カミキについての考察を色々見て、自分以上のサイコパスがいたら闇堕ちしなかったのでは?という妄想を書き殴りました。

暇つぶしになれば幸いです。

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カミキ…、黒幕…、cv石田彰…。

原作「呪術廻戦」で、生得術式が「A.T.フィールド」の話を調べたら無かった。
乙骨とカヲル君とか絶対あると思ったのに…。



す◯ざんまい

 

『本当の出会いなど、一生に何度あるだろう』

 

そんな文言が思い浮かぶほどに、久しぶりに気分が良かった。

その要因たる星のような輝き(価値)を持つ少女を考えるだけで、自分には無いと思っていた心を実感出来る。

ワークショップ中にどうにか彼女をモノにしたい、と思いつつ帰路に着く。

 

「あの輝きを奪えれば…」

 

無意識に口にした言葉に、そんな考えを抱くきっかけとなったアバズレを思い出してしまい、せっかくの気分が台無しになった。

 

「もしかして、ヒカル君?」

 

名前を呼ばれ、反射的に振り返る。

しかし、そこにいたのは見覚えのない少女だった。

 

「あはは、覚えてないよね…」

 

目を伏せる少女に「らしくない」なんて感覚を抱き記憶を探ると、目の前の少女の面影がある人物に思い当たる。

 

「冷夏さん、だったかな?」

 

「っ…、覚えてたんだ」

 

「まあ、目立っていたからね」

 

「あはは…」

 

施設育ちというだけでも普通の小学校では悪目立ちするが、彼女は周囲の気を引くためか突飛な行動をとっていたこともあり、輪をかけて目立っていた。

中学では見かけなかったが、私立に進学したのだろうか?

 

「お話しない?

 少しでいいんだけど…」

 

「構わないよ、どこかに入ろうか?」

 

「ううん、近くの公園でいいよ」

 

ギターケースにスーツケース、随分と大荷物な彼女に手伝おうかと申し出るが、やんわりと断られる。

ミュージシャンとして活動しているのだろうか?

僕が子役として活動していたことは、学校でもとくに秘密にしてはいなかった。

それらを考慮すると、安易に受け入れるべきではなかったかもしれない。

 

にもかかわらず、何故か億劫には思わなかった。

あれだけ悪目立ちしていた彼女が、ここまで普通の少女になっている。

ただそれだけのことに、興味をひかれていた。

 

 

 

 

彼女がベンチに荷物を置いている間に、自販機で飲み物を購入する。

 

「はい」

 

「ありがとう」

 

スーツケースを大事そうに扱う割に、軽そうなギターケースを乱雑に置いたことを不思議に思いながら、缶ジュースを渡す。

 

「…っ」

 

缶を開け、すぐにベンチに置いたのを見て交換を申し出たが、曖昧に微笑まれてしまった。

 

「それで、話って?」

 

「あー、うん」

 

やはりコネを頼るのは気が引ける、といったところだろう。

 

「ヒカル君はどうしても欲しいものってある?」

 

「…あるよ」

 

思考が止まる。

反射的に答えてしまった。

 

「なら、手に入れたものが、思ってたものと違ったら?」

 

「…次を探すかな」

 

「次、かぁ…」

 

思っていたこととは全く違う方向性に困惑するが、この流れに乗れば彼女の手にした「普通」が分かるかもしれない。

その欲が抑えられそうになかった。

 

「冷夏さんが欲しかったものは、なんだったんだい?」

 

「家族、かな」

 

その「家族」が欲しかったもの、手に入れたもの、そして思っていたものとは違うもの、ということなんだろうか。

 

「ヒカル君は?」

 

「僕は…」

 

正直に答えるべきなのか迷うが、どうせもう会うことのない相手だ。

暈しつつ答えて、ヒントが得られれば儲け物だろう。

 

「役者だからね、自分に無いもの持つ人をいつも羨んでいるよ」

 

「そっか…」

 

それだけか、と思わず冷めた目を向ける。

 

「お寿司でも食べに行く?」

 

「は?」

 

両手を広げ、CMのようなポーズをとる少女に怒りが湧く。

とりあえず、続きを促す。

 

「初競の大間の本マグロとかって、何億って値がつくらしいし…」

 

「…それがどうしたんだい?」

 

「自分に無いものは、他から持ってくるしかないでしょ?

 目を良くするのにブルーベリーを食べる、みたいな」

 

「なるほど…」

 

ああ、つまりは…。

他人の輝き(価値)を奪うという考えは、決して間違いではないのだろう。

 

食人(カニバリズム)はちょっと…」

 

そんな風に誤魔化すが、言ってからマズいと思った。

しかし突っ込まれることなく、何故か不思議そうな顔をされる。

 

「人間なんて、そんな高等な生き物じゃないよ?」

 

「っ!」

 

鳥肌が立つ。

今までにない感覚に、心が騒めく。

そんな僕に気づかずに、地面に何か書き始めた。

 

「虫も殺さない殺人鬼、なんて言うじゃない?

 何人も殺すような凶悪犯が、豚の屠殺に吐くなんてこともあるんだよ」

 

(昆虫)(魚類)カエル(両生類)ヘビ(爬虫類)ニワトリ(鳥類)ネズミ(哺乳類)人間(霊長類)

それらの絵を矢印で繋ぎ、人間から虫も繋ぐ。

 

「人間までなら殺せる、なんて良くあることだし…。

 なにより人間を食べると、病気になっちゃうよ?」

 

普通の少女のように、笑顔で言い放つ彼女の姿に、冷や汗が止まらない。

曖昧な笑みで誤魔化すことしか出来なかった。

 

 

 

「ありがとね、さいごにヒカル君と話せて良かった」

 

「そうかい?」

 

先程までと違う優しい微笑みに安堵する。

 

「うん、ほら私ヒカル君のこと好きだったから」

 

「え…」

 

「今思うと、かっこいい子役の男の子、を好きでいられる私が好きだったんだけどね」

 

「そ、そう…」

 

女性に好意を向けられるなんて良くあることなのに、先程の姿がチラついて普通の少年のような反応になってしまう。

 

「じゃあ、さよなら」

 

「ああ、またね」

 

そう言って去って行く後ろ姿を見送る。

 

「…あっちは何もなかった気がするけど」

 

思っていた成果は得られなかったが、また明日から星を堕とす為に気を張らなければならない。

家に着く頃には、彼女のことなど忘れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから一週間ほど経ったある日、朝のニュースを見て手が止まる。

凄惨な事件、なんてよくある見出しで伝えられる情報に冷や汗が垂れる。

遺体が見つかったのは、あの日彼女と別れた公園からそう遠くない雑木林だったらしい。

 

首を括った少女と、その木の下に埋められていたバラバラになった成人男性の遺体が…。

 

「軽そうなギターケース…」

 

独自取材と銘打って、見つかった遺書の内容の一部がテレビから流れてくる。

 

「大事そうにしていたスーツケース…」

 

養子として迎えられた少女は、義母の病死を境に義父から肉体関係を強要されていたそうだ。

 

「飲まなかった缶…」

 

少女は妊娠していたようだった。

 

「は、ハハ、はははっ!」

 

もし、僕が、彼女の「普通(価値)」を奪おうとしていれば、殺されてくれただろうか?

それとも、埋められる遺体が二つになっていただろうか…。

 

「ああ、僕は今、生きている!」

 

思わず自分自身を抱きしめる。

生まれて初めて、自分の命に重みを感じる。

なにより、僕があの時彼女に抱いた感情が恐怖だったのだと実感した。

 

性的暴行を受ければ、「普通」は反撃するだろう。

殺してしまうことだってあるだろう。

 

街中で知り合いを見つければ、「普通」は声をかけるだろう。

それなりの時間談笑するかもしれない。

 

だが、どんな時も「普通」でいるのは、いられるのは、もう「普通」では無い。

死体の運搬中すら「普通」の少女でいられる、そんな異常な彼女に恐怖を抱いた僕は、十分「普通」なのだ。

 

「そうだ、十歳で性的暴行を受けた少年が歪むなんて、当然じゃないか」

 

愛を与えられなかった少年は空っぽだった。

空っぽだったお陰で何にでもなることが出来て、子役として天才と讃えられた。

そんな少年を妬み、全て台無しにしてやろうとした女優に襲われた。

女優は少年(価値)喰らった(奪った)かのように、今までとは比にならない程活躍するようになった。

味を占めた女優は何度も少年を貪り、もう食べる所はないと言わんばかりに去っていった。

 

自分に無いのなら、他人から奪えばいい。

 

そんな価値観になるのが「普通」だろう。

 

「はは、なんて下らないことに悩んでいたんだ!」

 

生まれ変わったような、それどころか今まさに生まれたかのような、清々しい気分だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくが経った。

僕が抱いていた葛藤なんて、思春期にありがちな普通の悩みでしかなかったのだと実感したとはいえ、そう簡単に(なお)るものでもない。

故に普通なる僕は変わらず、星のような少女との時間を過ごしていた。

 

「え?」

 

そんな折、彼女から妊娠したと連絡があった。

普通に考えれば、避妊もせずに体を重ねればそうなる。

とはいえ、あのアバズレのせいでそんな考えが微塵もなかった僕は、多少慌てることとなった。

なぜなら、彼女が産むつもりだったから。

 

「わかった。

 忙しくなるから、予定日が分かったらまた連絡して欲しい」

 

彼女が家族を、愛を求めていることはわかっていた。

そして、父親を知らない彼女は僕に何も求めて来なかった。

とはいえ、休業する以上事務所に謝罪はすべきだし、賠償や養育費など考えなければいけない事も多い。

しかし、妊娠と聞いて思い出したことがあり、まずそちらを片付けなければならなかった。

 

「あのアバズレの結婚、引退、そして出産…」

 

あの夫婦が育てているのは、僕の子供かもしれない。

 

「ああ…」

 

あのアバズレの家庭を崩壊させたら、その子供はきっと僕みたいになる。

逆に彼女が愛を教わり、知り、そして与えた子供はどんな風になるのか想像もつかない。

どちらも僕の血を引く、全く違う環境で育った子供。

 

「なんて…」

 

見てみたい。

比べてみたい。

行き着く先を、特等席で。

 

「世界はこんなにも輝いていたんだね」

 

あのニュースを見てすぐ、引っ張り出してきた小学校の卒業アルバムを撫でる。

 

「アバズレの子供なら、役者にするのも面白そうだ。

 ララライに誘うなら、プロデュースやマネジメントを担う事務所を、普通なる僕自身で運営してみようか」

 

僕を生まれ変わらせてくれた少女の名前を借り、業界でも有名な346プロや961プロにあやかって、『012(れいか)プロダクション』なんてどうだろう。

 

「まずは証拠を揃えないとね。

 元とはいえ売れっ子女優、探偵では尻込みするかな?」

 

その前に、弁護士も雇わないと…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくが経ち、彼女の出産予定日の連絡が来た。

温めておいた爆弾(調査報告)をあのアバズレの家へと郵送するとともに、彼女が入院していると聞いた宮崎へ出立する。

彼女のお腹に宿っているのは、双子の()()らしい。

 

「双子の姉妹…、将来はアイドルかな」

 

比較すると言う意味では、役者を目指して欲しいところだが…。

 

「…何故だろう、無性にマグロが食べたくなってきた」

 

飛行機の空調が効きすぎているのか、背筋が凍るような寒気がする。

ここ最近は仕事に調査にと忙しかったせいで、体調を崩したのかもしれない。

せめて到着まで寝ておこうか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時の僕は知る由もなかった。

 

苺プロの社長との話し合いで精神が削られることも…、

担当医に凄い目で見られる事も…、

双子の妹から全く、それこそ担当医よりも懐かれないことも…。

 

そして…、

双子の姉の、その見覚えのある瞳を見た瞬間、動悸と冷や汗が止まらなくなる事も…。

 

普通なる僕には、想像も出来ない未来が待っている事など、知る筈もなかった。

 

 




「何までなら殺せる?」
西尾維新の大斬企画で掲載された短編のひとつ。
そこから生まれた「十二大戦」のせいで他の作品は印象が薄いが、「RKD-EK9」とか面白いのもあるよ!(ダイマ)
ちなみに、本物の冷夏ちゃんはここまでやばい子じゃないのですが、「推しの子」世界線に合わせて重い過去を背負った結果こうなりました。
そしてカミキの普通なる僕というのは、王土くんオマージュです。

現在、推しの子×シャニマスコラボ実施中!!!

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