「ねえ、リリー。僕、ずっと休んでて本当に良いのかな……?」
「良いに決まってるじゃん。満場一致だよー」
魔法の実験中に怪我をしてしまった魔理沙さん……いや、魔理沙の治療を図らずも行い、立っているのがやっとな程に疲れた僕は、事故の影響を受けずに残った生活圏内にある自室のベッドへ連れていってもらい、ゆっくり休んでいた。
今現在、怪我も完治し疲労もなくなった魔理沙は当然として、チルノと大ちゃんは僕を待ってる間、お遊びと称して半壊した魔法実験室の後片付けのお手伝いをしに行っている。
一方、リリーは僕が1人で居るのは不安だろうと、何か言われる前に自分から側に寄り添う方を選んでくれた。
3人と一緒に、ワイワイ楽しみながら過ごす選択肢を我慢したのではなく、最初から選んだと聞いたものだから、その時点で少し泣いてしまう程に嬉しかった。
「好きな季節? 各々に良いところがあるから難しいけど、敢えて選ぶとしたら……そうだね。春と秋、かな」
「そっかぁ、春を選んでくれるんだ。私としては嬉しいわー」
「暑すぎず寒すぎない気候、桜を筆頭とした綺麗な春の木々や草花、色々な生き物……鳥さんたちと戯れるのは特に楽しかったよ」
「なるほどね。秋も似た感じ?」
「うん。でも強いて言うなら、紅葉を見ながらさつまいもを食べるのが好き」
「あー……私もさつまいも、特に秋姉妹のホクホク芋は甘くて好きだよ。もうそろそろそんな時期だし、会った時に忘れなかったらもらってきてあげる」
「ふふっ。嬉しいけど、無理しないでね」
しかも、それだけでも十分なのに、僕が退屈しないようにと配慮してくれているところが、もう最高に嬉しい。
時折間を挟みつつ、色々な話題を振り続けて会話をしてくれること。
魔理沙の部屋にある絵本や小説を読む許可や、緑茶や紅茶を少し飲む許可を代わりに取ってきてくれたりすること。
他にも細かい部分がいくつかあって、もはや至れり尽くせりと言い得る領域に達していると、声を大にして言えるだろう。
(リリー、ありがと)
これらの行為は、全く強制していないどころか頼んですらおらず、リリーが進んでやっていることではある。
ただ、何であれ貴重な時間を使ってもらっているのは事実だから、感謝の気持ちを忘れずに持ち続けた上で、この一時をじっくりと味わおう。
「それにしても、メノの能力凄かったねー。治癒と眠気・疲労回復以外に、できることってあるかも?」
「どうだろう? 今日発現したばかりだから、まだ分かんない。ただ、他にも色々とできる能力なら嬉しいなぁ」
「確かに、これもとにかく練習あるのみだわ。とは言え、今日みたいにすぐ動けなくなるなら、かなり大変そうに思えるなー」
しかし、今日に至るまで能力の片鱗すら見えなかったのに、魔理沙の怪我をきっかけとして覚醒するなんて、正直予想外にも程がある。
まあ、効果が怪我の治癒や疲労・眠気の解消だった点から、こんな出来事がなければ気づけなかったのも無理はない。
が、欲を言えばこんな形で気づくのではなく、もう少し平和的な状況下で気づきたかった。
結果的に即座に治り、程度が大したことなかったとしても、大切な友達が痛い思いをした事実は変わらないのだから。
「まあね。でも、どれだけ大変でも僕は頑張れる。大切な家族、大切な友達を守れる糧とするためならば」
「そっかー……あれ? じゃあ、自分自身は?」
「程々に、かな? ああでも、それやると約束を破ることになるし、皆が悲しむから同じにしておいた方が良いね。ごめん」
「うんうん、その通り」
勿論、こんな形であれ僕の秘めたる能力が、恐らく一部であれ判明したのだ。
これから僕は、今まで行っていた練習に加えて能力でできることの調査、練度の向上も併せて努めていかなければならない。
当たり前だけど、確実に皆の助けを借りたとしても、僕が考えるレベルで上手く使えるようになるまでは、相応に時間がかかると見ている。
だけど、サニーたちやチルノ一行、魔理沙くらいにこの力を上手く使いこなせるようになれれば、大切なものを守る助けになるのは間違いない。
多分、この能力が役に立つのは今日みたいな時が殆んどだろうから、役に立つ日が来ない方が良いのだけど。
「おーい、メノ。調子はどう? まだ駄目な感じ?」
「……うん。それに、ちょっと眠い。でも、リリー含む皆のお陰で少しは、疲れが取れてるよ。ありがと」
「へへっ。この程度、友達のためなら安いもんだ! な? リリー!」
「まさに、チルノの言う通りだねー」
そんな感じで、リリーと楽しく休み始めてから3時間半、相も変わらず元気なチルノが僕の様子を見に、真っ先に部屋の中へと入ってきた。
半壊した実験室の後片付けは大変な仕事だろうに、後から中に入ってきた大ちゃんや魔理沙も、あまり疲れた様子を見せていない。
(なるほど……)
一応聞いてみたところ、チルノ曰く水分補給などを含めた小休憩をしっかりとりつつ、発現した僕の能力のお陰で活力に満ちた魔理沙さんが、主となって動いたお陰とのこと。
しかも、いつもより体力の消費量が大きく落ち、息も相当切れにくくなり、片付け中にうっかり負った怪我すら同様に治った上、純粋な膂力も若干上昇した感覚があると魔理沙が言うのだから驚きだ。
「予想外に凄い効果の盛り合わせだったから、30分だけとは言え本当に驚いたぜ。同時に、これは普通に過ごしてたら気づけねえよとも思ったな」
「お陰で、実験室内の後片付けは終わったんだよ。魔理沙さん、私とチルノちゃん役に立った?」
「当たり前だ。2人とも、ありがとうな」
「「うん!!」」
あの時・あの場所・あの状況下に限って発揮される、極めて限定的な治癒効果なのか、そうでないのかはまだ分からない。
そしてこれが、あらゆる種族に発揮してくれるか否かも、同じく分からない。
ただし、どちらにせよ僕に秘められた力であることだけは、間違えようのない事実と言えるだろう。
そう思えたからか、今後行われる練習へのモチベーションが、爆発的に上がっていくのを感じていた。
無論、それも加えた練習を行う場合はサニーたちとの約束を守り、僕の身体を労ることを決して忘れてはならない。
サニーたちに幸せで居て欲しいから頑張っているのに、そのせいで怒らせたり悲しませたりしてしまえば、本末転倒なのだから。
「それでさ、メノ。眠いなら寝ちゃっても良いぞー! 家まであたいたちが送ってあげるから!」
頭の中でそう考えていると、優しげな笑みを浮かべたチルノからこんなことを言われ、少しだけ思考が止まってしまう。
「本当に、良いの……?」
「おう! 駄目ならそもそも言わないし、この状況で駄目って言うやつなんか、ここには居ないぞ!」
「てな訳だ。ここはチルノの好意に甘えておけ」
しかし、皆の様子を見る限りでは、この場において僕が遠慮をすることを望んでいないように見える。
それに、実質遊んだ時間が圧倒的に短いことも、チルノたちは一切気にしていなさそうだった。
ともなれば、ここは迷う必要などない。魔理沙の言う通り、チルノの好意に遠慮なく甘えておこう。
「じゃあ、お願い……しようかな」
「りょーかい! で、誰がメノを背負ってく? 言い出しっぺのあたい?」
「うーん。チルノちゃんって少しひんやりしてるから、私かリリーちゃんの方が良いんじゃないかな。耐えられないって程じゃないけど、寝るにはどうかなって……夏なら良かったかも?」
「大ちゃんの言う通りだな! でも、良く考えたらずっと1人が背負ってくのも大変だし……」
「だったら、交代制を敷くって言うのはどう? 良い案だと思うわー」
「なるほど、それも良いかも!」
そう思ってお願いをした瞬間、今度は僕を誰が家まで背負っていくのかと言う問題が発生、何とも微笑ましい話し合いが目の前で始まった。
個人的には、友達が
ここは1つ、僕からそれについての『お願い』を出して、話し合いを終わらせよう。
「すまん。盛り上がってるところ悪いが、私が背負ってくって案はどう――」
「「「あっ、それだ!!」」」
「うおっ、急に大声出すなよ……」
ただ、そうお願いをする前に魔理沙が名乗りを上げ、3人も満場一致で賛成の意を示したことで、話し合いは実に平和的な形で幕を閉じることとなる。
「よし。メノ、しっかり掴まっとけよ」
「うん……よろしく、魔理沙」
で、眠気と疲労感で重たい身体を動かし、体勢を整えた魔理沙に背負ってもらう訳だけど、これが何とも暖かくて心地良かった。
安心感も凄まじく、
しかも、そこに加えてチルノに大ちゃん、リリーも側に居る訳だ。我が家を除けば、最高にリラックスできる環境がここに揃っている。
(おやすみ……)
結果、この状況で強くなってきた眠気に抗えるはずもなく、背負われてから1分も経たない内に眠りへつくこととなった。
光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して
-
チルノ&大妖精
-
エタニティラルバ
-
クラウンピース
-
リリーホワイト
-
全員
-
作者にお任せ