光の四妖精   作:松雨

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博麗神社の住人と『光の四妖精』

 幻想郷内でも重要な場所である博麗神社に住み、なおかつ物凄く強い人として有名らしい霊夢さん。

 

 サニーたちやチルノ一行、魔理沙さんや霖之助さんから事前に聞いていた点を加味しても、お出かけの楽しさがあったとしても、初めて見るまでは正直そこそこ不安だった。

 

 いや、境内でサニーとしていた会話や僕への視線の向け方などから、中に案内されてからも少しの間、不安は解消されなかったと言った方が正しいだろう。

 

「あのっ……僕は、テルースメノウ。えっと……霊夢さんにあうんさん、よろしく」

「こちらこそよろしく。ところで、この間の和食はありがとうね。美味しかったわ」

「はーい、よろしくですー。私も数日遅れだったけど、食べさせてもらいました! ちなみに、感想は霊夢さんと同じです!」

「あっ、そうなんだ……お気に召してくれたのなら、僕も嬉しい」

 

 しかし、隣のスターとルナから小声での応援を背に、勇気を出して僕の方から話しかけた瞬間、抱いていた不安と緊張は体感6割和らいだ。

 

 少しやり取りを交わしただけではあるものの、事前に伝え聞いた通り、霊夢さんとあうんさんが良い人そうだと感じれたからである。

 

 初対面にしては、僕のことを結構理解してくれている点が謎だったけれど、良く考えたらサニーたちやチルノ一行、魔理沙さんは2人と付き合いが一定程度深い。

 

 それ以外かもしれないけど、いつぞや魔理沙さん経由で料理を作って渡した件もあるし、会話の流れで僕の話をしても何らおかしくはない。

 

「霊夢。私たちが来る前、レミリアと咲夜来てなかった?」

「来てたわよ。いつもみたくお茶出してレミリアとのんびりしたり、何だかんだで弾幕ごっこしてたり……用事でもあったの?」

「ううん、別に。来る途中、飛んで来るのが見えたから、何となく聞きたくなっただけ」

「ふーん……」

「あっ、そうだ! その時にレミリアさんから沢山洋菓子をもらったので、良ければ皆で一緒に食べましょう!」

「そりゃまあ、食べられれば食べたいけど……良いの?」

「別に構わないわ。ご自由にお裾分けどうぞって、あの2人からは言われてるし」

「なら、お願いしようかな」

 

 それにしても、あうんさんが持ってきてくれた和菓子やお茶も、お裾分けしてくれたレミリアさんのところの洋菓子も、かなりの美味しさだ。不安感と緊張感が和らいだタイミングで、口にしたからだろうか。

 

 スターなら、これに匹敵する美味しさのお菓子は作れると思うけど、今の僕には技術的に厳しい。

 

 これが、霊夢さんやあうんさんの作ったものであれば、スター以外に美味しく作るコツを聞ける人となっていた。勇気を出せればとの注釈はつくが、間違いなくそうなっただろう。

 

(まあ、のんびり慣れていこっと)

 

 ただ、あうんさん曰く和菓子は人里の老舗のおじいちゃんが、洋菓子はレミリアさんの隣に居た咲夜さんが、丹精込めて作ったものとのこと。

 

 時間が経って慣れた時であればまだしも、今はとても自分から何かを聞きに行くなんて無理だ。

 そんなことができるのなら、今頃幻想郷を1人で自由自在に飛び回っているし、サニーたちのイタズラに嬉々として参加している。

 

「メノ。唐突で悪いんだけど、身体におかしなところはない? ちょっとしたことでもあれば言って」

 

 こんなことを考えながら、出されたお菓子を少し遠慮気味に頬張っていた最中、霊夢さんが何故か僕の体調を心配しだした。

 

 かなり和らいだとは言え、今が楽しいと思えていてさえ、未だに僕の中には不安感や緊張感が残っている。

 

 それのせいで表情が強ばるか何かして、体調が良くないと誤認されているのかもしれないけど、実際は絶好調である。

 

 会ったばかりの妖精の体調も気遣ってくれる、優しい人なんだなと思いつつ、誤解を解くために僕が自分の言葉で、しっかり伝えなければ。

 

「えっ。特にないどころか、絶好調だけど……その、どうして……?」

「あんたに()()()()のよ。私から見てもそこそこの奴……霊魂(幽霊)が、間違いなくね」

「「「……へっ!?」」」

 

 なんて思って伝えた訳なんだけど、普通に予想外にも程がある理由で霊夢さんに心配されていたことが判明、あうんさん含む全員の視線が一斉に僕の方へと向く。

 

 妖精として、幻想郷に2度目の生を受けてから今に至るまで、全く以て思い当たる節はない。

 だけど、霊夢さんがはっきりとそう言うのだ。信用はしても良いだろう。

 

(……ん?)

 

 と言うか、訂正しよう。良く考えてみれば、今家にあるあの猫ちゃんぬいぐるみは前世で僕がもらったのと同じものである。

 しかも、前世では僕がもらうまでいわくつきだと言われていて、なおかつ実際に怪現象が起こっていたのだ。

 

 あの子と出会ってから、不思議なくらいに理不尽への抵抗力が上がっていったけど……もしかしたら、何かしらあって元々憑いていたあの子から僕へ、取り憑いたお陰なのかもしれない。

 

「霊夢さん、お願い……()()()を祓わないで……!」

 

 なんて思っていたからか、少しの沈黙の後僕の口から反射的に、こんな言葉が出てしまった。どうでも良いけど、僕らしからぬ程に良く通る、大きな声が出たのには驚く。

 

「そんなつもりは端からないから、安心しなさい」

「あっ、そうなんだ。嬉しいけど……本当に、大丈夫なの?」

「ええ。最初目にした時から、お互い持ちつ持たれつの関係性だとは思っていたのよ。念には念を入れて、身体に悪影響はないか聞いてみたけどね」

「うん……」

「後は、他人や幻想郷に深刻な害をもたらす程の、祓うべき邪悪で強力な霊気を一切感じなかったのもあるわ。仮に感じていたとしたら、メノには申し訳ないけど……まあ、少なくともその子は、()()()()()()にはなってたかな」

「……」

 

 なお、僕が感じていた強烈な不安感は他ならぬ霊夢さんの手により、すぐさま解消されることとなった。ホッとひと安心である。

 

 それと、サニーたちは未だに若干心配そうな感じが拭えていなさそうだけど、まあ当然のことだ。

 自分にとって大切な仲間が、変な幽霊の類いに憑かれていると知ってしまったのだから。

 

 無論、すぐに香霖堂の猫ちゃんぬいぐるみの件も交えて必死に説明し、加えて元気で問題ないことを、一旦博麗神社の上空で飛び回るなどしてアピールし、何とか心配を解くことに成功した。

 

「あはは! 心配要らないわ、メノ! この通り、私たち全員ピンピンしてるから!」

「にしても、何となく居るかもとは思ってたけど、本当だったなんてちょっと驚いたねー。あんまり気にならないで居れたのは、霊夢の言う通り()()()()じゃなかったからかも?」

「恐らくは……あっ。だから、霊夢はメノを初めて見るタイプの妖精って言ったのかも。自分より強力な霊魂と共存してるなんて、妖精でなくても大抵はロクなことにならないから」

「「「確かに」」」

 

 ちなみに、その流れでサニーとスターとルナにも念のために聞いてみたところ、体調不良や怪現象の類いは一瞬たりともなかったらしい。

 

 僕にとってこの子は大切な存在ではあるものの、同時にサニーたちも同じくらいには大切な存在なのだ。

 

 もし、その類いの体調不良や怪現象があったなら、もしくはいずれ起きると確定していたならば、断腸の思いで霊夢さんにお願いしなければいけなかったのだから。

 

 しかし、実際はそうはならず、今までの暮らしが続けられることが決まっている。こうなった以上、考えすぎるとせっかくの時間を無駄にしてしまう上、精神衛生上非常に好ましくない。

 

 理不尽に怯えることなく幸せに過ごせる時間は、何にも勝る宝物なのだ。

 

「霊夢さん……お茶、ある?」

「あうん、緑茶ってまだ在庫あったっけ? メノががぶ飲みできるくらいあると助かるわ」

「えっと、新茶~3番茶の缶ならまだ6つあります! この間、『秋姉妹』のお2人が持ってきてくれた秋冬番茶も合わせれば、13個ですね! 余裕です!」

「なるほど。じゃあ大丈夫そうね」

「その、無理言ってごめん……美味しくて、つい沢山飲みたくなったから」

「別に良いわよ、このくらい。駄目なら最初から止めてるし」

「メノは、相変わらず緑茶大好きだねー」

「私たちが、スターやメノの料理が大好きなのと一緒と思えば、理解しやすい」

 

 なので、このことは忘れておくと決め、今は美味しい緑茶や残っているお菓子、優しい皆との会話を楽しむことに力を注いでいこう。

 

 勿論、僕だけが楽しんで他の皆が楽しくない、もしくは辛いと思わせてはならないので、可能な限り話を振るなどを筆頭に、頑張っていくのも怠らない。

 

 ただし、サニーたちとの約束もあるため、()()()()()()()()()()()気をつける必要もあるから大変だ。

 

 うっかりやらかそうものなら、本来ならかけなくて良かった余計な心労をサニーたちへかける羽目になってしまう。

 

 何なら、僕たちに付き合ってくれている霊夢さんやあうんさんにも、変に気を遣わせてしまうことになるのだ。これはまあ、当然の摂理と言える。

 

「あのさ、サニー。僕、楽しかったんだけど……疲れてきちゃったの。えっと、家に帰ることって可能?」

「……ええ! 元はメノのためのお出かけだもの、当然だわ!」

 

 だから、これ以上は無理をする必要があると実感したライン、博麗神社へ来てからおおよそ3時間が経過したところで申告をしてみたところ、普通に喜ばれた。

 

 無論、両隣で座っていたスターとルナも、それを聞いて僕に微笑みを向けてきたかと思えば、素早く帰る準備を整え始めたのも想像に難くない。

 

 余程、僕が約束を守ったことが嬉しかったのだろう。まあ、その通りか否かは、想像に難くないが。

 

「あの……今日は長々と、色々と、ありがと」

「どういたしまして。大したことはしてないけどね」

「はい! また気が向いたら、遊びに来て下さいね!」

「うん、じゃあね。霊夢さん、あうんさん」

 

 そんなこんなで凄まじい早さで帰る準備を整え、持たせてくれたお土産へのお礼を含め、しっかりと挨拶を済ませてから、僕はサニーたちと博麗神社を飛び立っていく。

 

(……またいつか、リクエストしてみようかな)

 

 終わってみれば、来るまでに感じていた不安や恐怖と言ったネガティブな感情は、僕の心から綺麗さっぱり消え去っていった。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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