光の四妖精   作:松雨

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大賑わいの大食堂

 紅魔館の大食堂。メイド妖精さんたちを含めた総勢200人以上の住人を抱える以上、館の中でもかなりの広さを誇る場所である。

 

 唯一の人間さんである咲夜以外、命を繋ぐためと言うよりは娯楽の側面が強い『食事』だけど、その時間は交流の場としても機能する。

 

 皆の心の安寧をもたらし得る要素の1つなため、やはり必要不可欠だと言えるだろう。

 

 僕だって、最悪食事なんて取らなくても、自然さえあれば生きていける種族(妖精)だけど、サニーたちと話ながらの食事は楽しくて癒されるし、今更取らない選択肢は選べない。

 

 サニーやスター、ルナがもう飽きたとか嫌になったとはっきり言い始めてきたら、多分僕も食事に対する考えが変化するとは思うけど。

 

「大盛況……だね。ここまでの忙しさだと、咲夜と料理担当のメイド妖精さん、凄く大変そう」

「普段なら大丈夫なんだけど、今日はお泊まり会。多分、負担はほぼ倍増しって感じだと思うわ!」

「今更だけど、話を早く切り上げて来れば良かったかもな!」

「そうかもね、チルノちゃん。サニーちゃんたちのお部屋に押しかけてから、何時間も経っちゃったし」

 

 それにしても、時間的に夕食時なのもあるから当たり前だけど、大食堂は凄まじい混み具合だ。チルノも言うように、話を早めに切り上げれば今頃何か食べていられたかもしれない。

 

 大半が館のメイド妖精さんとお泊まり会参加の妖精さんで、少し遠目にレミリアと美鈴、紫髪の女の人と頭に小さな悪魔の羽っぽいものが生えてる女の人が居るくらいか。

 

 ピースやリリー、ラルバの姿は見えないけど、まだ来ていないかもう食べ終えて去ったのだろう。基本的に、ここへ食事を楽しみに来る時間は問われないのだから。

 

「はいはーい! ご注文ですかー?」

「うん、そう。お願いしても良い?」

「良いですよー!」

 

 空いていた席につき、メニュー表を見て食べたいと思ったものを選び終えてからすぐ、たまたま側を通ったメイド妖精さんにルナが声をかけ、皆がそれに続いて料理名を伝えた。

 

 僕は特製パスタ、サニーとスターはオムライス、ルナはハニートーストとコーヒー、チルノはイチゴ味の巨大かき氷、大ちゃんはフルーツ盛り合わせとあまあまクレープを頼んでいる。

 

 がっつりご飯系を食べたいのは僕とサニーとスター、軽食系で済ませたいのはルナとチルノと大ちゃん、綺麗に3人ずつとなるのは予想してなかったから、少しだけ驚く。

 

 こうなると、料理の量や作られた後に持ってくる順番の関係上、僕たちがっつりご飯系を頼んだ側は、恐らく軽食系を頼んだルナたちを待たせることになってしまう。

 

 何なら、その中でも食べるのが早いとは言えない僕は、量が多めの特製パスタを頼んでいる。必然的に、最後に完食するのも僕となるに違いない。

 

「私は別に構わないかな。皆とお話してれば楽しいから」

「気にすることないよ、メノちゃん。ゆっくり味わって食べて」

「大丈夫! あたいもちょうど、かき氷1個じゃ足りないって思ってたし!」

 

 ただし、ルナたちはもとよりがっつり食べるサニーとスターも、全く気にしていないのであれば、これ以上考えるのはよそう。

 

 せっかく、楽しい思い出の一部となり得る皆との一時に、余計な不純物を混ぜてしまうなんて、僕にとっては非常によろしくないのだから。

 

「ごめんお待たせー! じっくり味わってね! それと、後の料理は時間かかりそうなの……」

「大丈夫、のんびり待ってるわ!」

 

 そんなこんなで待ち続けることおよそ15分、2人のメイド妖精さんがコーヒーとイチゴ味の巨大かき氷、フルーツの盛り合わせを手に持って僕たちの席に置いていった。

 

 予想していた通り、用意する手間と時間が比較的かからない品物から、順次運ばれてきている。

 

 沢山の妖精さんやレミリアたちが大食堂に居ながら、最初の品々が運ばれてくるまでが結構早い。

 

 サニーとのやり取りで、メイド妖精さんが時間かかりそうと言っていたけれど、何だかんだで1時間もすれば全員分が出てきそうだ。

 

「このリンゴ、甘くてシャキシャキしてて美味しい!」

「おぉ……! 大ちゃん、こっちのかき氷も美味しいぞ! 頼んで食べてみない?」

「夏ならともかく、冬に巨大かき氷はチルノちゃんみたいな氷の妖精じゃなきゃ無理だよ。身体が冷えきっちゃう」

「そっかぁ。でもまあ、それならしょうがないか!」

 

 にしても、頼んだ食べ物を口にしながら、凄く楽しそうに話しているチルノと大ちゃんを見ていると、関係ない僕の方まで何だか幸せな気持ちになってきた。

 

 1年すら経っていない僕は言わずもがな、サニーたちやピース、リリーやラルバと知り合った時よりも昔からの付き合いみたいだし、あんなに仲良しなのも頷ける。

 

 そう考えると、半年にすらまだ届いていない程度の付き合いしかない僕を、打ち明けた前世込みで大切な家族として認めてくれたサニーたちは、もはや神様級の存在ではなかろうか。

 

「ルナはどう? コーヒー、美味しい?」

「うん。凄く美味しいし、香りもいつも家で淹れて飲んでるやつとちょっと違うけど、私好みだよ」

「本当、相変わらずルナは苦そうなの好きだよねー」

「私だったら、飲むなら砂糖とコーヒーミルク入れなきゃ無理だわ。苦くなければ、コーヒーも良いんだけれど」

「まあ、慣れない内はブラックはキツいし、その気持ちは分かる」

 

 一方、ルナの方も頼んだコーヒーを存分に堪能しながら、僕やサニーやスター、途中で入り込んできたチルノや大ちゃんとの会話も、しっかり楽しんでくれている。

 

 周りが騒がしいのもあってか、いつもより声を大きくしないと皆に聞こえにくいから、ちゃんと僕の声を聞き取れるように意識するのは、少々大変なところではあった。

 

 けれど、無償の幸せをサニーたちやチルノ、大ちゃんから沢山もらっている以上はこのくらいの努力、して然るべきだと僕は思う。

 まあ、そもそも相手が誰であれはっきり聞こえるように話すのは、普通のことではあるのだけども。

 

「本当にごめんっ! やっと完成したんだけど、かなり待たせちゃったよね」

「大丈夫。待ったと言えば待ったけど、全然苦にはしてない」

「本当に? 良かったぁ……」

 

 何だかんだ食べていない、僕とサニーとスターも楽しみながら待つことおよそ50分、今度は3人のメイド妖精さんが頼んだ料理を全て、テーブルの上に置いていってくれた。

 

 僕が頼んだ特製パスタもそうだけど、他の皆が頼んだ料理もかなり美味しそうである。

 

 だからこそ、これは僕が家で作る料理のクオリティをより高めるための、良い勉強にもなるだろう。食べるだけで分かることなんて、そんなに多くはないとは思うけども。

 

「わぁ……うん、美味しい。この言葉しか出てこないよ」

「美味しいわー。メノの作るオムライスとはちょっと違う感じが良いね」

「流石は紅魔館の料理担当、相当な腕だわ!」

「トーストそのものの風味に焼き加減、蜂蜜のほどよい甘さ、好きな食べ物リストに入れとこ」

「私のクレープもそうだけど、皆の食べてるのも美味しそうだね」

「あたいもかき氷以外頼もうかな……?」

 

 なお、特製パスタの美味しさは案の定かなりのものであった。麺の固さと食感、かけられていたミートソースの風味、どれをとっても満足感を得られる基準を大幅に超えている。

 

 これと同じレベルのパスタを作ろうと思ったら、まず間違いなく相当な練習時間が必要となるだろう。

 

 とは言え、特製と銘打っている以上秘伝のタレみたいに、何か秘密の調味料やら調理工程みたいなのもありそうだし、紅魔館の関係者でもない僕が、教えてもらうのは無理かもしれない。

 

 そうなると、現状ではやるとしても近いレベルでの再現をするに留まるはず。

 

 だったら、僕自身が作る料理にその類いのものはないけど、これを機にサニーたちをより喜ばせるため、研究・開発を始めてみた方が良いかもと、僕は考えた。

 

「あはは……やっぱり僕が最後だぁ」

「まあまあ、気にしないでゆっくり食べて良いよ、メノ」

「それにしても、メノがこんなに美味しそうに食べるってことは、咲夜が作ってるのね! このパスタ」

「かもねー。私も頼んじゃおうかな」

「本当に大丈夫? スター、オムライス食べたばっかりでしょ?」

「スター、結構お腹いっぱいそうだったしな! 確かに心配だ!」

「無理しない方が良いよ……? スターちゃん」

 

 ちなみに今、予想通り特製パスタを頼んだ僕が、1番食べるのが遅い展開となっていた。ノリで巨大かき氷をもう1つ頼んでいたチルノが居なければ、全員から注目を受けつつ食べることになっていただろう。

 

 でもまあ、サニーたちやチルノ、大ちゃんからであればそうなったとしても、僕は構わない。

 確かに少し恥ずかしくはあるけど、皆が見ていて楽しんでくれてたり、話のネタになったりしてくれるのであれば。

 

「あっ、ノリで頼んじゃったけど結構キツそう……サニー、ルナ、メノ。悪いんだけど、一緒に食べてくれる?」

「あははっ! だから言ったのに……ほら、ちょうだい!」

「私多めで良いよ。2人に比べれば、余裕あるから」

「ふふっ。じゃあ、僕ももらおうかな。サニーと同じくらい」

「ごめん、ありがとう。3人とも」

 

 なんてことを考えていたのだけど、途中でスターがノリで頼んだ特製パスタを、サニーとルナと僕が一緒に食べる流れになった。

 スターからのお願いを聞き入れるくらいなら何とかなるし、それ自体は全然構わない。

 

 チルノと大ちゃんも、ちょっと笑いながら「のんびり待ってるから大丈夫」と言ってくれたから、更に待たせることになる点に関しては、まあ大丈夫だろう。

 

「うっぷ、もう無理ぃ。ノリで頼むのはもうやめるわ」

「オムライスとこれは、ちょっとキツかったわね」

「これの前に、ちょっとしか食べてなかったから良いけど……結構お腹にたまるやつだよ、これ」

「ちょっとだけ、僕に休息の時間をちょうだい……」

 

 結果、時間はそれなりにかかってしまったものの、4人で協力したお陰で完食すること自体には成功した。

 

 ただし、ハニートーストとコーヒーしか頼んでいなかったルナ以外、動くのがやっとのレベルの満腹となってしまうのであった。

 

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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