今までの自分にとって、高過ぎて乗り越えられなかった壁を乗り越えられた時、恐らくは誰であろうと自信を持つことができると、僕は考えている。
実際問題、僕自身が1週間前の1人お出かけで目的を達成し、サニーたちに思い切り褒められた時に、この上ない幸福感と共に自信がより強く持てるようになっていた。
帰って来た後の疲れは結構なものだったけど、これを機に1人お出かけの頻度を増やしていけると、そう思える程には。
だからこそ、残量に余裕はまだあるものの、今まさに霖さんのところにお茶を買いに行こうとしたのだ。
「メノ。あなたがこうやって元気になって、頑張れば1人でお出かけできるようになったのは、本当に嬉しいこと。だけど、
「そうかな……? お茶が欲しいとか、魔理沙に手紙を届けたいとか、チルノたちを遊びに誘いたいとか、1人でできるようになったなら、やっぱり自分でした方が……」
「その気持ちは分かるよ。ただね、何となく……その、心配でさ。正直、1人お出かけしたいかしたくないかで言えば、できればしたくないでしょ?」
「……まあ、うん」
「やっぱりね。1回行かせといて何様感あるだろうけど、それなら尚更私たちを頼って欲しい。メノに刻まれたトラウマは、想像以上に根深い……それこそ、無意識下での選択に影響するくらいだし」
しかし、僕の1人お出かけをルナは今はあまり望んでいなかったのか、手首を優しく掴んで止めてきた。サニーやスターも、止めた後にルナが言葉を聞きながら、僕の側でうんうんと頷いている。
であるならば、自分の心に素直になった方がここは得策だと言える……いや、得策もなにもそうするしか選択肢がない。
僕に語りかけるルナの表情も、側に一緒に居るサニーやスターの表情も、凄く申し訳なさそうにしているのだから。
強情張って、大丈夫だとアピールして1人お出かけをすると決めたのは、僕自身であると言うのに。
「分かった。じゃあさ、また今度僕と皆で一緒に行ってくれるかな……?」
「当たり前よ、メノ! その時になったら声をかけてね!」
「同じくだよー。4人でのお出かけ、凄く楽しいもの」
「勿論。断る理由なんて微塵もないし、他ならぬ
うん。やっぱり、サニーたちはいつものようにニコニコしていてくれた方が良い。そっちの方が、僕も凄く幸せな気持ちになれる。
だけど、1人お出かけ自体を完全に諦めた訳ではない。サニーたちやチルノ一行、魔理沙に霊夢、他にも優しくしてくれている皆と過ごして、良い感じに心が癒され強くなってきた時に、改めて挑戦していこうとは思う。
「やっほー、サニーちゃん! 皆居るかなー?」
「スフェ……扉ドンドンしながら大声って、ヤバい奴か何かに思われるよ……?」
「大丈夫大丈夫! サニーちゃんたちと私たち、お友達でしょ?」
「いや、普通に迷惑だって話なんだけど」
「あっ」
なんてことを考えていた時、扉が強めに叩かれる音と同時にスフェとノーゼの話し声が、リビング全体に響き渡る。正確には、7~8割くらいはスフェの声ではあったが。
相変わらず、ノーゼはスフェのそれに苦労しているみたいだけど、今は朝だ。僕としては、友達が楽しそうに騒がしいだけなのであれば、余裕で許容範囲内に入っている。
サニーやスター、ルナが迷惑そうにしていればその限りではないけど、パッと見た感じは大丈夫そうだ。ちょっとだけ、呆れ気味ではあるみたいだけども。
「いらっしゃい。相変わらずね、スフェは」
「えへへっ、ごめんね! 朝っぱらから、わたしは元気一杯だから!」
「本当にもう……サニー、いつも騒がしくてごめん」
「大丈夫よ、ノーゼ。あまり気にしないで良いわ!」
で、サニーが扉を開けて歓迎すると、特別ご機嫌なのかスキップしながら家の中に入ってきたスフェの手元に、封筒らしきものがあることに気づいた。
封筒の下側には、レミリアの達筆な字で「サニーたちへ」と書かれている。
多分、僕たちへ向けた手紙が入っているのだろうけど、内容は一体どんなものなのだろうか。滅多に手紙は寄越さない妖怪さんなだけに、予想が殆んどできない。
「ところで、スフェ。手元にあるそれは何?」
「レミリアさまからの招待状! 詳しくは、開いて見てみて!」
「招待状……パーティーか何かかしらね」
僕がそれに気づいたのとほぼ同時、サニーもスフェの手元にある封筒に気づいて問いかけると、彼女はそれをニコニコしながらサニーへ手渡す。
「スター、ルナ。メノ、一緒に見ましょ!」
で、封筒を受け取ったサニーが封を開けた後、皆で一緒に中に入っていた手紙……レミリアからの、今日から僕たちに1ヵ月行われると言う
期間がやたら長い上、何故に妖精限定なのかについては、多分だけどそんなに深い意味はないだろう。咲夜も言ってたけど、レミリアは突発的にとんでもないことを思いついては、館の皆を振り回す節があるからだ。
(チルノたちも来るかな……?)
強いて推測するならば、レミリア自身妖精がワイワイ騒いで賑やかな状況が好きな、変わった吸血鬼さんだからだろう。それ故に、妖精と言う種族に対しての理解度が凄まじい。
だからこそ、スフェやノーゼもレミリアのことを語る時に、大好きで大好きで仕方ないと思っているオーラのようなものが、かなり強く出ているんだと思う。
僕も、サニーたちが家族として大好きで仕方ないと思っているだけに、2人に対してシンパシーを感じた。
「へぇ……面白そうね! せっかくだし、行ってみたいわ!」
「だねー。ところでノーゼ、チルノたちはどうなの?」
「レミリアさまからのお願いで、サニーたちの前にもう探して呼んであるから、皆居るよ。今頃館は大賑わいになってると思う」
「そうなんだ。じゃあ、尚更行かなきゃ損だわ」
「私も行く。ノーゼ、コーヒーセット持ってっても良い?」
「勿論、良いに決まってるよー……あっ。だったらあたし、お泊まり会の時に時々ルナチャの淹れたコーヒーが飲みたいんだけど……良い?」
「分かった。ちょっと余分に持ってくけど、毎日は無理ってことは承知しといて」
そして、サニーもスターもルナも、紅魔館で開かれる妖精限定のお泊まり会にはかなり乗り気でいる。大好きな家族が3人行く気満々で、なおかつ大切な友達が皆行っているのであれば、僕の気持ちはもう既に決まったも同然だ。
これで行かないと言う選択肢を選ぶなんて、余程絶望的な体調不良でもない限りは決してあり得ない。
紅魔館の住人の数はメイド妖精さんを含めるとかなり多い上、レミリアと美鈴、ノーゼとスフェ以外は知らない人であるものの、今回のような場合だとさほど問題にはならなそう。
「メノウちゃんはどうする?」
「行くよ。サニーたちも行く、チルノたちも来てる……ふふっ、楽しそう!」
「決まりだねっ! じゃあ、わたしとノゼちゃんは今すぐ帰ってレミリアさまたちに伝えておくから、早く来てね!」
「メイドとしての仕事もあるから、あたしたちはすぐに遊べないけど、楽しみにしてるねー」
当然、スフェからの問いかけには即座に頷く訳だけど、そうしたら、ノーゼとスフェがニコニコしながら喜んでくれた。
レミリアから僕を是非誘ってくれとお願いでもされていたのか、単純に僕と遊ぶつもりでいたから嬉しいのか、はたまた両方かは分からない。
だけど、少なくとも僕が歓迎されているのは紛れもない事実であり、喜ぶべきではあるだろう。
「ありがとうね、メノ! あなたも乗り気でいてくれるなんて、私も凄く嬉しいわ!」
「当たり前だよ。サニーとスターとルナだけでも最高なのに、チルノたちまでも居る。調子が良くないとかならともかく、僕だけ1人でお留守番なんて何かこう……その、嫌だから」
「そうだねー。普段は各々の都合とかもあるからまだしも、特別な時に私たちだけで行くと何かメノだけ仲間外れにしてるみたいで、居心地が悪くなっちゃうわ」
「確かに。こう言う大きなイベントを最大限に楽しみたいなら、
ちなみに、お泊まり会に僕も行くと聞いたサニーたちは、ノーゼとスフェが帰った後に、見ているこっちまでほんわかしてくる笑顔を見せ、ほぼ同時に背中の羽をパタパタさせながら、本当に嬉しそうにしてくれていた。
1ヵ月もの長期間、紅魔館にて行われる妖精限定のお泊まり会。初めて会う住人たちが殆んどだから、緊張する場面も多々あるだろう。
しかし、僕はつい最近1人でのお出かけを乗り越えているし、今回はサニーたちも一緒に行くのに加えて、既にチルノ一行が居ることが確定しているのだ。
だから、余程えげつない何かが起こりでもしない限りは、お泊まり会中に緊張が楽しさや幸せを超えることなど、一瞬たりともないと断言してもいい。
「さて。急な話にはなっちゃったけど、皆で早く準備を済ませて行きましょ!」
早く行って楽しみたくて逸る気持ちを抑えつつ、あまりサニーたちを待たせないように、僕は急いで準備をしに自分の部屋へ駆けていった。
光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して
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チルノ&大妖精
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作者にお任せ