幻想郷のブン屋
勇気を振り絞った14日前のあの時、サニーたちと魔理沙、チルノと大ちゃんに僕の秘密をあっさり受け入れてもらえた。
更にそこから2日後、皆が探して声をかけてくれたリリーとピースとラルバの3人にも、当然の如く日記帳を見せたところ、ちょっと驚かれたくらいであっさり受け入れてくれたのだ。
前世を含めて生きてきた中で、間違いなく
「随分とまあ、元気になったわね。妖精らしくなってきたって奴かしら」
「確かに! メノちゃん、今まで結構大人しい方でしたもんねー。いやまあ、今でも大人しい方ではあると思いますけど!」
「えへへ……サニーたちも、チルノたちも、他の皆も、
「あー、そう言うこと」
それだけでも十分なのに、博麗神社の2人に霖之助……もとい、霖さんに紅魔館の5人にアリスだって、そんなの大したことないと言わんばかりに、今まで通り僕と接してくれているのである。
もう、心がぽかぽか暖かくなるようなこの感じを、僕が知っている言葉では表現できそうにない……いや、敢えて表すならば究極に究極をかけた幸せ、だろうか。
それ故に、最近は皆にどうやって恩返しをしたら良いのかと、ほぼ毎日考えてばかりなのだ。
(うーん……あっ)
色々と無理をして、時間を削ってまで僕に恩を返されることは望まれず、かといって何もしないのは勿論のこと、半端な恩返しでは僕の矜持が許さない。
しかし、半端な恩返しと言っても、何を以てそう決めるのかによって変わる。
簡単にできることでもされた方は嬉しかったり、逆に手間暇かけたことが案外相手にとってはそうでもなかったりすることは、どこでも良くあることだ。
「ねえ、サニー。僕が元気でニコニコしていたら、それだけで嬉しい? 勿論、僕が皆にとって嫌なことをしないって前提で」
「えっ? そんなの当たり前だわ、メノ! それよりも、また恩返しがどうとかで悩んでたでしょ?」
「あー……うん、まあね」
「やっぱり。じゃあさ、これから
「……うん。皆が僕にそれを望むなら、勿論だよ」
となると、一緒に来ているサニーがこう答えてくるのも、至極当然の流れなのだ。
もう何度も同じようなことを言われていたのに、こんなことで悩んで、あまつさえ質問を投げかけた僕は本当に馬鹿である。
「ちなみにだけど、私もメノに恩返しを求めたりはしないわよ」
「同じくですよ、メノちゃん!」
その流れで、霊夢とあうんもこう言ってくれたのを聞くに、他の僕と付き合いのある皆も、同じような思いでいるに違いない。
ならば、何かお願いをされた時にできるだけ聞いてあげれば良い。それ以外の時は基本的に、至って普通の立ち振る舞いをしていよう。
決して普段から、過度に自分の時間と身体を犠牲にして、皆のために動こうとしてはならない。
また、それについて考えること自体はともかく、考えすぎても皆に察され心配されたりしてしまうため、気をつけなければいけない。
心の中で僕は、この2つについて固く誓った。なお、証人は僕に取り憑いているウルである。
「霊夢さーん! 新聞を届けに来まし……おや?」
なんてことを考えつつ、サニーたちや霊夢たちと一緒に積もった雪を使って遊んでいた刹那、空から誰かがとてつもない速さで飛んで来て、境内へ降りてきたのが見えた。
変わった形の帽子を被り、黒い髪に赤い瞳、レミリアのとはまた違った翼が背中から生えているた女の人だ。
感じる妖気の強さからして、レミリアと同等かそれ以上の妖怪さんであると分かる。
また、属性的にはほぼ間違いなく大ちゃんと同じ風であり、強さは勿論比べ物にならない程この人の方が強いだろう。
「
「あやややや……これは大変、申し訳ありませんでした! わざとではないので、何卒ご容赦を……」
「はぁ。まあ、次は気をつけなさいな」
ちなみに、文と呼ばれたこの妖怪さんは新聞を届けるために来たらしいけど、今の勢いで降り立ったせいか、小さな山にして積んでいた雪をほぼ全部霊夢にかけてしまい、少しではあれ怒らせてしまっていた。
ただまあ、あの様子を見る限りではわざとではなさそうだし、霊夢もそれを分かってはいたようで、すぐに怒気は収まったようなのだけど。
「ありがとうございます。ところで……あなたは、テルースメノウで合ってますよね?」
「うん。合ってるけど……何で? その、僕に何か用事でも……あるの?」
すると、文さんは霊夢に軽く頭を下げた後すぐ何を思ったのか僕の方を向くと、自分が放出していた妖気を極限まで抑えつつ、穏やかな笑みを浮かべながら話しかけてきた。
妖精として幻想郷に転生した当初よりは、様々な経験や究極に究極をかけた幸せを筆頭に、数々の大小様々な幸せの影響もあり、ある程度の耐性はついている。
とは言え、それでも初めての人妖さんと出会う時の緊張感は健在であり、ルナに手を繋いでもらいながらも何とか応対する。
「おお、やはり! 私は『
文さんは新聞記者だ。恐らく、僕に興味があったから話しかけてきたと思うのだけど、何に興味を持ったのだろう。
まあ、僕は幻想郷に住む人妖さんたちの中では新参も良いところだし、その割には中心人物との関わりが深い方ではある。
時々ではあるものの、サニーたちないしチルノ一行、魔理沙と幻想郷の空を飛び回ったりしていることもあるから、それらに関連して文さんが興味を持ったとしてもおかしいとは言い切れないか。
「存在の、認知……?」
「ええ。色々な方々からのお話、
「あー……うん、まあね」
「ですので、今回はこうして安心できる皆さんが居る中での紹介に留め、次回以降少しずつ聞いていこうかと」
「なるほど……」
話を聞く限りでは、特定の何かにのみ興味を持ったと言うよりは、僕と言う存在そのものに対してらしい。ただ、強いて言うならば僕の飛行速度に関して、1番興味を持っているようである。
あまりにも速すぎるとの文言から、いつぞや魔理沙と空中鬼ごっこを楽しんでた時の僕でも見たのが、はっきりと分かる。全力全開で飛ぶ機会なんて、その時くらいしかないからだ。
ちなみに、飛行速度自体は魔理沙と張り合えてはいたものの、スタミナ面ではかなり劣っていたため、急な加減速や旋回などを駆使してはいたものの、鬼ごっこの結果は毎回魔理沙の勝利で終わるのがオチであるけど。
「あまりにも速すぎる? 具体的にはどのくらいなのかしら?」
「確か、全力全開の魔理沙さんと良い感じで張り合える程でしたね。短い間でしたが、間違いなく飛行速度だけで言えば幻想郷でもトップクラスです」
「へぇ……じゃあ、妖精の中では最速って訳ね。メノ、凄いじゃないの」
「ふふっ。ありがと、霊夢」
何で僕が、これ程の速さで飛べるようになったのかは、才能を考慮したとしても正直謎でしかない。だけど、こうやって文さんや霊夢、魔理沙やサニーたち、チルノ一行に褒めてもらう機会が増えるから、本当に良かったと思っている。
だからこそ、これにかまけず飛行関連の技術も、妖力の扱いや弾幕ごっこの練習と同等クラスで頑張っていくのは変わらない。勿論、身体に気をつけることが大前提ではあるけど。
「さて。せっかく皆さんで楽しんでいるところを悪いので、私はこれで行きますね……ではまた、文々。新聞をよろしくお願いします!」
なんてことを考えていると、文さんは霊夢に持っていた新聞を手渡した後、魔理沙以上の速さで博麗神社をあっという間に去っていく。
何と言うかこう、吹きすさぶ風のような妖怪さんだと僕は思った。
光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して
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チルノ&大妖精
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エタニティラルバ
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クラウンピース
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リリーホワイト
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全員
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作者にお任せ