光の四妖精   作:松雨

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博麗の巫女さん

 何を以て最高に幸せな一時とするかは、人によって千差万別だと言えるだろう。

 

 何もせずに1日ぐうたら過ごす、美味しいものを食べる、綺麗な景色を見に行く、友達や家族との団欒、これ以外にも数えきれないくらい沢山ある。

 

「わぁ……! この可愛らしいトートバッグ、僕にくれるの? ありがと!」

「ええ! 少しだけ私たちのより大きいけど、デザインとか色合いは同じよ。どうしても、4人お揃いでお出かけしたくて!」

「ちょっとしたサプライズにしたかったから、好みとか聞かないで勝手に決めちゃったの。ごめんね」

「別にそんな、気にしなくても良いよ。もらえただけで、博麗神社へのお出かけが倍増しに楽しみになってきてるから」

 

 なお、僕の場合は議論の余地なくサニーたちとの団欒を選ぶ。彼女たちは僕にとって、枯れ果てた大地に降り注ぐ恵み()の雨、芽生えた命を育む太陽の光とも言うべき存在だからだ。

 

 いつものように家で過ごすことはもとより、今日のように4日前の話し合いの結果決まった、博麗神社へのお出かけを行う時だろうと関係なく、幸せに思う。

 

 何なら、その場で会話の輪に入れなくても、元気で幸せそうにしているサニーやスター、ルナの様子を見ているだけでも十分幸せだ。

 

 勿論、僕を受け入れて友達となってくれたチルノ一行や、何かとお世話になっている魔理沙さんと過ごした一時も、かけがえのない思い出の1つとなってくれている。

 

「今更なんだけどさ。メノって笑顔を見せる頻度が増えて、ちょっとしたことで泣く頻度が減ったよね」

「そうかな……うん、そうかも? あんまり自覚ないけど」

「嬉しいことだわ。ただ、大きなところでは気をつけてくれているとは言っても、細かいところだと私たちのためにって、色々無理しがちなんだよねー。メノは幸せなんだろうけど」

「羽の色の変化とか、表情を見てれば間違いないわ! ちょっと過剰だと思ったら、その都度私たちが導いてあげましょ!」

 

 お陰様で、枯れ果てかけていた心が凄まじい早さで癒されていくのだけど、その分皆のため(サニーたち)に自分の時間を使うことに対する『幸せ(使命感)』を、明らかに強く感じるようになってきていた。

 

 今の僕は身体に関してはともかく、精神に関してはサニーとスターとルナに生かされている。間違いなく、今を生きる活力となっているから、そうなるのも仕方ないだろう。

 

 もし、何かが起こってサニーたちが僕の前から居なくなったならば、身体は死なずとも精神は朽ち果てて消え、生きているのに死んでいると言う矛盾した状態へと、置かれると思う。

 

 仮に……本当に仮の話だけど、そのような末路を辿ったとしても、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、僕自身はそれでも構わない。

 

 ただ、ありがたいことに大切な仲間(家族)として僕は認識されている上、いつぞやうっかり口走った一言を聞いたルナから、「メノが居なくなるのは不幸せ」と言われている。

 だから、これらの想像は勝手かつ最悪な妄想でしかなくなったのだけど。

 

「えへへ、どう? 僕の格好似合ってる?」

「勿論、似合ってるわ! それじゃ、皆準備万端みたいだから、出発進行よー!」

「「「おーー!!」」」

 

 バレたら間違いなく怒られるか、泣かせてしまいかねないことを考えながら準備を済ませ、持っていた猫ちゃんぬいぐるみを置いてから皆で家を出発した。

 

 今までは香霖堂とその近辺でストップしていたものの、今日は魔法の森から出て未体験の領域へ突入していくだけあり、僕の心はワクワク感と緊張感が入り交じった、複雑なものとなっている。

 

 ただまあ、極論何が起ころうともサニーたちさえ居れば、無事に乗り切ることはできるだろう。

 当然、平穏無事にお出かけを楽しむだけで済むのが、最も望ましい展開なのだけども。

 

「ふふっ、何か楽しそうで良かった!」

「うん。皆と一緒に、初めて幻想郷の空に飛び立つと思うと……魔法の森も、幻想郷の一部なんだけど」

「あはは! まあ、その気持ちは分かるわ!」

「あの時の古代遺跡とか、本当にワクワクしたもんねー。それはそうと、追いつけなくなるから全力で飛ばないでね。メノ」

「勿論だよ、スター」

 

 香霖堂を通りすぎ、遂に魔法の森から出たある種の感動を少し味わってから、皆で一緒に飛び立ったその瞬間、初めて家の周りで飛べた時と似た興奮が僕を包み込んでいく。

 

 気分的には最高水準に等しいものの、そのせいなのか今のところ飛ぶ時に必ずできる、尾を引くキラキラが昼間の割に目立っているような気がしてならない。

 

 サニーは勿論のこと、スターやルナも別に気にしなくて良いとのスタンスで居てくれるけど、僕的にはちょっとだけ気になる。いずれ夜に空を飛ばなければならないとなった時、何か困るかもしれないからだ。

 

 訓練でどうにかなる問題かは不明だけど、時間のある時に色々と試してみよう。

 

(ひゃっ……)

 

 すると、今向かおうとしている博麗神社がある方の空から、2人の人影が近づいてくるのが見えたため、咄嗟に降り立った上で見つけた樹木に隠れる。

 

 1人は僕たちとそう背丈は変わらず、日を遮るためか傘を差していて、コウモリみたいな翼を持ち、水色が混じった青い髪の女の子。

 もう1人は、その女の子に付き従い守るような形で飛んでいる、メイドさんの格好をした銀髪の女の人であった。

 

 まず間違いなくサニーたちや魔理沙さん、霖之助さんやチルノ一行が良く話題にしていた紅魔館、そこに住むレミリアさん(吸血鬼)咲夜さん(従者)だと見て良い。

 

 レミリアさんが、力の強い吸血鬼さんと聞いていたがための緊張と恐怖、それらが入り交じった感情が先行した故にこの行動を取ったのだけど、サニーたちを驚かせてしまったのは本当に申し訳ない。

 

「メノ! 急にどうしたの……って、あー……レミリアと咲夜ね」

「博麗神社への来訪者筆頭の2人だし、遊びに行っててもおかしくないわ。でも、タイミングは良かったみたい」

「帰る途中っぽいからねー。とにかく、見えなくなるまで小休憩よ」

「ごめんね、驚かせちゃって」

「別に構わないわ! それにしても、良く気づいたわね」

 

 まあ、ここまでしておいてなんだけど、恐らく僕の隠れると言う行為は自分のせいで恐らく……いや、確実に意味をなさなくなっただろう。

 

 サニーたちへの謝罪と、僕の行動理由を説明するために身振り手振りも交えていた最中に、露骨に飛行速度を遅くし、高度を落としたあの2人……レミリアさんの方と、数秒間目が合ったからと言うのが理由だ。

 

 その瞳からは一切の悪意を感じず、むしろ面白そうなやつを見つけたと言いたげな感じだったから、少しだけ抱いていた緊張と恐怖が和らぐ。だからと言って、会話ができるか否かはまた別の話になるけど。

 

「よし、もう大丈夫そうだから行きましょ!」

「うん……皆、ありがと」

 

 2人が飛行速度を上げ、もう見えなくなるところまで行ったと確認してからすぐ、僕たちもすぐさま飛び立つ。飛行速度も、少しだけ速くした。

 

 時間にして約1分と言う短い間の出来事ではあり、また別に急いで向かうべき理由もない。ただ単に、雰囲気がそうさせるのである。

 

(早く慣れなきゃ……だけど、これじゃあ……)

 

 分かってはいたことだけど、家の中のことはともかくとして1歩外に出た途端、精神的に今の僕はサニーたちにおんぶにだっこ状態である。

 

 かと言って、僕自身が考える荒療治の数々は他ならぬサニーたちから、固く禁じられているに等しい。

 

 つまるところ、基本的にはこの流れに身を任せつつも、辛くて仕方なくなったら申告して離脱する感じが最適解となりそうだ。

 

「やっほー! 光の三妖精……じゃなかった。()()()()()、参上っ!」

「光の四妖精……? ああ、そういうこと。それにしても、今日は立て続けに来るわね」

「霊夢さん、どうします? お部屋の中、片付けちゃいましたけど」

「あー……悪いけど、また用意してくれる? あうん」

「分かりました!」

 

 内心でそう考えながら飛び続け、周囲が深い森に囲まれていて、なおかつ幻想郷が見渡せそうなくらいの高所に建つ、博麗神社の境内へと降り立つと、境内の掃き掃除をする霊夢さんにサニーが、早速話しかけに行った。

 

(ん……?)

 

 しかし、不思議なことに霊夢さんはサニーと話しつつも、合間合間に僕の方へ視線を向けてくる。

 

 確かに霊夢さんとは初対面だし、この間は魔理沙さん経由で僕の料理を食べてもらいはしたけど、そんなに注目する程の要素だろうか。

 

「霊夢ー? さっきからメノをチラチラ見てるけど、そんなに気になるの?」

()()()()()()()()()()()だからよ。さてと、ひとまず全員上がってゆっくりしていきなさいな」

 

 ただ、別に嫌な感じはしなかったし、このタイミングで霊夢さんが僕たち全員を中に招いてくれたのもあり、取り敢えず今は気にしないことにしてこの場を楽しむことに決める。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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