光の四妖精   作:松雨

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始まりの場所(中編)

「ここが、メノウの生まれた場所なのね」

「「「わぁ……」」」

 

 探検開始から1時間弱、今世の僕が生まれ落ちた始まりの場所、水晶の大広場と僕やサニーたちが呼んでいるところに、僕たちは無事に到着していた。

 

 そこに至るまでの道のりを含めた様相が変化していたり、僕が無意識に発した言葉でご機嫌になったサニーたちとはしゃいだり、更に沢山の妖精さんに声をかけられたりしながらの移動だったから、想定以上の時間はかかっている。

 

 けれど、ルナが2回滑って転んだ以外には特に危ない目に会うこともなく、賑やかで楽しい雰囲気のまま居れてるから、全く問題ではなかっ……いや、すぐに治るにしても痛い思いをしてはいるから、問題ではあるか。

 

(パッと見、妖精さんが沢山居ること以外に変化なし……かな?)

 

 ちなみにここは、大小様々な変化に富んでいた道中とは違い、目立った変化はあまりなさそうだ。

 

 精々が僕とサニーたちしか居なかったあの時と違い、軽く20人以上の妖精さんたちが、思い思いにはしゃいでる様子が見えるくらいか。

 

 勿論、あの時は隅々まで見るどころではなかったし、単に見逃していただけのものを今回の探検で発見、変化ありだと判断してしまうかもしれないけど。

 

「幻想郷に来る前を入れても、こんな場所を見た記憶はないわ。心が躍るようよ」

「凄い……想像以上に綺麗な景色ですねー、レミリアさま」

「わははっ! スッゴいキラキラしてる!」

 

 なお、初めてこれを見ることとなったレミリアたちやチルノ一行は、その幻想的な光景に心を奪われているようだ。沢山の妖精さんたちが、楽しそうに遊んでいる要素も加わっているから、初見時の感動もひとしおだろう。

 

 加えて、水晶が放つ光の特殊効果は僕やサニーたちだけでなく、レミリアやチルノ一行に対しても、自分の目で見さえすれば等しくその効果を発揮している。

 

 力量の強弱で変わるのか、レミリアに関しては僕たち妖精組よりも効力は薄いみたいだけど、いつもよりはテンションが高そうだ。

 

「どう? メノの生まれた場所、凄く綺麗でしょ?」

「うん! あたい、正直これ程までとは思わなかった!」

「それに、ここに入ってから楽しい気分が更に強くなったよね。やっぱり、沢山水晶があるからかな? サニーちゃん」

「だと思うわ! 本当、不思議な水晶よね……あっ、見てみて! こんなところに、見たことのない綺麗な花が咲いてるわ!」

「どれどれ? わぁ、本当だね。結構沢山咲いてるわー」

「質感は普通の花なのに、見た目は水晶に似てるなんて変なの。私の秘密基地に持ち帰って、育てることはでき……いや、ここ以外で見たことないから無理かな?」

「うーん……でも、何故かこの部分の床は普通の土っぽいよ、ラルバ。一応、水晶を持って帰れば行けるかも」

 

 大広場にある数え切れない水晶から放たれる光によって、気分の高揚が促されている部分があるのを、忘れてはいけない。

 

 だけど、今この時が妖精生活をする中でも一二を争う程楽しくて幸せだ。誰かから尋ねられれば、迷いなくそう答えることが僕にはできる。

 

 サニーたちやチルノ一行、レミリアたちが水晶の大広場で楽しそうにしている様子をこの目で見るだけでなく、実際に僕自身も一緒に輪の中に入れているのだし、たとえここではなくたって、楽しくて幸せな思いにはなれたとは思うけど。

 

「おーい! あそこに先へ進む道があるから、皆で行こー!」

「分かったよー! 今行くからちょっと待ってて、チルノ!」

 

 すると、モリオンと共に行動していたピースから、僕たちを呼ぶ声が聞こえてくる。

 

 そちらへ振り向き、指を指す先に視線を送ってみたところ、岩が一部露出していてなおかつ高い場所に、先へ進む道らしきものがあった。

 

 飛べないのであれば、迂回しなければならないくらいの高さだったものの、古代遺跡の中は魔法の森の特殊性を一切受け付けていない。

 

 妖精さんたちが縦横無尽に飛び回ったりしているのを見れば、すぐに分かる。

 

 言わずもがな、僕たちは何らかの外的要素で阻害されてさえいなければ、全員呼吸をするように飛ぶことができるから、行かないと言う選択肢はない。

 

「ねえ。何だか、雰囲気が変わった気がしない? それに、遺跡の壁の感じも変わったし、水晶の光もほんのり水色になってるよー」

「なるほど! どうりでちょっと落ち着く感じがしてたのか!」

「分かる分かる! 確かにな!」

「チルノちゃん、それで本当に落ち着いてるの……? クラピちゃんもだけど」

「まあ、賑やか組のチルノとピースだもんね! と言うか、大ちゃんとメノとルナとノーゼが例外なだけで、基本静かな妖精っていなくないかしら? 私が知る限りではって注釈がつくけど」

「「「それは分かる」」」

 

 そうして進んだ先にあったのは、今までの場所とは違う雰囲気の道だった。

 

 道幅は広くなり、床や壁や天井を構成するものがレンガ擬きから、紅魔館の庭の石畳に使われる石のようなものに。

 

 生えてきている水晶の発する光の色が、淡い桜色から水色へ変わって、水晶の大きさ自体も平均して大きめな感じに変わる。

 

 後、謎の光源によってかなり明るかった今までと違い、若干ではあるものの暗くなり、全体的に落ち着きを促すような雰囲気となっているようだった。

 

 これら以外にも変化している細かな要素はいくつかあり、同じ古代遺跡の中に居ながら別の場所へ訪れたかのような錯覚を、僕や皆に与えてくる。

 

「古代遺跡って、こんなに広かったんだ。変わる前にもあった場所なのかな?」

「どうなんだろうねー。でも、少しとは言え地形が変わるくらいだし、新しくできたって可能性もありそうだわ」

「確かに……あっ、それはそうとメノちゃん。疲れたりしてない?」

「遠慮なく言って。誰も何も、メノに文句言ったりしないよー」

「ううん、大丈夫。気遣いありがと、大ちゃん。リリー」

 

 しかし、さっきまでのところと同様に、僕や皆に対して危険な要素はない。強いて言うなら、相変わらず沢山居る妖精さんたちからイタズラされることくらいか。

 

(……えへへ、良かった。皆ニコニコで楽しそう)

 

 皆が揃えばいつ何時でも楽しく過ごせるにしたって、流石にずっと同じような景色や雰囲気では、僕はともかくサニーたちやチルノ一行、レミリアたちが退屈してしまう。

 

 今までそんな様子は見られなかったし、あのまま雰囲気や景色が変わらなかったとしても、連続して1日くらいなら、心配しなくて大丈夫かもしれない。でも、可能性としてはゼロではなかった。

 

 だからこそ、こうして一風変わった場所とかが出てきてくれると、皆がニコニコしてより一層楽しそうにしてくれるから、僕としては嬉しいのだ。

 

 勿論、僕自身も家族や友達が一緒であることを前提とするならば、こんな感じである程度の変化があった方が、楽しい気分にはなれる。

 

 けれど、仮にこの場に僕1人しか居なかったとしたら、緊張感が楽しさを圧倒的に上回り、耐えきれずに本能的に途中で逃げ出してしまい、確実に遊ぶどころではなくなる。だから、変化はないならないで構わない。

 

 いつぞや、もう慣れているはずの香霖堂や魔理沙やアリスの家への1人お出かけですら、やった次の日にまで精神的な疲れが残っていた事実が、そう強く思わせてくる。

 

 だから、もうしばらく1人でお出かけをしようと行動に移すのは言わずもがな、考えることすら止めにしておくべきかもしれない。

 

「メノ、何考えてるの? また何か思い詰めてたりする?」

「思い詰めてるってことになるのかな、ルナ。今はまだ、1人でお出かけできるようにしようとしなくて、別に良いのかもって考えててさ」

「うん、しようとしなくて良いし、むしろしないで欲しいかも。そういうのは数ヵ月、数年……いや、数十年単位先の未来、トラウマを完全に克服した後の方が絶対に良いから」

「……そっか」

 

 何せ、僕の内心を察して話しかけてきたルナに、数年どころか数十年後まで1人お出かけ云々は考えないで良いと、優しく微笑みながらお願いされている。

 

 更に、このやり取りに参加してきたサニーとスターも、何かあって外出したいと思った時は、声をかけてくれれば基本誰かしらが付き合うと笑顔で宣言してくれたのだ。

 

 可能な限り頑張って、考えないようにしなければならないのは当然の摂理だろう。

 

 それと、お願いした時に何かをやってたり、体調が悪くなってしまったとか、気分が酷く乗らないなどの理由で付き合えない時もあるとは言われたけど、こっちもまた当然の摂理だ。

 

 やってくれなかったから、サニーたちに対して不満を持つなんてことは決してないし、万が一があろうとも決して持ってはならないことなのだから。

 

『くれた……帰って、きて……』

 

 途中で見つけた下へと続く階段を下っていき、遺跡の雰囲気は残しつつも、木漏れ日の森を彷彿とさせる自然物が多くなったエリアに入り、何かが置かれている祭壇がある広場へ足を数歩踏み入れた瞬間、囁くように誰かの声が耳に入ってきた。

 

 所々もやがかかったように聞き取れなかったけど、聞き取れる部分だけでも僕や皆がこの場所に立ち入ることを、声の主は喜んでいるように感じる。

 

「ねえ、メノ。どこに声の主が居るか分かる? 私はあの祭壇が明らかに怪しいと思うんだけど」

「うーん……僕もラルバと一緒で、この広場に入った瞬間に聞こえてきたから、多分あの祭壇が怪しいと思ってる」

「私も同感よ。状況証拠しかないから、そうとは限らないけどね」

 

 この声は僕だけが聞こえた感じかと思ったけど、他の皆にも聞こえていたらしい。だけど、周辺の妖精さんたちには聞こえていないのか、はたまた慣れているからなのか、殆んど反応を示すことはない。

 

 超能力や魔法の類いで、僕たちだけに何者かが話しかけている可能性は高そうである。

 

『1人……だけど、問題なし……』

「「「えっ」」」

 

 すると、ノイズ交じりの囁き声がピタッと止んだとほぼ同時、反応すらできない程に凄まじい早さで足下に展開された魔法陣によって、瞬きをする間に目の前に広がる景色が別のものへと変わった。

 

 色々と言いたいことはあるけど、簡単に言い表すとしたら……紅魔館の庭を遥かに超える程の規模を誇る、妖精さんたちが暮らす大庭園だろう。

 

 本来であれば、今までと同じ流れでこの場所を休憩を挟みつつ、のんびりと探検を続ける流れになっていたが、そうも言っていられなくなる。

 

「ようこそ、愛しき妖精たちの理想郷(フェアリーズユートピア)へ。勝手ながら守護者権限にて、最深部へ招待させて頂きました。ただし、メノウ様だけはこの理想郷上層部で生まれてくれた特別な子。招待と言うよりは、()()()()()()()()……でしょうか」

 

 僕たちを強制的に、この場所へ招いた声の主と思われる存在……咲夜と背格好がそっくりな()()()()()()()()()が、僕の前まで来たと同時に目線の高さまでしゃがんで、そう語りかけてきたのだから。

光の三妖精+オリ主以外で出番多めにして欲しい妖精キャラに関して

  • チルノ&大妖精
  • エタニティラルバ
  • クラウンピース
  • リリーホワイト
  • 全員
  • 作者にお任せ
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