光の四妖精   作:松雨

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第2章
大切で重要な誓い


 世間一般の常識で考えれば、間違いなくイタズラは歓迎されない行為だ。

 

 そうは言ったものの、やろうとしている殆んどの人たちにとっては、正直そんなことは関係ない。

 

 相手の反応が面白そうだからとか、スリルを味わいたいだとか、単にやりたいからなどの理由で、各々考えついたイタズラを各々のタイミングで敢行するものである。

 

 言わずもがな、相手の性格やされた時の気分、イタズラの成否や内容によっては()()()()に対して、相応のお仕置きが下されるだろう。

 

 ただし、それは自分がやったと相手にバレたらの話であり、極論にはなるけどバレさえしなければ、何もやっていないのと同義なのだ。

 

「つまり、あたいのイタズラは大成功ってこと! 大ちゃんの瞬間移動と言う名の、安心安全のおまけ付きで!」

「チルノちゃんのイタズラ、久しぶりに上手く行ったから……私も嬉しかった」

「そっか。2人とも、楽しそうで何より」

 

 幻想郷でもそれは基本的に変わらないようで、あれから1ヵ月経った日の朝、ニコニコしながらチルノと大ちゃんが重要な話をしていた僕たちの家に、休憩がてらイタズラが成功したことを自慢しに来ていた。

 

 ちなみに、内容は霊夢さんの履き物を冷たい水でびしょびしょに濡らす、洗濯物を凍らせる、神社の境内を泥だらけにするなど、まあ範疇に収まるものとのこと。

 

 チルノの冷気を操る程度の能力と大ちゃんの瞬間移動能力、数々の経験に優れた状況把握、運と親友同士故のコンビネーションが合わさった結果、成功したと言える。

 

「だけど、大丈夫……なのかな? サニーはどう思う?」

「霊夢かぁ……大ちゃんはともかく、チルノはがっつり能力使ってるし、仮に霊夢じゃなくても間違いなくバレてる。内容からして、多分弾幕ごっこで()()()()だわ」

「メノ。ちなみにだけど、私たちもイタズラした罰として1日こき使われたことある」

「あれはキツかったねー。まあ、だからと言って止めたりはしないけど」

「わぁ、余裕で駄目だった……」

 

 とは言え、2人の自慢話とサニーの見解を鑑みるに、逃げ切れなければ間違いなく、チルノは霊夢さんにお仕置きを受ける。大ちゃんも協力している以上、高確率で同じだろう。

 

 当の2人がそれも承知の上で楽しんでいること、イタズラの範疇に入る行為であれど迷惑をかけているのもあり、僕から言えることは何もない。

 

 言わずもがな、サニーたちに迷惑をかけてはならないので、何らかの形で介入するつもりは特別な例を除き、一切ないのだ。

 

(心配だなぁ……でもまあ、見たことないけど魔理沙さんの親友だし、多分大丈夫!)

 

 チルノと大ちゃんはサニーたちのみならず、今では僕の友達でもある。逃げ切って、本当の大成功だと喜んで欲しいところではあるけれど、現実問題それは難しいだろう。

 

 だからせめて、霊夢さんが受けたイタズラに見合うだけの、過剰ではないお仕置きをする人であって欲しいと、そう強く願うばかりである。

 

「でさ、チルノ。そこそこ休めたと思うんだけど、どう? お仕置きが嫌なら、すぐにでもここから去ることをおすすめするよ」

「多分、2人を探しに来るかもしれないから。頑張れば庇えなくもないけど……メノも居るし、あんまり怖がらせたくないのもあるんだ」

 

 そんな中、リビングの壁掛け時計を横目で確認したルナとスターが、話が途切れたタイミングを見計らい、チルノと大ちゃんに家を去った方が良いと忠告を行った。

 

 忠告時のルナとスターの表情が、かなりの真剣さと少しの畏怖が混じったものなのを見るに、怒った霊夢さんが相当怖いのだろう。

 ただ、いざと言う時は庇えると言い切るところ、同じイタズラ好きかつ親しい友達なだけある。

 

 サニーたちがその方針で居るならば、僕が口を挟む道理はない。可能な範囲でなら、協力することも視野に入れよう。

 

「確かに……大ちゃん。体力は大丈夫?」

「ふふっ。もう大丈夫だよ、チルノちゃん」

「よし、じゃあまたなー! 事が済んだらまた皆で遊ぼう!」

 

 で、チルノと大ちゃんはそんな2人の忠告を受けてか、僕とスターの作ったお菓子入りの袋を手に取った後、一瞬吹いたそよ風と共に消えていく。

 

 どうやら、本当にこの件に僕たちを巻き込む(庇ってもらう)つもりは全くなく、それでいて逃げ切る自信があるらしい。

 

 確かにチルノは、僕が会ったことのある優しい皆をして「強くて便利」と評される、瞬間移動能力を持つ大ちゃんをパートナーとしていた。

 

 実際、色々な事象があったお陰で長い不調期間があったにせよ、その強力かつ便利な能力はイタズラ成功率の上昇に一役買っているのだ。自信を持つのも頷ける。

 

「さてと。話の続きをしよう、メノ。あなたが仲間になってから約2ヵ月……どう? もし可能なら、近い内に外出範囲を広げてみない?」

「皆が一緒なら勿論だよ。ちなみに、候補はいくつくらいある?」

「博麗神社。強いて言うなら霧の湖もあるから、2つ」

「一瞬人里も考えたんだけど、人が多いから除外したわ。正直、霧の湖は人数多い紅魔館が近いし、博麗神社も割と来客多いし、どうかなって感じだけど!」

「ちなみに、魔法の森だったらいつもの香霖堂とか魔理沙の家、アリスの家にラルバの秘密基地も挙がるよー」

「なるほど。意外と、僕が行けそうなところは沢山あるんだね」

 

 そして、笑みを浮かべたチルノと大ちゃんを見送った後はすぐ、僕の外出範囲を広げるか否かの相談を再開していく。

 

 サニーたちは殆んど気にしてないみたいだけど、僕が家に来てから今に至るまで、元々3人でやっていたことがあまりできていない。

 

 無論、魔理沙さんやチルノ一行、場合によっては霖之助さんの助けも借りているから、ここ最近少しはマシになってきている。

 おととい、人里に1日遊びに行って帰って来た時の表情なんかもう、僕の方まで幸せな気分になる程の笑顔だった。

 

 ともなれば、僕に行動範囲を広げないと言う選択肢はない。弾幕ごっこをするまでにはまだ至らないものの、妖力の扱いも練習開始当初とは見違えるくらいにはなっている。

 

 飛行能力も併せれば、いざと言う時に身を守るか逃げるだけならできると、魔理沙さんのお墨付きだってもらえていれば、尚更だろう。

 

「じゃあさ、博麗神社にしよ? 魔理沙さんも良く行ってて、住んでるのが霊夢さん込みで2人だけ……何より、サニーたちが()()()()()()()()って聞いたから」

「そんなに気を遣わなくても良いのに……でも、無難な行き先を選ぶとなると、確かにそうなる。サニー、スター。一応聞くけど、2人はどう?」

「元より、メノに慣れてもらうための計画の一環だし、問題ないわ!」

「うんうん。懸念点としては、霊夢とあうんに加えて来客が増える可能性が、初回であれ出てくるところだけど……気にしてたらキリないし」

「だよね。まあ、そうなったら状況によっては出直そう」

 

 現に、1番良さそうな博麗神社をリクエストしてみたら、皆が嬉しそうな仕草を見せてくれたのだ。僕の考えは間違いではなかったと、ホッと胸を撫で下ろす。

 

(皆とお出かけ、いつになるかなぁ……)

 

 勿論、僕自身も初めての場所故に緊張感は覚えているけど、サニーたちとのお出かけを楽しみに思う気持ちはある。

 

 霊夢さんとあうんさんはどんな人なのか、博麗神社はどんな見た目なのか、道中の空を飛行する感覚はどうなのか、具体的に現せばこんな感じだ。

 

 仮に、色々な理由で全く楽しみではなかったとしても、僕が行くことでサニーたち(家族)が喜んでくれるなら、頑張って行くつもりでいたけど。

 

「……メノ。もし辛くなったら、我慢しないで正直に言って」

「隠せてないし、バレバレ。私たちを気遣って、嫌になっても我慢する気だったでしょ?」

「気を遣ってくれるのは嬉しいけど、メノに我慢させるのは何か違うもんねー」

 

 ただまあ、この様子を見る限りでは辛くても我慢して外出を続けたら、サニーたちは悲しそうにするだけではなく、僕のために怒らせてしまいそうだから、絶対に無理をしてはいけない。

 

 2ヵ月以上も同じ屋根の下で一緒に暮らしていれば、いくら鈍感であろうと分かる。僕の存在が、サニーたちにとっても大きなものとなりつつあることが。

 

「サニー、ルナ、スター。分かった、固く誓うよ」

 

 だから僕は、3人に安心してもらうのとこれ以上余計な心配をかけないために、この場で固く誓った。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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