 面と向かってアメリアさんのため、と言われると少し気恥ずかしさが残る。

 

「好き? その子のこと」

「えっ?!!!!」

 

 え、え? 何言ってるんですかこの人?!

 好きとか嫌いとかそういう次元の話じゃなくないですか?! んんっ?!!

 いや、好きですけど。それは親しい友人というか、妹みたいな子だから大切にしたいっていう一種の親愛であって、そんな。そんな……。

 

「ど、どうしてそう思ったんですか?」

「んーと。アタシってね? 恋愛が好き、っていう概念から生まれたELダイバーなんよ」

 

 そういえば聞いたことがある。

 ELダイバーとは、ダイバーの強い感情や一種の概念を元に生まれてくる電子生命体だという。

 コロンさんならフィクションお嬢様概念。フレンさんは恋愛事情などなど。

 あくまでそれを知りたい、感じたいから彼女は純粋に質問をしただけ。

 取り乱しているのは他でもないあたしの方だ。

 

「人の恋愛事情に首を突っ込むつもりはないけどさ! ヒメリちゃんの熱量? みたいなのがどーも普通の人を助けるー! って感じに見えなくってねー! えへへ! ごめんね、変なこと聞いちゃって!」

「……い、いえ。大丈夫ですよ」

 

 アメリアさんへの熱量が、人を助けるって度を超えている?

 それは、そうだとしか言えない。あたしは妹みたいな子が危機にひんしているから助けようとしているだけ。

 一緒に住んでいるんだ。そんな感情にだってなる。

 

 けれど……。それだけではない、何かがあたしの中で引っかかっている気がして。

 何なんだろう、この気持ちは。感じたことがないわけじゃない。見ないふりをしている自覚がある。

 けど、あたしは……。あたしがこの感情を、アメリアさんに向けていいのだろうか?

 

「ん! とりまおっけー! ちゃんとアタシが傭兵したげる!」

「いいんですか?!」

「もっちろーん! ぶっちゃけ、コロンちゃんとも遊びたいしー!」

 

 そういう話じゃない気がするけど。

 というか、そこ面識あったんだ。

 

「あと数人は必要でしょ? 何人かリストアップしていい?」

「い、いいですけど……。ちょっと有能すぎません? そんなに知り合いいるんですか?」

「チッチッチッ! 違うよ。みーんな、アタシのフレンドなの!!」

 

 瞬間、目の前に広がる眩しくフラッシュする太陽光。

 もしかしたら彼女はガンダムOOの世界の住人なのかも知れない。

 だってあそこ太陽光発電がメインだし! あとGN粒子で結構眩しく見えるはず!

 

 そういった錯乱が頭の中で盆踊りしていたが、まず落ち着こう。

 落ち着いて、次に会う日時を伝えて、フレンさんと別れた。

 とりあえずトマト味のエナドリを飲もう。

 

 うーん、なんか。んん?

 トマトの酸味がシュワシュワと口の中で弾ける。

 びんみょ~にまずい。中途半端に甘みと酸っぱさが長引くみたいな。

 甘酸っぱいわけじゃない。ただ、びんみょいまずさだ。

 

「……ヒメリさん、またそんなことを」

「ん? なんでミレイナさんがここにいるんですか」

「そっちこそ。私、これでも忙しいのですが……」

 

 まぁまぁ。過去の因縁はさておき、今は自分の頭を冷静にしなくては。

 あたしはアメリアさんのために何でもすると決めた。

 だから、こいつ相手でも……。

 

「ちょうどいいや。ちょっと、話しないですか?」

「ヒメリさんからだなんて、珍しいですね。いいでしょう、私もお話したかったので」




◇フレン(拙作:ガンダムビルドダイバーズ リレーションシップ)
「恋愛」という概念から生まれたギャルのELダイバー。
マギーに次ぐフレンド登録数であり、持ち前の笑顔と元気でみんながほっこり!
彼女の物語はまだ始まってはいないため、本当の恋愛というものを知らない。

傭兵いっぱいキャラ作らないとなー(ぼんやり
半分ぐらいは既存の自キャラから出す予定ですけどね
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