光の四妖精   作:松雨

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今話は霊夢視点です。


のんびり巫女さん(幕間)

 何が起きる訳でもなく、今日も今日とてのんびりした1日になりそう。

 

 雲1つすらない晴天の下、台所で淹れたお茶を縁側に座って飲みながら、私はそんなことを考えていた。

 

 勿論、やるべき家事を手早く終わらせ、何もせずただひたすら過ごす日々は好きだ。だから別に、この状況が辛いと言う訳ではない。

 

(ふぅ……)

 

 ただ、ここ最近はうちに良く来る人妖の筆頭である魔理沙が、魔法の研究にでも夢中なのか来訪頻度や時間が半減している。とは言え、いつものことなので特に気にしていない。

 

 しかし、同じく筆頭来訪者の光の三妖精に至っては、半減どころか激減と言っても差し支えなかった。ある日を境に、いきなりのことである。

 

 実に不思議ではあったけど、対処すべきイタズラの回数が減り、なおかつ人里や香霖堂で元気そうな姿は見かけていたから、別の場所で興味を引く何かを見つけたに違いない。

 

「おーい、霊夢! 一緒に昼ご飯食べようぜー!」

 

 なんて考えていたら、そんな私の心を覗いていたかのようなタイミングで、空から魔理沙が降りてきた。実に5日ぶりの来訪である。

 

 サニーが持っていた、料理(食材)の保存に超便利な道具(バスケット)を携えているのを見るに、1度3人の家にでも立ち寄ってきたらしい。今度は一体、スターに何を作ってもらってきたのやら。

 

「あら、良いタイミングじゃない。今お昼にしようかと思っていたのよ。それと、いつものお茶あるけど飲む?」

「おう! ところで、あうんは居ないのか?」

「人里に遊びに行ってるわ。ここ最近こき使ってばかりだったし、お金も渡して思う存分楽しんできなさいと言ってあるから、しばらく帰ってこないと思う」

「そうか。あうんの分もあったんだが……取り敢えず、レミリアか咲夜、アリス辺りに声をかけてみるか。ちなみに、中身は和食だ」

「ふーん。スターが和食を作るなんて、珍しいわね」

 

 どうやら、魔理沙曰く和食みたいだ。私や外出中のあうんのために気を遣って頼んでくれたのか、適当にお願いしたら和食になったのかは分からないものの、ありがたい限りである。

 

 欲を言えば、さっぱりめのものだったら嬉しいのだけど、そもそも料理をしなくて良くなった時点で棚からぼた餅、余程のことがない限りは文句などあろうはずがない。

 

 何なら、私自身が作ればこの問題は解決するのだ。仮に文句など言おうものなら、周りから冷えた視線を送られることとなるだろう。

 

「あー……霊夢。作ったのはスターじゃないんだよ」

 

 そうして魔理沙を居間に上げ、いつもの場所に腰を据えた刹那、そんなことを言い始める彼女に少し困惑する。

 

 私の中では、あの3人の中で料理が上手い(好きな)のはスターだけであり、他2人はそうでもないと言う認識で居たのだけど、もしかしたら違ったのかもしれない。

 

「一応、霊夢になら()()()()()()()……説明要るか?」

「少し引っかかる言い回しだけど、してくれると言うならお願い」

 

 すると、私の心を知ってか知らずか、説明はしてくれるらしいのでお願いしてみたところ、ここ1ヵ月半の間に色々と3人の身に起こっていたことも含めて判明した。

 

(なるほど……)

 

 確かに、3人の内誰かが能力を隠していたと言うよりは、新しい仲間として入った妖精が作ったと言った方が、辻褄は合いそうである。

 

 紅魔館の一部の妖精メイド、光の三妖精やあの妖精軍団が例としてあるように、幻想郷全体で見ても秀でた部分がその妖精にあってもおかしくはない。

 

 しかも魔理沙曰く、他の家事能力はもとより『戦闘能力』に関しても、磨き続ければ妖精最強を自称するチルノと同等にはなれる試算が出ていると言う。

 

「魔理沙。そんなことする奴が居るのね、()()()()

「ああ、居たらしいな。誰かは知らんが、ロクな奴じゃなさそうだ」

 

 しかし、その力は殆んどが自分の身を守るため、いわば半強制的に会得せざるを得なかったものだったのは、何とも言い難いことだ。

 

 普段ならイタズラをしてくれば相応のお仕置きはするし、異変時に解決の邪魔になり得る妖精を退治するくらいなら、私もやっている。

 

 ただ、妖精はおろか誰かを無意味に痛めつけて愉悦に浸る、精神を破壊寸前にまで追い込むようなことをする、挙げ句の果てに人気のない『古代遺跡』へ物を捨てに行くかの如く放置するなど、一瞬たりともしたいと思ったことはない。微塵もない。

 

 まあ、今では光の三妖精や魔理沙、例の妖精軍団や霖之助さんのお陰で徐々に心を取り戻しつつあるらしいので、心配はしなくても良さそうだけど。

 

「説明ありがとう、魔理沙。さて、お昼にしましょうか。ところで、中身の和食は何?」

「味噌汁と玄米ご飯、切った野菜に『コロッケ』だぜ。ほら、めちゃくちゃ美味そうだろ?」

「うん、確かにね」

 

 説明をしてくれた魔理沙に感謝しつつ、開かれたバスケットに入れられていた料理群を見た私は、食べる前からこれは美味しいと理解できた。

 

 技術に裏付けされた見た目や香りの良さもそうだけど、随所に料理を楽しんでいると感じられる要素が、散りばめられていたからである。

 

 なお、魔理沙は光の三妖精から、当の本人が探検に来た3人に拾われるまでは全く楽しくなかったと聞いたらしいけど、私的に全くそう感じる要素はなさそうだった。

 

 つまり、たった1ヵ月半の間に傷ついた心を一部であれど癒せた訳で、関わり方を間違えなかったことの証になる。

 

 勿論、本人の努力や今まで関わってきた人妖との相性の良さも、決して無視はできないけども。

 

「美味しさが染み渡るわぁ。人里でお店出しても行けそうよ、これ」

「な? 味噌汁の絶妙な塩加減と具材のやわらかさ、玄米の食感、コロッケのサクサク感……どれも、並大抵の努力ないし才能で出せるもんじゃねえ」

「……ええ」

 

 そして、ご丁寧に同封されていた箸を使って料理を口に入れた瞬間、染み渡る美味しさに私は舌鼓を打つ。

 

 魔理沙が言いたかったことを全部言ってくれたけど、想像以上にこれは凄い。少なくとも、料理面だけで言えば咲夜や妖夢の代理が務まりそうなレベルだ。

 

 もし、件の妖精(メノ)が私のところに住んでいたならば、料理関係を全て任せてしまっていただろう。

 

 ちなみに、各種定番のお菓子類も一通り網羅してはいるものの、こちらに関してはスターの方が一枚上手とのこと。

 

 ただし、それでも相当に美味しいと食べた全員が感想を残しているらしいので、咲夜や妖夢に若干劣る腕前と推定できる。いずれは食べてみたいものだ。

 

「ふぅ……ご馳走さまでした。あまりにも美味しいものだから、あっという間に完食よ」

「ははっ、いい食べっぷりだったな。美味しそうに食べてたと知ったら、メノも喜ぶぞ」

「確かに、そうだと良いわね。この後、そのバスケットと食器を返しに行くでしょ?」

「ああ。そいつは勿論だが、どうした?」

「凄く美味しかったって、一言伝えておいて。後、訳を話して明日以降、もう一度同じメニューをお願いしといてもらえると助かるわ」

「何だそんなことか。任せとけ!」

 

 そう思いつつ、楽しみ喋りながら食べ進めていると、あれだけあった料理を私はあっという間に完食していた。

 

 魔理沙も既に完食していたけど、空腹時に咲夜や妖夢とほぼ同等の腕前によって作られた和食を出されれば、当然の摂理と言える。

 

(……後で、私も頼もうかしら?)

 

 にしても、蓋さえ閉めていればありとあらゆる料理が、長い時間入れてても作りたてとほぼ同じ状態に保てるバスケット、相変わらず便利そうだ。

 

 匂いがこもりやすく、魔力(霊力)使用量もそれなりに多い上、汚れた時の掃除が少々面倒なのは欠点なものの、それを以て余りある利点だろう。

 しっかり考えに考えた上でなら、霖之助さんと魔理沙に依頼をしてみても良いかもしれない。

 

 なお、宴会時に出す用の料理やお酒保存用として使えれば良かったのだけど、このバスケットは2人曰く「手間と費用と必要素材が中々にえげつない」とのこと。

 

 同サイズのこれを多く用意するのは非常に難しく、サイズを大きくするのも同じ理由で難しそうなので、1つだけにしておこう。いつぞやの異変みたく、しょっちゅう宴会を開く訳でもないのだから。

 

「それじゃ、私は行くぜ! 昼ご飯付き合ってくれてありがとな!」

「ええ、またね」

 

 頭の中でそう考えつつ、箒に乗ってあっという間に去っていく魔理沙を見送った後、自分も人里に用事があったことを思い出したため、手早く準備を済ませてから空へと飛び立っていった。




アンケートへの回答をして下さった方々に感謝です。この結果を参考に、選択肢に挙げた妖精たちの登場頻度を調整していきます。

なお、登場頻度に差こそあれ、選択肢に挙げた妖精たちは全員出番があります。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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