個性【ママ】 作:ゴッドマザー
──あぁ、クソ。嵌められた!
青い焔が渦を巻いて天井へと駆け抜けた。
それを放った下手人は悪態を吐いて、横へ転がる。すると先ほどまで立っていた場所に黒いシルエットスーツに身を包んだ複数の男性が雪崩のように流れ込んできた。
「おい!母ちゃんを攻撃するとは何事だ!?よくやった!」
「謝れよ!謝んな!」
「それはそうとして母ちゃんは無事か!?」
「母ちゃんを傷つけようとするやつは俺が許さねぇ!許す!」
「お前も早く母ちゃんの子供になれよ!なるな!」
「早く荼毘くんも受け入れるといいです!ままは皆を平等にカワイイと言ってくれます。それにままの
投擲されたナイフに頬を切られ、傷口に僅かな青みのある液体を見て──毒か!と咄嗟に焼いて塞ぐ。
「おい!クソ野郎!こいつらに何をした!?」
荼毘。自らをそう名乗る青年は赤子を抱くシスターのような装いをした女。その横へと立つ男へと叫ぶ。
「ククク、何……この多種多様な個性の跋扈する異能社会。紙面上の契約じゃあどうしても不安が残る。だからお前らには古来より人類……いや、知的生命体が最も信頼してやまない血の契りを結んで貰おうと思ってな」
「血の契り?ハ!つまりなんだ?俺もそいつらみたいにその女に赤ん坊にされて乳をチュッチュと吸えってか!」
「あぁ、端的に言えばそうなる。家族になろうぜ」
「家族?家族だぁぁぁぁ?そんなもんはもうこれ以上要らねぇんだよぉぉぉぉ!!!!!!」
爆発。その空間にある全てのものを燃やし尽くしてしまいそうな青い炎が荼毘を中心に発生した。
これには荼毘を捕らえようとしていた二人の動きも止まり、室内の温度が一気に上昇するが、それを抑えようと赤子から荼毘に向け、ブリザードが降りかかった。
「あ?もしかして赤ん坊のままでも個性使えるのか?」
「だぁぶ!(僕もただ惰眠を貪ってる訳じゃないんだぜ)」
ゴッドマザーに抱かれたAFOである。
どうやら赤ん坊の状態でも意識を保てるように個性で調整しているらしい。
そこまでして母さんに抱かれていたいのかと弔はドン引きしたが、これで形勢が一気に傾いたのは間違いなかった。
「手助けはズルじゃなかったのかよ」
「だぶだぶ(あくまでこれは自衛だよ。僕にこうさせるように誘導したと見るなら及第点だ)」
「クソァァァ!!!!!」
「だぶ!(家族になろうぜ!)」
【冷却】×5【熱吸収】【空気操作】【ウォーターガン】【エアバースト】【熱耐性】【地震】【閃光弾】
荼毘の放った炎が鎮火されていく。
それでもと彼は踏ん張るが、いくら何でも相手が悪すぎた。
「………………」
「じゃあ頼むぜ母さん」
「任せて」
「だ…………ぶぅ」
後にヴィラン連合と呼ばれ、歴史的大犯罪を犯す彼ら。実はその全員に血の繋がりがあったことはあまり知られていない。
□■□■□
「や、やめてくれ!儂はAFOとは違ってそういったのには興味がない!」
「……残念」
突然だけど、私。個性が強化されました。
どういう事かと言うと目の前のドクターにサポートアイテムで義手を六本追加して貰ったの。
機械の手でも個性が発動出来るのか疑問に思ったけどドクターはこれに私から培養した神経と個性因子を混ぜ混んで、装着時には脊髄とドッキングさせるとか何とかで、その腕自体で個性を発動させることは出来ないが、今の両手で発動させたあとに持ち替えて、赤ちゃんになった状態を維持することが出来るようになった。
つまり、腕が八本になったから同時に四人まで赤ちゃんにすることが出来るようになったのである。
では早速とドクターが実験用に容易してくれた脳無達を赤ちゃんにしていくと、枠が一つ余ってしまったのでドクターを赤ちゃんにしてあげようと思ったら断られてしまった。
……本当に残念。でもこの脳無達はドクターの子供らしいから実質パパなので、そう思えば自分の子供じゃなくても仲良く出来るような気がした。
「……にしても、脳無に個性を使えばてっきり元となったボディの赤ん坊の姿まで逆算するかと思ったが、まさか脳無の状態で赤ん坊になるとは……」
興味深いとメモも走らせる
「もう、そんな目付きで見るのはよしてください。子供たちの教育に悪いですよ?」
「おぉすまん……すまん……ん?」
「それより脳無達はまだいるんですよね?他の子達にはいつ会えるんですか?」
「悪いが…………それは当分先になりそうじゃのぅ」
「そうですか、それは残念ですね……」
「ハァ…………もっと、もっと愛したいのに」
今の私の子供たちの数は少ない。
勿論全員が私の可愛い子たちではあるが、日に日に子供たちを愛したいという欲求は強くなっていく。このままでは今の子達を愛し殺してしまうほどに……愛がプルスウルトラしていく。
なら、実際に身体を重ねて妊娠して出産すれば得が高いものになるのだろうが、自分の子供相手にそんなことは出来ないし、子供の為に身体を重ねるというのは、回りくどくって相手を赤ちゃんするのを我慢が出来なくなってしまう。
だから今まで行為寸前まで行ったことは何度かあったが全員私の子供にしてしまったので、体だけは清いままだ。
「まま!」
考えごとをしている私の胸元に可愛いらしい女の子が飛び込んできた。
「あら、トガちゃん。どうしたの?」
「エヘヘ……やっぱりままの匂いは落ち着きます。スッゴくちゅうちゅうしたくなります」
トガちゃん。トムロに言われて私の子供になってもらった子だが、この子は兎に角おっぱいが大好きだ。
くぅーと可愛らしい腹の音がなったのを聞いて、そう言うことかと理解した私はトガちゃんを迎え入れる。
「だー!」
赤ちゃんにすると、直ぐに私の胸元を引っ張ってきたので、はだけさせると飛び付くように吸い付いた。
「いい子ね…………いっぱい飲んでいいからね」
暫くするとトガちゃんは個性で、私の姿をした赤ちゃんになってしまうが、そうなってしまえば疲れて寝てしまうまでおっぱいからは離れない。
あぁ……本当に可愛らしい。
「あらちょっと、やだ!ママったら廊下のど真ん中でなんて格好してるの!」
トガちゃんを愛でていると、大柄な体格をした体は男の人だけど心は女の子なマグネちゃんが現れた。
「マグネちゃんもおっぱい飲みたい?」
「今はいいわ!それよりほら、これ羽織っときなさい」
バサリとマグネの大きなシャツが私の上半身を包み込んでしまう。私は気にしないが、これならおっぱいを見られることはないだろう。
「マグネちゃんは優しくて可愛いねぇ……」
こんな優しい子を子供に持つなんて私は幸せものだ。
でももっともっと……愛したいという欲求は変わらない。
私は一応犯罪者だから外に出るのは不味いけど、例えば相手がヴィランなら、どうだろうか。
「ねぇ、マグネちゃん。何処かにお母さんが恋しくて泣いてる子供はいない?」
その日とうとう我慢出来なくなった私はトムロ達に内緒で子作りすることを決意した。