光の四妖精   作:松雨

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大切な『友達』

 日記。日々の出来事、家族や友達への感謝、自分の気持ちや秘密、悩み事や咄嗟に閃いたアイディアなどを書き記したものである。

 

 基本的には誰かに見せる訳でもないし、内容によっては見られたくない文章もあるから、プライベートが確保できる場所にて書くのが普通だろう。

 

 勿論、書いた手帳や多種多様な大きさのノート、何らかの紙を保管しておく場所についても同様だ。

 

「むぅ。昨日と同じようなことを書くだけなら、誰でもできるしなぁ……」

 

 ちなみに、基本的には僕も同じような書き方をまんべんなくしているけど、ここ最近はサニーたちへの強い感謝の意を綴ったものや、贈り歌の製作に関わるアイディア(閃き)を本型のノートへ書いていくことが多い。

 

 後者はともかく、前者に関しては直接告げる機会なんて沢山あるのだけど、正直今はまだ言いにくいと僕は思っている。

 

 親しい相手に対する感謝だからこそ、しっかり伝わってくれるかとか、言い回しが変だと思われないかなど、どうしても色々と考え込んでしまうからだ。

 

(……)

 

 とは言え、いずれは僕が抱える最大級の秘密や贈り歌と共に、感謝の言葉を自分の口から伝える予定……いや、絶対に伝えなければとは考えている。

 

 僕のことを大切に思い対等に接してくれている、()()()()()()()()()に対する誠意があるのであれば、当然の摂理なのだから。

 

「メノちゃん! もし良かったら、私たちとお外で遊ぼう!」

 

 すると、扉をノックする音がしてからすぐ、大ちゃんが僕に向けて遊びに誘う声が聞こえてくる。

 耳を澄ますと他にも2人、リリーとチルノが楽しそうにこれから何をして遊ぼうか、相談しているのが分かる。

 

 どうやら、僕に断られることを全く想定していないらしい。まあ、聞き取れた内容的に確かに断るつもりはないので、2人の想定通りに結局はなるのだけど。

 

「うん……いつの間に来てたの? 夢中で日記書いてたからかな、気づかなかったよ」

「2時間くらいは居るかなー。それにしても、メノって日記書くんだね。どんな内容?」

「色々と。でも最近は皆への感謝を綴ったりとか、アイディアをメモしておくのがマイブーム」

「へぇ。えっと、中を見たりするのは駄目かな?」

「それは、流石にちょっと勘弁して欲しい。サニーたちにすら、その……今は、恥ずかしくて見せれてないから」

「まあ、だよねー。ごめん、今のは忘れてくれると嬉しいわ」

「そうそう。本命は、あたいたちとメノとの外出だもんな!」

 

 日記を閉じて棚にしまい、いつでも()()できるように準備を整えてから扉を開けると、3人は声色などから察した通りの表情をしていた。

 

 元々テンションが高かったのもあるだろうけど、僕のことを余程遊びに誘いたがっていて、それが了承されたのが相当に嬉しいらしい。

 

 6日前に博麗神社へ行った時の出来事を、超ハイテンションなサニーから語られたのが、今回誘いに来た大きな理由とのこと。

 

 本来ならチルノの住みかがある霧の湖、それはそれは大層賑やかな人里へ行こうとも思ったみたいだけど、今の僕にとっては昨日の今日も同然の短期間に魔法の森を出るのは、楽しくとも精神的な負担になりそうと考えたらしい。

 

 そのため、今日は魔法の森から出ることはせず、魔理沙さんの家やラルバの秘密基地、いつもの香霖堂やアリスさんの家が候補に挙がっていた。

 どうしても決まらないのなら、我が家からあまり離れない範囲内に限り、魔法の森を探検することも考えているようだ。

 

(ありがとう、僕を誘ってくれて)

 

 実際は違うけど、遥か昔から仲良しだったと錯覚してしまいそうなノリで誘ってくれるなんて、本当に僕は今世では幸せ者だ。

 

 今でこそ、心が癒され始めたおかげかこらえられるようにはなったものの、気を抜けば嬉しさのあまり泣いてしまいそうになる。

 

 もう正直に言って、人間基準で気の遠くなるくらいの長い時間をかけたとしても、僕に優しくしてくれている皆にもらった恩を返しきれる気がしない。

 

「ところでさ、今まで家で何してたの?」

「庭でサニーやスターと弾幕ごっこをしたり、激苦コーヒーを飲むチャレンジしてみたり、飲む寸前だったルナのコーヒーをこっそり醤油に取り替えたり……色々だぞ!」

「あっ。もしかして、水浴びしてきたばかりっぽいのも……?」

「そう。チルノちゃん、ルナちゃんが吹き出した醤油で汚れちゃったから、お風呂場借りて汚れ落としてたの」

「わぁ……容赦のないイタズラだぁ」

 

 だけど、そんな理由で僕がサニーたちは勿論のこと、チルノ一行や魔理沙さんへもらった恩を返すのを止めたりは、一切しないで過ごす。

 

 妖精の『テルースメノウ』として、僕が今世で存在できている限りは、恩を返し続けるためにあらゆる行動を取り続けると、天に誓っているからだ。

 

 そもそも、前世から憑いていてくれてたであろう霊魂(幽霊)さん以外に、味方が一切居なかった時に比べれば、恩返しが終わらないことくらいなんて大した話ではない。

 

(……ありがと)

 

 何となく、幻想郷であれば可能だと思えてならないけど、いつか直接お礼を言える日が来れば良いなと、今更ながらそう思った。

 

『もう少――から、待って――くん』

「んにゃ!? えっ……?」

 

 それ故だろうか。酷くノイズがかかり、言ってることの大半が聞き取れなかったものの、耳元で囁く感じで語りかけてくる()()()()()が聞こえた。

 

 状況からしてこれは、僕に取り憑く名もなき霊魂さんが何らかの未知なる手法を用いた結果、発生した出来事なのだろう。

 

 チルノや大ちゃん、リリーには全く聞こえていなかったようで、驚いて声を出した瞬間に注目を浴びてしまうものの、当たり前である。

 

「メノ? 急にどうしたのー?」

「リリー。実は僕、霊魂に取り憑かれてるんだ」

「「「……ん??」」」

 

 と言う訳で、この際だからちょうど良いかと考えた僕は、6日前に霊夢さんから言われたことも交えて、名もなき霊魂さんについて語ると決める。

 

 言わずもがな、口にすれば色々とついている嘘がバレてしまう部分は、ぼかしたり言葉を変えるなどした上で語った。

 

 家族だけでなく、僕を慕ってくれている友達を騙すのは心苦しいけど、それよりも本当のことを言った時の恐怖が圧倒している。言い訳をするとするならば、決して悪意などはない。

 

 無論、余程の事態が起こってしまったならば、その時点で覚悟を以てサニーたちやチルノ一行、魔理沙さんや霖之助さんには真実を話す決意は固めている。

 

「へぇ。見えないけどそいつ、良い幽霊じゃん。なら心配ないな!」

「確かに。霊夢が、それを聞いてもなお何もしないってことが、何よりの証拠だわー」

「ふふっ。良かったね、メノちゃん」

 

 なお、この話を聞いた3人はサニーたちとは違えど、僕を気遣う言葉をかけてくれた。やはり、良い妖精の下には良い妖精ないし人が集まるんだなと、改めて実感した一幕だ。

 

 そして同時に、僕にとって優しさの塊でもある3人や今は居ないピースとラルバを、自分の抱く恐怖に負けたとか言う理由で騙し続けている罪悪感が、より強くなってくる。

 

 いずれ、平和的にサニーたちへ打ち明けることができた暁には、少し時間を置いてからチルノ一行や魔理沙さん、および霖之助さんにも打ち明けよう。

 

「それで、どこに行く? メノちゃんの希望とかあったら言ってね」

「希望かぁ……良く考えたら、魔法の森の中で行ったことあるの、香霖堂だけなような気がする」

「それなら、香霖堂以外にするか? でも、メノってサニーたちと一緒じゃなくて大丈夫だっけ?」

「3人は頼もしくて、優しい友達だから大丈夫、だよ。魔理沙さんと霖之助さんは良い人で付き合いあるし、ラルバは友達だから同じ。アリスさんは知らないけど、猫ちゃんぬいぐるみを直してくれた人だから多分優しいし、3人と一緒だから大丈夫……お礼もいつか、言いたいって思ってたから」

「ふーん、なるほど」

 

 名もなき霊魂さんに関係する話が終わった後は、一時中断していた遊びに行く場所に関する話し合いを再開、時折右に左に脱線しながら盛り上がりつつ、しっかりと議論を交わしていく。

 

 これが初めての、サニーたちと一緒に出かけないお出かけとなる訳だけど、不安や恐怖と言った感情は殆んどない。でも、それは当たり前のことだろう。何せ、チルノや大ちゃん、リリーは『大切な友達』だ。

 

 勿論、緊張感はそれなりにあるし、大切な家族であるサニーたちに比べたらあれだけど、それでも僕が信頼している妖精さんなのだから大丈夫だと、そう考えている。

 

「よし! なら、魔理沙の家に最初は行くってことで良い?」

「うん、良いよ。皆もそれで良いかな?」

「「良いよー!」」

「りょーかい! じゃあ、メノを連れてくってサニーたちに声をかけてくる!」

 

 だから、話し合いの結果決まった行き先でどんな楽しいことが待っているか、僕の心に期待が芽生えてきていた。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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