光の四妖精   作:松雨

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妖精大集合(後編)

「メノって、歌うことが好きなんだね」

 

 ピースが1位、僕が最下位で終わった1回目のババ抜きから40分の休憩を挟み、始まった2回目のババ抜きを観戦していた最中、ラルバが唐突に発した一言が家の中に響く。

 

 リリーとスターがお遊びらしからぬ心理戦を繰り広げていたり、サニーがババを引いてもらえずに焦ったりなど、見どころが複数あるこの勝負に、全く関係がなかったからだ。

 

 加えて、まだラルバ含む5人の妖精さんには言っていないはずの趣味が、いつの間にか知られていたのもある。

 

 僕への気遣いにより設けられた40分間……うっかり少し過ぎちゃったけど、その時に流れか何かでサニーたちや魔理沙さんから、話を聞いたのかもしれない。

 

「えっ……うん。まあ、好きかな。でも、どうしてそれを……?」

「スターや魔理沙と一緒にメノを呼びに行った時。少しだけ開いてた扉から、何か透明感のある歌声が聞こえてきてね。つい聞き入っちゃったの」

「そっか。夢中になってたから、かな? 聞かれてるなんて、全然気づかなかったよ」

「悪かった。盗み聞きするつもりはなかったが、結果的にそうなっちまってさ」

「大丈夫だよ。その、気にしないで」

 

 ただまあ、理由が理由な上に趣味自体隠す気なんて別になかったし、意図しないタイミングで知った相手だって、魔理沙さんやついさっき友達となったばかりのラルバである。

 

 何なら、僕の歌声を褒めてくれている。最初はちょっと驚いたし恥ずかしかったけど、嬉しくもあった。

 

「そう。例えるなら、メノの歌声は泡沫(うたかた)の光。喧騒(強すぎる輝き)に打ち消されるくらいには小さく(淡く)ても、その内に秘めたる『思い』は決して劣らないと、私は考える」

「あー……私もそれ、分かる気がするぜ。歌ってる時のメノの気持ちが、本当にそのまま乗っかってきてる気がしたからな」

「右に同じく。ただ声が綺麗で上手なだけじゃ、そんなことは多分思わないし」

 

 おまけに、楽しみつつも落ち着きを保ったまま1位で抜けたルナも、観戦者となるやいなやこの話に乗っかり、魔理沙さんやラルバ以上に色々と間接的な表現で褒めてくれていた。

 

(……えへへ)

 

 友達に褒められるのは勿論嬉しいけど、家族に褒められるのはもっと嬉しい……いや、幸せなことだ。

 

 とは言うものの、基本は本格的に作ったりはしていない。その時の気分を表した歌詞を、即興のメロディーに乗せて口に出しているだけなので、同じ歌を歌うことは僕が覚えていなければ不可能である。

 

 元々、誰かに自分から聞かせるつもりではなかった僕の歌。これを機会に、サニーたちを喜ばせる目的の元、料理に次いで頑張ってみるのも良いかもしれない。

 

 無論、魔理沙さんやチルノ一行にも場の雰囲気によっては、披露することも考えてはいる。

 料理とは違って恥ずかしさも生じてくるのは確実だけど、サニーたちや猫ちゃんぬいぐるみさえ居れば、容易ではなくても可能にはなるけど。

 

「チルノちゃん、せっかく応援してくれたのに負けちゃった……ごめんね」

「気にしなくても良いぞ! 楽しく遊べればそれで大丈夫だし!」

「うん、私はとっても楽しかった! リリーちゃんは、楽しかった?」

「楽しかったよー。最後はちょっとハラハラしたけど!」

 

 普段より更に騒がしくも、この場を存分に楽しむこと更に10分、スターやサニーに出し抜かれたリリーが2択を見事に乗り越え、同じく最後まで残っていた大ちゃんに勝利したことで、2回目のババ抜きもこれにて終了となった。

 

 なお、トランプには他にも()()()()プレイできるゲームはあるし、ババ抜きをまたやる選択肢もあるけど、ひとまずは別のことをしようと決まる。

 

 しかし、そうなると選択肢としては大分狭まってくるだろう。

 

 サニーたちや魔理沙さんにも好評な、僕かスターの作った料理を食べながらの世間話。

 

『スペルカード』を使うか否かは別にしても、試合形式で行う弾幕ごっこ。

 

 魔法の森をのんびり歩きつつ、香霖堂や魔理沙さんの家などの場所を巡ること。

 

 僕も入れた上で皆ができることとなれば、咄嗟に思い付くのはこのくらいだ。

 

「ねえ、メノ! あたいたちに、少しでも良いから何か歌って!」

「ババ抜きやってる時も聞こえてたけど、ルナちゃんたちがべた褒めするくらいなんだから、きっと上手なんだろうなぁ」

 

 しかし、話の流れからして薄々気づいてはいたけれど、ピースや大ちゃんを筆頭に出された提案(お願い)は、僕の歌であった。

 

 無茶を言っているのは重々承知らしく、断られても仕方ないとは思いつつも、そんなに凄いのなら聞いてみたいと好奇心に駆られてしまったからとのこと。

 

(どうしよ……期待に応えてあげたいとは思うけど、でも……)

 

 サニーたちや魔理沙さんは言わずもがな、色々とある僕と友達になってくれた5人のお礼として、歌を披露するのもやぶさかではない。

 

 ただ、それでも僕以外で9人も居るこの状況下で、何か良い歌を歌うと考えると、やはりどうしても厳しくなってしまう。

 

「……ごめんね。もう少しだけ、待ってくれたら嬉しい」

「分かった! 無理言ってごめん!」

「楽しみに待ってるね、メノちゃん」

 

 後は、披露するなら適当にその時の気分を歌ったものではなく、本気で考えて本気の気持ちを込めた、僕的に最高の歌にしたいとの気持ちがある。

 

 まあ、だからと言って最高傑作になるとは限らず、適当に歌ったやつが最高傑作となる場合だってあるのだけど、その辺は考えたらややこしくなるからやめておこう。

 

 それに、これは決して誰にも言えるものではないし、まかり間違っても言ってはいけないことだけど、初回はサニーたち()()()聞いて欲しい。

 

(この際だから、恥ずかしくて伝えられてない『ありがとう』を、歌に乗せて伝えちゃおう。うん、そうしよう)

 

 決してチルノたちが嫌いだとか、怖い妖精さんだと考えている訳ではない。()()()()()

 

 ただ単に、今世の僕の家族に感謝の思いを綴った『日記』、これを元にした『贈り歌』を贈ろうと、会話をする最中に思い付いただけなのだ。

 

 そもそも、チルノたちに対してそんな感情があったならば、一緒に遊んで盛り上がらない。家に来た瞬間、問答無用で自分の部屋に閉じ籠り、何がなんでも関わりを持とうとしない選択を取る。

 

 まあ、その前にサニーたちが僕に気を使い、チルノたちの興味が向かないように立ち回ってくれてただろうけども。

 

「さて、これから何をやるか……何か案はあるかしら? できることなら、大人数ないし全員が楽しめる遊びが良いわ!」

「なるほどー……定番で言えば鬼ごっことか、かくれんぼとかはどう?」

「私的には構わないが、その場合は公平を期すために色々と決めなきゃな。例えば魔法使用や飛行はもとより、能力禁止とか」

「確かに、色々と問題点があるもんねー。特にスターのそれとか、かくれんぼには反則能力だし」

「いつだったか、それ使って良いってことにしたら全然太刀打ちできなかったし、当然だわ」

「そもそも、メノちゃんのことを考えた上でやるなら、鬼ごっこはちょっとスペースが足りないかな」

「そうなると、やっぱりトランプしかないんじゃない? あたいはそう思うぞ!」

 

 で、この件についての話が終わるとすぐに、何をしようかとの話し合いになる訳だけど、中々これにしようとは決まらない。

 

 何なら、これからどんなことをして遊ぶかの話だったはずなのに、僕の波打つような癖毛が気になったのか、唐突に大ちゃんが「メノちゃん、寝癖とか凄そうだよね」と口にしたことにより、普段の髪の整え方についての話が始まる始末である。

 

 まあ、10人もこの場に集まればその分意見も増えてくる訳で、いくら友達同士であっても上手くまとめるのに時間がかかるのも、至極当たり前のことだろう。

 

「ねえ。正直、僕の髪型とか癖毛、どう思う?」

 

 ちなみに、僕の寝癖については大ちゃんの言う通りで、癖毛と合わさるとこれまた酷い。

 昨日なんか、ルナに「髪の毛、爆発したみたい」と、開口一番で言われるくらいだったのだ。

 

 幻想郷に転生する前には縁のなかったことで、いきなり朝の身だしなみを整える手間が増えた訳だから、正直面倒で仕方ない。

 

 しかし、それを理由に髪の毛をバッサリ切るなんて、僕はするつもりはない。妖精とは言え、今の僕は女の子だからだ。

 

「私はメノちゃんの髪型と癖毛、とっても似合ってると思うなぁ」

「そうよ! 大変だったら、私たち3人に丸投げしてくれて良いわ!」

 

 それに、大ちゃんやサニーを筆頭とした全員に、髪型は今の方が断然似合うと屈託のない笑顔で言われている。

 

 細かな部分で別にこだわりなどない僕にとって、その一言は髪を切る選択肢を除外するには、十分すぎるものだったのだ。

 

 とは言うものの、長さはともかくスターのような手入れのしやすそうな髪質は、正直少し羨ましい。

 忘れなければ今度、僕みたいな髪を持つ人妖でも手入れがしやすくなるような、そんな道具を探そう。

 

「あっ……メノ! そろそろ疲れてきたでしょ? 良いよ、付き合ってくれてありがとう! 楽しかったわ!」

「……うん、分かった」

 

 そんなこんなで、最初の目的から大分離れた話し合いと言う名のお遊びは、僕がサニーに気を遣われるくらいに長い時間が経った今ですら、余裕で続いていく。

 

 本当であれば最後まで皆と一緒に遊んでいきたかったところではあるけど、無理をするなとは常々サニーたちから言われ続けてきている。

 

「僕と友達になってくれて、ありがとう。また今度、遊びに来てね」

 

 だから、多少の名残惜しさを感じつつも、僕はここで自分の部屋に行って休むことを決意、皆に挨拶をしてからこの場を離れていった。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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