多くの荷物が入りそうな箱を持ちながら、2体の人形さんと一緒に我が家へやってきたアリスさん。
簡単なやり取りを交わした後、僕だけ家の中に行ってと促されたので行ったところ、箱の中に入れられた一目見て出来栄えが凄いと分かる洋服や帽子、靴や各種小物類を「メノのものよ」との言葉と共に手渡された。
アリスさんが家に来た時点で、僕がこれから身につけることになるであろうそれらが完成したとは、もう分かっていた。
けれど、あの日から今日までは3週間しか経っていない。完全なオーダーメイドだから、普通の工程より色々とやるべきことがあろうに、ここまでの早さで仕上げられるのは純粋に驚きでしかない。
アリスさんの仕事の早さと技術、間違いなくあった人形さんたちのお手伝い、どちらが欠けてもここまでのものはできなかったと言える。
「わぁ……! 帽子も、靴も、服も、何もかも全部、凄く可愛らしいよ……!」
「ふふっ。どう? 気に入ってくれたかしら?」
「……うん! その、アリスさん……ありがと。人形さんも、同じ」
「ええ、どういたしまして」
「「どういたしましてー!」」
一見白だと思うくらいに薄い水色で、可愛い鳩ちゃんの飾りが付けられている帽子。
基本的な要素はルナのものを踏襲しつつ、汚れと水対策を施した白系統の靴。
全体的に帽子よりも少し強めの水色であるものの、胸元のリボンや手首の小さなリボンを含め、所々に薄い黄緑色が組み込まれている、長袖のワンピース。
それ以外の靴下や下着類、
こんなに良いものをもらっておいて、気に入らないなんてことがあるのだろうか。いや、そんなことはない。
「メノ、せっかくだから今着てみたらどう? サニーたちも、きっとびっくりしてくれると思うけど」
「うん。じゃあ、アリスさん。着替えるから、その……」
「言われなくても、出ていくわよ」
勿論、最初から完成次第即身につけるつもりでいたので、一旦僕の部屋からアリスさんと人形さんには出ていってもらい、着替えを始めた。
とは言うものの、別に複雑な着方をしなければならない服でもないので、特筆することなんてない。
1分半もすれば、部屋にある大きな立てかけ鏡での着方チェックまで終わるのだから。
ちなみに、付属品としてもらった眼鏡も一応つけてはいるものの、本物同様の効果がある訳ではなく、単なる雰囲気付けのために使われるアクセサリーのような立ち位置にある。
勿論、ルナが持っている読書用の眼鏡みたいに、目の疲れを大幅軽減する魔法が込められていると言ったことも、全くない。
(何だかこう、新鮮味あるなぁ)
なお、服の着心地は多分に漏れず、素晴らしいとしか思えないものだった。元々ルナの服はかなり快適で、唯一あった羽の根元の違和感もなくなっていたのだから、当たり前だろう。
言わずもがな、帽子や靴に関しても快適で満足していると、誰かに聞かれれば言いたくなる。
「お待たせ。その、どうかな……?」
「着方もバッチリだし、似合ってるわ。しかし、その装いもそうだけど、眼鏡までかけるともはや別人みたいね」
「あー……うん、確かに」
脱いだ服やら下着やらを洗濯かごにまとめ、外で待っていたアリスさんにお披露目をしてみると、そこそこ良い反応を見せてくれた。
この様子だと、サニーたちや魔理沙は勿論のこと、レミリアさんや美鈴さんが見てもまあ問題はなさそうである。
ともなれば、早く僕の新たな装いを見せに行って、皆の反応をこの目で見に行こう。望みとしては、サニーたちや魔理沙が笑顔になってくれることだ。
「わぉ。可愛らしいのはそうなんだけど、メノがまるで別の妖精に見えるわ」
「ルナの読書用の眼鏡とそっくりな眼鏡が、良い味だしてるもんねー。何か、いつにも増して賢そう」
「とっても似合ってる。全体的に水色なのは、大いなる水の囁きをイメージしてるのかな?」
「そうじゃないか? おっ、何か照れてるぞ。いっちょまえに小さく手まで振ってるな」
「うん、耳が良いから全部聞こえてるだろうし。それにしても嬉しそうね、メノ」
まあ、その望みは僕が家の扉を開けた瞬間に即叶ったので、文句なしの大満足である。
レミリアさんや美鈴さんに関しても、「へぇ、ここまで変わるものなのね。ちょっと驚いたわ」とか「こっちのメノウちゃんも良い感じですね」など、思わずにやけてしまう程に、嬉しい感想を言ってくれていたから尚更だろう。
後は、チルノ一行や霊夢さんたちにもお披露目して、サニーたちやレミリアさんたちみたいな反応を見せてくれたら完璧だ。
勿論、反応が薄くても僕と普通に優しく話してくれるだけで十分なので、仮にそうなったとしても不満は抱かない。
『わたしもその格好、似合ってるって思うよ』
「「「……わっ!?」」」
「ひゃっ……!」
なんて思いながら、皆のところに戻って楽しい一時を味わおうとしたその刹那、僕の耳に聞き覚えのある女の子の声が入ってきた。
と同時に、生命力とは相反すると言わんばかりに恐ろしく、それでいて絶対無敵の要塞に居るかの如き、非常に強力な安心感を覚える力の波動が辺りに伝っていくのを感じ取る。
しかも、いつぞやのように僕だけでなく、女の子の声はこの場に居る皆の耳にも入っているらしく、一瞬の静寂の後に辺りをキョロキョロと見渡し始めた。
美鈴さんやレミリアさんが「恐ろしくも、妙に安心できる」と、魔理沙が「こいつは……ヤバイが、ヤバくないようにも思える」と評しているのを見るに、僕と同じような矛盾する感覚を味わっているのは明らかだろう。
「驚かせちゃった? ごめんね。ようやく、
「えっ……うん。あなたが猫ちゃんぬいぐるみと、僕に取り憑いていた霊魂さん……?」
「そう! わたしは『ソーウル・デュー』! 呼び方はそうだね……『ウル』! テルくんと、サニーちゃんたちだけでもそう呼んで欲しい!」
そして更に、灰色の髪にキラキラした群青色の瞳をした、例の声と力の波動を放った主らしき女の子が音もなく目の前にいきなり現れると、満面の笑みを浮かべながらその少しひんやりした手で僕の手を握ってきたのだ。
(そっか。この女の子が、今まで僕を助けてくれた……)
こうやって、霊魂さん……ウルと実際に会って話すのは初めてではあるけど、それを要因とした各種感情や感覚に関しては、あまり感じることはなかった。
僕自身気づかない期間が殆んどであったにせよ、今に至るまで側で見守ったり助けてくれたりしていた事実が、存在したからだと思う。
「へぇ。ウル、メノのことを随分と変わった呼び方するのね」
「あー……やばっ、
「今は? うーん、どう言うこと?」
「何でもないよっ、サニーちゃん!」
「本当に? その慌て様、いかにも何かありますって顔してるわ」
「あわわわわ……!」
ただ、悪意が全くないのは重々承知してはいるけれど、ウルの発言の節々に対して別の意味でヒヤヒヤしている。
慌てたりなどで感情が高ぶったりすると、ちょっと余計なことを言ってしまう癖でもあるのだろうか。
(前世の僕と一緒に居た期間の方が長かったしなぁ。姿が変わったとは言え、染み付いた癖を直すのは難しいもんね)
きっと、これを機にサニーたちがウルの発言について色々考え、その過程で僕にも当然の如く色々尋ねてくる。それに答えていくにしろ、適当にぼかしたり黙りこんだりにしろ、いずれはほぼ確実に僕のついていた『大きな嘘』も、バレてしまうに違いない。
実際には記憶の喪失などはしてはおらず、外の世界から何らかの原因で『妖精』に転生しただけなこと。
しかも、前世元々は人間だった上に
この事実を正直に言って、サニーたちが僕を受け入れてくれるか確信が持てず、万が一嫌われたら
例え、そこにどんな思いがあれ大切な家族を騙していることには変わりなく、それ故に発生する罪悪感も結構ありながら、である。
(やっぱり……このままじゃ、駄目っ!)
しかし、事ここに至っては隠したりぼかしたりしたところで、もうどうしようもない。事実が明るみに出るのが、早いか遅いかの違いでしかないだろう。
むしろ、後になればなる程僕はもとより、サニーたちにとっても
「ん? メノ、どうかしたの? 冷や汗かいてる……と言うか、凄い決意を固めた表情してるけど」
「ルナ。サニーたちも……1週間だけ、1週間だけ待って欲しい。ウルが僕をテルくんって呼ぶ理由、他にもサニーたちに隠していた秘密、全部さらけ出す心の準備を済ませておくから……」
「「「……ええっ!?」」」
だから……だからこそ僕は、
オリキャラの簡単解説を載せておきますので、見たい方はどうぞ。
また、詳しい解説に関しては次話の投稿までに活動報告の方へ載せます。
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『ソーウル・デュー』
身長141cm 体重31kg(現実顕現時)
灰色の髪 ショートボブ キラキラした群青色の瞳
黒や灰色を基調としたロングドレスや革靴
光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して
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チルノ&大妖精
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エタニティラルバ
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クラウンピース
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リリーホワイト
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全員
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作者にお任せ