光の四妖精   作:松雨

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お泊まり会の始まり

 紅魔館にて行われる、妖精限定で1ヵ月間のお泊まり会。ノーゼとスフェから招待状を受け取った僕たちは、それから速攻で準備を済ませて家を出発し、紅魔館の門前に到着していた。

 

 種族が妖精であれば招待されると言うだけあってか、門前から見える敷地内にて沢山の妖精さんたちが、雪がチラチラ舞う寒い中でも元気に飛び回って遊んでいる光景が、目に入ってくる。

 

 勿論、大半はチルノと同じ氷の妖精さんか寒さに耐性のある妖精さん、防寒着でこれでもかと対策を施している妖精さんではありそうだ。

 

 僕やサニーたちは妖精の中でも力が強い方で、ある程度の耐性は持ち合わせているけれど、どちらかと言えば後者寄り。当然の如く、防寒着などで対策はバッチリとしてきている。

 

「美鈴! 私たちもお泊まり会に参加させてもらうわ!」

「……うん、招待状もバッチリ。いらっしゃい、サニーちゃんたち。存分に楽しんでいって下さいね」

「言われなくても、存分に楽しむつもりよ! ところで、寝泊まりする部屋は4人一緒にしてくれる感じ?」

「勿論です。レミリアお嬢様が、光の四妖精が来たら必ず全員が一緒になれる部屋にしなさいと、メイド全員に厳命していましたから」

 

 見たことも話したこともない妖精さんの多さに、やっぱり少しだけ緊張感が高まるも、サニーたちが一緒に居るため、即座にほぼないに等しくなった。

 

 仮に、1人で出向いたとしたらもっと強く緊張感が出ていたとは思うけど、僕は既に1回1人お出かけを経験している。人里ならそれでも無理だけど、美鈴含めた友達が居る紅魔館が目的地である以上、まだ何とかなる方ではあったと思う。

 

(……)

 

 ただまあ、今はサニーたちが一緒な上に、チルノ一行が僕たちよりも先に紅魔館に来ている、最高極まりない状況下。たらればを考えるよりも、この時を存分に楽しむ方へ思考を向けた方が良い。

 

「美鈴さま……わわっ! サニーとルナとスターと……確か、メノウ! お泊まり会のお客さまだよね!」

「そう、お客様。お部屋に案内してくれる?」

「はーい! じゃあ皆、わたしについてきて!」

 

 そんなことを考えながら、開いた門からこっちにやって来た妖精さんの先導を受け、僕たちの家と庭がすっぽり入るくらいに広い紅魔館の敷地に入っていく。

 

 博麗神社へ遊びに行く時とかに上空から見たことはあるけど、いざこうして実際に中を歩いてみると、改めて『庭』の凄さが理解できる。

 

 天気のお陰で少し視界が悪くてもこう思えるのなら、快晴の日なんかは尚更その凄さが強調されるだろう。

 

「ここが、紅魔館のエントランスだよ! スッゴく広いし、魔法防御が特に強い場所だから、本気の弾幕ごっこもできるんだ!」

「そうなんだ」

「そう! 後は、何かのパーティーをやる場所としても使われることがあるよ! 確か、お泊まり会中にも1度計画されてたかな?」

 

 石畳の道をゆっくり歩いて、館の入口の扉を妖精さんが開けて入ると、そこには前世も含めて1度たりとも見たことのない程に広い、エントランスが広がっていた。

 

 サニーたちは何度も来た経験があるからか、別に何とも思っていないようだけど、僕にとっては初めて見るものばかりであり、キョロキョロと色んな場所に目移りしてしまう。

 

 妖精さんが少し詳しめに解説してくれているのは、初めて来た僕が居るからだろう。早く部屋に行きたいと、サニーたちが思っていないかちょっと不安に思えてくる。

 

(あっ)

 

 でも、サニーたちの方をチラッと見た時に見せてくれた微笑みが、その不安を一気に消し去る。

 

 私たちのことは気にしないでと、直接的ではなくとも伝えてきた感じがしたからだ。

 

 場合によっては申し訳ないけど、案内役の妖精さんに説明は後でも良いよと伝えるつもりだったから、サニーたちの気遣いには感謝でしかない。

 

「外にも沢山妖精さん、中にも沢山の妖精さん……あの、何人くらい居るのか分かったりするの……?」

「うーん、わたしにも分かんないや! あっ、でもレミリアさまがこの間、200人の大台突破したとか言ってたっけ」

「えっ。サニー、200人だって。どう思う?」

「相変わらず凄い人数だって思ってるわ。そこに、お泊まり会参加の妖精が加われば、相当な人数になるんじゃないかしら?」

 

 そして、エントランスを入ってすぐ右側の階段を登り、沢山のドアが立ち並ぶ廊下を歩いている道中でも、メイド服を来た妖精さんたちと結構な割合ですれ違っていく。

 

 3~4人で集まって談笑する妖精さん、窓を拭いたり床を掃いたりしている妖精さん、何故かバナナの皮を頭に乗っけている妖精さん、他にも色々な妖精さんも居て、性格も振る舞いも十人十色だと言える。

 

 確かに、慣れれば毎日が賑やかで楽しくなりそうだけど、それと同時に掃除とか片付けが大変そうだとは思った。

 サニーたちと同じかそれ以上に元気な妖精さんが、こんなにも居れば当たり前か。

 

「ここが、サニーたちが泊まる4人部屋だよ!」

「「「おぉ……」」」

 

 色々と説明を受けながら良い感じに暖かい館内を歩くこと5分、僕たちの名前が書かれた紙が張られた扉を妖精さんが開けた。どうやら、ここがお泊まり会中に泊まる部屋らしい。

 

 ふわふわカーペットに柔らかな色合いの壁紙、日光を部屋に沢山取り入れられそうな窓、高級感を醸し出す各種家具に大きなシャンデリア……さながら、洋風高級ホテルの一室と言える。

 

 また、寝るためのベッド自体は1つしかなかったものの、かなり大きめに作られているもので、僕たちの体格なら4人一緒に寝ても余裕がありそうに見えた。

 

 試しにサニーたちと寝転がってみたところ、案の定全員が大の字になってみてようやく手がはみ出るくらいには、余裕があったのだ。

 

「わぁ……このベッド、凄くふかふか。枕も良い感じだし、凄く快適だよね。ルナ」

「うん。眠い時にここに寝転がったら、すぐに寝ちゃいそうなくらい」

「それにしても、4人で一緒のベッドに寝るなんて初めてだわ。家のベッドだと、寝れても精々2人だもの」

「そもそも、家にこの巨大サイズのベッドを置けるスペースが、全然ないって問題があるけどねー」

 

 寝心地に関しても、敷かれているマットレスがぐっすり眠れそうなふかふか具合で、枕も良い感じなのが相まって、寝具としては相性が良さそうである。

 

 そこへ、同じベッドでサニーやスター、ルナと一緒に眠れる要素が加わったのだ。お泊まり会中の朝の目覚めは、最高クラスなことが確約されたも同然と言おう。

 

「じゃあ、紅魔館を熟知してるサニーたちが居ることだし、わたしはもう行っても良い?」

「ええ、もう良いわ! ありがとう」

「はーい! 後、用事があればテーブルにある魔法のベルを遠慮なく使って! 1番近くに居る妖精メイドが駆けつけるからね!」

 

 と、部屋でくつろぐ僕たちの様子を見た案内役の妖精さんは、ここで美鈴に任された役目を完全に果たしたため、最後にテーブルの上に置いてあったベルの用途を軽く説明してくれてから、この部屋を後にしていった。

 

(……)

 

 あの妖精さんは遠慮なく使ってと言っていたけど、あまり使い過ぎると大変そうだし、用事はできる限り作らないようにしよう。もしくは、紅魔館に慣れているサニーたちにお願いをするか。

 

「そう言えば、チルノたちって――」

「とうっ!! メノ、あたいならここだぞ!」

「ふふっ。サニーちゃんたちと来たんだね、メノちゃん!」

 

 ふかふかベッドに仰向けになりながら、ふと思ったことを口に出そうとした刹那、部屋の扉が強く開けられる音と同時にチルノと大ちゃんの声が耳に入ってきたため、身体を起こして対応にあたる。

 

 チルノはいつも通りの快活さだから良いとして、大ちゃんはいつもよりテンションが高めに見えた。お泊まり会を、存分楽しんでいるようで何よりだ。

 

 一瞬だけ、強く開けられた扉が壊れていないか心配になった僕だったけど、見た目はもとより大ちゃんが閉めた時の音に、案内妖精さんが開けた時と比べて変化は全くなかったし、大丈夫だと見て良い。

 

 レミリアや美鈴のような力の強い妖怪さん、大はしゃぎするメイド妖精さんが沢山住んでいる館だから、万が一に備えて物理的か魔法的かはともかく、造りも頑丈なのだろう。

 

「うん。サニーたちも行くし、チルノたちも居るって聞いたから、行きたくなったの。とっても」

「そっか。確かに、メノちゃん凄く幸せそうな顔してるもんね……ところで、この間1人でお出かけしたって聞いたけど、大丈夫だった?」

「完全にとは、とても言い切れない。何とか、乗り切れはしたって感じ……だったかな」

「わぁ。メノちゃん、そんなに頑張れるなんて凄いよ」

「メノにとっての1人お出かけは、あたいで例えたら火の中に飛び込むようなものだからな!」

「えへへ……ありがと、大ちゃん。チルノ」

 

 しかし、まさかサニーたちだけではなく、大ちゃんとチルノにまでこの間の1人お出かけについて言及され、褒めてもらえるなんて予想外も良いところ。

 

 不意にやって来た暖かい幸せの波は、僕の頬に涙を伝わせるには十分過ぎた。勿論、嬉し泣きである。

 

 大好きな家族や大切な友達から向けられる、たぐいまれなる優しさ。

 

 心の奥までするすると浸透していく、かけられた暖かい言葉。

 

 久遠の時が過ぎようと、強者に無理やり価値観を押し付けられようと、これらが僕にとっては何にも勝る宝物だと言う事実は、決して変わることはない。

 

 そして、大好きな家族や大切な友達から無償の幸せをもらうばかりではなく、逆に無償で幸せをあげられるよう、できる限り頑張っていこう。

 

「本当、相変わらずだねー。メノ、ハンカチ持ってきた?」

「うん、持ってきたよ。こんなこともあろうかと……って訳じゃないけどね」

 

 改めてそう決意を固めたので、これ以上皆との一時に水を差しかねないこの思考は頭の片隅に置いておき、全力で楽しむ方に重点を置くと決めたのだった。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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