光の四妖精   作:松雨

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打ち明けられた『秘密』

 今世の大好きな家族であるサニーたちのためならば、例え我が身を盾にすることくらいは容易と言える。

 

 実際には、僕が傷ついたり無理をするのをサニーたち自身が望まないため、基本的には行うつもりはない。

 

 だけど、それしか取り得る手段がなくなってしまった時に動ける覚悟は固まっていると、僕は自信を持って宣言できる。

 

「遂に……遂にこれを、サニーたちに見せる日が来た……」

 

 まあ、裏を返せばサニーやスター、ルナに嫌われかねない行為であれば、例え非常に実行が容易かつ世間では認められる内容であろうと、猛烈な抵抗感に襲われてしまうも同義ではあるのだ。

 

 現に今日、秘密を打ち明けると約束してから1週間が経ったのに、その秘密が書かれた日記帳を見せるだけと言う至極簡単なことでさえ僕はできておらず、それ(日記帳)を抱えて自室のベッドでうずくまっている状態なのである。

 

『メノちゃん、大丈夫?』

「……ごめん、ウル。正直、あまり大丈夫じゃない」

『だよねぇ。2日前から、体調もあまり良くないみたいだし』

「それでも、想定よりも大分マシ。これも、ウルが頑張ってくれてるお陰だよ。ありがと」

『どういたしまして!』

 

 正直、サニーたちが「そんなにも辛いのなら、約束を反故にしたって良いわ!」と言ってくれてたのもある故に、何度秘密を打ち明けるのを止めようと思ったことか。

 

 でも、僕は鋼の意思でこの辛さに耐えて、サニーたちに秘密を打ち明けることは絶対に止めない。

 

 万が一、受け入れられずに嫌われるのも怖いけど、知られたら()()()()()()()()()()()()をこの先ずっと大事に抱えて生きていく方が、長期的に見れば何百倍も辛いのだ。

 

 もしかしたら、僕自身が原因で大好きな家族を好きで居られなくなる可能性だってある。そんなことになれば、僕もサニーたちも地獄でしかないだろう。

 

「メノっ! もう約束なんて良い――」

「ごめん。サニー、スター、ルナ……お願い、これを見て……!」

「……っ! 本当に、良いのね?」

「大好きな家族を騙しているとも取れる、こんな秘密を抱えて生きてく方が、僕にはとっても……辛いから」

「ええ! そこまで言うのなら、私たちも覚悟を以て見るわ」

 

 だから僕は、僕のことが心配で部屋へ様子を見に来てくれたサニーたちに、抱えていた日記帳を開いて渡し、見るように強く促した。

 

(すぅ……はぁ……すぅ……)

 

 普段とは全く違う真剣な表情かつ無言で、僕の日記を1ページずつ隅から隅へと3人がじっくりと目を通し、サニーが代表してページをめくっていく様子を見るのは、覚悟していたとしても辛くて苦しい。

 

 何とか耐えられるくらいとは言え、しっかりと呼吸をしているのに息苦しさが何故だか収まらない。

 

 心臓の鼓動がいつもより早くなり、なおかつ暑い訳でもないのに汗ばんできて、羽の青い輝きがわざわざ体勢を変えずとも見える程に強くなっている。手足の先が冷え、僅かだけど痺れてきていた。

 

(長い、長すぎる……えっ、嘘でしょ? 全然経ってないじゃん)

 

 加えて、時間感覚がおかしくなってきたのか、サニーたちにとっての1秒が僕にとっては何倍も……いや、十数倍も長く過ぎたかのような感覚に陥ってくる。

 

 初対面の人や妖怪さんと相対した時とは比べ物にならず、前世を含めてさえ上位に入る程の強さを誇る緊張感は、何と言うか嫌な懐かしさを覚えてしまう。

 

 ウルが居てさえこれなのだ。もし、ウルが居なかったとしたならば、きっと考えるのも憚られる事態に発展していたかもしれない。

 

(……あっ)

 

 思考が堂々巡りとなり始め、身体的な不調もじわりじわりと強くなっていく中、不意にサニーが日記帳を閉じる。

 どうやら、全てのページを読み終えたようだけど、今までで1番長く感じた15分間だった。

 

 しかも、僕の方を向いた時と相変わらず無言ながらその瞳は潤んでいて、今にも泣いてしまいそうな雰囲気をひしひしと感じさせてくる。無論、一緒に見ていたスターとルナもほぼ同じ感じであった。

 

 どう言った理由で泣きそうなのか、サニーたちの心中は一体どんな感じになっているのか、今の不安定な僕には推測すらできないせいで、不安や恐怖などの感情が抑えられない。一体、このままどうなってしまうのだろう。

 

「ぐすっ……これが、私たちの出した『答え』よ……メノっ!!」

 

 しかし、それらもひっくるめたかなり強い負の感情や体調不良は、今まで沈黙を貫いてきたサニーが涙を流しながら、僕が汗ばんでいるのも気にせず抱きしめ頭を撫でてくれたことで、嘘のように霧散していく。

 

 あれを全部読んで、もし嫌悪感を抱いていたとしたならば、まず間違いなくこんなことはできない。いや、しようとすら思わないだろう。

 

(暖かいなぁ……あぁ、もう駄目だ。嬉しくて、幸せすぎて、僕も涙が止められない……!)

 

 それを理解した瞬間、限界まで膨らんだ風船に針を刺したかのように、嬉しさや幸せを筆頭とした感情が大爆発、自分の喉から出たとは思えない程の大声を出して泣くのを止められなくなった。

 

 言わずもがな、前世を含めてさえここまでの幸せを感じたことはない。

 

 しかも、サニーに続いてスターやルナも同じように、なおかつ順番に抱きしめてくれたり、頭を撫でてくれるものだから、拍車がかかっていく。

 

「私もね、スターもね、ルナもね……今、とっても幸せよ!」

「ふぅ……うん。究極に信頼してくれてなきゃ、できない行為だからねー」

「外の世界で男の子だった前世の記憶があるとか、ちょっと隠してたり嘘をついたことがあるとか、確かにビックリはした。だけど、メノが()()()()()()()()()()()が変わる程、大きくはない」

「そうそう! でも、メノにとっては私たちへの信頼よりも、不安感が上回ってしまう程に恐ろしい秘密……本当に、打ち明けてくれてありがとうね!」

 

 かと思えば、もうとにかく嬉しいとしか思えない言葉の贈り物や、太陽のように輝く笑顔を向けてきた。

 サニーたちにとっては、僕の隠していた秘密や嘘なんて取るに足らない事柄だと思う程に、僕の存在は大きくなっていたようである。

 

(うぅぁぁ……もう、涙止まらないし、泣きすぎて喉もちょっと痛い……だけど、まだ止められないよぉ……!)

 

 日記帳に書かれていた僕の秘密を全て知った上で、大好きな家族として改めて認めてくれた、サニーとスターとルナ。その懐の深さは、間違いなく最高レベルだろう。

 

 そうなると、家族以外だと最高に仲が良い魔理沙やチルノたちに対し、同じように打ち明けたら……果たして、どんな反応を見せてくれるのだろうと、少しだけ気にする余裕はできてくる。

 

 なお、究極の心理的難関を乗り越えることに成功している今の僕には、1週間前から日記帳を見せるまでの期間以上に怖く、不安を感じる時やものなんて1個たりともない。

 

「なっ!? ちょっ……どうした、メノ! 何があった……ん? 羽の色は、暖かみのある桜色か。2日前よりは調子は良さそうだ」

「あわわわ……どうしよう、チルノちゃん! 何をしたらメノちゃんを落ち着かせられる?」

「どうしろったって、無茶言わないでよ大ちゃん。こんな時は、そう! 待つしかないとあたいは思うぞ!」

「だな。ヤバい事態とかじゃなきゃ、それでも良いか」

 

 なんて思っていたからだろうか。頭の中で少しなら思考を巡らせられる程に、燃え広がっていた感情の炎が収まってきたと同時、図ったかと言いたくなるタイミングで魔理沙とチルノ、大ちゃんが慌てた様子で家の中に入ってきたことに気づく。

 

 遊びに来るかして我が家に訪れたら、普段は大声なんてほぼ出さない僕の泣き声が聞こえてきたか、声をかける前に身体が動いて駆け込んで来たに違いない。

 

 ちなみに、魔理沙に関しては僕が体調を崩している時に1回来ているからか、チルノや大ちゃんに比べて余計に反応が大きかった。

 

(魔理沙、チルノ、大ちゃん……か。うん、よし!)

 

 四の五の言う前に僕のことを心配してくれるなんて、やはり懐の深さがサニーたちに匹敵しているだけある。

 

 こんなにも穏やかで、僕に『幸せ』と言う名の贈り物を贈ってくれる、大切な友達の内に入る3人。

 

 本当ならピースやリリー、ラルバも一緒に居てくれれば一気に伝えられたのだけど、その辺は事前に手紙などで家に誘わなかった僕のせいでもあるから、まあ致し方ない。

 

 後日、しっかりと伝えることとして、今は目の前の魔理沙たち3人に対して、この高ぶる感情の赴くままに僕の秘密を伝えよう。

 

「すぅ……魔理沙、チルノ、大ちゃん! いきなりでごめんだけど、これを見て!」

 

 涙を拭い、気を抜けば震えそうになる声を何とか抑えながら、僕は魔理沙に日記帳を差し出した。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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