前世では努力してすら一瞬たりともできなかった、心を通わせることができる友達。
あの後、チルノが無事にサニーたちから僕の外出許可をもらうことに成功したため、大切なものを入れたトートバッグを片手に、誘ってくれた
リリーが先導役として少し前を、チルノが少し後ろで大ちゃんと僕がその間に入る形で、ゆっくりのんびりめで歩いている。
前後の2人との間隔自体は、手を伸ばせばギリギリ届かないくらいであり、楽しく会話を行うのに支障をきたすことのない距離だ。
「その可愛らしいトートバッグ、サニーちゃんたちにもらったの?」
「うん。だから、お出かけをする時に必ず持ってくって決めたんだ。沢山物が入るし、僕にとってはお守り代わりにもなるから」
「へぇ……それなら、うっかり落としてなくしたりしないように気をつけなきゃだね、メノちゃん」
「もっとも、あたいが後ろから見といてあげるから、少しは安心して良いぞ!」
「ありがと。でも、大切な家族からの贈り物だから、僕自身が1番気をつけなきゃ」
「まあ、そりゃそうだねー」
こんな感じで、少し不思議な陣形を取っている訳だけど、これも全て万が一の時に対処しやすくするためとチルノが考案したものだ。
幻想郷に昔からあれど、何かしらの理由で行ったことが殆んどか全くない場所、及び領域。
自分たちにとって既知でもある程度の危険性を誇る、妖怪ないし何者かが存在する場所。
僕が転生した時に居た古代遺跡のような、幻想郷外から突然現れた可能性の極めて高い未知だらけのところ。
本来なら、ゆっくりのんびりめで歩いているとは言え、チルノ一行が何度も安全に行き来したことのある、今のような場所で取る陣形ではないらしい。
つまるところ、僕が居るからそうしてくれているのだ。状況からしてこれは、火を見るよりも明らかである。
「楽しいね。皆と一緒に、お出かけするの」
「あたいもだぞ、メノ!」
「私もだよ。だから、今日は存分に楽しもうね、みんな!」
「「「おー!!」」」
無論、3人の気遣いはありがたく受け取りつつも、このままずっとそれにあぐらをかくつもりなど一切ない。
サニーたちや魔理沙さんの、献身的なサポートを受けながら練習を重ねて行き、逆に守ることができる領域に達することが、僕の目標の1つだからだ。
ただまあ、妖精の観点から見れば、幻想郷は強力な存在がうようよ居る場所である。
事と次第によっては、僕が強くなろうと
「ん? ちょっ――」
そんなこんなで歩き続け、周りの雰囲気が少し変わる境界線を跨いで、僕の目にはっきりと家が見えてきた刹那、大きな音と共に一部が崩壊すると言う衝撃的な事態が発生した。
しかも、妙に不快な焦げ臭い匂いがこっちまで漂い、どこから出てきたと突っ込みたくなる程に、大量の水が噴き出している光景まで目に入ってしまう。明らかに、家の中で何かがあったことが分かる。
「げほっ、げほっ……痛てて……ったく、やっちまったなぁ」
「魔理沙ー! 大丈夫かー!」
「うおっ……チルノたちか。この通り、少し怪我はしちまったが、大したことはないから安心してくれ」
「良かったよかった! 何か魔法の実験でもやってたの?」
「そんな感じだ。過去最大級の失敗だったが、万が一の保険をかけてて助かった。実験室は半壊したけどな」
こっちまで飛んで来る水や物をチルノが凍らせ、大ちゃんがそれを風で明後日の方向に吹き飛ばしながら皆で駆け寄っていくと、全身ずぶ濡れの魔理沙さんが中から出てきた。
魔法の実験失敗と言う、一歩間違えば大怪我をしていてもおかしくない事故の中、元気な姿を見せてくれているだけで安心はできる。
しかし、完全な無傷とまではいかなかったらしく、普通に生活していても負いそうだけど痛そうな傷が、ちらほら目に入ってきた。
この様子だと、一緒に遊べる雰囲気ではなさそうだけど、至極当然の話だろう。
むしろ、場合によっては片付けとか掃除のお手伝いをして、1~2週間くらい間を開けてから改めて遊びに行くべき状態だ。
「悪かったな、メノ」
「どうして謝るの? 僕、何も嫌なことされてないよ……?」
「……お前を泣かせちまったからさ。頬を拭ってみたら分かるぜ」
「あっ……でも、それでも魔理沙さんが謝る必要なんて、微塵もないのに……!」
本当なら、どうにかして魔理沙さんの怪我も綺麗さっぱり、僕の妖力を使ってでも治してあげたい。
可能なら、誰でも良いから魔理沙さんの怪我を治して欲しいし、無理なら妖精の僕が肩代わりする形でも、この際だから構わない。
何も悪いことなんてしていないにも関わらず、
だけど、今の僕には回復魔法や技の心得なんて一切なかった。適性の有無についてはまだ分からないけど、現時点でできることは何もなく、ただ見てあげることしかできないのは確実と見て良い。
(あれ……もしかして僕、厄介者……?)
しかも、せっかく楽しそうだったチルノたちの気分までも落とし、挙げ句の果てにしゅんとした様子の大ちゃんにも「大丈夫? ごめんね」と、謝らせてしまう始末だ。
こんな
分かってはいるし、それ故に頑張って直そうとは思っているのだけど、どうにも上手く行かない。
とは言え、これ以上頑張るとなると無理をしなければならず、サニーたちとの約束を破ることにもなりかねないから、僕は現状維持の選択を下す。
「ん? なあ、周りの様子がおかしくないか?」
しかし、僕たちを取り巻いていた重ための雰囲気は、魔理沙さんが言葉を発するとほぼ同時、周りで起こり始めた不思議な現象によって霧散することとなる。
最初は、周囲の木々や草花が風も吹いていないのにゆらゆらと揺れ、生命力の流れが外側から力を加えられたかのように、刻々と変化していった。
何とも言い難いけど、まず間違いなく感じる心地良さに出ていた涙が止まるも、この現象は止まる様子を全く見せない。
「ねえ大ちゃん、木とか草花から何か出てきた……わわっ、地面からも出てきたぞ!?」
「光る水……? でも、嫌な感じはしないし、むしろ癒される気がするよ」
「と言うか、全部魔理沙の方にふわふわ漂っていってない?」
すると、未だ変わらず揺れていた木々や草花は勿論のこと、僕たちが立っていた地面からもぼんやりと白い輝きを放つ、水滴のようなものが発生し始める。
リリーが言うように、ふわふわ漂うそれは魔理沙さんの頭上で集まり始めると、輝きと大きさを増していった上で、鳥の羽に似た形へと変化していく。
一瞬触ってみようかとも考えたけど、何となく触らない方が良いかもしれない感じがしたため、ひとまず大人しく待っていることとしよう。魔理沙さんに危険を及ぼす感じは、全くしなさそうだし。
「おいおい……マジかよ、この治癒速度はヤバいだろ。と言うか、疲れと眠気が取れて元気まで漲ってきたんだが」
「へぇ、不思議なこともあったもんだ!」
「つまり、治癒と体力回復効果のある何かが出てきて、魔理沙を癒したってことだねー」
僕の抱いていたその考えは正しかったようで、光る鳥の羽と化したそれは魔理沙さんの頭へ落ちてからゆっくりと消滅、痛そうだった傷が5秒もしない内に塞がっていき、一切の痕を残さずに完治したのだ。
周りで起こっていた現象を含めて全てが収まった瞬間、立っているのがやっとなレベルの疲労感が襲ってきたものの、そんなのはどうでも良い。
重要なのは、魔理沙さんの怪我が治ってくれた事実のみなのだから。
「メノ、体調悪いなら無理するなよ」
「ううん。多分、今のでちょっと疲れただけ、だよ。だから、心配しないで」
「そうか……ん? もしかして、傷が治ったのはメノのお陰か?」
「メノちゃんが……? でも、確かにそうかもしれないね!」
「おぉ、凄いじゃん! 流石はあたいの弟子!」
「違う違う。どちらかと言えば、メノはサニーたちの弟子って感じでしょー?」
いや、訂正しよう。疲労感云々は、僕にとっては全くどうでも良いものではないと。
この先、魔理沙さんのお手伝いをしたりするのは勿論のこと、チルノたちと楽しく遊んだりすることができなくなったからである。
大して楽しませることができないばかりか、余計に心配させたり気遣わせたりする羽目となって、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「まあ、この状況を鑑みればメノのお陰って結論に行き着くよな……ありがとう、助かったぜ」
ただ、魔理沙さんの怪我も治って、おまけに疲れや眠気も取れてくれたこと。
そして、ついさっきまでしゅんとしていた大ちゃん含め、チルノたちが元通りの笑顔を見せてくれたこと。
恐らく、無意識に僕自身が何かしらの能力を行使したからであれど、多少なりとも
「えへへ……どういたしまして、
そう考えれたからか、申し訳なさなどで重たかった僕の心は、少しだけ軽くなった。
光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して
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チルノ&大妖精
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エタニティラルバ
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クラウンピース
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リリーホワイト
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作者にお任せ