プリンセスダイバーズ~GBNお嬢様クラブはこちらですわ!~ 作:二葉ベス
『『『ィヤァァァァハァァアアアアアアアアアア!!!! 獲物だぁぁぁぁあぁ!!!!』』』
「な、何が……っ!」
「このっ!!」
こんな不意打ちにやられてたまるか、ってのっ!
ガンダムアンタレス、チカラを貸しなさいよ!
両肩に装備されているミサイルランチャーの引き金を引く。
ミサイルとビームの雨あられに、対抗する気なんてない。向かってくる攻撃だけをすぐさま判断して、ミサイルによって誘爆させる。
目眩ましはOKだ。それから一旦ここを離脱! こんなところで棒立ちなんてありえないし!
「あ。あのっ! 何がいったい?!」
「あたしたち、初心者狩りに嵌められたの! くっそ!」
「しょしんしゃ、がり?」
「後で説明する!」
取れない方の左腕を引っ張って、ミカエリスをかばうようにさらに追ってくる攻撃をヘビーマシンガンを乱射し、撃ち落とす。
流石にデュナメスが元となったガンダムアンタレス。センサー関連が馬鹿みたいに優秀だ。
『こいつ、経験者か?!』
『構わねぇ! この数で殴ればすぐに落ちるだろ!!』
あたしが前に出る分はいい。この程度の雑魚、さっさと片付けられるから。
でも後ろにいるアメリア、さんが。操作マニュアルの1つも確認したことのないズブの素人が、こんなところで落とされてみろ、GBNを怖がってしまうかもしれない。
怖がってるところをもしメイドのナツメさんに見られたら……。
背筋がゾッとした。やっぱりあたし打首ルートじゃないか!
そんなの。そんなのぉ!
「そんなのされてたまるかぁ!!」
デュナメスのセンサーは的確だ。だからこそGN粒子を纏ってなくとも、このヘビーマシンガンが急所を撃ち抜くのだって容易なんだよ!
『こいつ、ぐあっ――』
『タロウがやられた! うおっ――』
『ジロウ!』
『構うな! 機動力でかく乱しろ!』
どうする。どうする?
流石に今のあたしに初心者を庇いながら、数も知れない雑魚を全滅させるのは難しい。
あたしはいい。別にどうなったって。でもアメリア、さんの貴重な初戦闘を負け戦で終わらせたくはない。
「すごい、これが戦闘……。ガンプラバトル……っ!」
アメリア、さんが感動している。巻き込まれ方がそんなに良いものではないのにも関わらずだ。
意外なことにこの状況に混乱している様子がない。冷静に目で見て感動している。
ならば、あたしの言葉を聞いてくれるのではないだろうか?
頭の中のミカエリスに関する情報を引き出す。
基本的にはビームサーベル、ビーム砲に加えて、有線式の分離機構。あとはアンチドートデバイス。
今は操作方法もままならない状態。なら後者の2つは論外。ビームサーベルでの近接戦闘なんて、テクいことできる気がしない。これもダメ。ならばビーム砲で牽制。あわよくば撃破。それができれば、敵は接近するはず。その短絡的思考を叩く。
「アメリアさん、今からガンプラの操縦方法を教えます」
「えっ?! 今ですか?!」
「今しかないんです! 基本的にはガンプラはグリップの通りに動きます。その他細かいことは思考した通りに! ビームや飛び道具は親指のスイッチで出ます!」
「え、えっと、グリップで移動。スイッチはビーム。細かい操作は思考通り……」
「ガンプラは自由です。だけど今は操作もおぼつかない状態。だから今からアメリアさんに最低限の作戦を伝えますね!」
ヘビーマシンガンを捨てて、腰にマウントしていたGNビームマシンガンを手に。そのままヘビーマシンガンをミカエリスの練習用の的にする。
あたしは後方の敵をビームマシンガンで牽制する。
「あれを練習の的にしてください! 動きますけど、なんとか撃って!」
「お、おぉっ! これがスパルタ指導! 頑張りますっ!」
ミカエリスのビームブレイサーがヘビーマシンガンを捉える。
1発目。大外れ。2発目も同様。3発目も。
「ゲームしたことないんですか?! もっと予測して!」
「ひえぇぇぇぇ!!!」
4発、5発。流石に時間稼ぎができない。もうこちらで撃ってしまうか?
いや、練習に茶々を入れるのは無作法。ならばもう前に出る!
「そこで立ち止まって、攻撃してください。当たらなくてもいいです! あたしが気を引きます!」
「で、でもそれではヒメリ様が……っ!」
「大丈夫です。それに、こういうダンスパーティーは得意なので!」
ミカエリスを置いていき、来た方向と逆に戻っていく。もちろん牽制のビームマシンガンは止まらない。
『緑色が向かってくるぞ!』
『見捨てたか。構わん! 潰せ!』
敵はだいぶ減らした。ならばあと5機ぐらいか?
トランザムを使うほどでもない。全機落とす。
地面に向かって土煙が出るようにビームマシンガンを連射する。
『くそっ! 目眩ましをっ!』
『ガンプラには熱源センサーが、ぐえっ――』
『ジュウロウ!!』
「こっちも一緒だっつーの」
まずは1機。ビームが来た方向から推察されて、あたしがいた場所にビームが乱射される。
だけど甘い。次は、そこっ!
『やった、ごはっ――』
『ハチロウ!』
『土煙を突貫するぞ!』
そう来ると思ってた。だからここが最終防衛ライン。
空になったミサイルランチャーをパージして、GNビームマシンガンを限界まで乱射し撹乱する。
左手には、ビームサーベルを手に取る。
『そこかぁ!』
ビームマシンガンを囮にしたためか、ヒートエッジがGNビームマシンガンの銃身を捉える。
熱で溶けながら爆散する寸前。あたしもカウンターの一撃をドムの胴体へと叩き込んだ。
『うぉぉぉぉぉ――』
ビームサーベルを収納しつつ、すぐさま離脱。
ビームマシンガンの爆風とともに残り2機だ。だが……。
『へ、へへっ! やっと捕えたぜ』
『なかなかやるけどよぉ、数至上主義には勝てねぇよなぁ!』
対面1対1。そしてもう1機を逃がすようにあたしのアンタレスに張り付く。
くそ、完全にやらかした。奇襲もさすがにここまでか。
『ここで背中を向けたら、後ろから刺され、この場にいれば初心者の相方は死ぬ。どーするよ!?』
「……そんなら、ここであんたを秒で倒す」
『やってみろやぁ!!』
挑発に乗ったイフリートがホバー移動で前進してくる。
もちろんお互いに遠距離武器がないことを想定に置いた戦い方だろう。
だけどあたしはまだカードを切り尽くしてはいない。
確かに元となったのはデュナメスだ。はっきり言ってクロスレンジには向いていない。
だがそれは元となったデュナメス、だったら、の話だ。
身を低く構えて、GN粒子を解放する。速度は同じぐらい。
だから想定通りの対面になる。相手はそう考えているはずだった。
横から襲いかかるビットシールドに阻まれるまでは。
『なにっ!?』
首元に突き刺さるように小型のGNビットシールドが襲いかかる。
メインのモニターがズレた。ガタついた。その一瞬は致命傷となりえる。
隙を見せた相手の胴体をビームサーベルで一突き。横に斬って払えば、撃破カウント1つ追加だ。
『こ、こんなっ!』
「じゃ、お嬢様を待たせてるから」
『こんなぁあああああ――』
あとは1機。これさえ終わらせられれば、ヴァルガからログアウトできる。
せめてミカエリスが、アメリアさんが死んでないといいんだけど。
と、懸念している最中だった。
爆発音とともに、かき消えるような悲鳴が聞こえてきた。あ、あれ?
慌ててアメリアさんの様子を見てくる。
「アメリアさん、大丈夫ですか?!」
「ヒメリ様! 見てください! わたくし、あの鉄砲を当てて見せました! あぁ録画もしておけばよかったですっ!」
「お、おう……」
近くにはザクの残骸。あぁ、爆発に巻き込まれたのか。
なんと運がいいのか、間が悪いのか。
「ヒメリ様……?」
「……とりあえず、帰りましょうか」
「は、はい……」
なんというか。後で褒めてあげないとなぁ。
何がいいだろう。好きなものでも聞いてみよう。
あたしはヴァルガでのログアウト方法を教えると、2人でその場を後にした。