改めて言うことでもないけど、どこにでも着ていける洋服を僕は3着持っている。いざと言う時に、困らないためだ。
同じように帽子や靴、サニーからもらったトートバッグや髪飾り、下着類他各種小物類も必要な分だけ、私物として自室のクローゼットなどに保管してある。
そして、ほぼ毎日している入浴後に着る、いわゆる寝間着に関しては、4着持っている。ただし、これらは一部を除き、ルナの予備から賄われている状態だった。
「ねえ、メノ。凄く今更だけど、
「僕の洋服に帽子に……靴?」
「そう! 体型もそっくりだし、メノはルナの服も帽子も靴も似合うけど、やっぱりもう一息欲しいなって思ったの! 殆んど私のわがままみたいなものだから、強制はしないわ!」
「なるほど……」
ルナ本人が僕と一緒の装いでも構わないとのスタンスで、なおかつ予備がそこそこの数あることから余裕があり、それ故にサニーからそう声をかけられるまで、『僕の装い』云々なんて本当に考えてもみなかった。
つまるところ、興味がない状態だったのだけど……言われてみると、何だか興味が少し湧いてきたような気がする。
現状、クローゼットの中は余裕が結構あり、後10着分くらいなら何かしらの服をかけられる。帽子や靴などに至っては言わずもがな、複数保管できる余裕がある。
気分転換の意味でも、予備を増やす意味でも追加して損はない。
(サニー、喜んでくれるかな。スターとルナは、どうなんだろう……?)
それに、僕が新しい服や帽子を身につけ、靴を履くだけでサニーの喜ぶ顔を見れるのなら安いものだ。
スターとルナは分からないけど、サニーが喜ぶなら同じように喜ぶか、驚いてはくれるだろう。
後は、大切な友達として付き合いのあるチルノ一行や魔理沙が、僕の新しい格好を見てどんな反応をするのか、正直気になっている。
何かと遊びに行っている博麗神社の霊夢さんたち、17日前に初めて知り合ってからちょくちょく遊びに来るレミリアさんたちに関しては、まだどんな反応をするのかは未知数だ。まあ、普通に落ち着いてそうではあるけど。
「ちょっとだけ、興味はでてきた……けど、どこで買うの? サニー」
「アリスのところよ! メノにとっては初めて会う、種族としての
そう考えながら、興味が少しでてきた旨をサニーに伝えた上で、どこへ買いに行くのか尋ねると、元気良くそう答えてくれた。
アリスさんは、七色の人形使いとの二つ名が表す通り、色々な場面で自作の人形を使う妖怪さんで、僕の猫ちゃんぬいぐるみを綺麗に直してくれた恩人である。
で、自作の人形に着せる服を沢山作った経験と技術から、自身を含め誰かが着る服までも作り上げることができるようで、サニーたちの着ている服もお願いし、その超絶技巧で何着も作ってもらったとのこと。なお、帽子や靴についても同様みたいだ。
お礼を言いたいと言っておきながら、実際に行ってないだけにこれはまたとない機会だし、魔法の森の範囲から抜けない場所にアリスさんの家はあるらしい。
そう思った僕に、場所に関して意見を言うに値する理由は、全くなかった。
「それは、まあ大丈夫。でも、オーダーメイドならお高いんじゃ……」
「確かに、普通なら材料費とか諸々あるからね。ただ、私たちとアリスは結構な繋がりがあるし、割と融通が効くのよ。香霖程じゃないけどね」
「なら大丈夫そう、かな?」
加えて、若干心配だった金銭面に関しても、サニーたちとアリスさんの間にある繋がりを駆使さえすれば、ある程度は何とかなるみたいだから、ホッとひと安心だ。
言い出しっぺはサニーではあっても、万が一僕が原因で何かトラブルが起こりましたなんてことになれば、本当に洒落にならないのだし当然だと言える。
また、全てをオーダーメイドで作る以上、僕の身長やら何やらを調べる必要がある訳だけど、これについては我慢するしかない。作るのがサニーたちが信頼するアリスさんなだけ、本当に幸運である。
「さてと、決まりね! スターとルナにも声をかけてくるから、その間に出かける準備を済ませておいて!」
「うん、分かった」
僕の返事を聞いて、嬉しそうに羽をパタパタさせながら部屋を後にするサニーを見送ってからすぐ、こちらも外出の準備を素早く整える。
ルナと一緒の帽子を被り、トートバッグへ絵本や小説を2冊入れ、
「お待たせー、メノ。アリスのところに色々買いに行くんだって? 私もちょっと楽しみだわ」
「オーダーメイドだから、すぐには物は来ないよ。だけど、私の予備の服以外の服とか帽子を身につけて、靴を履いたメノもきっと似合う。間違いない」
「分かってるわ、当然の摂理よ」
外出準備が整った後、玄関前で鼻歌を歌いながら待つこと2分弱、一目見て分かるくらいにご機嫌なスターとルナがやって来た。
自分たちのものを買いに行く訳でもないのに、こんなにも楽しそうにする2人……いや、3人。これだけで、僕が服とかを買う選択をした甲斐があったと言うものである。
(オーダーメイドだし、色々要望を考えとかなきゃ駄目だよね……それに、これを機会に猫ちゃんぬいぐるみのお礼をしなきゃ!)
勿論、サニーたちが喜んでいるのであれば、僕も色々と楽しい想像をせずには居られなかった。
何なら、その辺をサニーやスターやルナと、会話をしながら散歩するだけでも僕は満足するだろう。
とは言え、初めての場所に初めて会う人、この2つの要素の片方ないし両方が重なってしまえば程度の差こそあれ、緊張感の発生はどうしても避けることはできない。
何度か会い、サニーたち同伴の下で色々とやり取りを交わして、大丈夫そうかなと思えてようやく緊張しなくなるくらい、僕は臆病なのだ。
それでも、サニーやスターやルナさえ一緒に居てくれれば、僕はどんな地獄でも最終的には乗り越えることができるし、その時に感じる緊張感もかなり和らいでくれる。
加えて、今日の目的地はアリスさんの家だ。今もなおサニーたちと同じくらい、心の支えとなっている猫ちゃんぬいぐるみを助けてくれた、恩義ある
「よし! 皆準備が整ったみたいだし、アリスの家に出発進行ー!」
「「「おーー!!」」」
そんなことを思いつつ、僕たち4人で出かける前に大体行う定番のかけ声とポーズをした後、意気揚々と家を出発していこうとした。
「ひゃあっ!? わぁ……えっ?」
「あははっ! よっと……メノ、びっくりし過ぎ!」
「もう……びっくりさせないでよ。でも、チルノで良かった」
しかし、扉を開けた瞬間の冷たい風に加え、まるでコウモリみたいに玄関先の天井に自分の足裏を氷で固定し、ぶら下がっているチルノが居るなんて想像していなかったため、反射的に大きな声を出して驚いてしまう。
少し後ろにはサニーたちが居たため、しりもちをついて服のスカート部分が汚れたり、多少の痛い思いはしないで済んでいる。
(ふふっ。チルノが僕にイタズラかぁ……もしかしたら、サニーたちがターゲットだったのかも?)
結果として、お出かけで高ぶっていた気分が削がれる形となってしまったのだけど、全く怒りなどの感情は湧いてこない。何と言っても、チルノは僕の大切な友達だからだ。
「まさか、メノにイタズラ仕掛けてくるなんてねー。大丈夫だった?」
「うん。びっくりしたけど、もう大丈夫だよ。スター」
「なら良し。ところで、チルノは何しに来たの?」
「良かったら、あたいと一緒に遊ばないかって誘いに来たんだけど……出かけるっぽいし、だったらあたいも混ぜて欲しい!」
「なるほど。スターとルナは、チルノが一緒でも良い?」
「問題ないよー」
「構わない。スターも良いみたいだし、メノさえ良ければ」
サニーたちも、僕が何ともなかったからかチルノに対して文句を言ったりはせず、むしろすぐさま僕たちと一緒に行くことを提案し始めた。
氷の妖精なだけに、時折吹く風が冷たい季節になっても夏の時と変わらない格好で、変わらず元気なチルノ。何なら、更にパワーアップしているように感じる。
(ルナはそう言ってたけど……)
ちなみに、僕たちの輪にチルノが混ざることに関しての僕の答えは、『全く問題なし』である。
大切な友達であり、また断るに足る理由が1つもなかったこと。
その上で、僕やサニーたちと一緒に外を出歩くことを、チルノ本人が強く希望していること。
この2つが揃っているのであれば、例え時間はかかれど導き出される答えだろう。
「勿論、チルノなら大歓迎だよ。一緒に行こう」
「そっか。ありがとな! じゃあ、皆で目的地に……で、どこに行くんだ?」
「アリスの家よ!」
「りょーかい! じゃあ改めて、皆でアリスの家にレッツゴー!」
「「「おおーーー!」」」
と言う訳で、僕の答えを皆に伝えてから改めて、定番のかけ声とポーズをチルノと一緒に行い、5人で意気揚々とアリスさんの家に歩みを進めていくことになった。
光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して
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