紅魔ノ兄   作:紳爾零士

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sideルディウス


紅霧異変・参

「簡単に壊れてくれるなよ?」

 

その言葉を皮切りに、我ら三兄妹は各々弾幕を繰り出す。まさに群衆。目の前は光に埋め尽くされ、博麗の巫女と魔女もどきの逃げ場をなくす。しかし、それでも奴らは避ける。

 

間を縫って避けていく。…やはり、人間は面白い。

 

「禁忌『クランベリートラップ』」

 

フランドールがスペルカードを宣言する。

現れるのは魔法陣。それは博麗の巫女と魔女もどきに対して、縦横に移動しながら小粒の弾幕を発射する。

 

間を縫って金髪の魔女もどきがレミリアの元へと空を滑る。レミリアはそんな金髪に向かってグングニルを縦一閃に振るう。

 

「あぶねぇっ!?」

 

間一髪、空で静止する魔女もどき。その手には先ほどから光線を生み出す魔道具の姿があった。歯を見せ、ニヤリと笑うと余とレミリアを射線上に据え、魔道具を向ける。

 

「ぶっ飛んじまいなぁッ!!恋符『マスタースパーク』ッ!!」

 

直後、七色のレーザー砲が余とレミリアを飲み込まんと侵攻する。レミリアはそれを下へとしゃがみ、避ける。

 

「何度も同じことをするな。煩わしい。」

 

レーザーが当たる寸前、身体は霧と化し、レーザーを透過させる。霧となった余はフランドールの元へと行く。其方には博麗の巫女がお祓い棒を構えて向かっていた。

 

「うふふふっ!!」

 

フランドールは笑いながら、前へと突っ込む。悪い癖だ。力の差をまるで理解していない。

 

「はぁっ!!」

 

フランドールの右拳による突き。

しかし、それは博麗の巫女の頬の皮一枚すら切らない。当たり前だ。博麗の巫女に格闘術を教え込んだのは誰だと思っている。この程度はできて当然…おっと。どっちを応援していることやら。

 

博麗の巫女はフランドールが右拳を引っ込めるその一瞬。フランドールのなだらかな胸へ蹴りを入れた。

 

「あうっ!?」

 

それにより、フランドールはよろめく。その瞬間を博麗の巫女は見逃さない。振りかぶられるのは霊力の帯びたお祓い棒。

 

フランドールの首を撥ねようとしたそれは、軽い金属音を立てながら空中で静止する。

 

「天変の刀『玄天』…流石に早計だろう?フランドールもまだ遊び足りないんだ。」

 

「再会ならもっと楽しみたかったわッ…!!」

 

「楽しいじゃないかッ!!余は心の底からワクワクしているッ!!」

 

鍔迫り合いの末、博麗の巫女は此方を睨む。久しぶりの再会に笑えているのは余だけだということか。だが、本気ならそれでいい。

 

「『斬風(ルドラ)』ァ…!!」

 

「ッ!?」

 

直後、博麗の巫女が後ろへと退く。余は後ろのフランドールを抱きしめると余の周りを駆け巡る風が正しく空で塵旋風を巻き起こしながら、徐々に吹き荒ぶ。その風により、後ろにある紅魔館の時計塔は真っ二つに切れ、切れ目から地面に滑り落ちる。

 

「…殺す気?」

 

「この程度では死なんさ。」

 

頬に横一閃に薄皮一枚の切れ目を作り、此方を睨む博麗の巫女。流石だ。霊力で体を守りつつも、魔女もどきすらも守り抜いた。やはり人間は面白い。

 

「禁忌『レーヴァテイン』」

 

横に抜けたフランドールは身の丈に合わない炎の大剣を取り出す。博麗の巫女もこちらを注視しながら、後ろへと飛んでいく。置き土産として弾幕を置いていきながら。

 

「レミリア。」

 

「わかってるわよ。」

 

遠くにいたレミリアにも避けるように声をかけるが、怪訝そうな顔で返されてしまった。精神的にも成長した分、少し寂しさを感じてしまう。弾幕を避けながらそう思っていた。

 

「魔符『スターダストレヴァリエ』ッ!!」

 

人間の身でありながら、箒に乗り、フランドールへと突っ込んでくる魔女っ子少女。フランドールは当然、レーヴァテインを振るい上げ、打ち払おうとしている。

 

しかし、ばら撒かれる星型の弾幕にフランドールは防戦一方。

 

レーヴァテインの炎の弾幕すらもかき消す。

 

「今だッ!!霊夢ッ!!」

 

「ハァァァァッ!!」

 

…なるほど。先ほどまでの金髪魔女っ子の大立ち回りは。夜の月すらも押し潰さんとするあの博麗霊夢の放つ陰陽玉を隠すためだったのか。

 

「お兄様ッ!!何笑ってるのよッ!!」

 

隕石の如き迫り来る陰陽玉。レミリアは驚愕に顔を染めているが、余としては人間にここまで追い詰められるとは思っては居なかった。この世の中は広い…広すぎる。

 

「レミリアッ!!フランッ!!」

 

「「お兄さ…!!」」

 

直後、起こった爆発と共に余は自身の周りの空間をえぐりとる。レミリアやフランドールは間に合わなかった。目の前が極光と熱に包まれる。…本来ならばレミリアやフランドールを守ってやりたかったところだが…。

 

「…我が妹たちをよくも…。」

 

地面に落ちる2人の陰。…しかし、吸血鬼をその玉座から下ろすか。人間が?…いや、人間だからだろう。

 

下には美鈴がいる。咲夜もいるし、なんならパチュリーも。この計画には自前の病魔のせいで参加はしていなかったが。仕方のない話だ。

 

「へへ!!あとはテメェだけだぜッ!!」

 

指をこちらに指す白黒魔法使い。その隣には幻想郷が誇る博麗の巫女。ふわりと飛び上がる様は天女の如く。成長したな…と言いたいところだが、今は敵だ。

 

「人間。その名前を。未来永劫、余の記憶に刻んでやろう。名乗るが良い。」

 

「あ?なんだ!?えらっそうに…!!」

 

跳ねっ返りのごとく、こちらを睨みながらそう言う白黒魔法使い。随分と行儀の悪い女である。金髪は毎度の如く、躾が行き届いていないのか。いや、フランドールという我が天使の前例がある故、一部のみだな。

 

「覚えてやると言っているのだ。本来ならば、汝らのような生物として余に劣っているものに興味など微塵もわかんが…。曲がりなりにも夜の王、吸血鬼の一角を落としたのだ。話くらいは聞いてやる。」

 

「…博麗霊夢。」

 

余の言葉に対して、名乗りを上げたのは博麗の巫女だった。紅白の巫女服の腕を上げ、此方を見る少女。脇が見えているのは…あれは八雲紫の趣味か?

 

「あぁっ!!もうっ!!…私は霧雨魔理沙だッ!!」

 

髪を掻きむしり、忌々しげにそう言う白黒魔法使い。勢い余って口から唾液でも出たのではないだろうか。

 

「この霧、とっても迷惑なの。早く無くしてくれないかしら。」

 

「ふむ。」

 

博麗の巫女…霊夢の言葉に敢えて考えるそぶりを見せる。いや、もはや、こんな霧など何の意味も持たないのだ。どうせ、戦うためのキッカケであり、我々がここに来たという大体的な宣言に他ならない。故にもはや、この霧に存在価値などないのだが…。

 

「断る。…とでも言っておこう。」

 

今、この霧を消せば二度と本気の霊夢とは戦えぬ。まだまだ役立ってもらうこととしよう。

 

「あっそ。だったら、退治するしかないわね。」

 

「汝が?余を?…できるのか?」

 

「…いつだったかしら。言ったでしょ?…私が勝つって。」

 

お祓い棒でこちらを指しながらそう言う霊夢。この時、初めて霊夢の口元が緩み、微笑む。普段ならば不遜であると殺しにかかるところだが、強敵に会えたゆえか、心がざわめく。

 

「珍しいな。霊夢がそこまでやる気なんて。」

 

「この人はこうでも言わないと自分を曲げないもの。…まぁ、変わってなければだけど。」

 

「ん?ま、まぁ。どうせ、私らが勝つんだ。だったら、付き合ってやるさッ!!」

 

霧雨魔理沙はそう言うとあの魔道具をこちらへと向ける。あのレーザーか。阿呆の一つ覚えだ。

 

「クククッ。生意気な。…ただの人間だからと言って余は手加減などせんぞ?」

 

「させねえよ。そんなこと!!…くらえっ!!恋符『マスタースパーク』ッ!!」

 

案の定、余の目の前を掌握する七色の光線。迫り来るそれは余を避けて後ろへと抜けていく。

 

「はぁ!?」

 

「当たらぬよ。何度も見たからな。」

 

空間侵食。

空間を食い破り、不可視のバリアを自身に張る。霧雨魔理沙も空いた口が塞がらないと言った様子だ。…本来ならばただの反則。こんなことはせぬが、何度も見過ぎで飽きた。

 

「魔理沙ッ!!」

 

「わぁってるよッ!!」

 

…光が消えればそこに少女2人はいない。空を蹴り、霊夢の元へと飛ぶ。霊夢はすでに針を懐から取り出し、此方へとぶん投げた。

 

「くだらん。」

 

玄天で弾くと共に霊夢の懐を取る。固められた左拳は霊夢の懐を穿ち抜く勢いで突かれるものの…手応えがない。体を捻り、避けると共に霊夢はお祓い棒を振りかぶる。

 

「ハァッ!!」

 

首が刎ねられる一瞬、霧となり、お祓い棒は空を切る。霊夢は即座にその場から上へと飛ぶ。霧から戻る余を出迎えたのは光の魂。

 

霧雨魔理沙の放ったいくつもの弾幕。それは余へと向かって飛んでくる。

 

「『斬風(ルドラ)』ッ!!」

 

その言葉に応え、余の周りを吹き荒れる風。それは光弾を全て真っ二つに切り裂き、空中で爆発させた。

 

「へ!!お前も一つ技だけじゃないかッ!!」

 

「言ってくれるな。小娘よ。」

 

その言葉と共に余は上空へと飛び上がる。…見える月は霧の影響で真っ赤だ。あぁ、月が赤い。何とも美しい。

 

「ッ!?魔理沙!!何か来るッ!!」

 

「はぁ!?」

 

…自然と口角が上がる。手を広げれば、余の背後から横にいくつもの魔法陣が出現する。玄天を地面に落とし、手を合わせるとその手の隙間を埋めるのは…炎だった。

 

「ならば、荼毘に付すがいい。…『獄炎(サラマンドラ)』」

 

直後、魔法陣からはいくつもの火球が紅魔館の地面へと降り注ぐ。まさに炎の集中豪雨。草花を炭とし、霧の湖の水を僅かに干上がらせる。玄天の風の影響で炎はレミリアたちのいる紅魔館には当たっていない。

 

「…さぁ、逃げ惑え?」

 

究極の魔法の前に博麗霊夢は突撃を選んだ。




次で終わります。
わりとトントンぐらいで書いてるけどもねぇ。ここの霊夢は兄上のおかげで格闘得意です。

あ、あと恋愛っていうほどではないけど、兄上受けの話もかけていけたらなって考えてます。咲夜とかが顕著だよね。まぁ、苦手な人もいると思うのでそういうのは求めてないっていう人は…ごめんなさいね。

今作はできるだけ自分の書きたいように書かせてもらいます。毎回、アンケだのリクだの取りすぎてよくわからんくなるので。これは反省。まぁ、バトルはしっかり書かせてもらいますけども。では。
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