光の四妖精   作:松雨

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地下の大図書館

 紫色の髪をした女の人に声をかけられた後、レミリアが皆で出歩いている経緯を説明したところ、この女の人は大図書館の案内を二つ返事で引き受けてくれた。

 

 名前は『パチュリー・ノーレッジ』と言うらしく、この膨大な量の本を携えた大図書館を管理する種族としての魔法使いさんで、レミリアの親友とも呼べる存在であると、道中の自己紹介で知ることができた。

 

 賑やかな雰囲気が嫌いな訳ではないらしいけど、どちらかと言えば静かな場所で魔法の研究をしていたり、本を読みながら過ごすのが好きみたいだ。

 

 喘息の持病持ちでもあるみたいだし、昔からあまり身体を動かす遊びとかができなかった影響が大きいのだろう。当たり前だけど、ここではあまり騒がないようにしなければ。

 

「うん。よろしくね、パチュリーさん。えっと……僕は、テルースメノウって言うの」

「こちらこそよろしく、メノウ。あなたの話はレミィから良く聞いているわ」

「そうなの?」

「ええ。家事が上手い、妖精としては強い、性格も穏やか……一緒に居て、居心地が良い子と友達になれて嬉しいって」

「えへへ……そうなんだ。僕もだよ」

「面と向かって言われると、何だか照れ臭いわね」

 

 それはそうと、案内をしてもらっている最中にパチュリーさん経由で、レミリアから陰で褒められていたと知り、嬉しくてちょっとだけテンションが上がる。

 

 幻想郷に妖精として生まれてから今まで、直接間接問わずに何かと褒めてもらうことが多い。それに、皆にとっては手間でしかない気遣いを、会う度に僕のためにしてくれていた。

 

 レミリアも例外ではなく、出会った時から今に至るまでずっと僕に優しい。付き合いは短いし、積極的なタイプでもない上に、僕から何かしてあげられている訳でもないのに。

 

(……うん)

 

 よし、決めた。レミリアへの恩返しの内容は、紅魔館の雇われメイド妖精になることとしようと。

 スターの他に、僕にも雇われメイド妖精として紅魔館で働いてくれたら嬉しいと言っていたし、多分喜んでくれるはずだ。

 

 何なら、1週間に3~4日くらいに増やしてくれたって構わない。大切な僕の友達の1人、その大きな助けになるのであれば。

 

「ねえ、レミリア。僕、決めたよ」

「決めた? 何をかしら?」

「紅魔館の雇われメイド妖精になるって」

「「「……えっ?」」」

 

 そう思い、早速レミリアに意思表示をしたのだけど、何の脈絡もなく僕がそう言ったからか、状況が飲み込めていない感じである。

 

 サニーたちは勿論、パチュリーさんやフランさんだって歩きながらも、いきなりどうしたと言いたげな視線を僕に向けてきたけど、まあ当然か。

 

 でも、僕の意思は変わらない。レミリア本人がもう必要ないと判断するか、サニーたちが強く反対するか、僕自身の体調が悪くならない限りは。

 

「ふふっ……じゃあ、これから色々用意しなきゃね」

「お姉さま、とっても嬉しそう。でも……うん。何となくだけど、その気持ちは分かる気がするわ」

「もしかして、いつかメノちゃんとお喋りしながら、お仕事できるようになるの!? やったぁ!」

 

 何故なら、レミリアとスフェが明らかに嬉しそうな様子で、フランさんも好意的に見てくれているのだから。

 

 パチュリーさんに至っては、「行ったことないから想像だけど」と前置きした上で、「広さも、住人の数も、何もかもメノウの家とは勝手が違うのよ? 本当に良いの?」と言い、会って1時間も経たないほぼ他人の僕を気遣い、そう声をかけてくれた。

 

 言わずもがな、そんなことは百も承知である。勝手が違うことくらいで躊躇するのなら、最初から言い出したりなんてしない。

 

 それに、紅魔館のメイド妖精さんたちの様子を見ていれば、何か分からないことがあっても、僕がちゃんと尋ねさえすれば教えてくれそうな、暖かい仕事場だと理解できたのだから当然であろう。

 

「メノがやる気なら私もやるよ。1週間に2~3日程度なら、光の四妖精で遊ぶ時間も沢山確保できそうだしねー」

「あら。スターも来てくれるのね、頼もしいわ。咲夜とノーゼも喜んでくれるかしら?」

「スターちゃんも来てくれるの!? えへへっ、やったぁ!」

 

 で、僕が雇われメイド妖精になると決めてからすぐ、一緒にお願いされていたスターも同じくなると決めたため、レミリアたちは更に喜んだ。

 

 僕としても、大好きな家族の1人と一緒に働けるのは嬉しいことだけど、本当はあまり乗り気ではなかったのではとの考えが頭に浮かび、少しだけ不安になってくる。

 

 しかし、相変わらず察するのが早いスターに、「大丈夫、心配しないで」と言われたことにより、不安に思う気持ちは即座に霧散していく。

 

「メノ、その時が来たら頑張って。でも、無理はしないって約束は忘れないこと。当たり前だけど、スターもだから」

「2人とも、大切な家族なんだからね! 体調が1番よ!」

 

 そして、この話を聞いていたサニーとルナも、スターが一緒に行くと言うのも相まって、僕が雇われメイド妖精として働くことに賛成してくれた。

 

 いつになるかはレミリア次第だけど、頑張って働けばお金も含めて色々ともらえるみたいだし、やる気は高くなってきている。

 

「こあ、頼んだ仕事の進捗はどんな感じ?」

「はい! 本棚の整理でしたら、もう終わりました!」

「相変わらず早い仕事ね。疲れただろうし、今日はもう休んでも良いわ」

 

 と言う訳で一旦この話は終わりとして、別の会話を楽しむ方向に舵を切ってから数分、頭に小さな羽を生やした女の人……こあさんが駆け寄ってくる。

 

 どうやら、この膨大な量の本の整理をパチュリーさんにお願いされていたらしいけど、僕たち以外の誰かの声や物音は殆んど聞こえてこない。

 

 全く居ない感じではなさそうだけど、居たとしても妖精さんが5人くらいだろう。パチュリーさんやこあさんを加えても7人、本の数の割にはあまりにも人数が少な過ぎやしないか。

 

「ありがとうございます! では早速……おや? メノウちゃんも、お嬢様からお誘いを受けた感じなの?」

 

 なんて考えていると、こあさんが僕の存在に気づいたと同時に声をかけてきた。

 

 最初に羽に視線を送り、その次に瞳や仕草を数秒観察してから声をかけてきたのを見るに、パチュリーさんと同じく僕の大まかな心理状態の見分け方を誰かから聞いて、既に知っているらしい。

 

 穏和な表情かつ声のトーンも柔らかく、僕の背丈に合わせて屈んでくれたりと、今のところ例に漏れず気を遣ってくれているお陰か、初めて話す相手ながら緊張感はかなり弱い。言わずもがな、皆が側に居るお陰でもあるのだけど。

 

「そう。サニーたちと一緒に、お誘い受けたの」

「そっかぁ。ちなみに、私はこあって呼ばれてるただの小悪魔の1人で、パチュリー様の使い魔やってるよ。お泊まり会中、何回か会う機会あると思うからよろしくね」

「うん。僕の方こそ、よろしくね。こあさん」

 

 と、一通り初めての挨拶と軽めの会話を交わした後、「咲夜さんのご飯でも食べに行きますかぁ」とか言いながら、こあさんはウキウキで大食堂へと向かっていく。

 

 やはりと言うべきか、これ程の量の本を整理する仕事は相応に大変みたいだ。全部やった訳じゃないだろうけど、ほんの一部ですら膨大な量あるし、当然の摂理だろう。

 

 でも、パチュリーさんとの間には強い信頼関係が築かれているのか、疲れてはいてもこの仕事が嫌で仕方ないと言った感じには見えなかった。

 

 使い魔の縛りみたいなのがあれば別かもだけど、仮にあったとしてもパチュリーさんが、そんなキツい縛りを課すとは思えない。

 

 まず間違いなく、沢山の仕事を任せて働かせる代わりに、何か欲しいものを沢山あげる。

 

 もしくは、僕みたいに愛情を注いでくれる家族を求めていて、パチュリーさんがその代わりをしてあげている。

 

 衣食住と適度な休暇を基本として、どちらかを行っているはずだし、もしかすると両方行っているかもしれない。

 

 何にせよ、パチュリーさんは優しいレミリアが親友と言う程の人。自分や館の住人たちに身体的ないし精神的に危害を加えたりするような相手でなければ、酷いことをするはずがないのだ。

 

「おー……随分と賑やかな集団になってますねー」

「あら、ノーゼじゃないの。ちょうど良かった、あなたもこっちに来なさい」

「えっ。あたし、今仕事中なんですけど……良いんです?」

「勿論よ! むしろ、こっちを仕事にしてくれても良いわ」

「……じゃあ、お言葉に甘えて一緒に行きますねー」

「わーい! ノゼちゃんも来た!」

 

 そして、こあさんが大図書館から出ていってすぐ、入れ違いになる形でノーゼがはたきを持ち、大図書館に入ってきたのを確認したレミリアが、半ば無理やり僕たちの輪の中に入れる。

 

 結果、もう既に楽しさが限界突破しかけていたスフェが限界を突破、いつもの声量でノーゼと会話し始めたことで、まあまあ静かめだった大図書館が一気に騒がしい場と化してしまう。

 

 で、それに感化された掃除中のメイド妖精さんもはしゃぎ始め、パチュリーさんが「はぁ……もう収拾つかないわ、これ」と、完全に諦めムードを漂わせ、本棚全てに『防御魔法』をかけていた。

 

 ちなみに、サニーたちはこうなったらどうせ騒がしいままだろうし、我慢しなくても良いでしょと、早々にいつも通りとなっている。

 

「あの、えっと……駄目、かな?」

「メノウ。ここまで来たら誰にも止められないし、楽しみたいなら止めないわ。レミィもフランも、あんな感じで楽しそうだから尚更ね」

「わぁ……やった!」

「ふふっ。何だかんだ、私も騒がしいのは嫌いじゃないもの」

 

 だから、一応許可を申請した上で申し訳なく思いながらも、家族や友達とワイワイ楽しく過ごさせてもらうこととしよう。ニコニコしているサニーから、「メノも、私たちとはしゃごう!」と誘われたから尚更だ。

 

(……皆、凄く楽しそう!)

 

 何だか、段々当初の目的から外れていっている気がしてならないけど、僕としてはサニーたちやレミリア、スフェにノーゼが楽しく幸せそうにしているなら、いくら脱線しようが全然構わない。

 

 勿論、フランさんやパチュリーさんが今この時を楽しんでいるのも、重要な要素ではあるけど。

 

「えへへっ、サニー! 今行くよ!」

 

 こんな考えを頭の中で巡らせながら、僕は空中を飛び回っているサニーたちの輪に入っていった。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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