大好きな家族と一緒であれば、どんな地獄でも乗り越えることができる。
同様に大好きな家族と一緒なら、何をしていても妖精生活が最高に楽しく、幸せなものへと変化してくれると僕は思っている。
逆に言えば、僕1人だと何もできないとまではいかないけど、ちょっとしたことにも躓いて、あっさりと転んでしまうことだろう。
だからこそ、例え何が起きようともサニーたちを大切に、家族として幸せでいてもらうために、僕は妖精として幻想郷で生きている限り、無理ない範囲かつ無期限で動いていくつもりだ。
「ねえねえ、見てよスター。僕の日記、今日から文章だけじゃなくて絵もつけてみたの」
「へぇ、どれどれ……あっ、これが私でそっちがサニーとルナ、真ん中がメノ? ふふっ、随分
「えへへ、いつも褒めてくれて嬉しいな。ありがと」
「ちなみに、2人には見せたの?」
「うん。サニーもルナも、笑ってくれたんだ」
「だよねー。これ見たら、思わず笑顔になるわ」
ちなみに、今まで誰にも見せなかった僕の日記帳については、1ページ書ききる度に見せに行っている。最大級の秘密を公表した以上、日記に書いてあることは秘密でもなんでもないから。
それに、これを見せるだけでサニーたちの笑顔とか、声を出して笑う様子を見ることができる。流石に、書いている時の様子を見られるのは恥ずかしいけど、その程度の対価なら実に安いものだ。
しかし、記念すべきこの日記帳もこのペースで書いていると、近い内に最後のページまで書ききりそうである。
だから、サニーたちに買ってもらうか譲ってもらって……いや、僕が魔理沙のところに
もし無理だったら、アリスや霖さんのところまで出向いてお願いし、もらうか買うかする。
それでも駄目なら博麗神社へ出向いて、霊夢やあうんから今持っている感じの日記帳でなくとも、何かそれっぽい感じのものをもらうことができれば良い。
仮になかったらなかったで、まだ行ったことがないから最終手段にはなるけど、紅魔館の門番をやっている美鈴にお願いして、新品とかでなくても良いからもらえるように、交渉することも視野に入れる。
そうすれば、サニーたちに「頑張ったわね、凄いわ!」とか言われながら、頭を優しく撫でられるかもしれない。
勿論、そう言われたりされたりしなかったとしても、少しはサニーたちにかかる負担が減って、僕も行動範囲を広げることができる訳だ。得でしかないし、今すぐにでもやるべきだと思う。
「それでね、スター。この日記帳、多分後10日くらいで最後のページまで書ききることになると思うんだ。だからさ……」
「分かった。私が買いに行って――」
「僕が1人でもらうか、買うかしてこようと思う」
「……えっ? ごめん、もう1度言ってもらえる?」
「うん。僕が1人で外に行って、日記帳をもらうか買うかしてくる」
「ありゃ、聞き間違いじゃなかったねー。それに、瞳が本気の時の輝きをしてる」
思い立ったら即行動と言うことで、スターにそう伝えてみたところ、目を見開いて驚かれた。まあ、今の今まで1度たりともこんなことを言わなかった訳だし、至極当たり前の反応である。
ただし、ぶっちゃけこれもスターは言わずもがな、サニーやルナが僕の進歩を喜んでくれることを前提としたもの。
もし、3人の内誰かが強くこれを望まないのであれば、お願いして買ってもらうか、代わりに譲り受けてもらうつもりだ。
「サニー、ルナ! メノが1人でお出かけするって言ってるわー!」
すると、椅子に座っていたスターが突然立ち上がり、驚きや嬉しさが入り交じったかのような表情をしながら、各々の自室でのんびりしている2人を呼びに、走っていくのを目にした。
この様子を鑑みるに、少なくともスターは僕の発言を好ましく思ってくれているらしい。ともなれば、サニーとルナも喜んではくれそうだ。
(1人でのお出かけ、ドキドキしてきた……けど、終わったら褒めてもらえると思うと……ふふっ)
いやまあ、厳密に言えば僕には
でも、幻想郷への転生当初は勿論のこと、僕の秘密を打ち明ける前までと比べれば心も癒されてきて、進歩してきたと言えるのではなかろうか。自分で言うのもあれだけど。
「ちょっとメノ!? 1人で出かけるって本気……みたいね。でも、正直心配だわ」
「いやもう、かなり驚いたよ。気持ちは分かるけど、本当に無理してない? 別に、日記帳くらいお願いされても全然問題ないしさ。私たち」
スターが2人を呼びに行ってから3分後、見るからにテンションと声の大きさがいつもより凄いサニー、コーヒーを派手にこぼしたらしく服に染みを作ったルナが、僕を見るなり心配して声をかけてくれた。
普通であればなんてことのない行為でも、やはり僕がするとなったら相当な衝撃をサニーとルナに与えてしまうらしい。先に伝えたスターも相当驚いていたし、そこは分かってる。
だけど、これは本気も本気。絶対に1人外出を最後までやりきり、サニーたちに褒めてもらいたいからやるのだ。
「気遣いありがと。でも、僕は大丈夫だから……信じて。お願い」
「分かったわ! 心配だけど、メノの決意を無駄にはしたくないもの」
「どんどん積極的に、妖精らしくなっていく……うん。もしかしたら、メノって前世で普通に暮らせてたらこの優しさはそのままに、妖精らしい性格だったのかも?」
「あー……それ、確かにあり得る話だねー」
そんな決意を以てサニーたちに頼み込んでみたところ、了承を得ることに成功した。正確に、僕の思いが伝わってくれたようで何よりである。
こうまでして頼み込んで了承を得た以上、僕の力ではどうにもならないことが起こりでもしない限りは、新たな日記帳となり得るものの入手を諦める訳にはいかない。
「だから、僕はサニーたちが大好きだし、家族になれて幸せ。何度でも言いたくなるくらい」
「嬉しいこと言ってくれてるけど、急にどうしたの? 私も、サニーも、スターも同じだよ、メノ」
きっと、途中で1人お出かけに心が折れて帰ってきてしまったとしても、サニーたちは「おかえり」と優しく元気に声をかけてくれる。
それで、僕が外出を頑張ると宣言した事実をなかったことにして、次の日辺りにニコニコしながら日記帳をプレゼントしてくれるだろう。
でも、それでは何も変わっていないことになるから駄目だ。人里へ行くのではなく、何度も繰り返し行き続けて慣れた場所へ行く訳なのだから。
「じゃあ、行ってくるね」
「……ええ! 行ってらっしゃい!」
心の中で考え事をしながら手早く出かける準備を整え、ちょっと瞳が潤んでいなからも満面の笑みを浮かべるサニーから、少し多めにお金を受け取った後、見送られながら目的を果たすためのお出かけをするのであった。
――――――――――――――――――――――――――
「本当、見違えるくらい元気になってくれたわね。メノ」
どこへ出かけるにしても、私たちや妖精軍団の面々に加えて魔理沙と一緒でなければ、過去のトラウマ級経験から来る緊張と不安感から、外へ出る選択肢が
そんなあの子が、自分が必要とする日記帳を入手するために1人でお出かけにいった光景は、まさに感慨無量だ。
「サニー、ちょっと泣いてる?」
「うん、まあね! 私のこの気持ち、2人なら分かるでしょ?」
「聞かれなくたって分かるわー」
「当然、私にも分かることだよ」
心が治癒傾向で、元気が出てきたから1人で外出しようと考えたと言うのも、勿論ある。
私たちからはもとよりチルノ一行や魔理沙を筆頭に、メノに足りていなかった愛情を注いであげているのだから。
しかし、メノが1人お出かけをしようと思うに至った最も理由は、間違いなく私たちの負担を減らしたいと言うものに違いない。
日記帳を買いに行くか譲り受けるなんて、しょっちゅうあることじゃないだろう。現にメノは、初めてプレゼントした時からずっと、同じものを使い続けているのだ。
それに、メノは私たちが何かをしてあげた時、例えそれがどれだけ小さなことであっても可愛らしく喜んで、お礼を言ってくれる妖精である。
場合によっては、次の日の家事を全部笑顔で引き受けるなど、こちらがしたこと以上の善意で返してくれるから、この程度なら負担にすら思わないのに。
「とにかく、無事に帰って来てくれれば良いわ! 途中で心が折れたとしても、1人お出かけを試みただけで偉いもの!」
「うん、確かにそう……じゃあ、日記帳を手に入れて帰って来たら沢山褒めてあげよう」
「だねー。そしたら、メノもきっと喜ぶから」
でもまあ、本人が自分でやると決意を固めているのであれば、私たちがしゃしゃり出る幕はない。
私たちにできることと言えば、こうして3人でメノが帰ってくるまで家で待ち、例えどのような結果で終わっても、1人お出かけを試みたこと自体を褒めてあげるだけなのだから。
そう考えながら、私は帰って来たらなんと言って褒めようかを真剣に考え始めた。
光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して
-
チルノ&大妖精
-
エタニティラルバ
-
クラウンピース
-
リリーホワイト
-
全員
-
作者にお任せ