光の四妖精   作:松雨

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秘めたる強い意思

 幻想郷内では新参ながら、あっという間に一大勢力を築き上げた、レミリアさんを当主とする紅魔館。

 

 事前予告などもなく、古参らしい2人の妖精さん(二大妖精長)や咲夜さんを引き連れ、当主直々に会いに来られると言う前代未聞の状況に内心戸惑う中、語られた来訪理由に固まってしまった。

 

「つまり、最終的には紅魔館の雇われ妖精メイドになって欲しいと。メノに」

「そう。ただ、いきなり紅魔館へ招き入れるのは、メノウの性格的にも禁ずべきことだから、当主たる私と最側近でまずは顔合わせに来たって訳よ。私たちに、少しでも慣れてもらうために」

「雇われ妖精メイド……泊まり込み?」

「ここから館に来てもらう感じね。週に2日か3日、休憩時間込みで朝8時から夕方5時までを予定しているわ」

「ふーん……断られたら、どうするつもり?」

「何回か声をかけて、それでも駄目なら諦めるわ。でも、ここには時々遊びに来るわよ。友人関係にはなっておきたいし」

 

 館の切実な事情があり、僕の家事能力が可能であれば欲しいから、最終的には妖精メイドとして雇いたい。

 

 ただ、今日はその主目的ではなくあくまでも顔合わせ、少しでも僕に慣れてもらうことが目的だと言われたのだ。

 

(大変なんだなぁ。紅魔館も)

 

 確かに、おおよそ一通りの家事はこなせる。

 

 最も得意な料理を筆頭として、掃除に洗濯に裁縫に整理整頓、ありがたいことにサニーたちにも大好評だ。

 いつぞや、霊夢さんにも「保護したのが私なら、家事を任せっきりになりそう」と、ありがたいことに褒められている。

 

 レミリアさんみたいに、雇っている妖精さんたちのイタズラが凄くて大変と言ったような事情があれば、家事能力の高い妖精を雇いたくなるのも頷ける。自画自賛してるみたいで、何かあれだけど。

 

「居心地……良さそう、だね。その妖精さんたち……」

「そうだねー。実際、あたしもスフェも居心地は最高って思ってる」

「ふふっ。嬉しいこと言ってくれるわね、ノーゼ」

「これも、お嬢様の人徳の成せる業ですね。私も、その徳に引き寄せられた質ですが」

「妖精の館って別名が紅魔館につくくらい、レミリアはマジで妖精に手厚いからな。とは言え、イタズラをしたやつと侵入者は種族関係ないが」

「うん、まあ……当たり前、だよね」

 

 なお、それでもイタズラをした妖精さんを叱ったり、お仕置きをしたりはしても、解雇したりするつもりは全くないらしい。

 

 レミリアさん自身が、妖精と言う種族そのものを気に入っていること。

 

 紅魔館の雰囲気が騒がしくも非常に良いものとなり、何だかんだでイタズラ妖精さんたちも役に立っていたところ。

 

 そもそも、妖精を雇う以上イタズラで大変なことになるのは分かっている上、重要視している要素がやる気と運命の流れ……皆とある程度、馴染んでくれそうか否か。

 

 なるほど。それなら本人が紅魔館を去るか、余程のことが起きない限りはメイドの妖精さんが減ることはなさそうだ。

 

「おっと、失礼したわ。もう既にある程度は知っているみたいだけど、一応初対面……私たちの紹介をするわね」

 

 紅魔館の妖精事情について考えていたところ、サニーと話をしていたレミリアさんがハッとしてから僕の方を向き、こう言ってきたため思考を中断、聞く態勢を整える。

 

(レミリアさんと咲夜さんは良しとして……灰色がかった白髪で水色瞳の妖精さんは『ノゼアン』って名前、黄緑色の髪で金色瞳の妖精さんは『スフェーン』って名前で、愛称(呼び方)も……よし、覚えた。それにしても……)

 

 しかし、自己紹介を聞いている時に思ったけど、色々と状況も何もかも違うにせよ、二大妖精長(ノーゼとスフェ)がまるで僕の前世みたいな過去を送ってきていたことに、ちょっとだけ親近感みたいな感情が芽生える。

 

 何なら、僕と違って精神的なものだけでなく、身体的にも一線は越えなかったものの、それでも拷問紛いの辛いことまでされていた分、心へ負ったダメージの総量は2人の方が上だと考える。

 

「そっか……それなら、慕うのも当たり前、だと思う」

「でしょ! レミリアさまは、わたしとノゼちゃんを救ってくれた、物語の騎士さまなんだよ! 種族は吸血鬼だけど!」

「地獄から救い出してくれるなら、悪魔だろうが何だろうが誰でも良かった。それがあの時、偶然レミリアさまだっただけ……でも今となっては、レミリアさまで良かったと思う。本当に」

「……こう改まって言われると、何か照れくさいわね」

 

 ただ、もう300年以上も昔の話であり、なおかつレミリアさんが色々と頑張ったお陰で、心の傷は完璧と断言できるレベルで癒えたとのこと。

 

 今こうして、関係のない僕たちに話すことができるところを見るに、それは間違いない。

 

 とは言え、レミリアさん率いる紅魔館の住人たちや、ノーゼやスフェ自身が信頼するに値すると判断した、人妖相手でもない限りは例え聞かれても話さないらしいけど、それはまあ納得できる。

 

「ところでさ。メノウちゃんはサニーちゃんたちのこと、どう思ってるの?」

「僕……? サニーたちのこと……?」

「そうだよー!」

「えっと、その……」

 

 ちなみに、僕の場合は言わずもがな、サニーたちのことは大切な家族……幻想郷で、僕の生きる意味のほぼ全てを担っている妖精さんだと思っている。

 

 自然がある限りは、実質不死の妖精()が言うのもちょっと違和感があるかもしれないけど、それは決して変わることがないものだ。

 

(……)

 

 だからこそ、仮にそんな3人を傷つけいたぶる者が現れたとするならば、僕は正直……正気で居られる自信がない。

 

 もはや魂のない抜け殻と化すか、派手に暴れた末に霊夢さんや魔理沙に倒されるか、はたまた他の流れになるか、何にせよロクことにはならないと断言しよう。

 

「ノゼちゃんみたいなこと言ってる……やっぱりかぁ」

「咲夜ともちょっと似てるわ。いざと言う時に、躊躇いなく身を投げ出しそう」

 

 そんなことを考えつつ、スフェからの問いかけに所々詰まりながら答えたところ、レミリアさんとスフェにちょっとだけ驚かれた。

 別に恥ずかしくもないとの理由で、全部ではなくとも思いの丈を感情を込めて、話した故か。

 

「もう! メノったら、皆の前でそんなこと言っちゃって……照れちゃうわ!」

「こうまで好意的だと、本当嬉しいよねー」

「良かった。うん、良かった。私たちが頑張った甲斐があったよ」

 

 また、サニーたちは僕の本心から来る言葉が相当嬉しかったらしく、ニコニコしながらはしゃぎ始めた。

 

 指で僕の頬をつついたり、僕の羽を絶妙な加減でくすぐってきたり、僕を巻き込んで追いかけっこをしたり、他にも色々とやってくる。

 

 果ては、僕以外にピースをも巻き込んで、良く分からない謎の踊りを笑いながらやったりと、もうカオスな状況になってきた。

 

(あぁ、もう……最高だよ、サニー! スター! ルナ!)

 

 だけど、幸せの極致とも呼べるこの状況に身を置けたお陰か、感じていた緊張感が圧倒的な幸せと喜びの大波に洗い流され、まるで家族とだけ居るような感覚に陥ってくる。

 

 例え、ノーゼとスフェに加えて何故かレミリアさんまでもが、僕たちの輪にしれっと参加していたとしても、決して緊張感が増さない程度には圧倒的なのだから。

 

「あぁ……何か色々とはしゃいでたら疲れたわー」

「大分盛り上がってたもんな。ちなみに、1時間近く経ってるぞ」

「ふふっ。お嬢様も、心なしか楽しそうでしたね」

「まあね。遊びに来てもいるのだから、楽しまなきゃ損でしょ?」

 

 結果、僕を含む妖精組は疲労によって、身体を動かす気力すらも殆んどなくなるまでの1時間弱、我が家の庭先ではしゃぎ続けていたことに気づかされる。

 

 幻想郷に妖精として転生してから、実際に経過していた時間と体感で経過していた時間の乖離が、目に見えて大きくなっていた。勿論、いつの間にそんなに経っていたのかと思う形だ。

 

 前世だと逆の形で乖離が激しかったから、『時』とは何とも不思議なものだと、僕は改めて思う。

 

「どうか、家族との幸せな一時が、永遠に続きますように」

「うん、私もメノと一緒。仲間と過ごす一時は、何にも勝る価値を誇る、究極のお宝だから」

 

 そして、こんな幸せがこれからも永遠と続くように願い、そのためならどんなに大変な壁でも乗り越える意思を、僕は改めて心の中で明確にした。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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