赤クソ(ガイア)と白クソ(メシア)とクソ(他)   作:イリノイ州の陰キャ

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前回のあらすじ
エツリ「うぉぉおおーザン効かねぇ!」
ヒバチ「アナライズ!」
エツリ「うぉぉおおー体力足りねぇ!」
ガミジン『ムドオン!』
ウベルリ『ギャース!』タイサンタイサーン!
エツリ「何もしとらんのに勝ったわ」

 ヒバチ君とは一旦お別れ。ヒバチのこと書くとか言ったけどやっぱ時期じゃねーや。でもそのうちまた出番あるよ。今回はヨシオとワルオが登場。



スコティッシュおねとヨーロピアンHENTAI

 

 ストロベリー香料のしつこい匂いが協会に充満する。注文した男が周囲に酷く睨まれていた。店主の思い付きで作られたパフェ、とかいう甘い食べ物のレプリカだそうだ。エツリは試していないので味は解らないが、少なくともこのドぎつい匂いを醸す食物が、健康に良いということはないだろう。男は居心地悪そうに早々とパフェを頬張ると、人工甘味料の純粋過ぎる甘さや、上塗りするような甘い匂いにやられ、三口と食べる前から胃もたれを起こしてしまったようだ。

 

「……」

 

 いつもの通り、カタキラウワの肉を焼いた不味い飯で食事を済ませることにした。味付けもへったくれもない。ゴムみたいに歯を押し返してくる肉を無理やり面の下からねじ込んで、歯とフォークで引きちぎるようにして小さくすると、さっと面を下ろして碌に咀嚼もせずにさっさと飲み込む。店主に言えば「ナントカ」とかいう、店主も本当の名前を知らない謎の化学調味料を出してくれるが、エツリはこれの味が嫌いだった。あまりにも自然味がなさすぎる味は、確かに研究され尽くしているだけあって、これ以上ないほどに無駄のない塩味と旨味であり、間違いなく人体には無害であろうが、味わい続けているうちに、自分が人間であることを忘れてしまいそうだった。

 

「……」

 

 作戦が終わってまた作戦。今度は東京タワー周辺の調査をさせられるらしい。悪魔が取り憑いてタワーを支配してから、誰も中に踏み入ったことはない。厳密には、踏み入った者は誰一人として帰って来なかったので、中の様相がどんなものであるか、誰も知らないのである。そんな所に雑魚隊員共を派遣しても皆殺しにされて帰ってくるのは解りきっているので、流石に中を見て来いとまでは命令されていない。恐らく別の調査員がタワーに侵入するまでの導線確保だ。こういう直接戦闘の少ない下働きみたいな仕事が続くと、上野に戻ってきた、という実感が強まる。エツリはどうやって透明にしてるのかも解らないような薬品くさい水を飲み干すと、勝手に隣のテーブルのピッチャーを取ってまたコップに注ぎ、今度は少しだけ含むようにして、喉に引っかかっていた肉を飲み下した。

 

 

『――――見られてるよ』

 

 

 はっとしてエツリは顔を上げそうになるが、寸前で押し留めた。シルフの警告が彼女の勘違いでないのならば、あからさまに周囲を見渡すような真似をすれば、監視者にすぐに気取られる。彼はほんの少し目を見開くまでにリアクションを留め、何とか普段通りを装って食事を済ませると、ポケットの中で密かに携帯の電源を入れた。それから食器を下げる序でにカウンターの周りを確認すると、協会を出る時に面の中で眼球だけを動かして周囲を確認する。見覚えのない人影は四つかそこら。協会への入場は悪魔召喚プログラムを使用できることが条件なので、非戦闘市民は基本的に訪れない。更に上野は悪魔が弱過ぎて稼ぎにならないのか、ここを拠点にする人外ハンターもほぼいない。専ら討伐隊員の休憩所か、小遣い稼ぎの依頼所のような様相となっているが、偶に別のエリアを活動拠点にしている人外ハンターが中継地にしたり、納品などの目的でやってくる。また豊洲作戦以降、若干ガイア教団の人間が残留していることもあって、怪しい人物を一人には絞り込めなかった。

 

 

 

 エツリが去った後の協会内で、服装からしてガイア教団ではない男が、ボソボソと独り言を漏らしていた。浮浪者のようなボロボロの上着と、サイズの合っていない大きな迷彩のズボンを履き、薄汚れた登山用のリュックを背負っている。時折ベルトに下げたライトやらナイフやらがカツカツと音を鳴らし、周囲を威嚇しているようだった。それから目を引くのは、ベルトに差した直剣。中頃だけを覆うような革鞘に納められているそれは、身が片刃、先が両刃になっており、中国の刀のような様相であった。鞘に中頃を隠されているものの、その刀身の腹には碑文が刻まれており、尋常ではない品のようにも見える。討伐隊の使うボロ刀や、製造過程からして殺傷用ではない模造刀とは違い、それ自体が非常に価値あるものように見える。そのちぐはぐさが、素性の怪しい男の不気味さを一層深めていた。

 誰もいない場所に話しかける彼の様子を気味悪がって、近くには誰も寄ろうとしなかったので、彼は悠々と立ち用の大きなラウンドテーブルを占領しながら、精霊を使役しているであろう青年について話していた。

 

「本当にあれが、精霊の契約者なのか?」

『然れども……』

「動きはまるで素人だね……視線に気付いたまでは良かったけど、明らかに動揺して動作が止まったな。〝こういう〟手合いに慣れてなさそうだ」

『うむ……』

 

 男はそう言うと、黒画用紙を切り抜いたような、自らの背の後に伸びる形の悪い影を操って、ガイア教の服を着た別の人間の影とそれを繋いだ。シルフの感じ取った視線の主とはこのガイア教徒のものであった。男は自身の影が教徒と結び付いたのを確認すると、その格好からは想像もできないような優雅な手つきで、かつ素早く食事を終わらせた。

 影を繋がれた教徒はと言うと、一足先に協会を出たエツリを追うべく、素早く注文していた料理を平らげていたのだが、影が繋がった瞬間に突如として自意識を失ったかのように全ての動作を取りやめ、そして酷く不自然な素振りでゆっくりと食事を再開した。二人の席は離れていたので誰も気が付かなかったが、肉皿を食す両者の動作は、タイミングや指の先の曲がり具合まで、完璧に一致したものであった。

 

 

 

 プラットフォームに戻ったエツリは、大きなプレッシャーを放つ二つ以上の何かが遠ざかっていくのを感じて、どさっとその場に崩れた。息切れで少し湿った面を荒っぽく取り外すと、その勢いのまま床にそれを投げ出した。視線の主とは別の、いやもっと警戒すべきであろう者がいたことは確かだ。それもシルフの警告によって気が付いた。

 

(何で俺なんだ……)

 

 あまりに弱過ぎて逆に有名になったとか? あるいは自分では解らないだけで、周りから見ると変な格好であったり、立ち振る舞いであるのかもしれない。シルフは悪魔だから人間とは感性が違って、エツリの違和感に気付けないとか。

 

(いや……)

 

 東京では誰に、いつ、如何な理由で恨みを覚えられるかなど、特定できる訳がない。恨みでなくとも何をどう利用するかも。一々脅威を数えて、怯えながら全てを避けて歩こうとするなど不可能だ。不可能に等しいとか、困難であるとかではなく。不可能だ。今このプラットフォームがいきなり崩れ去って生き埋めにされても、ありえないことが起きたとは言えない。突然巨大な悪魔が舗装路を踏み叩いて、そこかしこで地盤沈下を引き起こたなんて話も、一度聞いたことがあった。

 

『気を付けなよ。君は特にポヤポヤしてるんだから』

「ぽやぽやって……」

『明日からまた作戦なんでしょ? 上野の外はここよりずっと危ないわ。もし君が危険だと思ったら、私勝手に出るから』

「え、いやそれは――はぷっ」

 

 エツリが難色を示そうとすると、突風が彼の顔に当たって口を塞がれた。案の定シルフの仕業だ。そして彼女の表情には有無を言わさぬ威圧感が浮かんでいる。

 

『出るから』

 

 もう無言で頷くより他になかった。というかまた突風が吹いて、彼の頭を上から押して縦に首を振らせたのだった。

 

 

 

 崩落した赤羽橋駅から少し北、桜田通りを折れて芝公園までの通りの中頃で、彼等は小休止を挟んでいた。ここが東京タワー通りなどと呼ばれていたのは昔の話。今はバーニングデビルストリートだ。悪魔と火の手とに、人間はこの地を追われ、完全に生活圏から切り離されている。もう焼けてからかなり長い時間が経過しているであろう黒ずんだ骨の残骸が散乱している。十中八九人間のそれだ。後は少し知恵のある悪魔が人間の文明の名残をいじくり回してみたり、あるいは生け取りにして連れてきた人間を使って遊んでいる。こんな最低な様相になっても隊本部(お上)がこの周辺を諦められないのは、東京タワー自体に何か秘密があるからのようだ。有益な資源か、秘密裏に国が保有していた悪魔の依代か……とにかく偉い人達はタワーに強くご執着なさっている。

 

「……以上。確認が済んだ班からここに戻って来るように」

 

 隊は通常業務の延長で、屠殺の時の組み分けと同じ。ここで幾つかの班に分かれ、端から悪魔を討伐していく。全てではなく、タワーまでの導線に必要な分だけだ。でないと切りがない。大小合わせて数十や数百では効かない数の悪魔が跋扈してい上に、殺しても殺しても新しいのが出てくる。班に分かれる前から既に何度か会敵しており、数回戦闘を終わらせた後だった。一度タワー通りまで進行したが、大通りはやっぱり悪魔が多過ぎる上に道も悪いので使えないということになり、桜田通りを下って裏路地からルートを探ることになった。

 

 さて、隊の方針が定まった所で、エツリは何をしているかと言うと。

 

 

『えー? じゃあ女の子の手も握ったことないんだー♡ ウブだねー♡』

「あ、あの……」

『へー! ならウチが初めてのお手手繋ぎしてあげるー♡ うわー、耳が真っ赤だー! かわいー♡』

「ち、近い、近いです……」

『ホントだ真っ赤っ赤になってる♡ 照れちゃった? 恥ずかしいねぇ♡ こっち向いてみて♡』

「うぅ、う、うぅぅー……」

 

 何をしているのかと言うと、何もしていない。エツリはいきなり現れた三人連れのカハクのグループに囲まれ、やりたい放題されていた。こんな風に手を握られたり、背中を指でなぞられたり、耳元で囁かれたりして、彼は完全に動けなくなってしまった。そもそも敵対してこない悪魔に攻撃できない彼に最初から術はなく、かれこれ十数分の間、こうして業務をサボって悪魔のおもちゃにされていた。

 班の連中は悪魔の襲撃に遭った途端、全員がエツリを囮にして逃げ出した。そちらも彼女等と別れた別の悪魔の群が追いかけており、下手をすれば今頃は追い付かれているかも知れない。それを思えば、未だ攻撃の意思を見せてこない彼女等が相手だったことは幸運だった。代わりに羞恥プレイを強要されているのだけど。

 

「GOOOOOOOODッッ!!!」

 

 あと見てるだけで助けてくれない謎の男が喜んでる。黒いスラックスと黒いワイシャツの上に赤い背広(ガイア教団が元反社会勢力の人間に配ってる奴)を着て、自然な発色の金髪を携えた男。よく見ると凄い顔がいいのに、エツリが女の子に虐められて恥ずかしがっているのを見ながら発狂している様子が、その完璧とも言える顔面の造形を台無しにしていた。

 

『ウチ等と一緒に来なよー♡ 絶対楽しいからさ♡』

『キミの知らないこと色々教えてあげるよー♡』

「そ、その、困ります……」

「WICKEDッッ!!! 僕のDICKがDYNAMICになっちゃうッ!! 今すぐ君をPICKUPしたいぜCHICKッ!!」

 

 弱々しい抵抗は彼女等の手を振り払うことは出来ず、そのまま持ち上げられて連れていかれそうになるのを、何とか寸前で引き留めていた。大きく手を振り払って彼女等を傷付けるのを恐れたエツリは、もじもじと小声で否定を唱え続けるも、彼女等はそれが聞こえないフリをして、押しに弱い彼を散々虐めて遊んでいる。あと外野がうるさい。ガイアだけにってか。

 

 

『んー? でもこのお耳は満更でもなさそうだぞー♡』

「うぁ……」

『ほら行こ! お姉さん達がキミにいっぱい楽しいことして――』

 

『もー!! 消えなさーーーいっ!!!!』

 

 吹き荒れる突風。いつもより刺々しい風当たりにはだがひりつくのを感じると、我慢が効かなくなったシルフの怒声が次に響いて、エツリの右耳が一時的に機能を奪われた。透明な状態ではなく、しっかり姿を表して怒っている彼女の様子を確認すると、一瞬驚いた表情をしたカハク達は、次第に新たなからかいの種を見つけたかのように意地悪な笑顔へと表情を変え、急に先程までの甘ったるい猫撫で声を潜め、竹を割ったように潔い声で笑い始めた。

 

『あれー? いい人いるんじゃーん♡』

『邪魔者は退散しまーす♡』

 

 シルフが出てくると、カハク達はそれまでのしつこさが嘘のように帰って行った。突風で尻餅を突いたエツリは、周りを囲んでいたカハク達もいなくなり、自然とシルフを見上げることになった。

 

『はぁ……はぁ……』

「し、シルフ……?」

『何よ……勝手に出てくるって言ったでしょ』

「シルフの言うここぞって言うのは……」

『い、今よ今! あの火遊び女達がいつ攻撃してくるか解らないじゃない!』

「そ、そうだね」

 

 思ったより必死に論を述べ始めたシルフにこれ以上ツッコミを入れたら、今度は衝撃魔法が飛んできそうな気がしたので、これ以上無闇に追及するのは取りやめた。

 

「YAAA! HOOOO!!」

 

 シルフに気を取られてすっかり忘れていた男、昔の映画のパンフレットに顔写真が載っていた、如何にもなパツキン外人みたいな男が、異常なテンションで両手を掲げていた。それからズンズンと足音を鳴らして変な男が近付いて来るのを見ると、シルフは空気を操って自らの姿を透明にしてしまった。そのまま警戒心ムンムンでエツリの携帯を介して帰っていく。彼女の人嫌いも中々のものだ。特にこういう一目で極端な性格をしていると解るような人物を嫌う。彼は面の裏に苦笑を隠しながら、そして男が何をして来ても対応できるように刀に手をかけながら、勿体ぶるように男の方を向いた。

 

「いいよいいよ君最高ッ! 僕のテスティコゥが満員御礼緊急大増産始めちゃったよゥ!!! 自分感謝の四見抜き、いや五見抜きいいっすか」

『ケッ!!』

「おっと、手荒い歓迎の仕方だね。まぁ激しいのは好みだが」

 

 刀に手をかけた体勢のまま固まってしまったエツリに代わって、携帯から衝撃魔法が繰り出された。どうやら先程のカハクと同じく、この変態男はシルフからすると脅威判定のようだ。しかし彼はまるで予見していたかのようにザンを華麗に躱すと、不敵な笑みを浮かべて再度近付いてきた。その導線にも衝撃魔法が数度放たれるが、男は無脊椎動物のような、口で説明するのも憚られるような奇妙な動きで全てを避け、そのままぬるっとエツリに近付いて彼の顎を指で持ち上げた。

 

「僕はソメガミ、ソメガミだ。かわいい君の名前を教えてくれないか? それからすまない、何がとは言わんがそろそろ暴発する」

「…………」

 

 エツリは呼吸音すら漏らさなかった。男の変態ぶりに呆れてものも言えないのではなく、全く理解できない状況に思考活動の速度を著しく低下させているのであった。

 何せこの男、両足の付け根の部分、すなわち股の部分のスラックス生地が持ち上がっているのだ。しかも前屈みになって誤魔化そうとかでもなく、むしろ腰を突き出してその大きさをアピールしてくる。先端が時折ピクピクと動く様子から、エツリは視線を外すことができなくなってしまった。一瞬でも目を離せば次は露出してくるのではないかという、何と言うべきか〝凄み〟があった。混乱のあまり動けなくなってしまったエツリは、顎を持ち上げる右手とは反対の手で体をまさぐられ始めたのにも碌に抵抗できず、恐怖に両足を縫い付けられてしまった。

 

「面の下はどうなっているのかな……? いや僕には解る。あどけなくも精悍な大人への成長を始めた、鋭さと柔らかさの混在する美少年の面立ちが、恥辱と快楽に疎いヴェイビィーフゥェイスが見えるともッ!」

「ぇ、ぁ……」

「おぉ、成年というには瑞々しい、まるで追熟する一歩前のフルーツのような声……いけない子だ。そんな無垢な鈴の音で僕を誘惑するつもりなのかい? 振り払ったりもしないんだね。もう受け入れ準備万端ってことかな……? あぁッ、限界だッ……下の棒から愛が溢れてきそうだッ……これはもう合意ということでよろしいですね? ウンイイヨ! そうかではその絹のような無彩の壺に僕の極太の絵筆でいかがわしい意味での色を教えてあ――」

『死ねッッッッ!!!!』

「ごぶほぁッ……!!」

 

 その毒手が面にかかった瞬間にシルフのファインプレー。避けられるのならば範囲を広げろということで撃ち出されたのはマハザンマ。同時に複数の方向から衝撃を放たれては、さしもの変態男も対応できず、突風によりエツリから大きく引き離される。そのまま半ばで折れた電柱に背中をぶつけ、肺の中の息を全部吐いて咳き込んだ。これにはエツリも感謝の念を惜しまなかった。正しくここぞというタイミングである。

 この男に比べればカハクの群れなどは脅威のうちに入らないであろう。彼女は色んな意味でエツリに危害を及ぼす恐れのある者を目前にして、もはや自らの姿を隠そうともせず、恐怖で小刻みに震えるエツリの前で仁王立ち(仁王浮き?)をしていた。さながら外敵から子を守る母猫である。

 

「し、シルフ……あの人、なっ、なんかやばい……」

『大丈夫、大丈夫よ。も、もう指一本触れさせないんだから。ただじゃおかないわよこの変態ッ……!』

「ぐふっ……お、oh……女の子に守られる流されやすい弱気な男の子……い、イイィィ! イイネェェッ!! あっやべちょっと出た」

 

 この男、エツリが1センチ指を動かしてみるだけでも興奮するのではなかろうか。いよいよ刀を鞘から引き抜いたエツリと、生体磁気を両手に集め出したシルフの目は、もう完全にその辺をうろついてる悪魔を見る時のそれだった。

 男はアスファルトにタックルを仕掛けた自身の体を労わりながら、しかしその明朗さを一切失わせないまま立ち上がった。そしてすぐにエツリが完全に刀を抜いていることを確認して、慌てて釈明に入る。

 

「ま、待ってくれ、いや、全く君を傷付けようだとか、貶めようという意図がある訳じゃないんだ。この世には君の知らない快楽があるということを教えたいだけなんだ。僕に任せてくれれば天国を約束する!! それがダメならせめて一舐め……じゃなかった一撫でさせてくれ。部位は勿論両胸の先端部――」

『殺すッ!!』

 

 男はこれまたザンを華麗に躱わすと、言葉を中断されたことに呆れたみたいな仕草で肩をすくめた。

 

「仕方ない……無理やりは趣味じゃないんだが、君を手篭めにしろと僕の第十一の指が囁くのでね。少々強引な手を――」

 

 

 

 

「御仁、その手を納めなさい」

 

 

 

 

 横から男の手を掴んだのは、白いメシアの祭服、戦闘を役割とするテンプルナイトの祭服に身を包んだ女性であった。

 人影を認めるとすぐに透明になったシルフであったが、依然としてそこに待機したままだ。余程ソメガミの奇行が不愉快であったらしい。

 

「……メシアが何の用だ?」

 

 先程までのふざけた態度は完全になりを潜めた。よくあるガイア教徒の不躾な敵愾心が表出され、またその周囲にちらちらと巡る暗い燐色が、生体磁気に強い俗性を混ぜている。彼がガイア教徒であると思い知らされる一方で、彼をキッと睨みつける女性は、先日のウベルリよりも遥かに清浄な神聖を誇るように湛えていた。

 

「今すぐその極めて悪辣な言い寄り行為をやめろと言っているのです」

「ほぉ、立派だね。それがメシア何某の信条って奴かい?」

「見当違いのご指摘をどうも。申しておきますが、これはメシア教の教義がどうこうという意図による注意ではありません。市民に迷惑行為をはたらく不審者を、諌めているまで」

「……」

 

 エツリはそれはもうブンブン縦に首を振った。彼等の間に割って立つ女性に同意するように。ベルと名乗った女性は、その必死さに若干冷や汗をかきつつも、すぐに調子を取り戻し、ソメガミを睨み付けながら背後に向かって自己紹介をした。

 

「私はベルと言います。見ての通り一介のメシア教徒ですが……周辺の警備もしております故、腕には多少の覚えがございます」

「あ、ど、どうもご丁寧に。エツリです」

「ほぅ! 君はエツリというのか! 可憐な名前だ。実にかわいらしい」

「……」

「……」

 

 彼等の自己紹介に割って入ってきたソメガミの傍若無人ぶりに一瞬の沈黙が流れるが、彼はそんな微妙な空気など意にも介さず、エツリに対する態度とは打って変わって皮肉げに頬を引きつらせた。

 

「さてエツリ君。聞いただろう。服装からして君が討伐隊員だというのは解る。それに今日はそこら中を隊員が歩き回っているしね」

「……?」

「そこの女は先日、君達討伐隊と事を構えた派閥の人間だということだ。信用しない方がいい」

「その説明には語弊があります」

 

 すぐに反論したのはエツリではなく、当本人のベルであった。彼女は正義を否定されたかのような憮然とした、ある意味堂々とした表情で立って構え、真正面からソマガミを睨んだ。

 

「討伐隊各方と武力衝突を起こしたのは、救世使徒連の派閥です。私は純メシア教」

「なるほど、ご高名な〝純〟メシア教のテンプルナイト様でいらっしゃったか」

「テンプルナイトでもありませんよ」

「その無意味な嘘は 僕等に取り入るためかい? ではそのこれ見よがしな祭服はどう説明する?」

「単に助祭であるというだけです。そういうあなたこそ、何者ですか?」

「僕? 僕は〝これ〟さ。わざわざ色で判別できるようにしてあげてるんだよ」

 

 彼はそう言って赤いジャケットを主張した。元々反社会組織の構成員だった人間が支給されるタイプのガイア服。すなわちスーツだ。東京が結界に包まれる前に政府の命令で解体された組織が、再度結成して組を名乗り始めたらしい。と言っても、それ自体がエツリからすれば生まれるより前の大昔の話なので、この男もその連中の子孫とか、後から加入した末端とかそういうものと考えるべきであろうか。

 

「不審なのはメシア教の方だ。何やら勢力拡大に躍起になっているようだが」

「単なる協力体制です」

「どうかな。元から計画の内だったんだろう? 噂に聞いたが、各陣営に少なくない額の〝実弾〟を切ったとか」

「あくまでも助成目的です。直近に悪魔の軍勢による生活区の同時襲撃があったのは当然……あなたもご存知でしょう。憶測でものを語るのは止めなさい」

「しかし、現に討伐隊の領袖は、大元のメシア教がハンター協会に発布した施設召喚命令の如何に対して、完全な不干渉を宣言したそうじゃないか。しかも、前会長が没してすぐの出来事だと聞いたよ」

「それも誤りです。命令ではなく誘致、武力脅迫は一切しておりません。メシア教の関連施設にハンター協会を設置する試みは、あくまでも両者合意の決定です」

 

 お互いの素性を知るなり口喧嘩を始めた彼等に対して、エツリは術なしと言わんばかりに空を見上げた。元々小競り合いの絶えない連中だ。噂によればお互いの色が気に入らないとか。ファッションセンスは正直同レベルであるが、それを指摘すると激昂されるらしいので、今までエツリは面と向かって彼等の服装をとやかく言ったりはしなかった。とにかく彼等の喧嘩などはある種日常茶飯事と呼べるような、珍しくない事柄の一種であり、むしろ率先して解決しに行くべきではない、放置しておくのが穏当なものなのだ。

 

「その、何? もう俺は、いいかな?」

 

 ここでエツリの対人間コミュ障発動。何とも要領を得ない確認である。陰キャ語を翻訳するとつまり、俺には用はないみたいだから消えるね、ということだ。透明化したままのシルフが僅かにため息を漏らしたのを横目で睨みながら、エツリは刀を納めて立ち去ろうとする。

 

「いや待て! 待ってくれ! わ、悪かった。も、もう少し時間をくれないか」

 

 なぜか食い下がるソメガミ。非常に怪しい。エツリは判断を仰ぐようにシルフを見た。彼女はノータイムで首を横にふる。全く同意見だった。彼は断りの返事もせずに消えようとする。

 

「や、約束する! 絶対に何もしない! 何もしないから! ちょっとお話しするだけ! もう先っちょ! 先っちょだけだから……僕は巷じゃ人畜無害のソメガミで通ってるんだ。人に危害なんてとてもとても」

 

 さっき無理やり手篭めにとかほざいていた男の言葉だ。エツリは最初から信じる気などなかった。しかしあまりにもしつこい。断り続けたら実力行使に訴えてきそうな必死さがエツリの同情心を買い、情に甘い彼の決心を鈍らせる。

 

「……変なことしたら怒るぞ」

「シナイシナイ。ボクヘイワトオナハガスキ」

 

 平和とお花?

 

「はぁ……」

 

 耳元でやめとけコールを続けるシルフを目で説得し、エツリはあと少しだけこの男に付き合ってやることにした。彼なりに何か考えがあってのことかもしれない。

 

「では、私も同行しましょう。その男が狼藉を働かないように」

「…………チッ!!」

 

 絶対に早まった。ほら見ろ、みたいな目で見てくるシルフの視線を躱すのに忙しくて、足下に転がっている瓦礫にすぐに気がつかなかった。

 

 

 

 何か嫌な予感(というか視線)がしたので、ソメガミを前に歩かせる。エツリが続き、そのすぐ後ろをベルが歩いていた。前は透明化したシルフが先行して見に行ってくれるので心配はない。怖いのは背後だ。しかしソメガミに背後を取らせるのも怖い。そういう訳で、真ん中に挟まれるような位置に陣取った。彼等は道中のはぐれ悪魔、大抵はノッカーやらドワーフやらを蹴散らしながら、東京を歩く時のセオリーに即して前後を絶えず警戒しながら進んで行った。

 エツリは東京タワーまでの導線を確認、ソメガミはその彼に付いて行きたい、ベルはソメガミが何かしでかすのを止める。というよく解らない布陣が出来上がった。

 

「そういえば、そこの女、お前の目的を聞かせてもらっていないな」

「ですから、あなたがそこのエツリさんに嫌がらせを働かないよう監視す――」

「その言い訳は通用しない。僕が聞いているのは、なぜ〝こんな場所〟にいるかということだ」

「……あなたの方こそ、こんな場所で何をしていたの言うのですか」

「僕等ガイアの拠点は銀座だぞ? この辺りで遺物を漁っているのがそんなにおかしなことかね。だがお前は違う。使徒連の支部がある豊洲を除けば、メシア教の各派は殆どが西部に集まっている」

「……」

 

 二十三区南部に多く活動拠点を構えるガイア教団は、その本部を中央区の繁華街跡地に構えている。徒歩で行軍して一時間かそこらの場所だ。対して人外ハンター協会のある新宿より更に西に位置するメシアの諸派は、徒歩で倍以上の時間をかけてここまで来る。道中の崩落の工合が酷ければ一昼夜を徒歩移動に使う場合すらあるだろう。

 そう考えると確かに不自然だ。わざわざガイアの拠点に近いこの辺りに来て、教徒に見つかったら交戦は免れない。エツリというイレギュラーが間に挟まっていなければ、彼等はすぐにでも争いを始めていただろう。

 

「……とある物品の調査、可能であれば回収せよと命令を受けています」

 

 頑なに見えた態度に反して、彼女はあっさりと目的を語り始めた。面食らうエツリとは裏腹に、ソメガミはまるで当たり前のように彼女に聞き返す。

 

「とある物品?」

「……東京タワーの内部に、ユダの国璽が保管されているようです」

「ユダというのは……もしやユダ王国のことを言っているのか? 印章が残っているなどという話は聞いたことがないが」

「厳密には〝国璽〟ではない。しかし確かに〝王印〟なのです」

「何を言っている? はっきりしろ」

「……」

 

 何だか意味の解らないことを言ったかと思うと、彼女はそれきり口を閉ざしてしまった。それを見たソメガミは嫌に嬉しそうに、そしてどこか失望したかのように皮肉っぽい笑い声を唇の端から漏らした。

 

「これで解っただろうエツリ君? この女は我々に本当の目的を話すつもりはないようだ。勿論信用にも値しない。時間の無駄だな」

 

 これ以上話すことはないという風に、ソメガミは大袈裟に両手を放り出してみると、エツリの肩を掴んでベルに背を向ける。ただでさえ両陣営の溝は深いというのに、その上要領を得ない彼女の説明にいい加減辟易してきたようだ。しかしエツリは呆れ返ったソメガミとは対照的に、まだ詳しく話を聞くつもりであった。初対面の相手がこういう突拍子もないことを言い出す時、何故か本当のことを言っている時が多い。というのも、相手を信用させるためにそれっぽい話をする奴等にこそ、人を騙そうという意志を持った者が多いからだ。

 

「主に誓って私は、自らに虚言を許しません。しかし全てを説明する訳には……いかないのです」

「隠し事をしていると素直に言えるとは、信心深いお方だ。そしてますます疑わしくなったな。君もそう思わないか? エツリ君」

 

(いや……この人は多分……)

 

 嘘を言っていない。偉い人達がヤケに東京タワーに拘泥する理由が、何か曰く付きな品物の回収であるというなら納得できる。末端はともかく、討伐隊の本部は常に余剰戦力を欲している。そもそも結界が干渉するせいで電波が上手く使えないのだから、電波塔自体に用がある筈もない。

 

「私はこのままタワーに潜入します」

「タワーにねぇ……見えてるかい? アレ」

 

 ソメガミはおどけた様子で頭上少し斜め右を軽く指差した。強烈な生体磁気の歪みが暗雲を起こし、放電を起こし、その嵐のような淀みの裏に何もかもを隠してしまっている。特徴的な赤い立ち姿の半分も見えない有様だ。

 

「暗くてよく見えないし、遠目に見る分にはそんなに違和感を感じたことはなかったが、確かに聞いていた通りだ。人類がまともな呼吸を許してもらえるような環境には見えないね」

「……ッ! もう、ここまで来ていましたか」

 

 まるでタワーの全容が見えていなかったかのように、彼女は大袈裟な驚きの表情を表した。彼女が合流してから、歩数にしては千に届くかという所。距離にすれば一キロも歩いていない。道中で悪魔と交戦したことを考慮しても、対して時間はかかっていない。

 タワーに潜入するなどと彼女は言うが、先行した討伐隊員は誰一人帰って来ていないらしいし、ほぼ自殺行為だ。よく解らんものには触れないのが東京の鉄則。面倒事にも、助けを求める人間にも触れないのが鉄則。まぁエツリは一つとして守れた試しがないが……少なくとも何も情報がないこの時点で、しかも命令されてもいないのに、わざわざタワーに潜入しようなどとは思えなかった。

 

「さて……僕はここで消えるとしよう。彼女の無謀に巻き込まれたくはない。エツリ君もそんな奴とは……あぁそうか、そもそも君は隊の仕事で来ているのだったな。ではこのまま引き返すのかな?」

 

 別に付いて来てほしいとお願いした訳でもないのに、とは言わないでおいた。言動ははもうただの異常性嗜……変た……エキセントリックだったが、一応は道中の悪魔を散らすのに協力をしてくれたし、メシア教が関わらなければ友好者という位置付けに考えても差し支えない筈だ。ただ顔と背中(特に臀部)は絶対に見せまいと心に固く誓った。恐らくシルフも手放しで賛成であろう。

 

「君とはまた、そこの女がいない時にでも会いたいな。その時を楽しみにしているよ。今度はしっかりしっぽりお泊まりデートプランを考えてくるからね」

「二度と顔見せ――」

 

 

 

 キーーーーンンン……ン……

 

 

 

 ソメガミが背を向けた瞬間、突然鳴り響く甲高い音。金属同士がぶつかり合うような不愉快な音が彼等の頭を揺らす勢いで響き渡る。それだけで三人は前後不覚に陥るほど意識を掻き乱され、頭を両腕の内に抱えながら膝を突く。

 蹲った彼等の横身に、冷たい突風が叩きつけられた。風ならばと即座にシルフが制御しよううと試みるが、その性質はむしろブフに近いもので、彼女の力を以てしても防ぐことは叶わず、彼等はそのままタワーの方へと吹き飛ばされた。

 測ったようにタイミングよく開け放たれるエントランスの硝子戸。彼等が転がり込んだ瞬間に扉が内から凍り付き、一度は繋がった外界との関係が、また完全に冷たい闇の中へと塞ぎ込む。

 

「な、何が……」

 

 最初に立ち上がったのはベルだった。強かに打ちつけた背中を押さえながら、周囲を軽く見回す。不思議な空間だった。外に繋がる扉や窓だけが凍り付いており、他は乾燥しているとまで言える。もはや整然としていると言えるまでの徹底ぶりだった。

 

「クソッ……一体何が起きたというんだ……ここはタワーの中……? うぉっ! さ、寒い。産毛まで、凍りそうだ……」

 

 内側から凍っているだけあって、温度は低い。それも偶に吹き付ける出所不明の風が彼等の体から熱を奪っていく。まるで雪山に何の装備もなしで取り残されたかのように心許ない。

 

「この、寒さは……まずいな。せめて、この強風を、凌げる場所を見つけ、なければ……」

「十中八九、悪魔の仕業、でしょう。恐らく根城は、外から見ても凍結、していた、上層階のどこか……!」

「そんな、ことを気にしている、場合か……! まずは寒さを、どうにかするために協力しろ……!」

「えぇ……仕方、ありません。業腹ですが、手分けをしましょう」

「やむを得ん……クソッ、なんて寒さ、だ。呂律が回らん。エツリ君も、さっきから静かだが……エツリ君!?」

 

 エツリが無言だったのは、この尋常ではない寒さのためだと思って振り向いたソメガミが見たのは、その場に蹲るようにして倒れるエツリの姿だった。体は小刻みに震えているので少なくとも命はあるが、口も聞けない程に寒さにやられている。

 

「エツリさん!? エツリさん!! しっかり、しっかりして、ください……!!」

 

 ベルが大声で呼びかけながら、強くエツリの体を揺さぶるものの、彼は呻き声すら発さなかった。呼吸の音が聞こえず、完全に意識を失っている。横に丸まって表面積を少なくし、なるべく放熱を抑えようとする姿は、まるで雪の中に眠る野生動物のようであった。

 

「駄目だ。応じない! 意識がないぞ!」

「とにかく、運びましょう! このまま、では彼が、凍死してしまい、ます……!」

「荷物は任せる……! 僕は、彼を……!」

 

 ソメガミがエツリを、ベルがエツリの持ってきていた雑嚢を持ち上げ、彼等は鍵のかかっていない小部屋を探すべく、凍結したエレベーターを駆け上った。

 

 





・純メシア教
 救世使徒連に次ぐ勢力、メシア教系統の新興派閥組織。構成者の半数を天使が占める使徒連とは対照的で、組織員に天使はいない。純とか言ってるけど使徒連よりこっちの方が緩い。恭順するなら悪魔も受け入れる。

・P=B=EL
 略してベル。Pどこいった? 本人はあくまでベルと呼ばれたい模様。エツリにもソメガミにもベルという名前しか明かさなかった。服装は真Ⅱのベスのヘアバンドなし版的な。テンプルナイトのそれと同じ祭服を着ているが、聖騎士ではない。それなりの位階の聖務者ではある模様。

・ソメガミ
 カオスな思想とカオスな性嗜好を持つカオスな思考回路の男。かわいければ女も男もイケる。西欧にルーツがあるらしい。めちゃくちゃ顔がいいので初めて彼に会う者は確実に面食らう。カハクのからかいに赤面するエツリの姿を見て興奮した。彼曰く「逆もまたヨシ」とのこと。この世の全てをアブノーマルにするという大いなる野望を秘めている。是非叶えていただきたい。熟女と美男子と目隠しSMとTSとふ◯なりと男の娘とメカとケモショタと触手と鼻フックと局部ピアスと露出徘徊がお好き。
 因みにエツリを引き留めたのはいいタイミングでマリンカリンをかけるため。ガイア教徒なだけはある。

・エツリ君は
 ブフとバステ全般が弱点。だからこんな序盤に主人公が属性負けする悪魔を出すなよ。


【怪報】ヨシオ、ヨシコだった模様
 ガンバレ◯ーヤみたいな表記すんな。
 ギャルとチャラ男に口説かれてたじたじな上に寒さでノックアウトするエツリ君。こんなに情けない感じになる予定じゃなかったんすけどね。書いてるうちに勝手に負けやがるんだよこいつ。
 
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