推しの生命が儚すぎる by亡霊系転生者   作:はたけのなすび

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19話

 

 

 幼練武術大会は、来年の春に行われる。

 数ヶ月の期間があるが、最大五歳も歳が上の少年少女全員を倒せるかと言われれば。

 さらにその全員が、基本的に己が強くなること第一義で人を笑いながら殴れるような武術家ばかりと来れば。

 

「……全然時間がない」

「わかりますけども……倒れてもダメですからね?」

「わかってるよ。倒れたら治さないといけないし。修行の時間、減るじゃないか。倒れないで修行しないと」

「それは過労寸前のラインを突き詰めるって意味じゃありませんよね……?」 

「……」

「こっちを見てくださーい!」

 

 わやわやと、蒼姐(ツァンジェ)雨亭(ユウティン)は、山の中を歩いていた。

 

 百錬工房とその師弟との出会い、子明の入手から数日経ち、冬が来る前に、薪と果物、薬草集めをしに来たのである。

 一応臨淵は衣食住を保証された食客なのだが、彼は雨亭を引き取ってから庵以外の支援を全部断った。

 天魔に今以上借りをつくるのが嫌だという一言には、蒼姐も雨亭も大いに頷けたため、弟子と居候の二人が冬支度のため出ることとなったのだ。

 修行はしたいが、冬の準備を怠るとどうなるかを雨亭は知っている。

 臨淵は臨淵で、庵に残って薪を割っていた。

 

「?」

 

 そうして、山中の木の枝の上で果物に手を伸ばした雨亭の耳に、ぱきり、ぱきりと小枝を踏み締める音が聞こえる。

 獣の足音にしては重いと意識を集中させれば、左眼を中心にぶわりと雨亭の世界が広がった。

 無数の生命の気配に満ちた山の中、人間の気配が五つ近づいてくる。

 程度の差こそあれ刺々しい【敵意】を感じ取れて、雨亭は静かに枝の上に身を潜めた。

 

「雨亭くん?」

「蒼姐、しっ。……誰か来てる。数が五。皆男で人間。歳は、不明。でも達人じゃない。……蒼姐、一回隠れて」

「はい」

 

 小さな火の玉になった蒼姐は、雨亭の服の後ろ襟についた頭巾───蒼姐曰くフード───の中に収まる。

 籠を木の又に引っ掛け、子明の留め金を外すと雨亭は隣の木の枝に跳び移った。

 そこから次々に枝から跳び移り、枝の影に隠れる。足元を、人影が五つ通るところだった。

 全員、魔教の弟子であることを示す衣を着て、剣だの槍だのを携えている。

 見覚えのある顔の少年であることに、雨亭は木の上で脱力した。

 

「あの子たちは?」

「……一緒に修行してた」

「あー……なら無視しませんか?臨淵の庵の敷地に抜き身の武器持って入ってる時点でもうマナー違反でダメです!ホント魔教って理性のあるタイプのバーサーカーか、ないタイプのバトルジャンキーしかいないんですかね!」

「武器持って入ってるなら止めないと。誰何もしないで通すのはそれこそ駄目だよ。おれ、弟子だから」

 

 言うや、雨亭は木から跳び下りて彼らの前へ出る。

 あっ!と声を上げた蒼姐は頭巾(フード)の中に貼り付く。

 

 死角から飛び降りてきた雨亭の姿に、少年たちは驚いた顔で足を止める。しかしすぐに、先頭を歩く少年がにやついた顔を向けた。

 

「……ここに何用ですか。臨淵師匠へ御用であるなら、おれが承ります」

「随分生意気なこと言うようになったな、落ちこぼれ」

「……」

 

 習った作法通りの雨亭の礼を完全に無視して、先頭の少年が口を開く。

 雨亭は、顔を覚えているが名を知らない。

 しかし、少なくとも十やそこらの子どもらの中では位が高く、武術に優れた少年ではあったのは覚えていた。

 

「ダメないじめっ子ガキ大将感がします……」

「……」

 

 蒼姐に無言の頷きで返し、雨亭は繰り返した。

 

「何用でしょうか。臨淵師匠への御用なら、承ります。……それとも、武を見せつけるために来たのですか?」

「臨淵殿じゃない。お前に用があって来たんだよ、落ちこぼれ。お前が本当にあの臨淵殿の弟子になったのか、俺たちが試してやるよ!」

「……おれに用があるわけですね。わかりました。では────一昨日来やがれ、卑怯者」

 

 少年が言葉の意味を理解し口を開くより前に、雨亭は動いた。

 頭巾(フード)を被って屈み込むや、地面の土を掴んで投げ、自分たちの上へ枝を張り出している栗の木へ回し蹴りをくれる。

 

 金属の足枷という重りの付いた蹴りが木を揺らし、大量の毬栗(いがぐり)がばらばらと降り落ちた。

 

「うわっ!」

 

 砂と毬栗を浴びて体勢の崩れた真正面の少年の懐へ飛び込み、掌底で下顎をかち上げる。

 少年が舌を噛む鈍い音を聞きながら、雨亭は彼の腰の剣に手を伸ばすや引き抜き、肩を掴んで引き寄せその首に背後から腕を回した。

 

「動くな」

 

 他の少年たちが動く前に、雨亭はぬらりと光る剣の刃を捕らえた少年の鼻の下に当てていた。

 

「全員動くな。動いたらこいつの鼻を削ぐ」

 

 ひぅ、と少年が喉を笛のように鳴らす音を聞きながら、雨亭はゆっくりと周囲を見回した。

 剣を手にした者が二人、槍が一人で、短弓が一人。

 狩りへ赴こうとするかのような装備だった。

 尤も、彼らは人間という獲物を───雨亭を狩り立てに来たのだから、強ち間違いではないだろう。

 

 動機がただの嫉妬であっても、彼らは山中に武器を持って現れた。

 少年たちの名前を雨亭は知らないし、彼らも雨亭の名前を知らないだろう。

 それでも、蹴られ殴られ折られた腕や脚、腹の痛みは覚えていた。

 攫われてきた雨亭と違い、少年たちは生まれたときから魔教にいるのだ。己が強くなるために、彼らは弱者を当たり前のように蹂躙する。

 二親から、祖父母から、大人から、それが正しいと教わってきたのだから。

 弱いことこそ悪なのだから、そこに良心の呵責などない。何をされるかわかったものではなかった。

 何よりも。

 

「……そこの二人、弓と槍のあんたたち。懐に入れてる符を捨てろ」

「えっ」

「惚ける気か。破いて捨てろ。矢と矢筒もだ。鬼火祓いの符を持ち込んで、おれの眼を誤魔化せると思ったのか」

 

 剣を持つ手に力を込めると、鼻に痛みが走ったのか少年は引き攣った声で叫んだ。

 

「な、何してるんだ!早くしろ!」

 

 その言葉に従い、槍と短弓を携えていた少年たちは、懐から鬼火を祓う術が描かれた符を取り出し、破く。

 短弓を携えた少年は、弓と矢筒も落とす。

 

 人質が有効であるだけ、彼らはマシな相手だ。

 人の盾ごと叩き斬ろうとする武人になっていないだけ、彼らは相手がしやすい。

 

 雨亭は、黒瞳と翠瞳で二人を睨みつけた。

 

「二度と、それをおれの前に出すな」

 

 燃える焔のような翠眼と、一片の光もない黒瞳に射竦められ、少年二人がごくりと喉を鳴らす。

 瞬間、雨亭は動いた。

 半身を捻って反動をつけるや、首に腕を回していた少年の体を四人に向けて放り投げる。

 ふわりと浮いた少年の腰を後ろから蹴りつけ、吹っ飛ばす。

 狭い獣道に四人横並びになっていたために、放り投げられ蹴り飛ばされた体をまともに受け止める羽目になった少年たちが、尻餅をついた。

 仲間の体の下敷きになり、咄嗟に立ち上がれない彼らの横をすり抜けながら、雨亭は土の上に落ちた矢筒と短弓を拾い上げた。

 

 奪った剣と弓、矢筒を手に藪の中へ飛び込み、獣道を駆け下る。

 

 背後からの怒号を聞きながら、雨亭は山道を鹿のような素早さで走った。

 庵とは、反対の方向へ。

 

「ひうぇぇ!雨亭くんどっちへ行くつもりですか!」

「一回逃げる!五対一とまともにやれない!」

 

 走りながら、剣で弓を真っ二つにして弦を断ち切り矢と矢筒を谷川へ放り捨て、剣はそのまま手にして走る。

 山の中で追われるなら、弓使いは一番に潰したかったのだ。

 草木茂る山中に、振り回しにくい派手な長剣を持って踏み入る者より、飛距離は長弓に劣れど取り回しが遥かに利く短弓を装備している者がよほど怖い。

 弓使いの手首の腱を斬るのも手段の一つではあったが、恨みを買いすぎるので止めたのだ。

 

「蒼姐、この山のあちこちに鳥や獣用の罠、仕掛けたよなっ!」

「はいっ!どこに置いたか全部覚えてますよわたし!」

「ありがと!なら、一番近い罠の場所教えて!」

「り、了解ですっ!そこの銀杏の木を曲った次の二股道の右です!」

「うん!」

 

 派手な足音を立てて逃げたから、彼らは遅かれ早かれ追いついてくる。

 特に、剣を奪われた少年は頭に血が上っていることだろう。

 武器に関してほとんど知らない雨亭にも、鋭いとわかる宝剣なのだ。もしかしたら、これが彼の【天命宝器】かもしれない。

 

 だからこそ、奪われたら何が何でも取り返しに来るだろう。

 焦って怒って、まともな判断ができなくなってくれるほどよかった。

 

 武器を携え、鬼火祓いの符術を使おうとした時点で、彼らは【敵】である。

 絶対にこの山から叩き出してやると、雨亭は一つ目の罠を前にして拳を握りしめた。

 

 

■■■

 

 

 それから約二時間後。

 

「つっ、かれた……」

「お疲れ様でした……」

 

 最初に籠を隠した樹の幹に手をついて、雨亭は肩で息をしていた。

 罠を仕掛けた山中で五人を散々引き摺り回し、最終的に山の麓の畑の肥溜めに二人、ごみ溜めに二人、豚小屋に一人叩き落としたり閉じ込めたりで、何とか逃げたのである。

 擦り傷だらけの体で肥溜めとごみ溜めに落ちた四人は真っ青な顔になって逃げ帰ったし、豚小屋に閉じ込められた一人は中で悲鳴を上げていたから、助けられても雨亭を追いかけてくる気力はないだろう。

 

 魔教育ちの子らでも、破傷風の恐ろしさは知っていたようだ。

 お陰で助かった。魔教には秘薬があるから、死にはしないだろう。

 

「蒼姐、大丈夫?鬼火祓いの符って、近くに置いてるだけで鬼火が弱るのもあるだろ?」

「平気ですよ。あれは普通の人魂用の符で、わたしはあんなのでどうかなるほど弱くありませんから!それより雨亭くんですよ!一回腕斬られたじゃないですか!」

「子明を巻いて受けたから平気だよ」

「そう!それですよそれ!雨亭くん、どうして子明を使わなかったんですか?」

 

 左腕の手首に巻いた暗器、縄鏢の子明を雨亭は少年たちに向けなかった。

 谷川を飛び越えるときに一度、剣の刃を受けるときに一度使ったが、それきりだ。

 尚、雨亭の腕に剣を振り下ろした少年は、刃を子明に受け止められて驚き、その隙に雨亭の体当たりで肥溜めに落とされたので、まともに見ていないだろう。

 

「蒼姐、おれが縄鏢を使うことはなるべく知られたら駄目だ。おれは弱いから、騙して隠さないと勝てないよ。修行にはなったしさ」

 

 遮蔽物のない一対一という、暗器使いには不利な場所で戦わなければならないのだから。

 

「それは……そうですけども、浅いとはいえ斬られてまで……」

「駄目。おれの武器知ってて、使うところを見てるレーニがいるんだから」

「……忖度してくれる性格ではありませんからね、彼。龍眼にどれほど自分の力が通用するか見たいから本気出すって手紙くれましたし。さすが、元の天命から転がり落ちても自作の武器で這い上がった龍狂い(ジャンキー)……」

 

 正直、蘇貞ならぎりぎりで勝ちを譲ってくれそうな甘さは感じたが、レーニは完全に突っ走って来るだろう。

 

「だから蒼姐、あんなやつらには子明は使わない。教えない」

「だとしても腹が立ちますよ!端から五対一かつ雨亭くんの手首を斬り落とそうとしたんですよ!」

「いいって。師匠が人気あるのは、おれ知ってたし」

 

 あははと笑って、ふと真面目な顔で雨亭は懐に入れた符を取り出した。

 山の麓からここへ戻るとき、拾っておいたのだ。

 彼らの持ち込んだ人魂退治の符は、強い祓魔の力が籠もったものだ。

 魔教の者とはいえ、子どもが手を出せるような金額だったろうか。

 誰かが、これを少年たちに渡して唆したのなら。

 

「……」

「雨亭くん、どうしました?難しい顔して」

「……あいつらがどこで符を手に入れたのかなって考えてた。師匠に相談し────」

 

 いつも通り、上に浮かんだ蒼姐に顔を向けた────次の瞬間、雨亭の左眼が淡く輝いた。

 

「蒼姐!」

 

 雨亭が左腕を振るい、子明の刃が宙を走って蒼姐の背後に迫っていた刃────曲刀を弾く。

 手元に戻って来た子明を構えて、雨亭は林の奥を見つめた。

 弾き飛ばされた曲刀を、空中で受け止める手がある。

 木々の中から現れた長身の青年に、雨亭の顔が青ざめる。

 

「久しぶりだな、翡翠」

 

 かつての兄弟子で、今はただただ恐ろしい魔人である胡陀(こだ)が、そこにいた。

 

「どう、して、あなたが」

「ああ、貴様の師に近寄るなと言われた俺がここにいるのは不思議か?」

「……」

「確かに言われはしたが、それが何だ?食客殿の意は理解できるが、俺は翡翠を見たいだけだ」

「見るだけじゃなくて抉って手に入れようとするから近寄るなって話なんですよこのド馬鹿!あと名前!雨亭くんの名前を無視するんじゃありません!」

 

 す、と。

 蒼姐の声を聞いて呼吸が楽になるのを感じながら、雨亭は子明を握りしめた。

 胡陀は、またしても最初に蒼姐を狙ったのだ。

 牢獄のときといい今といい、胡陀は二回も蒼姐を斬ろうとした。普通の人魂にしか見えていないだろうに。

 もしかしたら、と極淡い可能性が頭を掠めた。

 

()()()()()様」

 

 雨亭はそう声に出し、胡陀は愉快気に目を細める。

 端正な顔立ちに嵌めこまれたどろりと濃い金色の瞳に気圧されないよう腹に力を込め、雨亭は言葉を続けた。

 

「彼らに、符を……鬼火祓いの符を渡したのは、あなたですか?」

「ほう。何故そう思った?」

「……あなたは、牢でも今も、おれではなく先に蒼姐を狙ったから。……蒼姐を傷つけて、おれがどう反応するか、どう瞳を輝かせるかを見たいからでは?」

「ははっ。何だ。わかっていたのか。その瞳の持ち主は無用に慈悲深くなるが、貴様もそうらしいな」

「あ、なたはっ───!」

「知ったところで貴様はどうするのだ?何もできまい。多少は力を付けたようだが、たかだか芋虫が蝶になった程度の差。飛んで逃げられる翅を得て多少上等になったというだけだ」

 

 何も言えず、雨亭は唇を血が滲むほど噛んだ。

 

「そう刺々しい眼をするな。俺は貴様が食客殿の伝手で百錬工主と接触し、武器を授かったと聞いて試したのみだ。それに、俺はつまらない他所者が持ち込んだ符を手に入れただけ。手に入れた物をどう使おうと、俺の勝手だろう?」

「奪ったの間違いじゃないんですか!」

「……」

 

 胡陀には聞こえない蒼姐の声を聞きながら、雨亭は考えを巡らす。

 魔教の人間は、鬼火を祓うに符など用いない。蔑まれる風潮すらある。

 各々の霊性や巧力で祓い、符に頼るのは己の力不足を示すようなものだからだ。

 子どもが用いるならまだしも、大人が手を出すとは考えにくい。

 

「……外の人間が、符を持ち込んで何を?」

 

 にまり、と雨亭の呟きに胡陀は三日月のような笑みを浮かべた。

 

「貴様は己が他人からの恨みを買うに値する人間と思うか?」

「え?」

「恨み、怒り、妬み……正しい因果などどうでもよい激情に晒されたことだ。結果は、必ず過程と理由が伴う。貴様の齎した結果の因果が追い付いて来たと思わないか?」

「自己紹介ですか!今雨亭くんの眼に執着してるのはあなたでしょうがスットコドッコイ!」

 

 ぐるるる、と喉を鳴らす蒼姐の声を聞きながら、雨亭も眉を顰める。

 胡陀に面白がられているのも、少年たちに妬まれるのもわかる。

 だが、外の人間で蒼姐や雨亭を知る者など、ましてや蒼姐を狙って祓おうとするような人間など、どこにいるのか。

 

 今このとき、訳のわからない理由でこちらを壊そうとしてくる人間に、蒼姐をわざと狙った人間に、上から目線で評価などされたくなかった。

 雨亭は、唸るような声を出した。

  

「……だったら、あなたはどうなのですか?」

「ん?」

「結果に過程と理由があると大層に言うなら、あなたが今、この瞳に執着するに至った過程と理由は?……まさか、世の美しいものすべて自分のものにしたいだなんてそんな───くだらないことが動機なんですか?」

 

 ぞわり、と。

 肌が急に泡立ち、雨亭は身構えた。

 三日月のような笑みはそのままに、胡陀が一歩こちらへ踏み出す。

 

 あ、と思った。

 

 何か、まずいものに、逆鱗のような何かに指が掠めた、と。

 

 体が、上手く動かない。

 喉が引きつって、子明を握る手も凍ったままだ。左眼が痛い。

 

 う、と雨亭の喉から呻き声が漏れた直後。

 

「雨亭!蒼姐!」

 

 いつかの再来のように、真上から聞きなれた声が降って来る。

 大人の腕ほどの太さの枝数本を薙ぎ倒して振るわれた白刃、臨淵の槍を、胡陀は躱そうとし────躱しきれずに槍が肩を切り裂く。鮮血が、落ち葉に降りかかる。

 肩先を深く斬られて後退した魔人は、ひらりと身を翻して木立の中へ跳び退った。

 捨て台詞も何もない撤退を見届けるや、上から現れた人影────臨淵は駆け寄って来た。

 

「雨亭、蒼姐、大丈夫か!すまない、庵の周囲に陣が刻まれていて気がつくのが遅れた……!」

「い、え……いえ、大丈夫です、師匠。おれは、大丈夫です、から」

 

 だけど怖かった、と雨亭は息をしながら、臨淵の衣の袖を握りしめたのだった。




あと四話ぐらいで2章終わりです。

3章からは違うタイプの限界オタクが出てきます。
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