「いやぁ……何と言うか、予想外だな。その一言に尽きるぜ」
四妖精の家に遊びに行く目的が一致した、チルノや大ちゃんとお土産を持って訪問したところ、泣き続けて目を腫らしていたメノから、
その内容自体も、実は記憶喪失と言うのは嘘であるとか、外の世界で男の子だった前世の記憶があるなど、正直言って予想外にも程があることもあり、驚きは大きかったと言えよう。
しかし、それを理由としてメノとの友達関係を変えるつもりは全くない。前世とか今世とか言うよりも、私はメノ個人を見て友達になろうと決めたのだ。
それに、ついていた嘘に関してもぶっちゃけ大したことはないし、本人の性格などを考慮してその立場に立って考えてみても、正直に打ち明ける選択肢はなかったと理解できたから、微塵も気にしてはいない。
「確かに……だから、メノの一人称が『僕』だったのか!」
「だと思うよ、チルノちゃん。人里の人間の男の子だって同じだから」
「そっかぁ。別に、あたいは気にしないんだけど、メノには分からないもんな」
チルノや大ちゃんも、日記帳を見る過程で私と同じで驚いてはいたものの、特に気にする様子を見せていない。むしろ、「関係ない。ずっと友達だぞ!」と、2人は伝えるくらいだ。
勿論、私も同じような文言ではあるものの、喜んでもらえるように心を込めて言葉を口に出し、態度に示していく。
お陰様で、落ち着きかけていた感情が再燃、大声で泣き続けて疲れ果て、今ではサニーたちに順番に抱き抱えられながら、究極に幸せそうな表情を見せて眠っている。
まあ、メノは最悪自分が嫌われて1人ぼっちになることを想像していたらしいし、見て分かるくらいに
ならば、打ち明けるまでに感じていた底知れない恐怖も、自分の抱えていた秘密込みでも家族ないし友達だと認められた時に、大泣きする程の幸せを感じるのも、至極当然と断言できるだろう。
「なあ、思ったんだけどさ……真実って酷いよな。あんなの、ただの拷問じゃねえか」
「うん。前にメノが話してくれた過去も酷かったけど、表現的には穏和な方だったし。普通なら、とっくの昔に命を失って……あっ! もしかしたら、妖精として幻想郷で生まれたのも――」
「スター。そんな風に考えるのは止めよう、気が滅入るから……メノを憂いた神様とか、ウルでも良い。どっちかが魂を幻想郷に導いて、妖精として生まれてくれるように仕向けたって考えた方が、気が楽だと思う」
「確かにそうねー。それにしても、前世のメノを苦しめた輩が、幻想郷に居ないことだけが救いだわ。怯えずに済むんだもの」
ただ、全く不満がない訳ではない。何せ、心のどこかで嘘であってくれと願っていたメノの過去だけは、改めて本人の口から真実であると語られてしまったのだから。
それどころか、前世のメノの家族……いや、家族ですらない『奴ら』からされた、エグい精神的暴力がいくつも追加されてしまうのだから、本当に腹が立ったしやるせない。
でもまあ、今の私がするべきなのは、メノを痛めつけた奴らへの怒りを抱くことではなく、友達として寄り添ってあげることだろう。
そうすれば、どんな遊びでも私が居れば楽しんでくれるメノにとっても、こちらとしても楽しいので一石二鳥なのだ。なお、サニーたちに関しては家族であるため、別格の存在である。
「んにゃ……ふふっ、ルナ
「えっ、私がお姉ちゃん!? いやまあ、血縁がなくたって家族だし、メノとの年齢差で考えれば確かにおかしくはないかも?」
「いや、前世の14年間を足しても何百歳差には多分なるし、いくら妖精でも、姉妹と言うには間が空きすぎだと思うわ!」
「あー……うん。確かにそうかぁ……でもまあ、細かいことは良いや」
「まあね!」
何だかんだで1時間半近く、お茶とお菓子を嗜みつつ真剣に会話を交わしていた最中、スターに膝枕をされていたメノが目を覚ましてゆっくり起き上がると、そのまま視界に入ったらしいルナの方に寄っていって抱きつく。
普段の呼び方とは違ってお姉ちゃん呼ばわりなのは、夢の世界で家族に関連した夢を見ていたことと、秘密を明かしたことによる解放感のためだと思われた。
「サニーお姉ちゃんもスターお姉ちゃんも、皆大好き……」
「どんな夢を見ていたのかしらね、メノ」
「血縁関係がある、正真正銘の姉妹として私たちと一緒に居る夢でも見たんだと思うわー」
今の今までずっと秘密を抱えて過ごしてきて、メノに取り憑いている
その分、十中八九反動でサニーたちは勿論のこと、秘密を受け入れた私たち3人に対してより一層甘えたがりな一面を露にするだろう。
リリーやクラピ、ラルバにはこの場に居ないが故にまだ伝わってはいないものの、メノとはかなり仲良しの友達だ。
まず間違いなく、
「ん? どうしたんだ、メノ? 眠くなってきたなら無理すんなよ」
すると、この場の全員に順繰りに抱きついたり、頬擦りしながら甘え続けていたメノが、ソファーから立ち上がって背伸びをしていた私の前に立ち、眠そうな目で見上げてきた。
暖かみがある桜色の輝きはその強さを増し、時折羽をパタパタと羽ばたかせている。
それは、視認している私の楽しさや幸せなどの感情を僅かながら刺激してきていて、例えるなら幸福感のおすそ分けだろうか。
今までの流れからすると、私にも甘えたいのだろう。ただ、このタイミングで眠気が再燃してきたらしく、どっちを優先しようか迷いに迷っているようだ。
「魔理沙、抱っこして……?」
「何だ、そんなことか……よっと。ほら、これで良いか?」
「ありがと……えへへ、暖かいなぁ」
ただまあ、割とすぐに結論は出たようなので、その希望通りに抱き抱え、頭を撫でたりしながらリビングを歩き回ってあげたところ、すぐにうとうとし始める。
(元々は確か、中学生男子だったか。話を聞く限りだと、寺子屋でもそこそこ成長した子供と同等……マジで前世だと、愛情の『あ』の字もなかったのかよ……はぁ)
実に可愛らしい妖精で、女の子らしい振る舞いでありながら前世があり、そこでは男の子だったメノ。
男女問わず人間と言う枠組みで考えれば、そこそこ年を重ねた子供だったとは思えない程に幼く、他者からの愛情を強く求めるその姿は、否が応でも前世での扱いが地獄だったことを実感させてくる。
「なあ、メノ」
「うん……なぁに?」
「お前は今、幸せか?」
「幸せ……だよ。とっても、とーっても……!」
しかし、今世は違う。優しい家族、優しい友達がメノの周りには沢山居るし、周りの人妖も親切な奴らばかりだ。
勿論、そうでない奴らも居るし、泣きたくなるくらいの辛い経験を全くしないとは、とてもじゃないが言い切ることはできない。外の世界だろうが、幻想郷であろうが、それは不変の原理である。
でもまあ、メノは十分前世で地獄を経験している。だから、最低でも14年は幸せな経験だけを積む権利が、あって然るべきだろう。
「サニーたちも居るし、あたいたちも居る! メノ、どんどん幸せになっていってな!」
「そうだよ、メノちゃん。大切な友達が、辛くて苦しくて泣いているところなんて、私たちは見たくないからね」
無論、それは私だけが思っていることではない。チルノや大ちゃんサニーたちも同じであり、リリーとクラピとラルバだって、あの日記帳を見れば、きっと同じ思いを抱いてくれるはずなのだから。
(おっ、寝たか……)
そして、チルノと大ちゃんの言葉を聞いたメノは、もう眠気が限界に達しかけていたらしい。ほんの数秒だけ2人の方を向き、お礼を言うかのように微笑んだ後、再び幸せな夢の世界へと旅立っていった。
「ちょっ……メノ、何か力強くないか? そろそろベッドに寝かしといてやろうと思ったんだが」
「ふふっ。多分、私たちに次ぐ家族認定されたんじゃないかしら?」
「マジか。でもまあ、悪い気はしないな」
なお、頬には1滴の涙が伝っていたものの、その表情は『幸せ』を体現したかのような、笑みを浮かべていた。
光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して
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チルノ&大妖精
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エタニティラルバ
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クラウンピース
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リリーホワイト
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全員
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作者にお任せ