経緯は非常に望ましくはなかったものの、僕に発現してくれた程度の能力。
あの日からあっという間に2週間経ち、大切な家族や友達のサポートの甲斐もあって、利点や欠点を含めたこの能力の新たな一面が1つ判明していた。
簡単に説明すると、自然に関係する
「凄かったな! 本当に周りの自然がメノに応えてる感じがしたし!」
「えへへ……ありがと、ピース! でも、小さな水塊とか土柱、つむじ風を起こすだけでも、結構疲れるんだ」
「たったの2週間でしょ? 他の練習もあると考えれば、あたいは十分だと思うなぁ」
発現してから2週間、治癒・疲労回復の方はある程度上手く扱えはしたものの、当時よりは効力が落ちていると認めざるを得ない。
言わずもがな、もう1つの方はイタズラに何とか使えはしそうだけど、僕や僕の大切な家族や友達を守るには、到底使い物にはならなそうだった。
まあ、いくら皆の助けを借りながら必死に練習に取り組んでいるにせよ、たった2週間でマスターできるような能力ではないと、自分で理解はしてるからその辺は問題ない。
今でこそ、皆に喜んでもらえるくらいに上手くなった料理の腕だって、強制か否かはともかく前世で7年間もの練習の果てに得たものなのだ。
何なら、他の家事が超高水準でできるようになったのも、個々の差こそあれかなり長い時間やり続けてきた結果なのだから。
「そう言えば、メノの能力の呼び名って結局どうなったの? チルノが言ってたやつそのまま使う感じ?」
「うーん……僕の能力で出来ることがことだし、そのままにするつもりだけど……ところで、ピース。ここ最近相当寒くなってきたけど、大丈夫?」
「ふふっ、問題ないぞ! 確かに寒いのは苦手だし嫌いだけど、冬仕様の特別服さえあれば、いつものテンションで外出できるしな!」
「そっか。今度は、僕が遊びに出向かなきゃね」
「おおっ、来てくれるの? なら大歓迎するぜ!」
なお、僕に発現したこの能力の名前は、当時の僕が爆睡していた時にチルノがノリと勢いで決めたと言う、『大自然の力を借りる程度の能力』をそのまま使うことに決めている。
大ちゃんには、「チルノちゃんのことは気にしないで、メノちゃんの好きに決めて」と言われてはいるけど、僕的には能力名に特段こだわりもないし、普通に分かりやすいし、何となく喜んでくれそうだからこれで良い。
勿論、できることと乖離しているぶっ飛んだ名前とか、誰かに聞かれて恥ずかしすぎるような名前だったら、流石に変えてはいたけど。
その辺は、目の前に居る冬仕様の特別な服を身に纏ったピースを含め、僕の家族や友達の様子を見る限りだと、普通に大丈夫そうだから良いや。
「よっと。それじゃあ、もう少しだけ練習に付き合ってくれるかな……? ピース」
「りょーかい! あたいはまだまだ元気いっぱいだから、全然行けるぞ!」
「ありがと。本当に助かる……わぁ、誰か来た……?」
庭にある切り株型の椅子に座り、スターのお菓子とお茶を飲みながらピースと楽しく休憩すること約1時間、能力の練習を再開しようと思った僕は、知らない誰かが家に来ることを察知してしまう。
元々僕に備わっていた高い視力と聴力を総動員し、集中力を極限まで高めたところ、その人数は5人……しかも、その中には魔理沙も居た。
道理で、家の中に駆け込んで自室に引きこもろうと、あまり考えなかった訳だ。
2人の妖精さんは未知ではあるけど、レミリアさんと咲夜さんに関しては見たことがない訳ではなく、全くの未知ではない。
とは言え、会話を交わしたりしたことがないため、否応なしに緊張感が高まっていってしまう。
だから、ここは少し申し訳ないけど、ピースの後ろに隠れさせてもらおう。
「うん。まあ、分かっちゃいたが、お前らめちゃくちゃ警戒されてるぞ」
「承知の上よ。でも、この様子だと魔理沙を介してやり取りをした方が良さそうかしら」
「何だろ……? あのメノウって妖精とあたし、不思議と妙な親近感を感じますねー」
「ノーゼやスフェと、似たような感じの過去持ってるからだと思うわ。サニーたちが2人で言うところのお嬢様のポジションだから、忠誠心とかも高そうね」
「あたしやスフェと同じ……か。どこでにも、必ず1人は居る訳だねー」
「きっと辛かったと思うよ。サニーちゃんたち、本当に頑張ったんだね。今のあの子、とっても幸せそう!」
そして、魔法の森と僕の家との境界線を魔理沙とレミリアさんたちが通り抜け、ピースから数歩手前で止まると、何故だか2人の妖精さんより哀愁を帯びた視線を向けられた。
どうやらこの様子を見るに、僕のことをある程度知っていそうな感じだ。魔理沙はもとより、レミリアさんや僕の大切な家族、大切な友達経由で話を聞く機会があったのだろう。
幻想郷には変な人は居なさそうとの理由から、聞かれてもいないのにわざわざ喋ったりしなければ、僕のことをある程度は教えても良いと意思を示しているため、何らおかしくはない。
(凄い圧力……レミリアさんと咲夜さんにとって、僕なんか吹けば飛ぶような存在なんだろうなぁ)
今になるとは全く思わなかったけど、いずれ何らかの形で話をするのが早まっただけと考えれば、まあ別に良い。
それよりも、レミリアさんたちが皆僕に会いに来たことに驚いている。サニーたちにではなく、僕を目的としている理由については話していなかったけど、まず間違いなく好意的ではあった。
心当たりはまあ、魔理沙経由で渡した僕が家で作った洋食くらいだけど、誰も彼もそれで好意的になってくれるとは、当然ながら限らない。
と言うか、非常に美味しいと評判の咲夜さんの料理を、レミリアさんたちはほぼ毎日食べているはずだから、尚更訳が分からなくて戸惑う。
「わぉ。魔理沙はともかく、レミリアと咲夜に……ノーゼとスフェまで居るのね。びっくりしたわ!」
「何にせよ、ピースが側に居てくれて助かった。ありがとう」
「おうよ! メノはあたいの友達だからな、当然だぞ!」
「えへへ……」
そんなこんなで、庭先で比較的大きな声で話していたりすれば、当然何事かと思ったサニーたちが、一斉に家の中から出て来て僕たちの周りへと集まってくる訳だ。
家族と友達に加え、ルナが僕の部屋から猫ちゃんぬいぐるみを持ってきてくれたからか、感じていた過剰な緊張感が解消され、ある程度は落ち着ける環境が整う。
そうなると、ピースの後ろに隠れなくても何とか大丈夫になってきたので、一旦離れてレミリアさんたちの姿をじっと見つめていく。
(レミリアさんと咲夜さんの力は僕よりかなり強いし、ちょっと怖そうだけど、妖精さんたち含めて嫌な人たちじゃなさそう……?)
すると、そんな僕の視線に気づいたらしい。魔理沙と話していた2人が揃って微笑んでくれた上に、小さく手も振ってくれた。
自分たちに敵意など一切なく、ただ単に会いに来ただけだとアピールしてきているのだろうか。
うん。自分から話しかけるのはまだちょっと厳しいけど、わざわざこんなことをしてくれたから、何か尋ねてきたら答える程度の勇気は出て来る。
「メノウ。この猫のぬいぐるみ、相当なお気に入りなの?」
「あっ……うん。かなり昔、サニーたちと出会う前からずっと……僕の心の支えになってくれてた子」
「そう。私の知ってる猫とはちょっと違うけど、これはこれで可愛らしくて良いわね」
なんて考えていた時、僕の羽の色や表情などを見たサニーや魔理沙が、レミリアさんに「うん、今ならギリギリ大丈夫」と言ったことで、彼女との会話が始まった。
内容としては、僕が抱き抱えていた猫ちゃんぬいぐるみのことを含め、嫌な人以外なら誰に話しても良いような当たり障りのない、日常についてである。
本当に少しだけ、緊張のせいで挙動不審な人……と言うか、妖精になってしまい、言葉も途切れ途切れで楽しい会話かとレミリアさんが問われれば、首を傾げるレベルかもしれない。
「メノウの事情は分かった上で来ているから、別に構わないわよ。怒るつもりも勿論ないわ」
「うんうん! クリームパイを顔に投げられても、バナナの皮をティーポットに突っ込まれても、紅茶を激苦茶とか激辛茶に取り替えられたりしても、レミリアさまは怒ったりしないからねっ!」
「それはちょっと語弊があると言うか、種類が違うと言うか……本当にやらないでね?」
「えっ。その、やらないよ……?」
「なるほど……お嬢様、明日から激辛激苦茶にします」
「ちょっと咲夜、冗談よね!?」
しかし、レミリアさんの様子を見る限りでは、僕の心配は杞憂に終わりそうだ。
話に割り込んできた黄緑色の髪の妖精さんとのやり取り、もう1人の灰色がかった白髪の妖精さんや咲夜さんと、仲睦まじいと分かるやり取りを交わしていた時と、ほぼ変わらない表情と仕草だったことが根拠である。
流石に、自分の身内と話している方が楽しく幸せそうだったけど、それは至極当然の話だろう。
僕だって、サニーたちと一緒の方が何よりも楽しくて、何よりも幸せで、何にも勝る宝物なのだから。
「ところで、レミリア。メノに会いに来たらしいけど、理由を教えてもらえる?」
「ええ、勿論よ」
そんなことを考えながら、不思議に思っていた僕に会いに来た理由を頑張って聞こうとした瞬間、先にサニーが真剣な面持ちでレミリアさんに問いかけたため、ひとまずサニーに任せることに決めた。
光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して
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チルノ&大妖精
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エタニティラルバ
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クラウンピース
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リリーホワイト
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全員
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作者にお任せ