光の四妖精   作:松雨

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今話はルナチャイルド視点です


そわそわ三妖精

「スター、ルナ。メノ、何だか帰りが遅くない……?」

 

 日記帳となり得るものを見つけるため、メノが初めて1人でお出かけをしに行ってから5時間半、サニーが目に見えてそわそわし始めた。

 

 確かに、お出かけの内容から考えてみた場合、あまりにも時間がかかりすぎていると私も思う。

 

 人里まで行って探しているのであれば話は別だろうけど、あんなにも知らない人間が居る場所へ、メノが1人で行くとは思えない。

 レミリアや咲夜や美鈴、ノーゼやスフェとは友達ではあるものの、ほぼ同じ理由で紅魔館にも行かないはずだ。

 

 魔法の森の外に出るなら精々が博麗神社くらいだろうから、探すなり探してもらうにせよ、2時間もあれば戻ってくると考えていた身としては、心配になるのも頷ける。私だってそうなのだから。

 

「確かに遅いねー。もう夕方だわ」

「私も同感。考えたくないけど、何かあったのかも」

「ルナ、嫌なこと言わないで。でも、可能性としてはあり得るから、考えない訳にはいかないのが辛いわ」

 

 探しに行きたい衝動に駆られるものの、万が一その間にメノが帰って来てしまえば、きっと悲しませてしまう。

 

 本当は怖くて嫌であろう1人での外出を乗り越え、目的を達成して私たちに褒めてもらうのを楽しみに帰ったのに、誰も家には居なかった。客観的に考えれば、これはよろしくないことだと分かるはずだ。

 

 しかし、何かトラブルが発生してしまい、どこかしらで助けを求めている可能性がゼロとは言い難いのも、また事実なのである。

 

 その場合、1人お出かけの不安も合わさってしまい、せっかく癒されてきた心に余計な傷を負わせかねない。だからこそ、実に悩ましい事柄だと言えよう。

 

「やっぱり、探しに行き……サニー、ルナ! 誰か……ううん、メノかもしれないわ!」

「「っ!!」」

 

 と、私を含めた全員の思考が悪い方へと徐々に傾いてきた刹那、スターがそう大きな声をあげた。

 

 能力で家に来る誰かを捉えたみたいだけど、この状況からしてメノの可能性が高い。いや、メノであって欲しい。

 

 色々と言いたいことはあるけども、まずは暖かく出迎えてあげるのが先だ。日記帳となるものを手に入れることができたのか、はたまた何かしらあって手に入れるのを断念したか、果たしてどちらだろうか。

 

 勿論、単体であればスターの能力で捉えたのはメノではなく、魔理沙と言う可能性も大いにあり得るけども。

 

「あの、えっと、その……ごめんね。ただいま……?」

 

 なお、私たちの頭を支配していた悪い考えは、出会った頃と同等かそれ以上におどおどしながらもゆっくり扉を開け、無事に帰って来たメノを見て、一気に霧散していった。

 

 手元には、大事そうに日記帳らしき『本』を抱えていて、紆余曲折ありながらも目的を達成したことが見て取れる。

 

(相変わらず、可愛らしい振る舞いをする子)

 

 メノのことだ。おどおどしているのは、十中八九私たちに心配をかけてしまった罪悪感からに違いない。

 

 確かに心配はしていて、今まさに探しに行こうとしていたところではあるものの、別にそこまで思い詰める必要はないと思う。たった一言、ごめんねと言ってくれるだけでも十分である。

 

「お帰りなさい! 1人お出かけ良く頑張ったわね、メノ!」

「日記帳、手に入れることができたんだねー。ちょっと時間が長かったからドキドキしたけど、何もなさそうで良かったわ」

「お疲れ様、メノ。取り敢えず、疲れてるだろうから座ってゆっくりしよう。玄米茶もあるから」

 

 思考を頭の片隅に置いておき、サニーやスターと一緒にとにかく褒め、抱きしめつつ頭を撫でたりしていると、これが相当嬉しかったらしい。

 

 後は、心配をかけたことに対して私たちが、ほぼ何も言わなかったのが功を奏したのだろう。

 

「うぅぅ……ぐすっ、うぁぁぁ……!!」

 

『前世』に関する秘密を受け入れた時には劣るものの、メノにしてはかなり大きめな声で泣き始めた。聞いている私たちが嬉しく幸せに思えてくるくらい、強い感情が込められている。

 

(……1人お出かけは、まだあまりさせない方が良いかな)

 

 幽霊のウルは存在が結構特殊だからあれにしても、心の支えとなり得る存在がいない中での外出は、近場であれ精神的にかなりの負担を強いる形となっただろう。

 

 今回の1人お出かけの成功は、メノの心が結構癒されてきたことの表れと言っても過言ではなさそうだが、それでもまだ誰かが一緒に居るべきだとは思った。

 

 そう簡単に、年単位の月日により刻まれたトラウマが癒されることはないのは、この身で理解している。

 

 私たちは妖精。人間とは違って時間なら有り余る程にあるのだし、焦らずにゆっくりとメノの心を癒していこう。そうすれば、いつかは必ず目標を達成することはできるのだから。

 

「メノ、落ち着いてきた?」

「ぐすっ……うん、何とか」

「ふふっ、良かったわ。それでなんだけど、お出かけの時の話をする気力はあるかしら?」

「……ちょっと眠たいけど、色々と僕もお話したいことあるから、頑張るね」

 

 で、結構長い時間泣き続け、流石に落ち着いてきたタイミングでサニーがお出かけの時の話をメノに聞くと、目的の割に想定よりも大幅に時間がかかった理由が判明した。

 

 大事そうに抱えられていた『本』をメノにあげたのはアリスで、その対価としてお金などをもらう代わりに、自身の持つ卓越した料理技術を元に、色々と料理を教えていたら遅くなったとのことらしい。

 

 沢山の種類の料理を作れるようになれば、より一層理想の人形の完成へと近づくことが可能となる。そう考えていたがために、アリスは思い付いたみたいだ。

 

「メノの料理かぁ。何を教えたの?」

「いつも、僕がサニーたちに作ってるようなやつだよ。例を挙げると、和食なら各種お味噌汁で洋食だと特製オムライスかな。他にも何個かあるけど」

「あー……確かに、それなら時間がかかってもおかしくないわ!」

「だねー。ちなみにだけど、レシピとかって渡したり?」

「秘密って訳でもなかったから、帰り際にささっと書いて渡したよ。材料と作り方解説も載せたけど、僕って誰かに教えた経験がほぼないし、大丈夫かな……?」

「そう? 私は別に、大丈夫だとは思う。そりゃあ、魔理沙とかと比べれば劣るかもしれないけど」

「それに関しては、私もルナと同じ考えかなー」

 

 大切な家族の一員でもあるメノが、分野が何であれその優れた力を認められ、更には頼られる。これ程までに、自分のことのように嬉しい話はそうそうない。

 

 とは言え、頼られすぎると流石のメノも疲弊してしまうだろうし、頼ってきた相手が友達ともなれば、この子の性格上断りづらさも加わってくる。

 

 だからこそ、私やサニー、スターが上手いこと立ち回ってあげる必要がありそうだ。

 

「聞けば聞くほど、良く頑張ったとしか思えな……メノ? 眠気が強くなってきたっぽい?」

「んぅ……うん……」

「そうよね! メノは今日、これだけ頑張ったんだもの。疲れて眠くなるのも当然だわ!」

 

 話を聞きつつ、要所要所で褒め続けてあげること20分弱、メノが誰が見ても明らかなくらいにうつらうつらとし始めた。

 

 日記帳となる『本』を手に入れるために1人で外出し、なんやかんやで6時間弱も経った上、こうして長い間感情のままに声をあげて泣いたのだ。疲れも相当感じているだろうし、眠くなるのも当然の摂理である。

 

「じゃあ、私が部屋に運んでいくよ。今、メノを抱き抱えているのは私だから」

「分かったわ!」

 

 ともなれば、今すぐにゆっくりと眠れる自室にメノを運んであげるべきなのは明白、と言う訳で向かっていった。

 

(よっと……ふふっ。よっぽど疲れてたんだね)

 

 案の定、私が日記帳ごと抱き抱えたメノを自室のベッドに寝かせる頃には、もう既にすやすやと寝息を立てていた。随分とまあ、幸せそうな寝顔をしている。

 

 この様子だと、明日の朝辺りまでがっつり寝てる感じだろう。今日はこれから夕飯だけど、メノの分は必要なさそうだ。

 

「ゆっくりとおやすみ、メノ」

 

 そう考えつつ、寝ているメノに小さく一声かけてから、私はこの部屋を後にした。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
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