光の四妖精   作:松雨

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始まりの場所(前編)

 僕の幻想郷での妖精生活の始まりとなったと同時に、大好きなサニーたちとの出会いの場所となった、古代遺跡。

 

 あの時以来、僕はもとよりサニーたちもそこに行ってはいないし、何なら今日に至るまで色々なことがあり過ぎて、その存在を考える暇すら殆んどなかった。

 

 しかし、完全に忘れてしまうことはない。何度でも言うけど、大好きな家族であるサニーたちと出会い、僕の運命を決定付けた思い出の場所でもあるのだから。

 

「メノウの幻想郷での生まれ故郷かぁ……あたしも楽しみだよー」

「古代遺跡だっけ? サニーちゃん、どんな感じの場所だったの?」

「かなり広くて静かだけど、それでいて凄く綺麗な場所でもあったわ! でも、全部探索しきった訳じゃないから、違う雰囲気の場所とかもあるかもね!」

 

 何故、いきなりこんなことを考え始めたのかと言うと、妖精会議との名目でサニーにより妖精友達全員が集まっていた時に、モリオンが「しろちゃんが生まれた、古代遺跡ってところに行ってみたい!」と、話の流れをぶった切りつつ満面の笑みで口に出したからだ。

 

 皆で集合してみたは良いものの、集まって何をしようかと悩んでいたのもあってか、モリオンの意見が即座に採用され、今日やることは古代遺跡の大探検だと速攻で決まる。

 

 ただし、僕やサニーたちの記憶で思い出す限りだと、危険とは程遠い場所ではあるものの、古代遺跡の全てを網羅した訳ではない。

 

 それをスターが伝えたところ、ノーゼとスフェが念のためと言って、レミリアに全力で頼み込んだ結果、付き添い人として来てもらうことになっている。

 

 なお、その間館はフランさんに任せておくことにはしたみたいだけど、何だか物凄く嫌そうな表情をしていたのを見て、僕が頼んだ訳ではなくてもかなり申し訳なく思えてきた。

 

 気を許している館の住人相手はともかく、自分の部屋で1人きりで過ごすことが好きな性格のフランさんにとってこれは、いざと言う時に他人との交流をせざるを得ない状況に追い込まれたと言うこと。嫌がるのは当然の摂理であり、むしろそれでも頷いてくれただけ優しい吸血鬼さんなのだ。

 

 まあ、そんなことを考えてる僕に気づいたからか、フランさんから「メノウが気にすることじゃないわ。満足するまで楽しんできて」と言われたし、その言葉通りに今はあまり気にしてはいないけども。

 

「確かに。でも、1番びっくりしたのはやっぱりメノとの出会いかな。何と言っても、その……床に全裸で横たわってたから、どうしたものかと焦った」

「えっ、そうなのか? メノ。妖精が生まれる時って、服とかもまとめてだったような……?」

「本当だよ、チルノ。僕が目覚める前に、サニーたちが服とか下着とかは着せてくれてたから……恥ずかしさは、その話を聞いた一瞬だけだったけど」

「そっか。メノ、サニーたちに見つけてもらえて良かったな!」

「……うん! サニー、スター、ルナ。何度でも言うけど、僕を受け入れてくれて、本当にありがと!」

「私もよ! 生まれてきてくれてありがとうね、メノ!」

「どういたしましてー。やっぱり、何度言われても嬉しい言葉だわ」

「これだけ時間が経とうとも、メノから渡される感謝の思いは決して減らないってのが凄いし、嬉しいこと」

 

 ちなみに、今はエントランスに備え付けられている椅子に座り、出かける前にやるべきことを思い出し、自分の部屋に行ったレミリアが来るまで会話をしながら待っている。

 内容は勿論、僕とサニーたちが出会った時の話だとか、古代遺跡が関係しているものだ。

 

 サニーたちもそうみたいだけど、当時のことをまるでついさっきあったみたいに思えるくらい、絶対的な記憶として頭に焼き付いている。

 

 考えたくもないけど、もしあの時サニーたちに出会わなかったとしたら……いや、妖精ではなかった上にそもそも転生した場所が()()()()()()()()()()()()、果たして僕は幸せでいられただろうか。笑っていられただろうか。

 

「お待たせ、大分待たせちゃったわね。さあ、行きましょうか」

「「「おぉーー!!」」」

 

 のんびりゆったり待ち続けることおよそ20分、やるべきことを終えたらしいレミリアが合流したため、すぐさま立ち上がって紅魔館を出ていった後、魔法の森の入り口まで飛んで行く。

 

 直接、古代遺跡がある場所まで飛んで行ければ楽だったんだけど、魔法の森の特殊な性質がそれを許さないから仕方ない。

 

 まあ、誰か1人でも家族か友達が居てくれるのであれば、僕はそれを含めて楽しめるタイプだから別に構わない。

 今日はサニーたちや妖精友達全員、レミリアまでも居るのだから余計に楽しくて幸せに思えている。

 

「ふぃぃ……香霖と魔理沙特製の防寒具装備してても、やっぱり冬は寒いし冷たいから嫌いだし苦手。だけど、皆でワイワイ騒ぎながら、こうやって冒険するのは楽しいな!」

「そうだね、ピース。だけど、無理はしないで。ラルバも同じだよ」

「おう! 夏に比べればあれだけど、まだまだあたいに元気はあるから大丈夫だぞ!」

「分かってるって、メノ」

 

 ただし、それはそれとしてピースやラルバ程ではなくても、妖精はチルノのような例外を除くと、全体的に寒さにあまり強くない。

 

 防寒具を装備さえしていれば大丈夫とは言え、油断のし過ぎは身体の不調となって現れる。そのことを肝に命じておかなければ。

 

「……ねえ、サニー。これ見てどう思う?」

「うーん、言葉が出てこないわね。メノと初めて出会った思い出の場所だから忘れるはずはないし……あの古代遺跡が変わったとしか思えないわ!」

「確かに、大分様変わりしてるねー。何があったのか、実に不思議だわ」

「もしかしたら、中の地形とかも変わってるかもしれない」

 

 そんなこんなで、道中の目印や記憶などを頼りに問題なく森を進んでいき、最後の目印を通過してさてようやく探索の始まりだと、心の中で意気込んでいた僕だったのだけど、全く予想していない光景を目にしてしまう。

 

 ほぼ完全に崩れていたはずの水晶の柱が綺麗に直り、ぼんやりと綺麗な光を放つ。

 

 今まで居なかったはずの妖精さん……僕にそっくりな、2対の水晶に似て非なる羽を持つ妖精さんが、大量ではないにせよ入り口付近に何人か見かける。僕たちの存在を察知したのか、入り口から更に妖精が数人出てくるおまけ付きだ。

 

 古代遺跡の外観に関しても変化していて、通常の石に加えて所々に例の水晶が生えたり、古代遺跡を囲うように謎のバリアが張られていたり、細かなものを含めれば変わっているところばかりである。

 

 あの時以来行っておらず、道中の目印とか地面が雪で埋まってたりして見えづらい部分はあったにせよ、迷いなく進んではいけた。

 

 しかも、僕の本能的な部分がこの場所は目的地で間違いないと、生まれ故郷であると、そう訴えかけてきている。

 

 ただ、外はともかく中の様子があまりにも変わっているのであれば、それはもう別の場所であるも同義だろうけど。

 

「まあ、取り敢えず入ってみましょう。迷いなく向かうサニーたちの様子からして、ここがメノウの生まれ故郷なのは間違いなさそう」

 

 でも、だからと言ってこの探検を中止する選択肢は、僕たちにはない。何より、この集団の中で圧倒的な強さを誇るレミリアが楽しそうで、入ることを促してくるのだから。

 

(わぁ……凄い、綺麗……!)

 

 何故か、入り口付近に居た妖精さんからニコニコで手を振られたので振り返しつつ、古代遺跡の中へと入っていくとルナの言葉通り、そこには記憶とはまるで違う光景が広がっていた。

 

 床や天井から生えている水晶の数が明らかに倍増していて、光の強さも前より増している。

 

 時折、1~2分に1度の間隔ではあるものの、ベルや風鈴を鳴らした時と似た音がこの空間に小さく響く。特殊な効果とかは何もない、普通の綺麗な音だ。

 

 更に、水晶に似て非なる羽を持つ妖精さんや天使の翼みたいな形の羽を持つ妖精さん、他にも鳥や猫などの動物や昆虫などの生き物を、高頻度で見かけるようになっていた。

 

 しかも、そのすれ違うほぼ全員がサニーたちやチルノ一行には好意的、レミリアは強い妖怪さんだからか怯えられるも、温厚で優しいと分かると寄ってきて、結局は同じくらいには懐かれる。

 

「わーい! なかま(家族)なかま(家族)だー!」

「わぁ、かみのけまっしろ! なんかつよそう!」

「ねえねえ、おねえちゃん! みんなでなにしてるのー?」

「えっ……探検だよ。古代遺跡の中に何があるのか、僕も皆もあまり知らなくて」

「そーなの? ほかのみんなはそうかもだけど、おねえちゃんってここで生まれたっぽいのに? ほら、せなかのはねとかわたしとそっくりじゃん!」

「あー、うん。そうなんだけど、色々あってすぐにここを出たんだよ。僕」

「なるほど! それなら、しらなくてもむりないね!」

 

 僕に至っては、元々この古代遺跡で多分1番初めに生まれた妖精であるためか、懐く懐かないの次元ではない。

 最初から一緒に暮らしていた仲間、ないし家族に近い感じで接してくるものだから、その勢いに押されて少し困惑した。

 

 でもまあ、こうして好意的に見られること自体は嫌ではなく、どちらかと言えば嬉しい方にかなり天秤が傾いている。

 

(もう少し、ここに遊びに行けば良かったなぁ)

 

 それに、いつ頃古代遺跡がこんな風になったのかは分からないし、お互いに知らない間の話ではあるけど、水晶に似て非なる羽を持つ妖精さんたちにとっては、同じ自然物から生まれた正真正銘の家族なのだ。

 

 天使の翼擬きの羽を持つ妖精さんに関しては、恐らく生まれた自然物は違う。ただ、同じ屋根の下で暮らす仲間ではある以上、家族に匹敵する存在として認知している訳で、グイグイ来るのも理解はできる。

 

 でも、この妖精さんたちには本当に申し訳ないけど、僕にとっての()()()()()()()()()()の枠に入れるのは、サニーとスターとルナの3人以外は、絶対に考えられない。

 

 例えどんな出来事がこの先起こったとしても、決して超えられない壁であると断言しよう。

 

「サニー、スター、ルナ。しつこいかもだけど、3人のことは大好きだよ。こんな僕に、家族の暖かみをくれて……本当に、ありがと。これからもずっと、家族で居てね」

 

 こんなことを頭の中で考えていたからか、気づいた時にはサニーたちに対して、僕はそう言っていた。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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